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オーディオ目玉親父(messa)さんのところへお邪魔しました

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先日nemo3さんとお伺いしました。なんとお二人ともYG acoustics スピーカのユーザです。nemo3さんはHailey所持してる古い友人です。Haileyはいつも聞かせていただいています。

それがこの日はイベントで数回しか聞いたことがないSonja1.2を聞かせていただきました!まず気になるシステムについてですが、正直ここで書くよりこちらに情報がまとまっているのでこちらを参照してください。はやてさんのレビューもあります。

http://messa.air-nifty.com/blog/2017/10/post-8d0f.html

http://comiccune.jugem.jp/?eid=39

書くことは沢山ありますので、さっそく音質について書きます。

システム音質について

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音質は超ストイックでかなり基礎クオリティ重視だと思いました。超高級ケーブルによる美音とか作られた音っていう印象は全然感じませんでした。これは意外でしたがそれこそがmessaさんがオーディオに求められている音質なのだと思います。すべてを捧げて頂点に向かう姿勢を表しているようです。淀みないストレートさで正直どの曲を聞いても非常に高いクオリティかつニュートラルな方向性です。色々なジャンルの曲を掛けさせていただきましたが女性ボーカル特化という印象などは全然感じなかったです。

そもそもYG自体がそういう基礎クオリティ重視でバランスの良い方向性ですけど、そのYGの方向性をそのままに突き詰めていったような音です。システムトータルの色付けは相当排除されていると思いました。

もちろん自宅環境とは比べるべくもないのですが、私自身もそういうストイックかつ基礎クオリティ重視なシステムを志していますのであえて自宅と比較するならば、messaさんのお宅では低域がさらに下までしっかり伸びていながらスピードも早いままで高域もより伸びがあります。それでいて定位も同じくらい優秀ですから、本当にほぼ全てにおいてクオリティが高いと思います。たとえば自宅だと意図的に排除している帯域もでてます。特に上の方が顕著に出ているので音源によっては出さないほうが良いと思うような音も出ていましたが、元々の音源に入っているものはすべて出すスタンスなら特に言うことはないと思います。こういう点はスタジオのモニターとして音源のアラ探しをする用途としても優秀です。

同じような表現ばかりになってしまいますがバランスがいい音のレビューは「これという強み」について説明することが出来ないので難しいです。たぶん同じような優秀なシステムと比較しない限り出音の弱点は見えにくいです。セッティングが決まったYGはこんな音なのかという印象がありました。もう少し定位が曖昧なイメージがあったのですがそんなことはありませんでした。

それというのもセッティングはかなりよく決まっていると思っていて、中央ではない隣の席に座っていても定位が明瞭でした。GRFさんのBlogにもありますが真にセッティングが決まっているとリスニングポイント以外でも立体感があるそうです。さすがにどの場所でも完全に立体的な音とまではいかなかったのですが、リスニングポイント以外にも立体的に聞こえる場所がいくつもありました。もちろん横に座った場合などは左右均等の空間ではないのですが立体感はしっかりあります。

あくまで個人的にはですが、いままで聞いたシステムのなかでは最も基礎クオリティ重視な出音と思います。とはいえオフの経験などはあまりないので「ごく限られた範囲の中」のお話です。特に基礎クオリティのみに注力して高められている方自体が稀という理由もあると思います。

基礎クオリティのみを高める道はオーディオでは少数派ではないでしょうか。あらゆる制約はそれこそ「何処にでも」あります。そもそも個人の趣向や選別というものがバランスの良い保証はないのです。だから個人の好みが強く出ることは普通だと思いますし、そもそもSPや機器自体がそういうある種の方向性を強く持つことのほうが多いからです。個人的な好みが主導する特化型システム、そういう誘惑を逆に排除しつつ価格度外視でトータルバランスと基礎クオリティの向上に突き進むことは精神的、経済的、場所的な制約が全て絡むので誰もが簡単に出来ることではありません。

その選定一つを妥協しただけでも現在の音にはならないのではないかと思います。そのような精神的綻びは色々な部分で音として現れてしまうでしょう。例えばこれくらいで良い、これでもう良い、そういうところで一切とどまらなかったからこそ存在しているのが現在の完成されたシステムのはずです。そしてこれからもその道を進むことでしょう。

ちなみにですが御本人がシステムやオーディオの音楽性についてちょっと心配されていたのですが、正直どの音源もかなり高いレベルでなっていたと思います。私が持ち込みした寄せ集めCD-Rもかなりシステムいじめな感じの曲なんですが、つい音楽を楽しんでつい聴き込んでしまったのでただの試聴なら掛けないくらい長く聞いてしまったくらいです。なので私の個人的な印象でしかありませんが、音楽性がどうこうというお話は心配される必要はまったくないと思いました!

これは基礎クオリティが高くなれば自然と説得力や訴求力が上がるからで、極めて高いレベルの技術を持つ方の作品が異なる価値観の方を取り込むのと同じです。オーディオでの最近の事例でいえばSonja XVの評判もそうですね。XVは全く異なる趣向を持つと思われる方にも支持されているように見えます。それこそ基礎クオリティの高さゆえの訴求力の高さにみえました。これはオーディオ以外でも同じです。

オーディオと音楽性の関係

自分自身の考える音楽性についてはこちらの記事でまとめましたが、問題点を見えなくするために性能を落としたり、ある種の方向性の先鋭化だったり、意図的な取捨選別だったり、これらは全て現実的な選択肢ですが純粋な高性能化とは相反する部分があります。

これらは色々な不完全さを補うためにこそ必要になる処置だと思っています。しかしmessaさんのアプローチはこれらとは逆で基本性能を隙無く高めることによって最終的に音楽性を確保していくスタンスだと強く感じました。

たとえばですが音源の問題点も顕にする部分については自分はそのような音源の不完全性も含めてチェックしたい派なので全く問題ないです。この能力は音楽制作でのエンジニアリングでは必要になる要素です。

そしてこの考え方は私の考え方とかなり近いです。でも自分自身の到達点はまだまだだなぁと強く感じました…。自分は限りない予算はないですがそのかわりに自分自身の知恵と能力を使って上がっていきたいと思います。

HaileyとSonjaの差?

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基本的にはどちらもバランスが良くオールラウンダーな音です。どちらも箱鳴りを徹底的に排除した切れの良い音です。いわゆるYGの音というものになるのでしょうか。贅肉を全て削ぎ落とし極限まで研ぎ澄まされたアスリート的筋肉質なイメージを強く受けます。無駄な力みがなくて余裕で音がでてくる感じです。

普段nemo3邸で聞いているHaileyとの差は低域の余裕がかなりありました。こちらでは低音のエネルギーが前に出てきて存在感がしっかりあります。厚みがあるとか遅い低音ではありません。早くて伸びていて存在感がハッキリしている低音です。この低音の余裕がだいぶ格差があると感じました。

ただmessaさん曰く電源の工事を行った後に低音が強くなったとのことなので、電源の対策レベルの違いのほうが大きいのかもしれません。またSPと電源以外にもケーブルも含めるとかなりの格差がありますので、そういった細かい部分での追求レベルの差が低音の違いになっている可能性はあります。なのでSPの格差だけではない可能性は高いと思いました。

ちなみに1.2ならばHaileyと中高音の違いは低音ほど顕著ではないです。音の差はありますがケーブルや機材の差がありますのでここではSPの違いとまで語れる差は無いと判断します。どちらも現在でも十分ハイレベルな音ですがこれが2.2になったらおそらくHaileyとはかなりの違いが生じるのではないかと思います。

Black Cat CableとNordost Odin2との比較

先日購入したケーブルですが、なんと最新最強のOdin2と比較させてくれました。早速音質傾向です。

Nordost Odin2

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これはちょっと反則レベルですね。

非常なワイドレンジかつ静寂感と透明感の高さが特徴です。それでいて描写は精密なのですから弱点が全くわかりません。特に静寂感は独自の特徴であって他のケーブルでは実現されていません(こちらの手持ちでは唯一TempFlexが近い)。それでいて低音の密度や深さ、高音の突き抜けたスピード、そして耳に痛くない自然さを両立しています。当然のように滲みやきらめきのような成分は抑えられており、基本的実力の高さゆえの「音楽の浸透力」を強く感じます。音の濃さです。

以上のように極めて基礎クオリティの高いケーブルと思いました。今まで聞いた中では完全無比で究極のケーブルとしか言えないのですが、同じ価格帯のケーブルはきっと比較が成立するような領域にいるのでしょう。初めて聞いたスーパーハイエンドのケーブルは相応の実力を感じさせるものでした。システムトータルが数千万円ならケーブルに数百万円くらい投資してもいいと思わせる凄さはあります。

他のケーブルに変更した後に思ったことは正直ケーブルの実力のみでここまで良い方向に変わるのは驚きです。機器が揃ってシステムが極まってきたらやはりケーブルにも投資しないとここまでの音は出ないのだ、そう感じさせる違いがありました。これがシステム内のXLRケーブル一本の差なので…。全体のケーブルによるトータルの影響力を考えると恐ろしくなります。機器一台を変えるより影響は大きい可能性も感じました。

Black Cat Cable Matrix II XLR

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絶対的な音質をOdin2と比較してしまうと当然ながら全体的にクオリティは下がります。自宅ではこれでも相当良い音でなっていたのですがOdin2と比較してしまうとレンジはかなり狭く、高音の滲みも若干感じるところがあります。少し全体的に曇っている感じでしょうか。Odin2のレンジの広さと透明感の両立は極めて優秀ということでしょう。

とはいえトータルバランスは良好でとても大人しい落ち着いた音でありながら聴きやすく嫌な音は出しません。全体に描写が小ぢんまりする印象はありますが細部の描写は非常に緻密で丁寧な印象があります。全体の雰囲気として落ち着いた大人の上質、どことなく気品を感じる音質です。わかりやすい派手さは全然ありません。まるで表舞台を引退して静かな余生を過ごす開発者クリス・ソモビーゴ氏のスローライフを象徴するような落ち着き具合です。といっても決して眠いとか遠い音ではありません。

さすがにOdin2と比較すると残念な部分はあるのですがこの価格差は10倍以上です!BlackCatは一般的な5-10万円のケーブルよりもずっと基礎力と音のバランスは優れていると思います。同じような価格帯のケーブルはいくつか所持していますが同価格帯では音はかなり良い方ではないでしょうか。と言っても音の変化は地味すぎて本当の音の良さを追求するような方でないと分かりにくいでしょう。とにかく派手だったりわかりやすい音の差ではありません。わかりやすい音作りなどは全く感じないからです。

残念ながら国内で調べてもあまりレビュー自体が存在しないので、ここでは非常にコストパフォーマンスが優れたケーブルとして紹介しておきたいところです。10万円前後で基礎クオリティ重視、癖が少なく質の良いケーブルを探すならとても良い選択肢だと思います。ここから上を目指すなら数十万円の出費は覚悟が必要と思います。

REDLEVEL: MATRIX XLR

StereoVox Bal-600 XLR

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Black Catケーブルと同じクリス・ソモビーゴ氏の作品です。こちらはmessaさんの所持品です。

こちらはクオリティがBlack Catより高いです。レンジが広がって大分Odin2に近づいた感覚があります。緻密で丁寧な音という印象は共通していますが、こちらのほうがワイドレンジで力強い感じがします。こちらのほうがパワーというか勢いがあります。若さですかね。BlackCatと比べると明瞭さが若干アップしてコントラストが上がる感じです。

そのかわり高音の質感が気になってきます。レンジが広がった分、質感についてはややきつさがあるというのか、レンジを広げたほころびを若干感じます。ピーク感はないので全然きついまでは行かないのですけどOdin2と比べると質感は気になる部分です。高域の聞きやすさはBlackCatのほうが落ち着いていて好みです。

messaさん曰くこのケーブルはValhallaと同じくらいの音だそうです。そしてValhallaとOdin2はすごい差があるとも言われていました。もしこのケーブルがValhallaレベルと考えるとそのとおりかもしれません。Odin2と比較してしまうと大きな差があり、とにかく透明感と奥行きの深さがOdin2は何か越えられない壁の向こう側にある印象を受けます。レンジや明瞭さについては大分近づいているのですが、高域の滲みのなさと透明感の両立についてはBlack Catと比較しても依然問題点が共通しています。

このケーブルのもともとの価格は数十万円だそうですが、BlackCat以上、Odin2以下。価格相応という結果です。

ケーブルへの愛を感じました

写真を取り忘れてしまったのですが、所持されているケーブル類で未使用品はコネクタにラップ等も巻いてありますし、高級そうなビロード調の布袋に個別収納されていました。ケーブルを出すときや机の上に置く時もとても優しく取り扱われておりケーブルへの愛を強く感じました。優しく包み込むような扱いです。扱いは全て手袋必須というものです。それがとても印象的でした。

最後に

ということで有料サービスでも良いような貴重な体験をさせていただくことができました。ありがとうございました。特に手持ちケーブルとOdin2の比較などショップでは絶対にさせてくれないですからね。そしてシステムの仕上がり音質はかなり衝撃的でした。ほぼ同じ価値観の大分クラスが上の音を聞くことが出来てよかったです。今後につながる良い体験になりました!

とりあえずこちらのTempFlexケーブルについてはまだまだ課題が山積みなのでちゃんとしたOdin2との比較はBlackCatレベルを達成してからになりそうです。良い素材を組み合わせてただ作っただけでは良い音にはならないというのはちょっと考えれば当たり前の話だったのですけど参考になりました。やはり最後の耳での調整が必要です。

実はこれと同じようなことはDACやパワーアンプの開発で分かっているはずですが(良いDACチップを使ってもハイエンドの音になるわけではない)、残念ながらケーブルはそこまでの意識はなかったということです。まだまだ見識も技術も足りないですね。

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