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マラソン試聴会とヘッドフォン祭2016

ちょっと前の話題ですが、まとめておきたいと思います。今年のマラソン試聴会の目当てはこれです。

「ネットワーク/USB DAC 6選 注目のDAC6種を比較!」

  • Chord DAVE
  • MSB Analog DAC
  • MERIDIAN 818
  • ESOTERIC D-02X
  • LINN KLIMAX DS
  • Sforzato DSP-02+PMC03

やっぱりDACの開発をやっているのでハイエンドDACに興味がある今日このごろです。ということでほとんどこの聴き比べを目当てに会場に行きました。

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2016インターナショナルオーディオショー感想+おまけ

1日しか時間が取れなかったのですが、9/30の金曜日だけ行ってきました。個人的には一昨年までほとんど毎年行っていましたので、完全に新しい内容は少なかったのですが、それでもいくつか印象的なこともあったのでまとめておきたいと思います。

それとあわせて、今までこちらのBlogではまとめていなかった、各社のスピーカ(SP)に対する印象も書けることは記載しておきたいと思います。SPは外で見かける意見と結構違う部分もあります。人によって感じ方はそれぞれという部分です。

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Linnのスペースです。AK4497を搭載した新しいKLIMAXが出るということで見に行きました。たまたま運がよいことにちょうどWM8741を使った旧型のKLIMAXとAK4497の新型を差し替えて同じ曲を聴き比べさせてくれました。印象としては次のとおりです。

  • 旧型:音が柔らかく、ベールに包まれたような優しさと、ハイに若干響きが乗った音
  • 新型:全帯域で音が引き締まって現代的な描写に。空間の靄が晴れ基本性能は明らかに向上しているが、個性はかなり薄まった

他の機種との比較ではないのでLinnの個性が健在なのかどうかはこれだけではわかりませんでしたが、単純比較ではこのように感じました。クオリティは確実に上がっているように思います。

次にLinnのSPについてですが、今まで何度も聞いていてEXAKTもそうでないものも聞いたことがあるのですが、共通しているのは基本ゆるめで箱鳴りもはっきりしていて、ゆったりと落ち着いてリラックスして聞く音というイメージがあります。スピードの早い音は苦手そうだしそういう音を聞くスピーカとも思いません。中高音の描写も透明系ではなくて若干不透明系の方向性だと感じています。(音が悪いという意味ではありません)

ただ、あたらしいKLIMAXもEXAKTも方向性はより現代的な方向(引き締まってピントが合う)に感じたので、もともとのLinnの個性だった方向性とは単純に相性が良いとは思えないところがあります。これらのLinnの新世代サウンドに合わせるならSP自体の基本設計も、現代的な方向性を取り入れながら独自の魅力も維持できるような調整はしたほうが良さそうに感じています。目がさめるような音と、リラックスして眠くなる音が、若干ですがぶつかり始めているような印象です。

多分ですが此処から先、これ以上機器側が高性能化すると高音がキツく感じるようになってしまい、ゆとりもなくなってLinnの良さはなくなってしまうのではないかと思います。まさかLinnがこのことに気づいていないとも思えないので、これから新世代のSPが出てくるのでしょうかね?期待です。

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こちらの画像はAK4497を使ったKLIMAXの周辺回路です。今回は技術的な内容は少なめにしたいので、とりあえず画像のみ置いておきます。設計自体はトランスを使っている以外は見た感じ特別なことはそれほどやっていないと思います。

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次はMYTEKです。ManhattanとBrooklynの評価が高かったので実力をチェックしてみたかったのですが、これがSPとの組み合わせの試聴だとDACの実力はなかなかわからないのですが、今回はたまたまヘッドフォンの試聴もあったので良かったです。ヘッドフォン自体も何度も聞いたこと有るHD800なので実力のチェックには最適な環境でした。

音は非常に良かったです。

これなら評判が良いのもわかります。以前DSDとあわせて流行した192-DACは全く良いと思わなかったのですが、このManhattan以降はなにか技術革新があったのでしょう。完全に別物と言っても良いほどクオリティが向上しています。

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隣においてあったBrooklynも良かったです。むしろ驚いたのはBrooklynの方かもしれません。サイズも価格も半分くらいですが音の実力は半分以上どころかManhattanと比べても残念感はありません。基本的な音の方向性はほとんど同じだしクオリティの違いも価格差程もないと思いました。内部写真を見るとBrooklynはスイッチング電源でManhattanがトランス電源でDAC素子も違うのですが、仕上がりはそのあたりの格差を全く感じさせないので、非常に良く出来ていますね。コストパフォーマンスは圧倒的にBrooklynでしょう。

Mytekの音の個性を文章で説明するのは非常に難しいのですが、まず音には明確な粒子感があります。わずかにベールがかかっているような感じもあるのですが、それでも各音が非常に明快でしっかりと前後感もあります。雑味は有るのですが情報量は多いです。なのでトータルでの説得力もクオリティも高く感じます。どの帯域も破綻しているところがないしバランス良く聞こえました。これだけ聞いていたらもうこれで十分という音質かもしれません。なのでこのシリーズは非常に良いDACと思います。

多分絶対的な透明感とか解像度、雑味のなさ等、音質的な絶対位置の高さはDAVEのほうがはるかに良いと思いますが、それよりも重要なのは基本的な音の描写自体がぜんぜん違う印象であることです。DAVEは全く粒子感がないので濃淡のレンジが非常に広い水墨画のようなイメージですが、Manhattan+Brooklynは精密な点描のようでした。人工的かつ有機的なManhattanと自然かつ無機的なDAVEという感じです。好みに合えばあえてMytekでも良いと思います。個人的にはDAVEの音のほうが圧倒的に惹かれます。

あとどうでもいいところですが、フロントパネルのスイッチにもヘビ柄?の彫刻が入っていて、ケース側とちゃんと位置が合うようになっているのは加工頑張っているなと思いました。

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次はNAGRAのフルセット+Avalon Acousticsです。

一聴して思ったのはボーカルが近い!前後感じゃあなくてとにかく音が前に前に前に前に出て来る印象です。これは解像度よりも音の近さを最大限に重視したのではないかと思ったほどです。ボーカルや演奏者に近づきたいならNAGRAなのでしょうか?以前Avalon+dCS+Jeffで聞いたときは全然このような押し付けがまし音じゃなかったので多分これがNAGRAの音なのでしょうか。温度感も高いです。

この辺は好みの世界だと思うのですが、演奏者に一番近づくことが出来るのはNAGRAだ!っていう独自の強みについては面白いと思いました。ただ個人的にはもうちょっと遠くから眺めたい派かもしれず、ちょっと押しが強すぎるような印象を持ちました。オーケストラでも一番前かぶりつきよりはちょっと冷静に全体を見たい派ですね。

Avalonは過去何年も聞いてきていますが、共通している印象は大音量時の箱鳴りを活かした元気さと平常時の基礎クオリティの両面の顔をもつところです。音が小さいときはかなり緻密な音ですが、箱鳴りを消し切る方向性ではありません。とくにある一定音量以上を入れると急に大雑把な描写になって破綻しそうになる印象がありますが、実はAvalonの実力が最高に出るのはこの、音が破綻しそうな瞬間をいかに魅力的に見せるかではないかと思ったことがあります。常に忠実で冷静なSPは他にも沢山ありますからね。

それは無意味に破綻させるのではなくSPがいっぱいいっぱいの状態と音楽の展開とをリンクさせることです。音楽自体がそういう流れのときSP側もいっぱいいっぱいになると、その瞬間に音楽の表現力も最大になると思うからです。

なのでAvalonは決して忠実でおとなしい現代的SPではなく、普段澄ましてきれいに取り繕っていながら、一旦限界を超えると急に暴れだしてしまう、そういう直情的なところがむしろ魅力なのではないかと思っています。普段おとなしいけど感情的になりやすいお嬢様な感じでしょうか。

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KRELL+YG Acousticです。KRELLのコンポーネントについてはオリジナルの開発者も不在ですし今向かっている方向性がちょっとみえてこないので、ここではSPのみについてかきます。

Sonja以降のYGは箱の響きがほぼ完全に消えた印象があります。インターナショナルオーディオショウでは大抵のハイエンドSPでも低音がビビっていることがおおいのですが、YGはそのような欠点を見せてしまうということが過去数年のうち最も少ないSPのように感じています。破綻どころか、ちょっとビビる程度の側面もめったに見せません。

現在のYGの印象はある意味完璧にもっとも近いSPです。独自の個性は安定感とトータルバランスとしか言えないです。音に宿る余裕度と安定感が非常に優れています。普通のSPでは押したら若干揺らぐ印象があるのですが(WilsonのAlexandriaでも)、YGにはそういう感じがまったくなくどこまでも揺らがない印象です。均整の取れた万能スポーツマンかつ男性的、YGは多分なんでも頼れるとっても強い兄貴的なSPですね。

とにかく全帯域でバランスがとれていて、何かが突出しているところもなく、特筆するべきところもなく、バランスが良くハイクオリティです。聞く音楽が雑食系で色々な曲を聞くならこれが一番良いでしょうね。でも何か凄い魅力的っていう部分は弱いので、特定のジャンルや音色を追求するような人からみたらYGって何が良いのかわからないSPとなりそうです。

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写真がボケててすみませんがMagicoです。この時はS1でしょうか。正直この瞬間は音量が大きすぎて常に破綻状態で、かなり良くない感じだったのでMagicoの良い時の音の印象としてレビューを書きたいと思います。今までまともな状態で聞いたのはQ3、S5、S1です。Q7は音自体は聞いたのですが残念ながら良い状態のものを聞いたことがありません。

個人的にはMagicoは決して無色透明なSPではないと思っています。世間では響きの無い高性能SPというイメージが有るように見えるのですが、一般的なSPと比べたらそうかもしれませんが、現代的なハイエンドSPのグループでみるとMagicoはやはり独自の個性を持つSPだと位置づけています。同じ方向性ならYGのほうがより響きを感じないSPのように思います。

Magicoの音の最大の特徴は、非常に応答性が良く描写力が高い高性能SPでありながらも温度感が高いことです。全帯域に常にまとわりつくような響きが残っており、それがほんのりと暖色系に感じさせる要因となっています。この温度感はSシリーズがQシリーズより高く感じますが、Qシリーズでも3までのモデルには十分温かみのある音がします。

非常に感覚的な書き方をすると、箱鳴りの音が細かく粉砕してゆっくり消えていくイメージです。木製の平行面箱型SPでよくある大きな反響音そのままブルブル共振する感じではなく、反響音自体を原型を留めないような細かい粒子へ分解して、ゆっくりと減衰しているように聞こえます。この独特の反響音が透明かつ暖色系の独自の音色を作り出しているように思います。

まるでやわらかい素材で包み込まれるようなふわっとした感触があります。全体的な音はハイスピード系ですが音にキツさがないのでどことなく優しさも感じます。他に似たような音がするSPはしらないので独自の個性は際立っているように感じられます。

Magicoと似ていて全く違う音のSPはKrellのLAT1です。かなり前に聞いたことが有るのですがこちらは反響音の消え方がちょっと違います。どちらも響きを細かい粒子に変換して減衰していく事自体は似ているのですが、Krellはもっと硬めの粒子感があり、なおかつシャープな減衰で、まるで僅かにデジタルリバーブをかけたかのような減衰音で、これにより透明感も強調され若干キラキラするような美音系にも感じられます。Magicoとはぜんぜん違う感触です。

ですがどちらも完全に金属のエンクロージャで響きを細かく砕きながらゆっくり減衰させていくという印象は共通しています。個人的にはこの2つを比べるならKrellの方向性のほうが好みです。

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マランツ+B&Wです。新型の800の発表だったのか金曜日なのに人がたくさんいました。ここで出ていた音は繋いでいる機材の性能のせいかガサガサした音であまり良いと思えなかったのですが、良い状態の800シリーズの音の印象と、D3シリーズについて思っていることをかきます。

いままでで一番良い音を聞いたのはとある個人宅で、機種は800Diamondだったと思いますが非常に定位が明確で音の配置とサイズまでがはっきりと見えるような描写力でした。さらに全帯域の速度に全くムラがなく最低音域まで完全にハイスピードな音でした。あのような音は他では聞いたことがありません。このような最高峰の音質がどこでも出ているなら、おそらくいまでもこれは最高のSPなのでしょうが、普通はそこまで鳴らすのはまず無理です。

普通にみかけるB&W800シリーズではあのような超高速の低音は出ておらず、よく見かけるのは遅い低音と早い高音、各ユニットの音質にまとまりがない、帯域ごとに完全にバラバラの音です。このような音が本来の800シリーズの音質でしょう。帯域ごとにユニットの素材も違うしエンクロージャの設計も異なっているのでどうしてもユニット帯域ごとのキャラクターに統一感がなくなります。

このバラバラさがむしろ初心者には異様に分離がよく感じられる要因なのですが、いざ所持して長いこと聞いているとこの帯域のばらつきが気になってきます(以前Nautilus 803を持っていました)。

D3は当然ながら以前のモデルと比較するとこれらの部分は良くなっています。最新のD3だともう低音の重さはほとんど感じなくなっていますし、従来よりもユニットごとのつながりも改善しており、一つ前のモデルより材質の違いによる質感のばらつきもあからさまではなくなったように思います。しかしD3になってから、クオリティと引き換えにいままでの独自の個性も同様になくなったように思います。

いままでの音は上記のようなバラバラでまとまりに欠ける部分はあったのですが、そのかわり他社にはない個性を持っていたとも言えます。特に初代のNautilus 800シリーズが登場したときは価格も現実的で音質も当時の平均的なSPと比べて先進的なSPでした。ですがシリーズがD3へ進化する間に販売価格はどんどん上昇し、先進的な設計という面でも他社のSPに遅れを取るようになってきていると思います。

今ではより価格の安いSPでも箱鳴りを抑えてユニットごとの質感も統一されているようなSPも出てくるようになりましたし、シリーズの価格も上がっているので他の選択肢もたくさん出てきています。そのような中でいまさら現代的な設計により近づけてきたD3シリーズをだしても、過去から連なる800シリーズの中で比較したら最高の仕上がりかもしれませんが、独自の個性を失っただけでそこまで突き抜けていない印象も正直あります。

もし800シリーズを名乗ることが制約になって基本設計を変えることが許されないならば、B&WはD3などではなく全く別に900シリーズなどを新設して、比較的抑えめの価格帯でありながら現代ハイエンドSPの最新設計を実現した全く新しいシリーズと設計のものを発表したほうが良かったのではないかと思います。

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Chordです。DAVE買ったばかりですが一応見に行きました。ここにもB&W D3シリーズがありましたがマランツで聞くよりずっと良い音でしたね。パワーアンプは以前からあるChord社のアナログアンプだと思います。なっていた音は透明感が高く染み渡るような音でした。やはりSPだけではなく上流の音質は重要です。ですがここに置いてあったSPシステムでも高音の綺麗さについてはDAVEの真の実力がでるところまではいっていないように思いました。

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部屋の入口の方にHugoTTが置いてありました。思っていたよりもはるかにでかいです。実はTTはここで初めて聞きました。ヘッドフォンなのでじっくり聞けるのは良いのですが音源が変更できず一曲しか聞けなかったので正確ではないかもしれませんが、隣においてあるDAVEと比べると高音に癖があって描写も荒いように感じられてしまいました。HugoTTも決して安くはないので、ここまで性能差があると頑張ってDAVEまで行ったほうが幸せではないかと思います。

一つ特徴的だったのは低音です。Hugoは薄口で物足りない低音だったのですがTTでは量感があってゆったりとして弾力のある低音でした。しかしそこはHugoなので濁った音ではなく分離はよく見通しの良い低域のままスピードだけ落とした印象です。DAVEは早くスマートな低音なので、それと比較するとTTは低音に独自の世界観があります。これはこれで好きな人がいそうな質感なのでクオリティ重視じゃなくて質感重視であえてこれを選ぶのもありかもしれません。

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この日最後はWilson+MSB+ダゴスティーノという組み合わせです。良い音が出ていたと思います。

Wilson Audio自体が中高音の描写に関して個人的にかなり理想のSPメーカーだったりします。見た目は嫌いなのですが音は好みです。まるでとろけるような粒子感のない透明な高音が非常に良いです。このあたりはDAVEと組み合わせても高音の質感に矛盾がなく相性は良いと思っています。

ただ最大の欠点はほとんどのモデルで低音がビビってしまうことです。いままでずっと聞いてきた中ではAlexiaが唯一低音がビビっていないSPで、それ以外のモデルはAlexandriaですら低音がビビっているように感じられました。Wilson Audioはもともと箱の響きを音に載せないことが強みだと思うので、低音で箱が振動したときにはその均整が完全に崩れてしまいます。なのでAvalonとは違い絶対に箱が鳴らない音量の範囲でしか鳴らせないSPである、ということになりそうです。

この日のAlexxもなかなか良かったですが、価格もサイズも現実的ではないのでこれを導入する日は永遠に来ないと思います。Alexxは多分ですけどAlexiaの次に低音が安定していた印象です。一般家屋だとSashaサイズでもっと低音に余裕があれば良いのですが、残念ながらそういうモデルは無いので買うならやはりAlexiaです。Alexiaはサイズも現実的で低音も高音も欠点を全く感じなかったので本当に欲しいSPではありますが、予算的にも出回っている数量的にもまず不可能でしょうね。

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Select DACです。思っていたよりかなり大きいです。サイズ感がわかるように手前にA4のカタログをおいてあります。普通のフルサイズよりちょっと幅も大きそうです。エイリアンの構造物とか古代生物みたいなデザインと合わさって実物は異様な迫力がありました。

肝心のSelect DACの音質はどうだったのかというと、システムの一部でしかありませんので単体の音質は正直よくわかりませんでした。ただ最後にDACからアナログへ差し替えて曲を掛けてくれたので、実力のほんの一部は見ることが出来ました。このDACの出音はなんとアナログとくらべて全く失うものがない印象でした。直前にDACで出力されていたのは古いデジタル録音のはずなのですが、ある意味アナログよりアナログらしい音がSelect DACからは出ていたように思います。普通ならデジタルっぽさが見えやすい音源だったと思うのですが、アナログへ差し替えても質感の違和感がなさすぎて怖いです。

ということでSelect DACはアナログと比較しても全く違和感がなく、むしろアナログより高品質なアナログ?のような音がしていたので、全く真の実力が見えない底知れないDACだということだけはわかりました。ブラックホールみたいな未知への畏怖を感じるDACです。宇宙人が作ったDACって言われても見た目とか音的にそんな感じがしてしまいそうですかね。これは一度ほかのDACと比較してみたいものです。

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EARです。ここは完全に独自の世界です。個人的に真空管はそれほど好きじゃないのですがEARは聞かせます。好みではないが確かな説得力が有るというのは相当の実力がある証拠です。非常にレベルが上ってくると好みを超越した絶対的な説得力が出てきますがEARはそれを持っています。EARは何を聞いても悪いと思ったことがありません。それだけ圧倒的な世界観を構築しています。

音は明らかに個性的で、原音忠実とか無色透明とは程遠い方向性です。かなり濃厚でどろっとしている雰囲気があります。古いジャズとか艶めかしいボーカルの曲とかが合いそうです。ただし重要な事があります。この説明だけだと典型的な見通しの悪い、濁った質の悪いアナログとか真空管のイメージとかぶってしまうのですが、EARは優れた透明感がありアナログの質感と両立しています。そこは重要な違いです。

現代ハイエンドの典型的な描写がアクリルとかガラスのような硬質なものを透明に磨き上げて風景を見ているイメージなのですが、EARはそうじゃなくて粘性がありながらもかなり透明度の高い液体がゆらゆらゆれている水面ごしに風景を見ている感じでしょうか?表現が難しいです。決して忠実ではないとわかっていてもその音は心地よいのです。

悪い真空管やアナログは水面が不純物だらけで濁っているのですが、EARは真空管でありながらもレベルの低い価格だけのハイエンド機よりおそらく透明度が高いです。なのでEARはオーケストラとかも良い雰囲気でなると思いますが、音数が少ない曲のほうが一つ一つの音色にじっくり集中できていいでしょうね。とにかく理屈じゃない魅力があります。

さて、今年はこれで終わりなのですが、せっかくSPについての感想がまとまっていますので、今年は見れなかったけれども、過去に何度も聞いて印象に残っているSPについてもかきます。

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Vivid AudioのGiyaシリーズです。この写真はG1です。このときはConstellation Audioのフルセットで鳴らしていたようです。

真のハイエンドの構成、そして部屋の広さも申し分ないのですが、G1は非常に鳴らすのが難しい印象です。この部屋の広さとアンプを持ってきてもギリギリG1の低音の暴走を抑えている感じがしました。結局この日はかなり素晴らしい鳴りっぷりだったのですがG1はもっとパワーと部屋を要求しているように感じられてしまいました。

唯一このSPが本気で鳴っていたと感じたのはダイナミックオーディオのマラソン試聴会でSoulutionフルセットで鳴らした時だけです。あのときはさすがに無理やり押さえている感じはなかったです。記憶では確かブラスバンドの曲をステージ上でSPで再現すると言って、お寺の広いホールの上から相当の大音量を鳴らしていたのですが、広さはむしろあれくらいでちょうどよかったのかもしれません。ですがSPはユニットが動かせる空気の量は物理的限界もあるので、結局は生ブラスのパワーを本当に再現するほどの余裕はなかったと思いますけれども、相当に良かったです。

これらからわかるようにG1はとてもじゃないですが普通の一般家屋に入れて鳴らすSPではないと思います。おそらく低音が暴走してまともに音楽がまとまるイメージがありません。それくらい難しいスピーカだと思いました。G2もなかなか難しそうですからG3くらいでようやくハイエンドアンプと普通の部屋の組み合わせでも手懐けることが出来るレベルじゃないでしょうか。

以上より、Vivid AudioのG1は本気を出したら凄いと思うのですが、そのような姿はめったに見られるものではありません。とにかく普段は気まぐれな暴れん坊というイメージが定着しています。真の実力を出すためには部屋を含めた莫大な投資が必要でしょう。SPは背伸びせず部屋にあったものを使うのが大事ということを強く感じさせる体験でした。同じシリーズのSPがこの性格をそのまま譲り受けているとしたらG3でも狭い室内で手懐けるのは大変だと思います。

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TADです。国産では珍しく非常に突き抜けた音楽性を持つのがTADだと思っています。

ここでは単体のコンポーネントではなく、オールTADシステムの音の印象についてかきたいと思います。TADは低音の安定感が最大の強さだと思っています。このイベントだけではなく、別の場所でのイベントでもすべて同じ印象だったので間違いがないと思っていますが、彼らは低音については相当妥協なく突き詰めているような印象です。設計でも相当の物量作戦を行っていてそれが徹底しています。

反面高音についてはやや荒々しい部分もあって、緻密な描写からは遠く、高域の質感に対してはある種の割り切りすら感じるので野性的な荒さが見え隠れしています。といっても普段の音調は常に冷静で、そのような野性味は前には出てくるわけではありません。高音の粗さも冷静さの影に隠れる個性なのですが、そういう側面をハッキリと持ち合わせている印象です。イメージで言えばスーツを着込んだ精密動作の出来ない太マッチョで、しかも普段は冷静なのですがキレたら見境がなさそうなタイプです。

TADの低音の安定感、揺るがなさはは一見YGとも通じるところがありますが、YGはもっと精密動作の出来るマッチョな感じです。でもTADとYGの相性はそんなに悪くないような気がします。

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最後にソナスです。やっぱりフランコセルブリン氏が設計していた頃のSPが良いです。この写真とは別の年でSoulution+ストラディバリ限定モデルという組み合わせを聞いたことがありますが、この組み合わせは高性能で明瞭な音でありながらも、どことなくゆとりも感じられました。「音楽を聞かせるという意味で高性能なSP」だと思います。

オーケストラのホールで言うとこのストラディバリの頃はホールの真ん中くらいに座っている印象で、最もバランスが取れているように思います。最近のソナスはかなり現代的な方向性にシフトしていて直接音がより豊富になった印象で、ホールで前のほうに座るようになった感じです。逆に独立後のフランコセルブリンのktemaなんかはホールの真ん中どころかもっと後ろの方で聞いているような感じでした。実際にそういう音というわけではないのですが、なんとなく凄く単純化した比較だとそういう感じです。

完成度はだいぶ違いますが、ストラディバリの音はある意味Linnと似ています。基本的には落ち着きのある音です。しかしLinnよりもさらに刺激的な響きや緊張感は抑えられており、低音も高音もいやな音がするセッティングはほとんど聞いたことがありません。なので場所や接続機材を選ばずに安定した実力を発揮しやすいということでしょう。購入するならこういうところも重要だと思います。自宅でセッティングしたときの難易度は低いほうが良いです。方向性が似ていても安定した音を聞かせることが少ないLinnとは対照的です。

また大型のSPでよくある低音のビビリが不思議と気にならないのも特徴です。たしかに響きはあるのですが、その響きに説得力が有って必然的に音楽に活かしているということだと思っています。このSPと対面するときは大抵響きを気にするのではなく音楽を聞いています。このあたりのチューニングは職人芸ですね。これより分離や性能が良いSPなら他に沢山あると思うのですが、これはそういう部分よりも気づくと音楽を聞いている、そんなSPです。

もちろん何でも得意なSPではないので合わない曲をかけたときは欠点が気になると思うのですが、これはそういうSPではないと思います。

以上です。

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Chord DAVE来ました!(とても高額なDAC)

自作ノウハウとは直接関係ない記事なのでオーディオ部ページじゃなくてBlogにかきます。

オーディオインターフェースの比較ページで実は購入してしまったと書いたのですが、ついにDAVE来ました!これは貸出機じゃなくて、購入です。かなり高額品ですので飛び降りる覚悟が必要でした…。なので、これから開封したり改造しても怒られないぞ、と思いながらも超高額品なので当分そんなことは出来そうにありません。

今回はDAVEの再生音をレコーディングした音のアップ、簡易測定値、音質の特徴について前回よりもっと詳しくレビュー、あとはこちらのAK4495Sと比較について触れてみたいと思います。DAVEの音質のレビューは以前にも書いておりますが、前回は店頭で聞き慣れない曲でしたので正確ではない部分がありました。しかし今度はじっくり長時間かけて耳を鳴らした結果について書きたいと思います。

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Innocent Key オーディオ部

私立イノキー学園オーディオ部~紹介編

#オーディオ部はフィクションです。実在のメンバーとは関係があるようでありません!

■ Innocent Key オーディオ部とは?

私立イノキー学園の片隅、部活棟のすみっこでひっそりと活動するInnocent Keyオーディオ部。メンバーは、耳の感度がズバ抜けて良いオーディオマニアにして唯一の開発部員「ブチョー」、ちょっとミーハーで美少女大好きなマネージャー「ココタン」、部室を間違えた所為で無理やり入部させられたズブの素人マネージャー「アイヒメ」。耳の感度向上合宿!?  地獄の量産スパイラル!? 目指せヘッドホン祭出展!?!?! 音楽が大好きなデコボコメンバー3人が織りなす、ハイファイでSN比グイグイなオーディオライフが今日もまた繰り広げられる…!

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chorddavefront

Chord DAVEと他のDAC試聴してきました

2016年9月 購入後のレビューあっぷしました

久しぶりにオーディオ試聴をしてきました。御茶ノ水オーディオユニオンでChord DAVEの展示があったので、厳密比較のため自分のヘッドフォン+音源を持参できいてきました。ショップさまには高額機器を快く試聴をさせていただき感謝いたします。

結論から言えばDAVEは予想よりすごかったです。価格はとても高いのですがさすがにHugoとは次元が違いました。Hugoでは前回の厳密試聴の結果、自作AK4495S-DACのほうが概ね良かったわけですが、多分ですけどDAVEと比較したら情報量とか解像度については自作DACのほうが不利そうでした。いままでこの部分について集中的に取り組んできたのですが今回はやられている感じがします。

そして単なる解像度以上に、いくつか印象的だったことがあったので、それについて詳しく書きたいとおもいます。DAVEについてはまだまだネットの情報では突っ込んだ試聴レビューが少ないですので、少しでも参考になればと思うところです。とはいえ一個人の感想でしかないですから、いつもどおり内容の信憑性については話半分にてお願いします。

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[M3]AK4495S DAC展示、ミックスキット、オーディオキット

予定していたSRC、電子ボリュームキットは諸事情で延期になりました。すみません。

今回は実質yohine Best Worksとなるミックスキット集、オーディオキット配布です。電源がある場所なので自作AK4495S-DACの実機試聴も行います。いつものCD類はほんのちょっとだけ持って行きますけど、今回はCDメインのイベントとは考えていませんので、あまり期待しないで下さい。CD関係は次の例大祭になります。

Innocent Keyオーディオ部 第二展示場2F コ-31a

配置はここみたいです。Twitterで告知しているみたいなので知っている人は知っているかと思います。以下、DACの試聴案内、ミックスキットのクロスフェードと詳細、オーディオキットの予定について詳細です。

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