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富山県Iさんの超絶定位システム

6月になりますが、自作関係の話題でだいぶ以前から交流のあった方でお誘いがありましたので、別の用事の道中ちょっと遠回りして富山まで行ってきました。一応御本人によるシステム解説です。ここのUCDパワーアンプは私が作成したもので古いものをお譲りしたものです。

  • ラズベリーパイ+アイベリーDAC(タカジン製 改造)
  • コンパクトUCDアンプ(このアンプは小さいが大変音が優しく音離れや音場感が良い)
  • SPはスコーカーSasha Series-2 ユニット+ツィターFOSTEX TA-500A
  • ウファーはサーロジックのサブウファーSPD-SW2000Dと同じ型のユニットを前後に繋いだ水平対向としタイムドメインと同じように箱からユニット浮かせて取り付けてあります。(デジチャンによる60hz -48dB oct)をデジタルハイパワーアンプ駆動
  • 部屋の後ろの黒い柱のようなものは、以前使用していました、長岡鉄男考案の自作DRW(サブウファー)ですが、音が丸いので現在使用してません

とのことです。特徴的なのはEclipseのタイムドメインスピーカーに似た設計の自作スピーカです。Iさんによると実家にタイムドメインのGS-1を所持しているものの、音像の大きさに納得ができず、納得ができるものを設計して作ったのが現在のシステムとのことです。しかしGS-1も製作者自身によって魔境と言われるような世界が構築できるらしく、定位と空間描写のポテンシャルはかなり高いはずです。

参考までにここにGS-1のレビューがかなり詳細にありました。
http://www.audio-masterfiles.com/masterfiles/file021/file21-3.html

製作者による魔境の話はここです。
http://tackbon.ldblog.jp/archives/51382740.html?.link_prev=1

ですがIさんによるとGS-1はボーカルの口がとても大きく、フルオーケストラなどの再生でのスケール感は良いものの本来小さくあるべきものまで大きく描写してしまうのが欠点と言われていました。GS-1は聞いたことがないのですが自宅環境のDuntechも定位自体はなかなか良く出ていますがバッフル面の大きさに相応した定位の曖昧さは感じています。

そういえばNautilusシリーズなどは独特の形状がもたらす非常にシャープな音像感がありますね。なので箱の形状による限界があるのだと感じました。バッフル面のサイズ=音像サイズというのは経験的に色々なSPの音を思い出してみるとかなり正しいかもしれません。

とにかくIさんはこの定位感を長らく追求されておりその道で数十年とのことでした。最後は理想を満たすものが世の中にないため自作で今に至るわけです。

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音質の特徴:驚愕の定位

音を聞かせてもらいましたが、かつて聞いたことがない定位感としか言いようがありません。音場の再現能力は360度あって部屋のはるか向こうから背後まで広がる空間があります。そして音の一つ一つが非常に正確に定位しています。ここまで緻密かつ広大な定位を両立したシステムは一度も聞いたことがありません。凄いです。

先日ヘッドフォンのレビューで最新型のSPを超える部分を作り出しつつあるという話を書きましたが、こういう定位はまだまだヘッドフォンでは不可能ですね。ヘッドフォンは前後感や立体感は全然表現できません。真の3D的な描写はこういう定位の優れたスピーカでなければ楽しむことが出来ないということを強く感じたシステムでした。

ちなみに当日掛けていただいたなかでとても良かった録音は下記画像のアルバムです。色々な音が異なる空間定位で入っていますし音楽的にも深みがあります。これ以外にもチェスキーレコードの作品をいくつか聞かせていただきました。同社のオーディオテストCDの定位のテストも掛けていただきましたが、左、右、中央、そしてその間の定位もピンポイントで完璧でした。うちではこんな定位は絶対に出ないですね!自宅はここと比較すると60%くらいの再現度だと思います。それらしいところには定位しますけどピンポイントとは言えない曖昧な感じです。

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ネットでコメントを見るとこのレーベルは面白いこだわりを持っているようです。それは次のようなものです。だから非常に豊かな定位感があるのですね。

Chesky Recordsは、追う音質を売りにするオーディオファイル・レーベルとして有名だ。音の良いスタジオでの生演奏を、ワンポイント・マイクを使ってダイレクト・トゥ・2トラック方式で録音し、オーバーダブ、コンプレッション、イコライゼーションは一切使用しないというポリシーを貫いている。

同じようなポリシーでやっているのはリファレンスレコーディングスのキースジョンソン氏でしょう。氏のことはQLSO=愛用しているオーケストラ音源で知りましたが、リリース元であるSoundsOnlineの掲示板で当時本人による面白いやり取りを見たことがあります。

マルチマイクやDAWで作られた定位と実際のホールでの録音による定位は全く違うというお話です。ホールでの録音は壁の反射による音の到達タイミング差の情報が記録されており、あとからそれを再現することは出来ないというお話です。だからQLSOのレコーディングは音楽制作用の音源なので単音ごとに収録されますが固定マイクセッティングであり、さらにオーケストラを実際の配置において各パートごとに録音しています。だからDAWで定位を一切編集する必要がなく、むしろホール録音の音響をそのまま使ったほうが豊かな定位が得られるというお話です。

実際のこのQLSOを使った自分の制作楽曲も掛けさせてもらいました。この環境で聞くとQLSOの定位感はしっかりした立体感があることがよくわかります。DAWで編集しただけの音はやはり平面的です。当時は上のような録音技術の話を読んでもよくわかりませんでしたが、今思い出すとキースジョンソン氏はとても大事なことを言っていたのだと思わされます。あのときあのタイミングで掲示板を読んでいて良かったです。今では過去ログとしても残っていないと思います。このQLSOをわざわざクローズマイクを使ってリバーブ掛けてる人を見たことがありますけど完全に使い方を間違っているということですね。

参考までにQLSOのデモをおいておきます。今となっては古い音源なので楽器表現は固く不自然なところもありますが空間感はとても良いと思います。自分の音源は大したレベルじゃないので貼りません。

公式:http://www.soundsonline.com/symphonic-orchestra

非公式:https://storyinvention.com/qlso-music-matome/

オーディオの話しに戻りますが、この環境は定位の表現力は極めて高いのですが、そのかわり音源への依存性がとても強いです。普通の定位の曲では平面的な空間しか出来ません。高度なマイキングや空間処理を施した音源かそうでない音源の違いは浮き彫りになります。特にここで聞かせていただいたバイノーラル録音による森の音響は本当に立体音響で完全なサラウンド状態で感動的なレベルでしたが、ほとんどの曲は(たとえ優秀録音盤であっても)ただ平面の上に音が並んでいるだけということがありました。

定位の代償として失ったもの

このシステムは素晴らしい定位ですが、そのための制約として見られるのはやはり低音です。現代に残されたタイムドメインはフルレンジ設計が基本になっていますがフルレンジでは高音が厳しいです。定位感には高音の情報は重要と思います。

その点ここのシステムはFostexのツイーターがかなり高性能で高音には不満が全然ありませんが、この中高音の完成度に低音を合わせることはかなり難しいと思いました。もちろんすべてを満たすことが出来れば言うことはありませんがなかなかそうはいきません。

現状ではサブウーファーの仕上がりがまだ不満足というのはIさんも感じているようで未完成であるとは言われていました。中高域の完成度は極めて高いのできっと低音もそれに釣り合うところまで仕上げてくると思います。

最後に

この度は新しい経験をさせていただきまして、ありがとうございました。

おまけ

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途中で立ち寄った旅館のエントランスにこんなオーディオがおいてありました。下に見えるとても貧弱なコンポで鳴らされていたのでちょっと残念さのある音でしたが、普通の天井埋め込みSPよりは当然ながらだいぶ良かったです。アンプを良くしたらだいぶ違うだろうなと思いながら音を聞いていました。選曲はボッサでした。

ご飯を食べるところの天井にもありました。こちらの選曲はなぜかアメリカ音楽。自信に満ちてスケールが大きくお金の匂いがちょっとするあの感じです。

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オーディオ目玉親父(messa)さんのところへお邪魔しました

先日nemo3さんとお伺いしました。なんとお二人ともYG acoustics スピーカのユーザです。nemo3さんはHailey所持してる古い友人です。Haileyはいつも聞かせていただいています。

それがこの日はイベントで数回しか聞いたことがないSonja1.2を聞かせていただきました!まず気になるシステムについてですが、正直ここで書くよりこちらに情報がまとまっているのでこちらを参照してください。はやてさんのレビューもあります。

http://messa.air-nifty.com/blog/2017/10/post-8d0f.html

http://comiccune.jugem.jp/?eid=39

書くことは沢山ありますので、さっそく音質について書きます。

システム音質について

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音質は超ストイックでかなり基礎クオリティ重視だと思いました。超高級ケーブルによる美音とか作られた音っていう印象は全然感じませんでした。これは意外でしたがそれこそがmessaさんがオーディオに求められている音質なのだと思います。すべてを捧げて頂点に向かう姿勢を表しているようです。淀みないストレートさで正直どの曲を聞いても非常に高いクオリティかつニュートラルな方向性です。色々なジャンルの曲を掛けさせていただきましたが女性ボーカル特化という印象などは全然感じなかったです。

そもそもYG自体がそういう基礎クオリティ重視でバランスの良い方向性ですけど、そのYGの方向性をそのままに突き詰めていったような音です。システムトータルの色付けは相当排除されていると思いました。

もちろん自宅環境とは比べるべくもないのですが、私自身もそういうストイックかつ基礎クオリティ重視なシステムを志していますのであえて自宅と比較するならば、messaさんのお宅では低域がさらに下までしっかり伸びていながらスピードも早いままで高域もより伸びがあります。それでいて定位も同じくらい優秀ですから、本当にほぼ全てにおいてクオリティが高いと思います。たとえば自宅だと意図的に排除している帯域もでてます。特に上の方が顕著に出ているので音源によっては出さないほうが良いと思うような音も出ていましたが、元々の音源に入っているものはすべて出すスタンスなら特に言うことはないと思います。こういう点はスタジオのモニターとして音源のアラ探しをする用途としても優秀です。

同じような表現ばかりになってしまいますがバランスがいい音のレビューは「これという強み」について説明することが出来ないので難しいです。たぶん同じような優秀なシステムと比較しない限り出音の弱点は見えにくいです。セッティングが決まったYGはこんな音なのかという印象がありました。もう少し定位が曖昧なイメージがあったのですがそんなことはありませんでした。

それというのもセッティングはかなりよく決まっていると思っていて、中央ではない隣の席に座っていても定位が明瞭でした。GRFさんのBlogにもありますが真にセッティングが決まっているとリスニングポイント以外でも立体感があるそうです。さすがにどの場所でも完全に立体的な音とまではいかなかったのですが、リスニングポイント以外にも立体的に聞こえる場所がいくつもありました。もちろん横に座った場合などは左右均等の空間ではないのですが立体感はしっかりあります。

あくまで個人的にはですが、いままで聞いたシステムのなかでは最も基礎クオリティ重視な出音と思います。とはいえオフの経験などはあまりないので「ごく限られた範囲の中」のお話です。特に基礎クオリティのみに注力して高められている方自体が稀という理由もあると思います。

基礎クオリティのみを高める道はオーディオでは少数派ではないでしょうか。あらゆる制約はそれこそ「何処にでも」あります。そもそも個人の趣向や選別というものがバランスの良い保証はないのです。だから個人の好みが強く出ることは普通だと思いますし、そもそもSPや機器自体がそういうある種の方向性を強く持つことのほうが多いからです。個人的な好みが主導する特化型システム、そういう誘惑を逆に排除しつつ価格度外視でトータルバランスと基礎クオリティの向上に突き進むことは精神的、経済的、場所的な制約が全て絡むので誰もが簡単に出来ることではありません。

その選定一つを妥協しただけでも現在の音にはならないのではないかと思います。そのような精神的綻びは色々な部分で音として現れてしまうでしょう。例えばこれくらいで良い、これでもう良い、そういうところで一切とどまらなかったからこそ存在しているのが現在の完成されたシステムのはずです。そしてこれからもその道を進むことでしょう。

ちなみにですが御本人がシステムやオーディオの音楽性についてちょっと心配されていたのですが、正直どの音源もかなり高いレベルでなっていたと思います。私が持ち込みした寄せ集めCD-Rもかなりシステムいじめな感じの曲なんですが、つい音楽を楽しんでつい聴き込んでしまったのでただの試聴なら掛けないくらい長く聞いてしまったくらいです。なので私の個人的な印象でしかありませんが、音楽性がどうこうというお話は心配される必要はまったくないと思いました!

これは基礎クオリティが高くなれば自然と説得力や訴求力が上がるからで、極めて高いレベルの技術を持つ方の作品が異なる価値観の方を取り込むのと同じです。オーディオでの最近の事例でいえばSonja XVの評判もそうですね。XVは全く異なる趣向を持つと思われる方にも支持されているように見えます。それこそ基礎クオリティの高さゆえの訴求力の高さにみえました。これはオーディオ以外でも同じです。

オーディオと音楽性の関係

自分自身の考える音楽性についてはこちらの記事でまとめましたが、問題点を見えなくするために性能を落としたり、ある種の方向性の先鋭化だったり、意図的な取捨選別だったり、これらは全て現実的な選択肢ですが純粋な高性能化とは相反する部分があります。

これらは色々な不完全さを補うためにこそ必要になる処置だと思っています。しかしmessaさんのアプローチはこれらとは逆で基本性能を隙無く高めることによって最終的に音楽性を確保していくスタンスだと強く感じました。

たとえばですが音源の問題点も顕にする部分については自分はそのような音源の不完全性も含めてチェックしたい派なので全く問題ないです。この能力は音楽制作でのエンジニアリングでは必要になる要素です。

そしてこの考え方は私の考え方とかなり近いです。でも自分自身の到達点はまだまだだなぁと強く感じました…。自分は限りない予算はないですがそのかわりに自分自身の知恵と能力を使って上がっていきたいと思います。

HaileyとSonjaの差?

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基本的にはどちらもバランスが良くオールラウンダーな音です。どちらも箱鳴りを徹底的に排除した切れの良い音です。いわゆるYGの音というものになるのでしょうか。贅肉を全て削ぎ落とし極限まで研ぎ澄まされたアスリート的筋肉質なイメージを強く受けます。無駄な力みがなくて余裕で音がでてくる感じです。

普段nemo3邸で聞いているHaileyとの差は低域の余裕がかなりありました。こちらでは低音のエネルギーが前に出てきて存在感がしっかりあります。厚みがあるとか遅い低音ではありません。早くて伸びていて存在感がハッキリしている低音です。この低音の余裕がだいぶ格差があると感じました。

ただmessaさん曰く電源の工事を行った後に低音が強くなったとのことなので、電源の対策レベルの違いのほうが大きいのかもしれません。またSPと電源以外にもケーブルも含めるとかなりの格差がありますので、そういった細かい部分での追求レベルの差が低音の違いになっている可能性はあります。なのでSPの格差だけではない可能性は高いと思いました。

ちなみに1.2ならばHaileyと中高音の違いは低音ほど顕著ではないです。音の差はありますがケーブルや機材の差がありますのでここではSPの違いとまで語れる差は無いと判断します。どちらも現在でも十分ハイレベルな音ですがこれが2.2になったらおそらくHaileyとはかなりの違いが生じるのではないかと思います。

Black Cat CableとNordost Odin2との比較

先日購入したケーブルですが、なんと最新最強のOdin2と比較させてくれました。早速音質傾向です。

Nordost Odin2

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これはちょっと反則レベルですね。

非常なワイドレンジかつ静寂感と透明感の高さが特徴です。それでいて描写は精密なのですから弱点が全くわかりません。特に静寂感は独自の特徴であって他のケーブルでは実現されていません(こちらの手持ちでは唯一TempFlexが近い)。それでいて低音の密度や深さ、高音の突き抜けたスピード、そして耳に痛くない自然さを両立しています。当然のように滲みやきらめきのような成分は抑えられており、基本的実力の高さゆえの「音楽の浸透力」を強く感じます。音の濃さです。

以上のように極めて基礎クオリティの高いケーブルと思いました。今まで聞いた中では完全無比で究極のケーブルとしか言えないのですが、同じ価格帯のケーブルはきっと比較が成立するような領域にいるのでしょう。初めて聞いたスーパーハイエンドのケーブルは相応の実力を感じさせるものでした。システムトータルが数千万円ならケーブルに数百万円くらい投資してもいいと思わせる凄さはあります。

他のケーブルに変更した後に思ったことは正直ケーブルの実力のみでここまで良い方向に変わるのは驚きです。機器が揃ってシステムが極まってきたらやはりケーブルにも投資しないとここまでの音は出ないのだ、そう感じさせる違いがありました。これがシステム内のXLRケーブル一本の差なので…。全体のケーブルによるトータルの影響力を考えると恐ろしくなります。機器一台を変えるより影響は大きい可能性も感じました。

Black Cat Cable Matrix II XLR

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絶対的な音質をOdin2と比較してしまうと当然ながら全体的にクオリティは下がります。自宅ではこれでも相当良い音でなっていたのですがOdin2と比較してしまうとレンジはかなり狭く、高音の滲みも若干感じるところがあります。少し全体的に曇っている感じでしょうか。Odin2のレンジの広さと透明感の両立は極めて優秀ということでしょう。

とはいえトータルバランスは良好でとても大人しい落ち着いた音でありながら聴きやすく嫌な音は出しません。全体に描写が小ぢんまりする印象はありますが細部の描写は非常に緻密で丁寧な印象があります。全体の雰囲気として落ち着いた大人の上質、どことなく気品を感じる音質です。わかりやすい派手さは全然ありません。まるで表舞台を引退して静かな余生を過ごす開発者クリス・ソモビーゴ氏のスローライフを象徴するような落ち着き具合です。といっても決して眠いとか遠い音ではありません。

さすがにOdin2と比較すると残念な部分はあるのですがこの価格差は10倍以上です!BlackCatは一般的な5-10万円のケーブルよりもずっと基礎力と音のバランスは優れていると思います。同じような価格帯のケーブルはいくつか所持していますが同価格帯では音はかなり良い方ではないでしょうか。と言っても音の変化は地味すぎて本当の音の良さを追求するような方でないと分かりにくいでしょう。とにかく派手だったりわかりやすい音の差ではありません。わかりやすい音作りなどは全く感じないからです。

残念ながら国内で調べてもあまりレビュー自体が存在しないので、ここでは非常にコストパフォーマンスが優れたケーブルとして紹介しておきたいところです。10万円前後で基礎クオリティ重視、癖が少なく質の良いケーブルを探すならとても良い選択肢だと思います。ここから上を目指すなら数十万円の出費は覚悟が必要と思います。

REDLEVEL: MATRIX XLR

StereoVox Bal-600 XLR

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Black Catケーブルと同じクリス・ソモビーゴ氏の作品です。こちらはmessaさんの所持品です。

こちらはクオリティがBlack Catより高いです。レンジが広がって大分Odin2に近づいた感覚があります。緻密で丁寧な音という印象は共通していますが、こちらのほうがワイドレンジで力強い感じがします。こちらのほうがパワーというか勢いがあります。若さですかね。BlackCatと比べると明瞭さが若干アップしてコントラストが上がる感じです。

そのかわり高音の質感が気になってきます。レンジが広がった分、質感についてはややきつさがあるというのか、レンジを広げたほころびを若干感じます。ピーク感はないので全然きついまでは行かないのですけどOdin2と比べると質感は気になる部分です。高域の聞きやすさはBlackCatのほうが落ち着いていて好みです。

messaさん曰くこのケーブルはValhallaと同じくらいの音だそうです。そしてValhallaとOdin2はすごい差があるとも言われていました。もしこのケーブルがValhallaレベルと考えるとそのとおりかもしれません。Odin2と比較してしまうと大きな差があり、とにかく透明感と奥行きの深さがOdin2は何か越えられない壁の向こう側にある印象を受けます。レンジや明瞭さについては大分近づいているのですが、高域の滲みのなさと透明感の両立についてはBlack Catと比較しても依然問題点が共通しています。

このケーブルのもともとの価格は数十万円だそうですが、BlackCat以上、Odin2以下。価格相応という結果です。

ケーブルへの愛を感じました

写真を取り忘れてしまったのですが、所持されているケーブル類で未使用品はコネクタにラップ等も巻いてありますし、高級そうなビロード調の布袋に個別収納されていました。ケーブルを出すときや机の上に置く時もとても優しく取り扱われておりケーブルへの愛を強く感じました。優しく包み込むような扱いです。扱いは全て手袋必須というものです。それがとても印象的でした。

最後に

ということで有料サービスでも良いような貴重な体験をさせていただくことができました。ありがとうございました。特に手持ちケーブルとOdin2の比較などショップでは絶対にさせてくれないですからね。そしてシステムの仕上がり音質はかなり衝撃的でした。ほぼ同じ価値観の大分クラスが上の音を聞くことが出来てよかったです。今後につながる良い体験になりました!

とりあえずこちらのTempFlexケーブルについてはまだまだ課題が山積みなのでちゃんとしたOdin2との比較はBlackCatレベルを達成してからになりそうです。良い素材を組み合わせてただ作っただけでは良い音にはならないというのはちょっと考えれば当たり前の話だったのですけど参考になりました。やはり最後の耳での調整が必要です。

実はこれと同じようなことはDACやパワーアンプの開発で分かっているはずですが(良いDACチップを使ってもハイエンドの音になるわけではない)、残念ながらケーブルはそこまでの意識はなかったということです。まだまだ見識も技術も足りないですね。

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2018春ヘッドフォン祭り

MEZE Audio EMPYREAN

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上品で自然な音です。中高域は非常に素直な描写でなめらかな音。特定帯域に癖のようなものはありません。全帯域で綺麗な出音です(革パッド時)。これが布パッドになると中高音が奥に引っ込んでより大人なしい音に、そして高音は若干荒くなります。布が音を吸収してそのような音になっている印象です。

弱点としては中低域の課題があり、常にベールの掛かったような見通しの悪さがありました。しかもベールは比較的ワイドレンジで奥行きが見えない感じです。奥行きを気にしない人は気にならないかもしれません。これはE3の電圧モードでは特に顕著です。電流モードでは軽減しますが完全に払拭はされません。

ということでEMPYREANは一見とてもキレイで粗が見えない素晴らしい音を出す製品かもしれませんが、Utopiaのようにどこまでもハイエンドの世界を見せてくれるような懐の深い製品ではないかもしれません。懐の深さが制限される理由は外部機材ではなくヘッドフォン自体の性能によって奥行きの描写力そのものが制限されてしまうことです。

E1+E3というセットは十分ハイエンドクラスと言えますので、それをもってしてもこの音だとすると機材をアップグレードしても伸びしろに悩むヘッドフォンかもしれません

デザインと仕上げと装着感はとても素晴らしいし、宣伝広告写真もとても美しくて見てて楽しいです。要するにとても物欲をそそるのですけど、予想価格の4000ドルを考えるとFinal D8000やFocal Utopiaに比べてどこまでも音が良くなりそうなワクワクは今ひとつです。

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マス工房

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噂通りお話し好きの方が開発&対応しています。話すととても長いです。CDPがアンプに比べて実力不足とお客さんに言われているとか、試聴のためHugoに接続するためにRCAケーブルを現場で加工した話とか、HIFIMAN SUSVARAの個体が大きく以前比較した時に展示している品が一番良かった話など、多分スペースに行った方はどれか聞いてるかもしれません。

あと内部設計の話も少しだけ聞きました。ヘッドフォンアンプのmodel406が16パラレルプッシュプル(2chステレオで64個!)の出力部になっているというお話を聞きました。しかも大量に購入して選別作業を5%精度でやっているとのことです。これはとんでもなく大変な作業です!値段が高くなる理由も納得です。

肝心の音です。ここでは友人のUtopiaをお借りして普段聞いている音源でチェックしました。

自然できつさを感じないながらも中高域の立ち上がりスピードは極めて早く、一番下の帯域までしっかり伸び切ります。正直言うと高音は荒いと思いましたがCDPの問題でしょうね。とりあえずCDPが問題と思われる要素は除外すると、第一印象として全体的な音調はOji Specialとどことなく似ていますが、最大の違いは最低帯域まで伸び切る点でしょうか。Oji Specialも高性能、高品質の系統の音でしたが低音の伸びの部分ではmodel 406のほうが優位と思います。

ただし低音は意図的にリリースを遅くしているのか、若干柔らかさのある低音です。立ち上がりのゆるさより収束のゆるさのようなものを感じます。おそらくですが、この音は意図してそのように設計しているではと思います。なぜなら普通に高性能を目指して作るとこのような緩い低音にはならないからです。とはいえ当方の知らないような設計手法で高性能を目指した結果このようになっている可能性もありますけれども。

これは価格は高いですが現時点では最高性能に近いヘッドフォンアンプではないかと思います。比較対象になりそうなのはゴールドムンドのヘッドフォンアンプですね。あちらもかなりパワフルでした。絶対的なパワーはゴールドムンドが上かもしれないですが、キレや描写力の高さではmodel 406のほうが良いかもしれません。E1もありますけどE1は全く音が違うので選ぶ際に迷うことはないと思います。

それにしてもゴールドムンドはスピーカを鳴らす回路と同じものをヘッドフォンアンプに持ってきていますし、マス工房の設計は多パラ設計です。このあたりのお話を聞いて思ったのは電源の性能が必要十分となった以降の最終性能を決めるのは、フィードバックによる見せかけの測定抵抗ではなく真の電流供給能力を決めるトランジスタの抵抗、そしてエミッタ抵抗、このあたりをいかに詰めていくかが出音の限界を決めるのでしょうか。

HIFIMAN SUSVARA

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マス工房さんで最後にSUSVARAを聞かせていただきました。

このヘッドフォンはUtopiaと比較すると脚色された上品さを感じます。基本性能は高いですがそれだけではなく、中高音に何かが響いているような音がします。最初ヘッドフォンの箱鳴りかと思ったのですが、手でヘッドフォンを抑えても印象が変わりません。

それはどういう音かというと、耳が敏感な数kHzあたりにかけて収束が遅く余韻が長い帯域があります。それが音を若干丸めており、ちょうど嫌味がない程度に聞きやすくデフォルメしている印象がありました。響きは音をマスクする代わりに程よい響きは音楽的に良い効果をもたらすことがあります。

そのお話を伝えた所、マス工房さんの見解ではこれはユニットの分割振動だそうです。このSUSVARAの個性についてはしっかり認識されているようです。

またHifimanは個体差があり、いくつかの個体では低音が出なかったり高音が出なかったりということもあるそうです。決して安くはない高額品で個体差が大きいとなると購入するのは躊躇する理由になりそうです。

Final D8000

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本日最後となるFinalです。実はこの日は体調が悪く前日まで頭痛が酷かったので会場に到着したのが既に夕方だったのでここで終わりです。

D8000については以前から大変高い評価のレビューをたくさん見かけていたので興味がありました。ショールームもオープンしているらしいのですが月2回でしかも予定は公開されていない関係もあり今まで一度も試聴をしたことがありません。今回が初となります。

接続機器はQueStyleのヘッドフォンアンプでした。こちらもいつもの音源で音をチェックしますが、とてもクリアで高速応答なのが印象的です。ちょっと高音が荒れているように聞こえましたがこれはアンプまたはDACの性能限界によるものだと思います。もっと良い機材ならもっと綺麗な高音が出そうなポテンシャルは感じます。そして最大の特徴は低音ですね。

この低音は今まで一度も聞いたことがない領域の応答速度です。Utopiaを聞いたときはSPオーディオの延長にある自然で伸びのある低音だったのですが、D8000の低音は現代のどのハイエンドSPでも実現できないような超高速の低音じゃないでしょうか!それこそYG Acousitcs Sonja XVの内蔵ネットワークをバイパスしてゴールドムンドのハイエンドアンプでウーファーを駆動したらようやくこのような音になるのか?と想像してしまうような音でした。ショーやショップで聞いたXVではこんな音は出ていません。大げさかもしれませんがこれは間違いなく未体験の音です。

「YG Acoustics Sonja XV」の画像検索結果

少し実例を上げて書きますと「バスドラの音の違い」でわかります。普通のシステムだとボゥーンって感じです。これはフロアスピーカを使ったオーディオだとよくありますね。ハイエンドじゃないシステムだと小型SPじゃない限り大抵こんな感じです。立ち上がりが遅くて収束もゆっくりな感じです。箱も響いてたりしますので余計収束が遅いです。これがとても駆動力が高いアンプと現代的ハイエンドスピーカシステムだとボン!とかボッ!って感じになります。先ほどのUtopia+model406もボン!くらいですね。ボッ!ってほど早くはないです。これがD8000ではバツ!って感じに聞こえました。D8000の場合は低音のはずが高音混じりに聞こえます。それこそ常軌を逸した早い音です。

これを聞いて「どのようなシステムでもそんな音は出ないので誰も気づいていないだけで波形本来はこういう音なのか??」と思ってしまいました。丁度DAVEを初めて聞いた時を思い出します。これは未知の音を聞いて違和感を感じている瞬間です。D8000を購入することによって今まで見えなかった世界が見えるかもしれない…とても興味を惹かれました。

そう言えば、みなさんのレビューでD8000はヘッドフォンらしい近い音、Utopiaはスピーカらしい距離感のある音とありましたが、それはこの部分の違いがその理由かもしれません。D8000はヘッドフォンでしか出せないようなスピーカを逸脱した世界に突入しています。反面Utopiaはスピーカから出る音を逸脱しない範囲で最高の音(もちろん超高性能)だと思います。

もちろん今回の試聴だけだとどちらが優れているのかはわかりません。D8000は今回の印象で素晴らしいポテンシャルを感じたので購入に向けて検討したいですね。可能であればショールームにUtopia、DAC、アンプを持っていってD8000の真価を確かめたいです。もちろん購入前提です。それでこの日体験した通りの実力があるなら購入確定です。祭り当日の荒れた音では高音の評価が出来ないのでそれも本試聴に預けたいと思います。

体調が悪い中、無理してでも来てとてもよかったです。ようやくヘッドフォンがスピーカとは別の道を行くための入り口が見えたのでしょうか?D8000が指し示す道はもうスピーカと比較するような世界ではない、ヘッドフォンだけの高みではないか。そんなことを考えました。

おまけ Final E5000

「Final E5000」の画像検索結果

写真をとり忘れたので公式画像です。

D8000を他の方が視聴中だったのでその間にこれをぜひ聞いてくださいって渡されて聞きました。正直イヤホンは全く期待してなかったのです。ちょっと前までのイヤホンって値段だけ異常に高い割に音は価格と比例していませんでした。変な音作りのイヤホンばかりでまともなメーカーはほとんどありません。大手ですら高級機は派手すぎる音作りだったりして未成熟な業界だなって正直思っていました。

だって昔のヘッドフォンと全く同じだからです。ヘッドフォンもそういう時代がありました。価格と音質が比例せず癖のある高級機も多かったです。自分も昔はゼンハイザーと出会うまではそんな高級機の一部を使ってました。でも今のヘッドフォンはとても洗練されました。高いモデルは相応に高性能になっています。

その点でイヤホンはまだまだ高いからと言って高性能とは言えない昔のヘッドフォンやヘッドフォンアンプが流行した頃と同じような世界が広がっていました。これはeイヤホンで百種類に迫りそうな大量に並んでいるイヤホンを片っ端から聴き比べた結果の印象です。10年後にはいまショップに並んでいる半分以上のブランドが無くなっていると思います。多分いままでは多種多様な可能性が生まれてほとんどが消えていくカンブリア時代のような時代だったのです。

E5000、これは良いです!今まで聞いてきたイヤホンの派手さとクオリティの低さの両立ではなく、これはちゃんとまともな音がします!低音はボンボンしますが中高音はよく出来たスピーカオーディオを思い起こさせるような自然さと空気感があります。イヤホンでこんな音が聞けるとは思いませんでした。

ただ低音は遅いし量感過多ですね。不自然なくらい持ち上がっていてスピードもかなりゆっくり、先程あげたバスドラの例で言えばぼよよ~んって位遅いです。スピーカでもここまでゆったりな感じのシステムはなかなかないです。もしかしたらこの音は耳の中の水分の影響なのかなって思いました。密閉だと低音が逃げないので耳の中でエネルギーが減衰せずに共振してるとしたらイヤホンもある程度低音だけ逃がす構造が必要になっていくかもしれないと思いました。(現場の方にも仮説程度にお話しました)

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ラブライブのハイレゾを後処理で改善する方法

今回使う音源はラブライブのハイレゾです。ここで落としたか忘れましたが多分他の配信サイトでも同様の内容になっているはずです。全部落として比較したわけじゃないのでなんとも言えないですが、多分96kHz/24bit以上の音源を入手しているなら同等の内容の対策が可能かと思われます。

今回は研究用素材として一部引用します。著作権は引用ならば認められていますので、必要な引用ということでよろしくお願いします。そのためにPV尺よりさらに短縮しています

Snow halation μ’s(ラブライブ!)

http://www.e-onkyo.com/music/album/lacm47742/

まずは元波形を見てみましょう。こっちがCD版、

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こちらがハイレゾ版です。

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若干良くなってますがそれなりに圧縮されています。このハイレゾは全然ダメでしょうか?まぁ理想ではないですけどCD版よりはマシですね。ですが若干レベルは上げすぎでしょう。折角ダイナミクスに余裕のあるハイレゾフォーマットでやるべき処理ではないです。天井にほとんど突くかつかないか位が理想です。たまに突くくらいなら別に良いと思いますけどね。

個人的な意見ではハイレゾ版はCD版より波形で見るより大分マシです。ハイレゾ版で良かった部分はミックスをやり直していると思われる点、実はそれが一番効果がある部分だと思います。でもまだまだ若干潰しすぎなところがあります。あとミックスのやり直しでCD版より悪くなってる部分が幾つかあります。このあたりは後で説明します。

CD版とハイレゾ版はミックスが違う

とりあえずCD版とハイレゾ版で重要なのはミックスが変わっている点でした。聞いた印象が全然違います。具体的に音源を出して聞くべきポイントを説明します。まずはCD版のほうですが、公式動画がありましたのでこちらを紹介します。

こちらが配信されているハイレゾ版のミックスです。mp3になってますがニュアンスは判別できます。

CD版では出だしのピアノがコンプが掛かってる音色です。動画では0:05のところのピアノ和音のアタックに注目するとわかりやすいと思います。この部分が硬い音になっています。和音でエネルギーが集まっていますから、音量がスレッショルドを超えコンプが音を圧縮しています。そのためアタックが妙に目立つ音になっています。この部分はリミッターにかかるレベルじゃないのでミックス段階で各パートを潰しまくっている証拠です。ラブライブの音質的問題はミックス段階から始まっています。

下のように波形で見ても違いがわかります。CDではアタックがきつくなっていますがハイレゾ版は立ち上がりが滑らかです。自然なアタックはハイレゾ版だと思います。

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しっとりアコースティックなソロピアノのイントロなのにいきなりコンプ掛けてるセンスを疑います。エンジニアもアニソンポップスなんてこんなもんでいい的な適当な感じで処理してるんでしょうか。普通バラードっぽいアコースティックなピアノにはこんなパツパツのコンプは掛けないと思います。

もちろんピアノにコンプ掛けて効果的な例としては、ダンス系楽曲などで切れのある音色に加工されたピアノありますけど、これはそういう効果的な使い方とは全然違います。アタックの鋭さが必要なシーンでもないし、ただ雰囲気を壊しているだけです。その点でもハイレゾ版は自然な質感になっていて良好です。

ただハイレゾ版のほうはミックスの時間が無かったのか細かい処理はCD版のほうがニュアンスが良くてなかなか悩ましいです。本当はハイレゾ版の自然な音色でCD版のようなバランスが取れていれば良かったのですけど、残念ながらハイレゾ版は若干パサパサした質感になっていて、やや乾いたSnow halationになってしまっています。これはあとから直すのは結構大変ですが、後ほどこのあたりの補正もチャレンジしてみたいと思います。

本来のダイナミクスを若干でも復活させる方法

とりあえずハイレゾ版はコンプがあまりかかってないミックスなのはわかりました。では次にハイレゾ音源の素材を使ってここから多少ダイナミクスを復活させてみたいと思います。これで完全に戻るわけじゃないですが多少はマシになります。

ここで使うのはカラオケ音源です。カラオケ音源とボーカル入りは普通同じレベルで収録されています。そしてボーカル入りにレベルが合わせてあるのでカラオケ音源の方はボーカル入りよりダイナミクスに余裕があります。オケの本来のダイナミクスはカラオケ音源に収録されているということです!これを利用します。

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こちらではCubaseでやってます。未だに古い5ですけど新しいバージョンでも同様の処理は出来ると思います。下の画面のようにカラオケ音源を二つ、ボーカル入りを一つ並べます。

その後の手順は次の通り

  1. カラオケ音源とボーカル入りを貼り付けて片方を逆相にする
  2. これでボーカルだけ抜き出した音声を作ることが出来る
  3. ボーカルだけのトラックを作る。一度書き出した方がわかりやすいです(ここではグループチャンネルにセンド)
  4. ボーカルだけのトラックとカラオケ音源を混ぜる

そして、このボーカル音源とカラオケ音源をミックスして出力したのが↓です。音量がオリジナルより低いですがその分ダイナミクスは確保できています。カラオケ音源のほうがリミッターの被害が小さく、収録されているダイナミクスが大きいので、この方法によってそれを最大限に活かせるというわけです。

ただしここに貼り付けている16bit mp3だと音量が小さいためちょっとイマイチなところもあるのでダウンロードする余裕がある方はこちらの24bit wavのほうで確認してみてください。

これを波形で見るとこんな感じです。

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波形だけ見ると大分余裕があるように見えます。音の方もオリジナルのハイレゾ版と比較してボーカルが入ってきてもまだ余裕がある感じになっています。オリジナルのハイレゾ音源はボーカルが入ってくると急にレンジが足りなくて苦しそうな音になるのですがこの方法によってこの点は大分改善します。

ここから更に自分好みに調整出来る

ここまででオリジナルに忠実なダイナミクスの確保作業は終わりました。あとは好みに合わせた個別調整です。上記のボーカルを抜き出したものと、カラオケのトラックにそれぞれEQを掛ければボーカルとオケで個別の調整ができます。これでミックスの弱点を補う余地があります。自分の好みに合わせて一度作業してみたのでここで紹介します。

これが完璧な処理ですとは言いませんが、自分がこだわっている部分については多少良くなっているのではないかと思っています。もちろん各人音の好みはあると思いますので、気になる方はここに紹介した方法で各自で好みの調整を是非やってみてください。

こちらのEQ処理で意識したのは次のとおりです。

  1. 左右のギター、ピアノなどの中低域にあるべき生楽器の質感をできるだけ復活させる
  2. ドラムのスネアとハイハットのアタック等、荒々しいバランスを抑えて優しい音にする
  3. 上記を満たしながらモコモコした音にならないように、できるだけ被り成分を除去する

基本的にはSnow halationという楽曲のイメージを補強するような調整です。ハイレゾ版もCD版も楽曲の方向性からみて音が激しすぎに感じています。多分オリジナルのミックスをやった人はこういうジャンルは得意じゃなくて、もっと元気でビシバシした曲が得意な人なんだと思います。とにかくドラムが元気良すぎで悪目立ちするところが気になります。なので基本はその部分を抑えて、しっとりとしてアコースティックな感じに多少でも近づけたいと思います。

まずオケだけをEQ処理したものです。処理前と処理後を貼ります。

処理前↑

処理後↑

どうでしょうか?そしてこれにボーカルを載せると↓のような感じです。もちろんボーカルの方もオケに合わせて被りの防止のため、低音を切ったり処理をしています。低音部の処理でなかなか難しいところがあるのですが、これのために延々と微調整を繰り返してもなかなか時間ばかりかかってしまうのでこの辺にしておきます。24bit wavはこちら

ここで伝えたいのは、これがあるべき姿ですよってことじゃなくて、カラオケ音源とボーカル入りを打ち消すだけでこういう処理が出来る可能性が広がりますということが一番伝えたいことです。このようにすれば処理次第ですが沢山の可能性が見えてきますから、あなたのお気に入りの音源で、音質がどうしても気に入らないって場合はこうやって少しでも好みに近づける方法はあるということです!

2017マラソン試聴会とヘッドフォン祭

新生ソナス Amati Tradition

数kHz帯域に幅広いピークか共振帯域があるように聞こえます。以前のフランコモデルではなかった特徴です。これが独特の緊張感をもたらしており、リラックスして聞くというより楽器にかぶりついて聞く印象になっています。またそれより上の帯域も若干きつめの音になりがちなので正直SPとリスナーの間にカーテンを引くくらいでちょうどいいと思いました。

川又さんが鳴らしているときはそうでもありませんが、最初部屋に入った時に別の人が鳴らしていました。このときの弦の音がきつくてかなりよろしくない音でした。生の自然な音とはかけ離れたハイが悪目立ちする音です。オーケストラの生音はこんな音してません。酷いです。

そのあと川又さんが鳴らすと大分バランスが良くなりますね、不思議ですけど。そうなると今度は残された中高域のピーク感が目立ってしまいます。この時の音はとても悪い音だとは思わなかったですが、オケを聞かせるスピーカならこのピーク感は無くしたほうがずっと良いと思います。勿体無いです。

中低域の響きは楽器の胴鳴りを思わせる質感で良い意味の余韻があります。この辺のソナスのスピーカらしくない響き方は以前のモデルを継承しており良い印象がありました。

個人的にはですがもう少し中高音の押しを和らげたらもっと聴きやすい曲が増えると思います。新生ソナスは現代ハイエンドに突き進むよりも中低域の響きの良さに見合うように中高域のバランスを整えた上で現代的に進化できる方向性を模索するべきです。

B&W 800D3

低音はこの中で一番タイトです。バスドラの録音では膨らみもなく一番発音も収束も早いです。どこまでも伸びる低音ではないですが低音の速度の描写力は非常に優れています。若干細身な低音ですけど無駄に膨らんでいるよりは個人的には好印象です。

マラソン試聴会のデモでは3wayの音が完全にばらばらで一体感がないことが何度かありましたが、この日は中高音の繋がりもあまり気にならなかったです。着実にシリーズの進化を感じました。

一番気になったのは高音のピークです。多分ですけど可聴帯域かもっと上の方、かなり上の方で強いピークがあって、曲によっては発音時にとてもきつい音が出てました。ですがおそらく帯域外かそれに近い領域のように感じたので、このあたりはケーブルや周辺機器のバランスで調整できる範囲とは思いました。

この部分をうまく調整できればこの中では現代的ハイエンドとしては最もハイクオリティで好バランスだと思います。

Focal Scala Utopia Evo

高音の自然さはこの中では一番良かったです。ベリリウムツイータですね。弱点は低音が膨らみがちなことです。明らかに箱が鳴ってます。鳴り方もいかにもスピーカという感じの鳴り方なので、ソナスのように音楽的でもないです。量感はありますからゆったりした低音を好む方には合うと思うのですが、この日の比較では他が現代的なスピーカだったので直接比較すると気になってくるところです。

最後に川又さんがどれが良かったか聞いてましたが、このスピーカが一番支持が少なかったです。良さがわかりにくかったか、ちょっと箱鳴りが強い古い音に感じた、最後にかけていた曲がこのスピーカに合ってなかった。そういう要因じゃないかと思いました。当日の評価よりは良いSPだと思います。自分的には現行ソナスよりは良いと思います。この日の音は低音がゆったりしていても違和感がない曲が合ってそうです。

スピーカ比較まとめ

個人的評価は、高音はFocal>B&W>Sonusで低音はB&W>Sonus>Focalというところです。総合評価だとB&Wでしょうか。

dCS Vivaldi DAC vs MSB Reference DAC

Vivaldiは華やかな高域です。以前にもVivaldiの音はレビュー書いてますがMSBとの比較だと圧倒的な力強さみたいなのは感じなかったです。MSBと比較するとVivaldiは明らかに色付けを感じる高音なのですが、むしろそれが受けてる要因かなと思います。途中でどちらが良かったか聞かれましたが会場は8割くらいVivaldiでしたね。

MSBはおとなしくて上品で奥行きが深い音でした。今までの路線の延長線上です。地味な音なのですがクオリティは相当高いです。個人的な評価軸だとVivaldiは減衰を最後まで描けておらずMSBのほうが潜在力は高いんじゃないかと思うのですよね。この日はプリアンプ経由なのですが、プリアンプをなくして直結で比較したらMSBのほうが圧倒的に良かったのではないでしょうか。

でも殆どの方はVivaldiを選びました。ここからわかるのはこの領域になると基本的なクオリティはどれも一線を越えており、音楽的な描写の仕方やぱっと聞いた音色の印象のほうが重要ってことです。基礎クオリティはミドル価格帯(100万円以内くらい?)までのDACでは支配的ですが、100万円を超えてハイエンド以上になると音楽的趣向のほうが支配的になるということのようです。

HIRO Acousticの印象

中高音は最高です。キレも透明感も無駄な贅肉がなくてスピードが見えない自然さ。でも低域は高音に追いついてないと思うのです。今回もその印象は変わりませんでした。高音が完璧すぎて低音の不完全さが気になってしまいます。

誤魔化す余地のあるようなスピーカではないのでこのモデルはここから先難しいです。低音を完璧にするのはほぼ不可能だとすると中高音を低音に合わせなければなりません。そうすると現状よりトータルのクオリティが低下してしまいます。

となるとHIRO Acousticが現在も継続して低音の改善に力を入れている通り、これ以降も低音を改善し続ける必要がありそうです。いつか完璧な低音が出るようになった完成形を聞いてみたいです。それはもしかしたらSonja XVを超える可能性があります(その日は来ないかもですが)。

ヘッドフォン祭り 2017秋

前回に行けなかった注目2ブースについてだけ書きます。カメラを持って行き忘れてしまったので写真は無しです。ネットにあるのでそれをお借りしました。今回はどちらもメーカー公式画像です。

Kurada

噂のフルオープン特注機の初試聴です。音はとても透明度の高い中高音と膨らみがちで歪む低音という珍しいコントラストです。どこまでがヘッドフォンでどこまでがシステムの音なのかちょっとわからないですが、トータルでは普通にハイエンドクオリティ!超個性的ですが突き抜けてて良かったですね。

全体的に音は厚めです。中高音も繊細なのに厚みがあるっていう面白い音です。多分低音以外の歪率も高いせいだと思いますが、むしろいい音です。おそらくですが中高音の歪率が高くてもノイズが少なく澄んでいて、前後感も質感も見えやすいかなり緻密な音質です。駆動も自然なのに力強く無理しているようなところを全く感じさせないのは前回のE1Rの印象と同じです。定位も広くて余韻も深いです。

ただ音数が少ない曲だといいのですがベースとバスドラ、それ以外に中低音が複雑に重なってくる楽曲だと低音の描写にとても違和感があります。普通じゃない低音の出方です。ベースの重心が高すぎて一番下がスカスカです。500Hz以下くらいにとても大きな膨らみがあって、本当の下の方は全然出てません。歪率もとても高い帯域になってくるので明らかにベースの音色も異質。ディストーションな感じです。

このシステムはそういう曲よりも音数の少ないしっとりしたバラードみたいなのが合うと思いました。やや濡れたような質感があって厚みと透明感を両立しているのでハマったら抜け出せない強い個性と魅力があります。

最後にアンドリューさんに直接色々話を聞いたのですが、どうやらE1Rとフルオープンの組み合わせがこの独特の低音を出しているそうです。普通はそこまで低音が出ないそうなのですがこの組み合わせだとかなり低音が出てしまうそうで、再生されている周波数特性自体がフラットではない可能性もありそうです。

ブリスオーディオ

ここは現代的なハイエンドの追求って印象でした。個性がとても強い音ではなくて基本は王道の無色系ですが独自の個性は感じました。

肝心のヘッドフォンケーブルですが最初はミドルクラスのケーブルだったのですがせっかくなら一番いい音を聞かなければなりません。すぐに最上位ケーブルに変えてもらいました。Murakumoで試聴したこのシステムは素晴らしい中域の描写力がありました。音の減衰の描写力はこの日聞いた中ではトップクラスでしょう。最初のミドルクラスケーブルのときは僅かにざわざわした音がしており、やはりここのケーブルによる仕上げの影響力は大きいです。

その他の特徴としては恐らくヘッドフォンアンプの特徴だと思うのですが、とんでもなくハイスピード系なのに低音が一番下の方まで出てないことです。駆動力がこれ程高かったら低音も伸びそうなのですがそうでもないです。そしてその代わりに低域よりちょっと上の中域が普通よりも強いというか、発音した瞬間だけ強い密度感がありました。

高域が刺さるって表現はよくありますけど、ここの音は中域で殴られる感じって言えば良いのでしょうか。超低音に来るはずのエネルギーが中域のエネルギーになっていてそれが瞬間的に来る感じです。高音が刺さるのが針で刺されている感じだとしたら、ここの音は丸太が飛んでくるイメージです。中域でエネルギーが爆発してるので中域の透明度が最も高く感じるのかもしれません。これは他のハイエンド系のシステムでもあまり聞いたことが無い感じです。

低音が伸びなくなるような、アンプ駆動力が足りないときって普通は少し上の帯域に厚みが出て発音と収束がその帯域で遅くなることが多いですが、ここのシステムはそういうスピードの遅さは全くありませんでした。エネルギーバランスは最低音域より大分上に来てるのに瞬間的に音が全部放出されて素早く収束する印象です。これはちょっと不思議な音の出方です。上流で低音が出て無くてアンプの駆動力が絶大だったらこうなるのでしょうか?といってもDSP-Velaがそんなに駆動力がないとは思えないのでたぶん違うと思います。

あとここの音は現代的ハイエンドサウンドが基本ですが意外に高音はわずかな華やかさがありました。ちょうどVivaldiを10、MSBを0としたら1くらいの華やかさです。とても控えめな演出ですがあると無いとではだいぶ印象は変わるかもしれません。たとえば減衰の描写がとても明瞭に聞こえる理由に、ケーブル品位+この華やかさがアナログディザー的に貢献している部分もあるように思いました。

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Focal utopia レビューと比較

結論から言えばUtopiaは現在最高のヘッドフォンのように感じました。といっても現状ですべてのハイエンドヘッドフォンを聞いたわけではありませんので暫定です。しかしLCD4等の既存の有力高額機との比較では圧倒的な差を感じています。あくまで個人的な感想です。(LCD4は以前のイベントでの比較です)

このヘッドフォンからの出音は自然で弱点や欠点が見えないです。全帯域で立ち上がりと収束が早く、とても見通しが良く、バランスも良い音に感じます。これは基本的な性能の高さを感じさせます。

一般的に、より優れた製品との比較でなければその製品の欠点は見えにくいものですが、現時点ではUtopia自体にはそういう大きな欠点は見えないです。ヘッドフォンはスピーカよりも個体の個性や癖を感じやすいと個人的には思っていますが、初めての視聴時でも全く違和感を感じなかったのは凄いです。そして駆動力の要求もそこまで高くありません。駆動力を入れないとダメじゃなく、駆動力を入れなくてもそこそこいい音です。

ですが既に出ているレビューでもある通りUtopiaはその高性能故に容赦なくシステムの欠点をさらけ出します。これはUtopia自体の問題ではなくてシステムの問題です。Utopiaはシステムに問題があればその問題を突きつけるヘッドフォンでもあります。欠点が見えるとそれが気になってしまうような人にとってはその性能の高さゆえに聞きたくない音を聞く結果となる可能性もあります。

Utopiaを使って一番感激したのはマスタリングでEQいじった結果がスピーカで聞いたときの印象と非常に近いことです。従来のヘッドフォンでは緻密な作業をした結果がスピーカと同じ印象にならないことが多かったです。どういうことかというと、ヘッドフォンではいい感じでもスピーカで聞いたら音がキツかったりアンバランスな面が見えたりということです。

ですがUtopiaは使ってさほど時間が経っていない=使い慣れていない状態でもスピーカとヘッドフォンの印象の差がとても少なかったのです。いままでこういうヘッドフォンはなかったので驚きました。ヘッドフォンで緻密な作業をしたあとでスピーカで聞いても印象が変わらないというのはそれだけ自然な音が出ているということだと思います。もちろんSPとヘッドフォンで同じ欠点を共有しているということではなく、見える部分は違います。

同社のElearも基本的な方向性は同じですが、こちらはUtopia比で明らかに中域の広い分布で音が曇って感じました。そのため上記のようなシステムのあら捜しが気になる状況になりにくくElearのほうが大らかで扱いやすいと思います。基本的な音の方向性は同じでバランスが良く速度も揃っているので使いやすいヘッドフォンだと思います。よりシステムの嫌なところを見ないで済むのはElearです。そのかわり絶対的な伸びしろはありません。

ですが真実の音に近いのはUtopiaだと思います。絶対的な頂点を目指すならUtopiaが良いでしょう。ElearとUtopiaの実力は価格に見合うものか、もしかしたら価格以上の格差があるようです。

今回はUtopia単体のレビューだけでは特徴が見えづらいと思いましたので、比較としてLCD-2とHD800を使います。

Audeze LCD-2との比較

LCD-2は低音寄りの周波数バランス、透明感のある中高域、ややゆったりとして伸びやかな低音が特徴です。LCD-2は低域の遅さを除けば繊細な余韻の描写もこなせますし、帯域の塊や癖が非常に少ないので基礎クオリティはそこそこ高いヘッドフォンです。

LCD-2とUtopiaで最も違うのは低音部です。LCD-2は駆動力のあるアンプを持ってこないと低音が出ません。LCD-2の伸びのある低音も駆動力のあるアンプとのセットでしか表現されません。またどんなに駆動力のあるアンプでも基本的な傾向としてスピードが遅く柔らかい低音の雰囲気は残ります。

これがUtopiaになるとハイスピードかつ伸びのある低音になります。LCD-2ではどのようなアンプを持ってきてもここまでの低音の速さは出ません。アンプへの駆動力の要求もLCD-2ほどではなく、Utopiaなら駆動力の低いアンプでも伸びがあります。

また高域ですがLCD-2は綺麗で滑らかではありますが高域の伸びは控えめでおとなしいです。Utopiaは比較すると綺麗なまま伸びもあって滑らかで余韻まで見える高音です。速度も早く繊細な描写もこなせます。低域ほど大差はないですがここもUtopiaのほうが良いですね。LCD-2はちょっと不明瞭で見えにくい帯域が中高域にありますがUtopiaはそれがないです。

LCD-2は細部の描写力がとても高いヘッドフォンだと思ってたのですが総合的にはUtopiaのほうが良かったです。ダイナミクス面も周波数方面の解像度もUtopiaのほうが高いです。

とはいえLCD-2は価格差があるので音質面の格差も当然ではあるのですが、繊細な描写力と低音の伸びは価格帯の中でも優秀だと思っています。

Sennheiser HD800

こちらのヘッドフォンはUtopiaと一緒に借りました。これも悪くないヘッドフォンなのですが、上記2つと比べると個人的な価値観ではやや落ちる印象を受けました。

特徴としては低音がやや軽く中高域のエネルギーが強い、高音はやや色を感じる方向性、というところです。細部の描写力は上記2つと比べても同じくらいの実力があるのですが、上の方の帯域は明らかに異質です。サラッとした音で常に風が吹いているというのか、Utopiaと比較すると本来の音に混じって風の音が聞こえるように感じました。低音もUtopiaほど伸びておらず、本当に低いところまでは伸びないで途中で消えていくような印象です。

この印象はアンプを良くしてもあまり変わらないようです。良く言えば駆動力に左右されにくいのですが、駆動力を上げて大幅に音が向上する伸びしろも上記2つと比べるとあまりないということのようです。

ということで純粋なクオリティ面ではトップは取れずその伸びしろがあまりないのですが、良いところは音質面以外にあります。たとえば装着感はこのなかでは一番快適だと思います。どんな環境でもそれなりの音が出るのは使いやすさなのでHD800は環境を選ばず快適に一定以上のクオリティを出せるところが最大の強みかと思いました。

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ウェルフロートボードのレビューと空気録音

先日逸品館よりWFB1515-4をスピーカ用に購入しました。SP用ボードは色々なものがありますが今回ウェルフロートボードに決定したのは次のような理由からです。

  1. 部屋が木造の2Fで床強度が弱い
  2. ツイータ位置が低すぎるので高くしたい
  3. 振動を活かしたSPではないので共振を殺しても問題ない

特に2番の条件に合うボードは少ないです。分厚にボードが必要ってことですからね。これらの条件を見るとウェルフロートボードはうちのニーズにピッタリ合っていると思います。

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2017インターナショナルオーディオショー

今回は丁度TIASとかぶる予定があって時間が取れず、初日にちょっと聞けただけでした。どうしても聞いておきたいSPが幾つかありましたので、それらを中心にぶらっと寄れる限られたスペースを巡ってきました。カメラの質の悪い音なのですが一応録音もしてきましたのでアップしてあります。

イベントに行って改めて思ったのが、製品の格=価格や絶対性能とかブランドより結局はバランスのほうが重要ってことです。高性能になるほど問題点も顕になるのでバランスを整える難易度がさらに上がります。ひたすら高価なシステムを揃えたらいい音が出そうですが実際にはまとまりに欠ける印象が多いです。これはトータルバランスの難しさだと思っています。むしろちょっと性能が低いくらいのほうが粗が見えなくなって、まとまって説得力があるように聞こえるのはオーディオの難しさを痛感させられるポイントかもしれません。

もちろん高性能なものは使いこなせば本当は素晴らしい音を出せる可能性があるのですが、それを現場で見せられないイベントの価値とは…などと考えてしまいますが、むしろ聞けないよりは良いわけですし、イベントの出音から機材のポテンシャルを探れますから、そのために聞きに行く!って考え方で良いと思っています。このあたりはショーの音が悪いと文句を言うばかりじゃなくて自分自身の趣向と機材の可能性をチェックするための場所だと前向きに考えたいですね。

とはいえ個人的な印象で現場の良いと感じた部分も良くないと感じた部分も書いていきたいと思います。

Magico M6

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Mシリーズは初めての試聴です。Qシリーズより中高域が引き締まった音になりました。ですが低音の収束は相変わらず遅めのままです。これによって帯域バランスは以前のQシリーズのほうが良かったように感じました。

以前のMagicoなのですがQシリーズの時点でも高性能ユニットによって全帯域で音の立ち上がりは非常に良かったですが、そのかわりに収束が早いとは言えない部分があって、出た帯域の音を微細粒子状にしてゆっくり減衰していくイメージがありました。ちょうどこれが全帯域でふわっとした独特の余韻がある暖色系のサウンドでした。

それがM6では中高域の音の収束が大幅に引き締まったことにより粒子感も温度感も減り、ちょうど他の現代的ハイエンドスピーカに近いあっさりとした後味の音になりました。そのため以前のような独特の個性や世界観は減っていると思います。相変わらず低音だけ以前と似たようなふわっとした収束感があるものの中高域は異質でありこれが中途半端な進化に感じる要因だと感じます。

もともとMagicoは個人的にはあまり好みの方向性ではなかったのでやや辛口かもしれませんが、それを含めてもQシリーズのほうが独自の個性が際立っており、他に似たような音のSPもなく好みが合えば積極的に選ばれやすいSPだったように思います。Mシリーズは売れているなら個人的な意見に過ぎないのですがもし売上が落ちているならこれが原因だと思うところです。

結論としては、M6は普通のハイエンド系の方向にぐっと近づいた普通の高性能SPです。同じ路線にあるYGのSonja XVと比較したときに価格帯が近いので色々と物足りないかもしれません。

Estelon YB Loudspeaker

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個人的に輸入開始以前からチェックしていたメーカーです。以前のモデルでは海外のオーディオショーでたくさんのブースで採用されていたので目立っていたのもありますが、デザインや形状が印象的で一度聞いてみたいと思っていました。

以前のモデルはAccutonのセラミックユニットでしたが今回展示されていたのはScanSpeakのユニットになっていました。ユニットが変更になった理由は不明ですがユニットが別物になっていますから音は以前のモデルとは大幅に違うと思います。

今回のイベントの音ですが細身でキレイ系の音でした。ある意味見た目通りスマートで雑味の少ない音です。この音は個人的に結構好きな方向なのですがどうも明確な弱点がありそうな印象も受けまして、多分ですが大音量耐性と低音部が弱そうに感じました。何処までもで音に余裕がある感じじゃなくて、箱がビビりそうとか音量を上げたときに濁りそうとかそういう予感を感じさせる音です。なんとなく大音量を出すと破綻しそうな繊細さを感じます。予想ではありますが広すぎない部屋で中音量までで運用する前提が無難そうです。

丁度以前所持していたMordaunt-Short Performance 6も似たような印象でした。もちろんYBのほうが更に情報量が多く緻密な印象ですが、似ているのは音が小さいときは丹精で緻密な音が出るのですが音が大きくなったときに破綻しやすいのです。

とはいえ今回だけでSPの詳細なところまではわかりません。とりあえず今回は音量も過大ではなくバランス良く鳴っていたように感じています。今回感じた製品の個性としては細身でさっぱりとした上品さを感じさせる方向性のように思いました。

個人的な好みもあって価格がペア200万なら結構良いのでは?という感触ですね。今回のイベントレビューを調査すると他にも低価格帯で魅力的なモデルもあったみたいなのでこれが一番ですとはとても言えませんが、最近は海外のインフレと国内のデフレの影響もあってSP価格が高騰しているように感じられますので、価格の割にハイクオリティなモデルというのは価値があります。

最後縦向きにしようとしたのは気まぐれです。

YG Acoustics Sonja XV

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既にこのSPの話題はたくさん出ていますがこちらでも書きたいと思います。実は今回のTIASの前に都内のSISでも聞いたのですが、部屋の強度か広さの関係か部屋が完全にSPに負けておりきちんと評価できるような設置状況ではなかったのでTIASで改めてチェックしたいと思っていました。

皆さんの意見を見ていると見る日によって印象が違っていたようですが、個人的には初日でも印象は全然悪くありませんでした。新作のXVはYGが以前から目標としていた延長にあるような典型的ハイエンドの王道の高性能路線です。それは低域、高域を限界まで伸ばしつつ全帯域の立ち上がりと立ち下がりを最速化、この達成を目指す方向性です。

XVではそれがかつて無い高い次元で達成されていると感じます。今までの最大の弱点だったツイータの自然な伸びと大きな部屋での低域の余裕、この2つの課題をやや強引な力技ではありますが同時に解消してきました。単純な性能では現在最も究極に近いSPだと思います。Magico M6のような帯域のアンバランスさもなく聞いた限りはとても弱点の少ない音です。

ですがここまで高性能になるとSPの性能に部屋が追いついていないことがとても気になります。TIASの部屋はかなり広く余裕がありますのでSISで聞いたときよりは大分良かったですが、それでももっと良い部屋を!とSPが要求していたように感じます。

おそらくですが専用設計で30畳以上の強固かつ音響特性に最大限配慮された部屋が必要になるかと思います。そうでないならSonja 1.3以下のモデルでツイータアップデートを施したほうが使いこなしやすく、音も十分ではないでしょうか。

このXVを鳴らし切るためには部屋も究極である必要があります。そのためには相当に予算の余裕が無い限り目指すことすら出来ない世界でしょう。

Sonus faber Guarneri Tradition

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自分も例に漏れずフランコセルブリンの旧ソナスのほうが完成度が高いと感じています。ですが最新モデルの音も一度聞いてみたいと思いチェックしました。

結論から言えば近距離で直接音を聞くとハイがきついですが部屋の反対側(SPから一番遠い場所)の方ではいい感じです。もし近くで聞くなら一枚壁を間に隔てて聞くとか、ツイータの正面を外して聞くほうが良い音だと思います。

新しいモデルは上位のAIDA含めてハイが強すぎるバランスに感じるのでこのあたりは旧ソナスと全然違う音です。ホールで言えばS席よりさらに前のめりでオケを聴いているような印象を受けます。新しい音作りをしている方が無遠慮で押しが強い方なのかもしれませんね。

このあたりは旧ソナスが好きな人ほど敬遠される音に仕上がっている気がしてなりません。前のめりのオケが好きなら悪い音だとは思いませんでしたが旧シリーズをイメージしてはいけないと思います。

Kii Audio Kii THREE

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これが目当てではなかったのですがたまたま音を聞いたので書きます。

肝心の音なのですがまとまりがあってバランスは良かったですね。ただしこれといった特徴がなく中庸な音でした。音の立ち上がりも良く収束もそこそこ早い、低域と高域のレンジもほどほど、これといって突出している部分があまり見当たらず悪く言えば全然印象に残らない音です。バランスはとても良かったと思うのですが、魅力的な音とも思いませんでした。

気になったのは高音の質感が結構荒れておりこれで180万円はちょっと厳しいかなと思います。全部一体型ですから気になった部分があっても根本解決が難しく最初の出音で完璧だと思えるくらいの完成度じゃないとあとから不満が出た時に大変です。そしてその可能性は結構高いと思いました。

もしオーディオではなくモニタースピーカ用途としてならこれ一台でパワード+DAC内蔵、ルーム補正もできますのであれこれと悩まされず一台完結でとても良いと思いますが、業務用としても値段が高すぎるかもしれません。

オーディオユーザーはあれこれ試したい人が多いと思うのでこういう一台完結はよほどの完成度じゃないと導入は難しいでしょう。これ一台でアンプもDACも一体ですから、もし音が気に入らなかったときに改善する方法がありません。色々楽しむにはちょっとリスクがありますね。

TAD reference one

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今年のTADはとてもジェントルでした。いつもはもうちょっと高域に大雑把なところがあって、なんとなく精密動作できないパワータイプのイメージが合ったのですが、ことしは大分冷静で落ち着いた音がしていました。元々の強みである低域の安定感は健在だったので普通に良かったです。

SPとは関係ないのですがオーディオショップのサウンドラインモノリスさんがけものフレンズのようこそジャパリパークをリクエストしてくれたみたいで、TIASではとても珍しい曲がかかったようです。残念ながら現場には居合わせてなかったのですが空気録音があるので紹介しておきたいと思います。

https://twitter.com/SoundLineM/status/914174477541486592

Wilson Audio ALEXX

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スピーカですがこれは去年も聞いてますね。Wilson Audioの音はツイータがシルクドームになってからとても好みで毎年聞いてますが今年もなかなか良いと思いました。ですが低域はやっぱり欲張り過ぎなのか締まりが若干弱い印象です。低音が過多で特定の帯域で膨らんで量感がある低域に感じてしまいます(通常よりかなり帯域は低い位置ですが)。これならもう少し控えめな低音のほうがつまらなくはなりますがバランスが良いかもと思います。普段聞き慣れないだけかもしれませんが。

こういう巨大スピーカの若干緩い低音って凄さは感じますが、長く使っていろいろな曲を聞いてると曲によって合う合わないが出てきて個人的には不満になる音です。このあたりはパワーアンプの能力もあるのかもしれませんが、去年より大きなダゴスティーノのパワーで聞いたときも低音は完璧じゃなかったのでなかなか難しいところです。

中高域については緻密で透明感のあるとても良い音に感じます。Wilson Audioは低域さえもっと良くなったら理想のSPに最も近いです。中高音の出し方は最も好みでした。

あとは本当はMSBのリファレンスDACについても書きたいのですがDAC単体での比較が出来ないので出音からでは判断が出来ません。まだまだ凄いDACだと思うので一度音を知っているDACとの直接比較がしてみたいです。価格もSelect DACほど異常じゃないので色々なものを犠牲にして本気で頑張ったら買えないこともないって値段になりましたね。

あとはこちらに素晴らしい空気録音のリンクがあるので是非聞いてください。

https://ameblo.jp/507576/

他のスペース

こちらにイベント開場の空気録音がまとまっています。他にも沢山あるのですが一部を紹介します。どれも素晴らしい録音です!

https://twitter.com/Alex_Audio7/status/914805652404494337

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Schiit Audio Gungnir Multibitレビュー

Schiit AudioとYggdrasilの海外評判

海外では大変有名のようですが、国内だと代理店がないのでSchiit Audioはご存知でない方も多いと思います。自分も最近まであまり詳しくは知りませんでした。調べてみるとここのYggdrasilというDACモデルが海外での評価が大変高く、内部設計もとても特徴的なので色々と確認してみたいことがあって勢いで購入してみました。既にDACマニアになりつつありますね。

Yggdrasilは100万円オーバーのDACを打ち倒すという評判ですが全く根拠がない誇張ではない設計上の裏付けがあります。某中華DACみたいに超ハイエンドと掲示板などで投下されていても中身の写真を見ると明らかに広告のための嘘だとわかるものもありますが、これは違います!

まず内部設計ですが以前書いたハイエンドDACの記事から一部抜粋します。

ハイエンドDACの設計と、大衆オーディオの未来

最大の特徴はオーディオ用DACチップを使わずにAD5791というマルチビットDACチップを使っていることです。チップスペック的には20bitDACですが、この製品ではAD5791を片チャンネル2つ組み合わせて21bitとしているようです。

オーディオ的に優位性があるのはマルチビットという漏洩ノイズの少ないアーキテクチャ、LPF回路が不要であること、電源電圧が高いこと、これらの理由により神経質かつ高度な音質対策設計をしなくてもよいことです。

普通のオーディオ用DACでは24bit以上のスペックはありますが、最近のチップではアナログ電源が5Vか3.3Vと低く電源ノイズに対する要求スペックが厳しい割に768kHz以上のレートを受け入れるため高周波ノイズの影響は更に厳しくなっています。さらに後段にIVやLPFなど複雑で部品点数の多いアナログ回路を要求する等、周辺回路設計への要求事項が厳しくなっています。

その点AD5791を使うとLPFもIVも不要、電源電圧も高い。なので聴感SNの悪化要因が普通のオーディオ用DACよりかなり少ないです。リファレンス回路通りに作ったら自動でオペアンプレギュレータになるのも音にいいですね!これらの要因はすべて実SNだけでなく聴感SN的にも有利な設計になります。特別な対策や配慮をしなくても高額なDACに音質面で勝てた要因は上記の部分の優位性によるものだと思われます。

今回はこの推測が本当かどうか実物で検証してみたいと思います。

しかしYggdrasilは手軽に実験用購入とするにはちょっと高額なので一つ下位のGungnir Multibitにしました。といってもこれは内部設計が限りなくYggdrasilに近い内容です。Gungnirで使われているチップはAD5791ではなくAD5781ですがピン構成が完全同一で20bitと18bitという違い以外は同一設計なので、所謂AD5791の選別落ち品がAD5781だと思われます。

Schiitマルチビットはこれ以下のモデルになるとチップの内部設計自体が別物になりますのでYggdrasilに限りなく近い音が出るのはGungnirだけだと予想しています(海外の評判でも実際にそうなっています)。ビット数が少ない分Yggdrasilに比べて荒さはあると思いますがむしろマルチビットの特徴は強く出て傾向はわかりやすいでしょう。

Gungnir Multibit、その音質的特徴

前置きが長くて音質レビューがいつまでも出てこないBlogがよくありますが、個人的にああいうのは好きじゃないのですが、うちも前置きが長くなってしまいました。反省しなければ、ということで音質です。

Gungnirの音質では静寂感が最も特筆すべき部分で、深い闇の中からズバッと音が立ち上がってくる印象があります。静寂感についてはとてもハイレベルです。実際に測定もしてみましたが、この部分の性能は超ハイエンド級で間違いない結果です。10万円台としては驚異的なノイズ性能で静寂感だけならこれ以上のDACなど価格問わずほとんど存在しないのではないかと思うくらいです。測定値から推測してこれを確実に超えているのはMSBのダイヤモンド以上という異常事態です。

しかし音の余韻は急に消失する感じがあります。このあたりはビット精度が18bitしかないことで下位ビットの情報自体が存在しないことが理由だと思います。デバイスの性能限界なので設計上の宿命でしょう。たとえば普通の質の悪いDACだとモヤの中に余韻が埋もれて消えていくイメージですが、Gungnirは余韻が明瞭のまま突然消えるような感じです。よく出来ている24bit以上のDACはこのあたり綺麗に減衰していきます。余韻の空気感はSchiitはあまり得意ではありません

もうひとつの弱点としては高音の質感に違和感があります。どこまでも滑らかではなく荒削りで毛羽立ちのある高音という印象です。これはSoekrisでもMSBモジュールでも感じたので普通に作られたマルチビットの限界だと思います。ビット精度が高いYggdrasilではこの違和感は軽減されていると思いますが20bitでは24bitのようななめらかな音は出ないと思います。24bit-DACから見たら常にビット欠けしているのと同じ状態ですからね。

良くマルチビットはデルタシグマのような癖が無くストレートな音と言われますが、現実はマルチビットも完璧ではなく静寂感から浮き立つざわざわした質感があります。デルタシグマも帯域外ノイズさえ押さえ込めばよく言われるデルタシグマらしいハイに特徴のある音ではなくなりますから、このへんは正直DACの対策レベル次第で変わると言えるでしょう。どちらも方式上の弱点なので対策が難しいわけですが。

とはいえGungnirの高域は質の悪いデルタシグマみたいなハイがうるさい音でもきつい音でもないので問題ない範囲です。ただし余韻と質感の自然さが重要なオーケストラとかはあまり合わない印象です。これはエージングでも変わりませんでしたので素性による音質です。このあたりは音楽的にどういった部分を重要視するかの問題なので、空気感とか余韻よりも静寂感やそこから立ち上がる歯切れがよくハキハキした音を重視するならこのDACはとても合うと思います。

最後にとても重要な注意点ですが、XLR出力から音声を取らないとまともな音が出ません。RCA出力は測定上も聴感上もかなりノイジーなのでGungnirのRCA出力は絶対に使ってはいけません。暖色系って言ってるレビューはおそらくこのRCA出力を使ったレビューだと思います。RCAから取ると粗悪DACと大して変わらないモコった音になります。これならRCA出力など無い方が良かったのではと思います。

ローレベルのDAC音質差を録音してみました

これは普通はADCのノイズに埋もれて録音できないDACのローレベルの挙動をmp3でも比較できるように録音するための方法です。

  1. デジタルで-30dBほど絞って再生
  2. ローノイズプリアンプで+40dB増幅
  3. 高性能ADC(Lynx Hilo)の24ビットで録音
  4. DAWでリミッターを限界まで掛け16ビットで細部が見えるようにする

このようにすることで普通は録音できない部分を見ることが出来ます。ローノイズなアナログアンプで増幅するのがポイントです。また1のデジタルで絞る具体的な数字はDACの出力レベルによって変わります。DAVEのように最大出力が大きいDACはより多く絞ることになります。これによってローノイズプリアンプに入力される信号とADCに入力されるレベルは同一なので平等な条件での比較になります。

録音データを紹介しますのでみなさんも実際に音を聞いて比較してみてください。いままでDACの音質差はまともに録音できないと思っていましたが、これは大分現実に近い音です。今までの録音は音質差の1%以下しか取れていませんでしたがこれは3割位取れてると思います。ハイエンドスピーカだとこれ以上の違いが現場で良くわかります。

当たり前ですがこのテストではDACの出力駆動力、帯域外ノイズの影響は正しく評価されていないのでこれが音質差の全てではないことは注意が必要です。ですが目安としては今までの録音より違いが大分わかりやすくなっていると思います!

Gungnir XLR direct

ビット落ちを覚悟でデジタルで絞ってローノイズプリアンプに直結したものです。18bitDACなので量子化ノイズが明瞭に聞こえますが静寂感が素晴らしいですね。その部分はこの中で一番優秀だと思います。とはいえこの使い方は良い部分と悪い部分が極端すぎてバランス感覚に欠けています。

Gungnir RCA direct

量子化ノイズより残留ノイズが大きくて論外です。GungnirのRCA出力は駄目です。ちなみにノイズの定位が中央定位なので原因は左右で別となる抵抗や半導体起因じゃなくて、左右のチャンネルで共通の要素たとえば電源起因のノイズかもしれません。

Gungnir FullBit + CS3318PreAmp

デジタルではなくアナログで絞った録音です。量子化ノイズは目立たなくなりますがそれでも質感は弦の艶をまだ表現できていないと思います。直結と比較するとやや静寂感は減退しています。静寂感はもっと良いプリアンプを用意すれば改善できると思いますが、そこまで良いプリは希少です。ここではこちらの記事で書いた自作CS3318プリを使っています。普通に性能は良いプリですがGungnirの性能は100%引き出せてないです。90%くらいです。

Chord DAVE

意外とノイズが多いですね。でもノイズに埋もれながらも音の潜在的な描写力はとても高く細部ディテールは鮮明です。実SNではなく聴感SNが優れている為と思います。ノイズが無くなったらもっと良いと思うのですが、ホワイトノイズって設計上の課題だと思われるので改善は難しいと思います。簡単に対策できるならこの状態で製品はリリースしてないでしょう。DAVEはフルレベルで出して良いプリで絞ったほうが良いと言うことになりそうです。

自作AK4497

自分の作品なのでコメントしません。

Fidelix Caprice RCA + 内蔵Vol

参考比較用です。SNは良いですが立ち上がりが緩く、全体的にソフトタッチです。音量は完璧に合わせてありますが何故かちょっと音が小さく聞こえます。このあたりはDACの個性で実際に生で聞いてもまったく同じ印象です。設計者の中川さんの好みだと思います。ポリシーを明確に感じるのは良い機材です。

録音は以上です。本当はもっとローエンドなDACがないと違いがわからないのですが正直ここでアップした音はRCA以外どれもハイレベルです。普及価格帯の国産大手のDACが一台あると比較用として多分面白いですけど音が悪い機材は全部売ってしまったので手元にありません。

今回比較に使用した音源はこちらです。

Skrowaczewski: Concerto Nicolo

「Skrowaczewski: Concerto Nicolo RR-103」の画像検索結果

この曲は何故かとても落ち着きますね。普通の感性じゃない自覚はありますが、第二の故郷的なものを感じますw

Gungnir Multibitの使いこなし

この製品は1250ドルと10万円前後のDACでありながら上記の通り高いポテンシャルを持つ製品ですが、本当に低コストで良い音が出せるのかというと疑問です。この点ではSonica DACのような手軽さには欠けます。

その理由としてはRCA出力の音が悪いこと、内蔵ボリュームがないため事実上外部プリアンプ必須なこと、これらの理由によって組み合わせや使いこなしにコツが必要でぱっと買ってきてすぐにいい音が出るとは限らないのです。

このDACは残留ノイズが非常に少ないですがビット数が18bitなのでデジタルボリュームを使うことは出来ません。基本フルビットで受け取ってそのまま出力し、あとからアナログで絞るようにしないとデジタル領域のビット欠けによって音のディテールが即削がれてしまいます。このあたりは現代の32bitDACとは全く違う部分です。安易にデジタルボリューム化が出来ないことは低ビット数のチップを使った設計上の欠点ですね。

そしてプリアンプではアナログボリューム=抵抗とアンプを使う性質上ノイズを減らすことがとても難しく、Gungnirの持つ残留ノイズの低さを100%引き出せるプリアンプなど、ほとんど存在しないのではないかと思われます。しかもXLRフルバランスを受けられるローノイズプリアンプとなるとあまり低コストでは済まないと思います。

GungnirのXLR出力ノイズ測定値を見たところ普通のよくあるオーディオ用FETオペアンプが持つ残留ノイズと同じくらいです。オペアンプ一個通過しただけで性能がでなくなるって考えてもらえればプリアンプ設計の難易度が分かると思います!

90dbsine1k_100k_20klpf

-90dB 1kHz sine XLRout

この-160dBVという値は10nV/rtHzに近いレベル(誤差があるので目安)ですから、抵抗アッテネータでも安易に挟めません。1kΩの抵抗が4nV/rtHzなので数kΩの抵抗でもGungnirの実力は抑えられてしまうということです。Schiitがオペアンプを使わずJFETのディスクリートを使った理由もこの部分にあるかもしれません。市販FETオペアンプをこの部分に挟むとローノイズな出力はなかなか得られません。当方のCS3318プリも-150dB位の実力でCS3318のチップスペック限界ですが、それでもやや性能が足りません。

一応Schiit本家にもプリアンプの取扱はありますが、残留ノイズの情報や詳しい設計上の工夫について記載がありませんので、そこまで高性能なプリアンプを作っているのかは大変疑問です。もし本当に性能上で優位性があるならノイズのスペックも出ていると思います。そもそもGungnirはRCAの出力ノイズがあまりにも酷いので、同社プリアンプも設計に問題がある可能性を考えておいたほうが良いです。同じメーカーだからといって一か八かで購入してハズレを引く可能性を考えるとあまり冒険はオススメできないです。

もし選ぶならローノイズに注力したきちんと設計上の工夫や強みを紹介している製品を購入するのが良いと思います。少ないですが測定値などを公開しているメーカーのものが望ましいです。

正直そこまでやっているメーカーはあまり思い当たりませんが、設計で万全そうなのはSAYA辺りでしょうか…。価格が100万円近いのが難点ですが。AITプリも発想は良いですがDACの残留ノイズを測定した限りは-145dB付近(普通は十分ハイレベルですが)ので設計レベルが怪しいです。

ということで現時点でYggdrasilやGungnirの真の実力を発揮できているユーザーはDACの価格帯を考えると殆どいないのかもしれません。もちろんプリが万全じゃなくてもDACの良さはわかりますが真の実力、潜在力は発揮できてないということです。

まとめますとGungnirの海外での圧倒的な評価の高さはきちんとデータで裏付けが出来る結果のように見えるということです。特にデータ上でDAVEより直結Gungnirのほうがノイズ性能が良いという結果はとても重要な部分です。実際に背景の静寂感はDAVEよりGungnirのほうが良いです。

Gungnirはビット解像度不足による音の粗さという設計上最大の弱点がありますが、万が一ADから24bitのチップが出てきたら総合力でもSchiitのマルチビットはDAVE以上の音質になってしまうと思います。しかしそのようなチップは存在しませんし、出来たとしてもとんでもない価格のICになる筈なので現実的には難しいと思いますが。

最後にGungnirのRCA出力の酷い測定値も置いておきます。上の画像と同じスケールですが別物のDACのようにノイズが多いです。RCA出力は音が出るだけで音質的には使いものにならないと思ったほうがいいです。

90dbsine1k_rcaout_100k_20klpf

USB gen 5について

あまりDDCには興味が無いのでテストしない予定だったのですが、このモデルについているDDCは最新世代で良いものみたいですね。興味がある方もいると思いますので今回はこれもテストしてみます。

実際にSchiitのUSB gen 5をWin10で試してみましたが、うちの光ブースターのほうが音が自然でした。この時に使ったDDCはSMSLの6000円くらいのXMOS-DDCですが、これの光出力に光ブースターを入れた場合のほうが高域のザラザラしたデジタルぽい感じがなくなって低音のパワーと中域の透明感が増します。Gen 5 DDC直結ではこのあたりがもうひとつ弱いです。

実はうちはDDCを使わず自作の光ブースターを使っているので上流の音質差が殆どありません。今まで試した結果ですが上流の音質差を9割位圧縮する効果があるみたいです。Schiitの最新世代DDCでも例外ではありませんでした。

いままで試したのは安いCDP、高級トランスポート、無対策PC、高額オーディオIF、高級DDC、低価格DDC、これらさまざまな上流を使って比較してきましたがどの出力も光ブースター単体を超えるものはなく更に光ブースターを挟むとどれも音質が同じように底上げされるので、どれを使っても大した違いが無くなります。もちろん違いが完全に無くなるわけじゃないのですが差が底上げされて圧縮されます。

ということで結局Schiitの最新世代DDCよりこちらの光ブースターのほうが良いみたいです。ですがDDC直結で光ブースターにそこそこ肉薄するクオリティではあったので単体DDCとしてはかなり優秀かもしれません。

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その他の基板写真

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オルフィさんと相互オーディオオフ~自宅編

前回の続きです。今回はこちらの自宅での試聴になります。なんとこの日はオルフィさんだけじゃなくてKTERさんもおいでになりました。お二人ともかなりハイレベルなシステムを構築されておりますので、うちみたいな見た感じ全くハイエンド臭のないオーディオを聞いてもらうのは結構恐縮するところでした。

なお当方のシステムの音質については自分で書いても全く客観性がないのでここでは書きません。こちらのシステムについての印象はオルフィさんのインプレにおまかせする形としたいと思います。記事が上がったらこちらのページで相互リンクにします。

ということでここでは当日に行ったちょっと変わった音質的実験についてまとめます。

キーエンス製除電器とORB除電器SN-03の比較

実はこの日の朝の音質はあまり良くありませんでした。日によって音が変わることはよくあるのですがこの日は特に良くありませんでした。なんというかちょっと篭ったような音だったのです。そこで除電器の登場です。帯電して音が悪くなっている状態を除電して本来の音質に戻すというものですね。しかしオルフィさんによればこの除電器は物によってかなり性能に差があるそうです。

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事前の情報ではこのSN-03には”ORBの呪い”という状態があって、システムのレベルや相性によって呪われてしまう可能性があるというお話でした。しかもこの呪いは一度罹ってしまうと二度ともとに戻らないという恐ろしいもののようです。

そしてその呪いを解除するためには除電グッズのような簡単なものでは駄目で、キーエンス製など産業で実績のある良い除電器が必要ということです。なのでこの日に登場しているキーエンスの除電器SJ-F030は呪いを解呪するためのアクセサリーなのだそうです。

ということで実際に試してみました。まずはORBのSN-03からです。念入りにCDPやDACだけでなくパワーアンプとケーブル周りも除電します。SN-03による除電後の音を聞いた印象としては分離自体は最初の何もしない状態より若干良くなった印象だったのですが、それとともに色彩が暗く重心が下がって低音寄りのバランスになったと思いました。また高域はややモヤがかかったような音になりました。高音が伸びなくなって重心が下がるので、印象としては重苦しく悩ましい音です。これはむしろマーラーなんかには合いそうな音です。

オルフィさんに音を聞いた印象をほぼ上記のまま伝えると、これがまさに呪い状態だそうです。このときはCDPもDACも蓋が開いていたので除電効果が基板に直接かかりましたから相当強くかかった可能性が高いです。良いか悪いかで言えば悪くは無くはないけれども、意図せず音楽性が強く変わってしまう感じがしますね。

では次にキーエンスの除電器で「解呪」してみます。

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こちらはORBとは全然音が違っていて色彩も一気に明るくなりました!重たい雲が晴れて光が差し込んだかのようです。高音が伸び切り低音も重さが無くなり歯切れがよくなっています。もちろん色彩が明るいと言ってもノイズで付帯音が付いた高音とは違います。逆に高音の付帯成分のようなものがなくなって伸び切った結果、明るく澄み切った感じがしました。この音を聞いてしまうと呪い状態のときは明らかに高音に変な付帯音がしていたと思います。たとえば先程は金属楽器の音に不自然な響きが乗っていましたがきれいに無くなりました。

面白いのはキーエンスの除電器を通した音はオルフィさんの自宅の音に似ていることです。こういう選定ひとつとってもその人の音の方向性は出て来るものだと思いました。キーエンスの除電器によって、うちの音が普段の音より明るく、力強く、強い光が差し込んで爽やかなサウンドに変化しました。音質的なクオリティはこちらのほうがずっと優れていると思います。

まぁこれは当然の話しでして、キーエンスの製品は産業用の組み込み用途での信頼性と性能を両立しているメーカーです。なので実性能で駄目ということはまずありえません。なにしろキーエンスは短納期で不具合が少ない産業機械を開発する際に便利な付加価値付きの組み込み用機器をつくっている会社です。キーエンスの性能と信頼性は普段行っている会社でも組み込み用のバーコードリーダーなどで良くお世話になっているので知っています。

ということで除電器の性能としてはキーエンス製のものが圧倒的に優れているということになりそうです。ORBのものは除電自体は出来ているのでしょうが完全に取り切れず変な成分か偏りが残ってしまっているように思います。

ORBとキーエンスの除電器の違いを画像で例えるならこんな感じです。

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ORBの除電器の音↑

20131011112403キーエンスの除電器の音↑

空気清浄機による音質への影響

次に空気清浄機で音質がどう変わるかの実験です。空気清浄機で音が変わるという事自体がどうなのかって話はあると思いますが、気体の成分や温度、湿度で音速が変わりますので、そういう影響で音が変わってもおかしくはないです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%B3%E9%80%9F

たとえば窒素100%、酸素100%、水素100%の部屋を用意して音を聴き比べたらかなり音質差はあると思います。相当命がけになると思いますが…。

CADO AIR PURIFIER MP-C20U

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音がスッキリします。ちょうど女性ボーカルの低音を支えている帯域が軽くなる印象があります。まるでEQでそのあたりの帯域を0.5dBくらい狭くカットした印象と近いです。不思議ですね。

そして更に不思議なことは電源を入れると即効果があることです。つけた瞬間に音が変わっています。この結果から想像すると空気が変わっているのではなく空気清浄機が動作することによって空中に電気的な何かが放出されているのだと思います。この時の空気清浄機はAC動作ではなくバッテリー駆動でのテストなのでAC電源にノイズが回り込んだ等ではありません。

実際に試してみましたが、空気清浄機を離して設置すると音の変化が小さくなるので距離による影響はあります。やはり電気的な要因でしょう。空気清浄機の電源の種類や基板に手を入れて音が変わるのもそれで説明がつきそうです。なのでおそらくEMCテスト的なアプローチで空気清浄機から発生するノイズ成分はある程度観測できるのではないかと思いました。

このとき離した空気清浄機の設置位置は8mくらいだったと思います。このくらいの距離でも音は十分変わりましたが実際にEMCの測定テストでも10mの距離で行うものがあります。周波数によっては10m位離してもハッキリとノイズが測定できるので10mなら電気機器からノイズが飛んできてもおかしくありません。10mで測定器でノイズの観測ができるということはオーディオでも違いがでてもおかしくはない距離です。

ただ空気清浄機を入れたときのほうが音がスッキリした印象があるので一概にノイズの影響であるとは断言できないところがあります。まさかノイズのように作用している成分をちょうど打ち消すような成分を放出しているのでしょうか?(プラスイオンとマイナスイオン的な?これは除電器で除去済みですが)

このあたりは一度測定でチェックしてみたいところです。

もう一つのもの(型番不明)

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写真を撮り忘れたので小さいです。こちらはCADOのものとは違った帯域に効果があると思いました。メモをして無くて細かい違いはちょっと忘れてしまったのですが、やはりスッキリするような印象です。基本的な傾向はCADOと似ています。違いは若干ありますが方向性は同じ印象でした。こちらもつけた瞬間に効果が出るのは共通しています。

今のところ空気清浄機による音の差は電気的な漏洩ノイズによる影響ではないかと仮設を立てているところです。今度機会があればGHzまで観測できる測定器で測定をしてみたいと思っています。

 リモコンによる音の差

設置場所を変えてリモコンを動作させるとオーディオ機器からでる音が変わるというとんでもない話です。例えばしっかりした台の上からリモコンを操作してCDPを再生させると音がしっかりして、柔らかい台の上から操作すると音も柔らかくなるという、思い込みとしか思えないような影響です。

これが何度試しても違うような気がします。とはいえ思い込みを排除できるような大げさな違いだとは思わなかったので、この領域に踏み込むのは危険だと判断しました。信じるか信じないかは読んでいる方におまかせします。相当ハイレベルな環境じゃないと全く違いがわからないと思います。オルフィさんのところでは違いは結構分かる感じでした。うちでも多少はわかりました。

ただ一点これを裏付ける話がありまして、自作機材を貸したときにリモコンから操作したときと本体を操作したときに音が違うと言われたことがあります。理論的にはほぼありえないのですが、その方は音楽のレコーディングにも携わっていてかなり耳が良い方だったので、簡単に思い込みであるとは断言できないところがあります。当時はリモコンの違いなんてあるはずがないと思っていたので「違いが出るような設計にはなっていないです」ととりあえずは伝えたのですが、それを伝えてもその方は違いがあると感じていたそうです。

デジタルケーブルと電源ケーブル

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オルフィさんの自作ケーブルです。これはかなり音が良かったですね。自宅環境は偽Valhallaで統一していますが、さすがに偽物よりはこちらのケーブルが良かったです。具体的に言うとややノイズっぽい成分がクリアになる印象です。

偽Valhallaは非常にパワフルで透明感も高いのですが、その透明感の中に若干像が揺らぐような部分がわずかにあります。透明度は高いものの場所によって若干歪なところがあるレンズを覗いているようなイメージです。そういう問題点もこのケーブルと比較するまでは全く気づいていませんでした。

十分にレンジも広く癖がなくノイズ成分も少ないという、かなり完成度の高いケーブルだと思います。力強さだけなら偽Valhallaのほうが良かったかもしれませんが、それ以外の部分はこの電源ケーブルのほうが良いですね。

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こちらのケーブルは露骨に美音系でした。描写力などの基礎クオリティは十分に高いと思いますがそれ以上に個性が目立つケーブルです。レンジが広いというより広いレンジ感があると言ったほうが正しそうです。上記の白いケーブルからこれに交換すると低音もより目立つようになりますし、高音も輝くような美音系の質感がありますので国内では結構好きな人は多い感じかもしれません。

個人的にはこの2本の比較ならば白いケーブルのほうが良いなと思いましたが、偽Valhallaと比較するなら高音の癖の出方がより派手な質感に変わり低音が豊かになる印象で、篭ったりエネルギーが損なわれる印象は全然ありません。なので性能自体は高く基本はストレートで高性能な音だと思いますね。

どちらのレビューも使用条件としてDACへの給電ケーブルのみ交換しています。ただしその手前にASUKAのFIL-MASTERを経由した後段に使った場合のレビューになります。別条件の比較としてFIL-MASTERの前段側のケーブルを交換したときには上記ほどの大差は感じなかったので、ノイズフィルターを通過した後の外来ノイズ耐性の違いが大きな音質上の違いを生み出していた可能性も考えられます。この点のみ補足事項として考慮に入れて判断してください。

次に、デジタルケーブルですが、こちらはちょっと写真がないのですが外観はこれに近いものです。

gore

http://www.mouser.com/ds/2/431/GORE_Phaseflex_10_18_13_app-461044.pdf

両端SMAで超高速タイプ(数十GHz帯域とのこと)なのでスペックもこれに近い印象でした。それまでこちらで使用していたデジタルケーブルがApogeeのWideEyeっていう大分古いタイプなのでこれを変更したところ凄まじい変化でした!もう別物のようにすべてが良くなったので今までが相当よろしくない状態だったということだと思います。デジタルケーブルでここまで激変するのは驚きです。

この日のテストでは除電器の違いも凄まじい変化でしたが、デジタルケーブルも同じくらいのインパクトが有りました。たった50cmくらいの線なんですけど、その程度の距離であっても線材の伝送特性がそれだけ重要という話なのだと思います。ということでこの日の後、すぐに似たようなスペックである40GHz級のSMAケーブルを発注しました。

他のオーディオ用デジタルケーブルと比較すると中低音は細身で弱い感じなのですが、高域のピントはこれが一番良いです。オーディオ用のものは大抵高域が滲むが濁って聞こえます。中低音の力強さと高域の正確さを両立するケーブルがあれば良いのですが…。

キーエンスの除電器も中古の出物があったのですぐに発注しました。これでワンランク上のオーディオライフを満喫できそうです。