_1030475

Nazo-otokoさんのオーディオ多次元空間

Pocket

2018年9月上旬、念願のNazo-otoko邸に訪問いたしました。オーディオ界隈では間違いなく国内有数のシステムをもつ方です。御本人のBlogとダブルウーファーズのHPを紹介しておきます。Nazo-otokoさんはダブルウーファーズ会長とも呼ばれていますね。

https://blogs.yahoo.co.jp/nazo_otoko

http://www.double-woofers.com/

去年ふとしたことで実はかなりの近所にお住まいなことを知りました。なにしろ普段買い物に行くスーパーのちょっと裏にあるようなイメージです。普通に歩いていけるくらいの場所なのです。しかし相手が相手ですのでなかなか声はかけられずでした。以前にうちオフでIMAIさんがこちらに来られたときに「近所にすごい人がいるんです」って言ったら何とNazo-otokoさんとは何度か会ったことがあるとのこと!いつか行きたいですと伝えておいたのですが、その念願がかなったのが今回の訪問というわけです。

そしてIMAIさんの提案で若手をTwitter上で募ってメンバーを増やして同行となり、当日はIMAIさんTaxsisさんまささんの3人と向かうことになりました。いつもなら音質のことをすぐ書くのですが今回は色々なことがありましたので音質だけではなく前置きも含めて色々書きたいと思います。

自宅の入り口

流石にプライベートに近い写真はアップできませんが自宅の前の写真は御本人のBlogにも掲載がありますので、同等レベルなら問題ないと判断して入口写真のアップです。

p1030439

写真で見るとなにかの施設のように見えますがこれが家です。凄いですね。富豪お宅訪問が好きな自分でもここまでになると盛り上がるというより気持ちが引き締まります!

IMAIさんがピンポンして巨大な玄関ドアが開き恐る恐る中に入りますと、とても広い玄関が広がっていました。奥の大きなガラスごしに中庭が見えます。広さとしては靴が20人くらいは余裕で並べられそうな玄関です。大きい旅館じゃなくて落ち着いた平屋タイプの高級旅館入り口の雰囲気といったら伝わりますでしょうか。

最初にオーディオルームへ

入ってからすぐにオーディオルームへ案内されたのですが実はここからすぐに音出しではありませんでした。音が出たのはここから1時間後です。

まず全員で中央の椅子に座りました。そこで現在のシステムの詳細な資料とNazo-otokoさん宅のインタビューが乗っている雑誌のコピーを頂きました。コピーと言ってもかなり分厚い資料です。

p1030488

そして次に一人ずつ自己紹介です。ここで結構細かいところまで聞かれたりします。自分は別に隠すことはないのであれこれ今までの経緯とか色々お話しました。最初の印象はとてもお話し好きな方という印象でした。

今日のメンバーの中でもTaxsisさんは色々突っ込みが入っていて面白かったです。まぁ持っているスピーカの数もラインナップも普通じゃないですからね。現役学生でどうやって揃えたの?的な鋭いツッコミが入りつつ、和気あいあいとお話を挟んだことで最初はとても固かった空気がだいぶ和らぎました。これももしかしたらNazo-otokoさんの配慮だったのかもしれませんね。

お話の中でApogeeのスピーカの話が盛り上がったところで別室に移動になりました。

このお宅には実はメインのオーディオルーム以外にも複数の部屋にオーディオシステムが設置されています。メインの部屋だけでも凄まじいですが現実は更に上を行くオーディオコレクションでした。それを一通り端から案内していただきました。今日のメンバーはみんなスピーカに詳しいので反応がとても良くNazo-otokoさんも見せる甲斐があると判断したのかもしれません。これはとても幸運でした。もちろん初対面の方にはみんな見せているのかもしれませんけどね。ちなみに自分はあまり古い製品は正直わからないものが多かったです。今日のメンバーはみんな詳しすぎです。でもその分色々なお話が聞けてよかったです。

ほかには作業用のスペース、ユニットが大量に置かれている部屋も有ります。中にはサイン入りのユニットや往年の高性能ドライバもありました。こちらの部屋そのものは本家のBlogでも公開されているので問題なさそうな写真だけ紹介しておきます。(OKの確認済み)

p1030455

p1030462

下のアポジーの部屋にはスピーカと貴重なクレルのビンテージ製品が良い状態で設置しており、製品個別についても詳しく説明していただきました。クレルはシリアルナンバーの若い初期のモデルだそうです。アポジースピーカの導入にも色々なストーリーがあったそうで、ここで長々とは書きませんが本当にそれぞれの機器にエピソードがあるものです。

そういう細かいエピソードについて、今でも細かく覚えておりしかも並行してシステムとして維持されているというところに、Nazo-otokoさんの人生におけるオーディオの比重の高さが伺えるような気がしました。

p1030468

p1030470

試聴と音質

p1030472

実際の試聴順とは違いますが、写真順にシステムの音質的感想を書きます。また実際には各機器には背景となるエピソードがあり、試聴前にそのお話を聞いてから音を聞くという流れでした。それぞれに本当に分厚いバックグラウンドがあるのです!

nazo1

ダブルウーファーズのルーツと言われるJBL4350Aのシステムです。この時代のこの構成のスピーカをちゃんとしたシステムで聞くのは初めてです!曲はもちろんジャズですが、厚みと存在感が非常に強い音です。低音は38cmのダブルなのでグッと空気の圧力が面で迫ってくるような低音です。一言で言えば脂ぎった熱い音と言われる方向性になると思います。ただしそれは中低音についてはです。

しかしこの手の典型的な音質と異なる部分があります。非常に面白いのが高音で、高音はかなり明瞭かつなめらかで引き締まった音になっていると感じました。これがマルチの威力でしょうか?中低音とは明らかにキャラが違う高音なのです。しかしそれが音楽として見事にマッチングしています。この高性能寄りの高音が適度に現代的な風味を醸し出しており、描写力が高く緻密さや丁寧さを感じさせる要素となっています。現代ハイエンドしか聞かない人でも、ジャズを聞かない人でも、この音なら楽しめるのでは?と思うような雰囲気です。

こういう音が好きな人によくあるような典型的な一点型ではない、ただ単に厚み、存在感、熱気、こういう方向性だけを追求するのではなく、緻密で丁寧な高域がスパイス的に加えられてまとまっている。非常にセンスの良い仕上がりに感じました。

このシステムで印象的だった音色はバストラムの腹に来る音圧とウッドベースの存在感と実在感です。バスドラムは非常に生っぽいです。生といってもスタジオの端正な音じゃなくてジャズバーとかのやや飽和感のある音という趣です。ウッドベースは生よりも存在感ありそうです。

nazo2

次はオリジナルノーチラスです。オリジナルノーチラスはダイナ7Fで昔に聞いて以来です。当時は経験値も少なかったのでこのSPの真価は理解できませんでしたが、今は大分経験を積みましたので実力がよくわかりました。これはSPの設計としては大分古いのですが現代でも通用するクオリティがあります!本当に優れているものは古くならない、オリジナルノーチラスは紛れもない名機でしょう。

Vivid Audioと同じ設計者ですがある意味Vivid Audioの設計はこのオリジナルノーチラスを「現実的な使い勝手に落とし込んだモデル」と言われても納得してしまいそうです。マルチ専用でウーファーが物理的にセパレートになっている設計は正義です。ウーファーユニットが一つで中高域と物理的に分割されていますので箱の共振から分離されています(Giyaではウーファーの管の中に中高域ユニットが取り付けられているようなデザイン)。このおかげか混濁感がとても少ないクリアな音と感じました。ここの出音は相当にハイレベルです。

この日聞いたシステムの中では最もバランスが良くオールラウンダーだと思います。非常にまとまりがあって弱点の少ない音という印象です。低音はもちろんYG acousticsの最新SPと比べればわずかにエンクロージャーの音は感じますが、十分現代ハイエンドクオリティです。

このあと写真に写っている「Nazo-otokoさん自作のアンクもどき」をつけ外しして聴き比べです。つけているときのほうがふわっと広がる空気感があって優しい音ですね。取ると引き締まって優しさとか空気感からは遠くなります。中高音が乱反射するので像が散るのだと思います。かける音楽で相性が変わってくる部分だと思います。私はどちらもありですね。

このシステムで印象的だったのは、空間の広さと音像の緻密さ、この2つです。低音重視のソース以外なら何でもバランスよく鳴らしそうです。聞くところによるとExaktが予想よりも良くて結局導入することになってしまったそうです。

nazo3

本当はこの日の最後に鳴らしたシステムなのですが先に書いていしまいます。

フルエピローグは王道ハイエンドをそのままにスケールアップしたような音、と思いました。王道故に説明が難しいのですが、駆動力と余裕と聞きやすさの両立でしょうか。もしかしたら現代では王道とされる方向性はゴールドムンドが切り開いたのでは?と思わせます。

一言で言えば非常にスケールが大きく余裕のある揺るぎない音です。低音の躍動感や動的なうねりのようなものはダブルウーファーのシステムのほうがあるのですが、こちらはより静的な低音と感じました。ある意味ノーチラスの音を「大胆に」レンジアップスケールアップしたような感じです。

ですが緻密さや丁寧さならまだノーチラスのほうがまとまっていると思います。より具体的に言えば高音のピントの合い具合には結構な差があると感じました。サイズや描写される音楽が大きくなった分、高域の描写は大胆な性格に変化していると思います。だから受ける印象も余裕と大胆さとスケール感という感想になります。

このシステムで一番印象的だったのはパイプオルガンのスケール感と余裕です。

この日はゴールドムンドというメーカーの設計についてはNazo-otokoさんは結構辛辣なことを言っていましたが、現実には沢山のゴールドムンド製品を使われているので、その音質と相反する設計の部分に納得出来ない部分がありながらも、やはり惹かれるところがあるという複雑な部分なのかもしれません。性格の悪い美人で苦労させられるけど別れられない的な関係でしょうか。よくわかりませんが。

ちなみにNazo-otokoさん曰くこのシステムはまだまだ調整中とのことなのでこれからさらに説得力を増した凄い音が出てくるのでしょう。

p1030474

nazo6

この日聞いたダブルウーファー製品では最もおとなしい音でした。このSPはダイナのマラソン試聴会できいたことがあります。その時はDD67000とDD65000の比較でした。DD67000のほうが現代的、DD65000は濃い音だと思っていたのですが、ここのシステムですと他のシステムの濃さが浮き彫りになってしまう、現代寄りの仕上がりの音だと感じました。

nazo7

これはワケありのスピーカらしいです。知人伝での入手とのことでその経緯などを聞いてからの試聴となりました。このSPはウーファーの設計が特殊のようで、内部に駆動ユニットが入っており外側の表裏4つのウーファーは見えない内部のユニットによって駆動されるとのことです。そのためウーファーの駆動にはかなりパワーのあるアンプが必要というお話です。実際に音が出ると鳴らしにくいという印象はあまり感じないくらいしっかり鳴ってました。

このシステムの音はこの日聞いた中では真面目ではあるのですが、ただ真面目なだけじゃなくて枠を少しはみ出す奔放さも感じる仕上がりと思いました。お話を聞いていると元々は暗めの音でもっと真面目なSPなようですが、ここでの出音は端正なだけでなくあえて枠を飛び出すような部分を作ることで、楽しく聞けるようなチューニングになっているようです。(元々の音を知らないので深くは語れませんが)

比較すると、ノーチラスほどのまとまりと締りはなく、かといってJBLシステムほどの躍動感や存在感もない、ちょうど両者の中間的な位置づけの印象を受けました。入手金額は使われているシステムの中では格安(訳あり)だと思いますので、値段を考えると正直とんでもない実力の出音だと思います。

一度上記のDD65000と同じ曲で比較ができましたが、ダイナミックなDD65000、真面目なSB-M10000という印象です。

p1030473

nazo5

ここのシステムの中ではノーチラスに次ぐ「普通の」ハイエンドスピーカです。超高額のダイヤモンドツイータが乗っているモデルだと思われます。セラミックのモデルは聞いたことがありますがダイヤモンドのモデルは初です。

音質的には非常に透明感と滑らかさのある中高域が特徴です。この日のシステムの中ではこの部分は突出しています。また箱の設計によると思われる嫌味のない自然な長めの余韻もこのスピーカのもう一つの特徴です。これはセラミック型のモデルでも共通していました。まさに上品で繊細、貴婦人のようなスピーカじゃないでしょうか。特に弦楽、クラシックに合うというのはよく言われていますが、そのとおりだと思います。

nazo4

個人的にこの日で最も印象的だったのがこのシステムです。150kgのステンレス削りだしホーンは見た目にもすごいインパクトでしたが音はそれ以上のものでした。

ここでかかった木琴と鉄琴のオーケストラ編成の曲は生音でなければ出ないようなアタックと余韻の力強さを感じることができました。例えばですが最近木材にハマっていて色々な木材を叩いていますが、木材を強く叩いたときに出てくる高音のエネルギーは自宅のスピーカーからは全く出ません。自宅のスピーカーから出る高音は非常に弱々しいものです。

しかしこのステンレスホーンから出てくる高音はすごい浸透力のある沁み入るような高音です。ただ単に透明感があるとか引き締まっているのとは次元が違う、生のあのエネルギーが飛んで出てくるような感覚があります。

それに合わされる低音はエクスクルーシブのダブルウーファーです。4350よりレスポンスが良くステンレスホーンのエネルギー感と比較してもなんとバランスが取れている低音です。並外れた高域に並外れた低域を組み合わせた現代の典型的ハイエンドとは全く違う方向性で突き抜けた凄みのある音でした。このシステムの音はもう一度聞いてみたいです!

試聴後の印象

多様なシステムがそれぞれ異なる表情と音楽を見せていました。まさに多次元空間のシステムです。当然のようにシステムによってかける音楽も変わってきます。この日にかけられた曲はシステムに合わせて選定されたものだったと思います。だからこそ方向性と音楽性が一致して濃い体験につながったと感じました。それを複数持っているということは懐の広さと深さも伺えるわけです。

しかしIMAIさんによると過去の音はここまで多様性のある方向性ではなかったとのことです。もしかしたら少しずつ、またはある時期を境に今のような多様性をもつようになったということになります。そこで一体何があったのかはわかりませんが、きっと大事があったのだろうなと思います。視野が広がるきっかけのような出来事のはずです。それはもしかしたら雑誌掲載記事にあるような病気や手術がきっかけだったかもしれませんし、そうではない自然な気づきと流れだったのかもしれません。そのあたりは自分が知る由もないことですが。しかしそんなことを考えてしまうような体験でした。

この部屋に共通している要素は、熱さ、奔放さ、ダイナミックさを軸とした方向性でしょうか。もちろんノーチラスやルーメンはこれらの条件の例外となりますが、それ以外のシステムではそういう音楽性が常に見えますので、おそらくこのような要素がNazo-otokoさんのルーツなのかなと推測しています。そして上にも書きましたがオーディオへのとても強い思い入れも共通でしょうね。だからこそ一つ一つのシステムにバックストーリーがあるのだと思います。

あとインテリアや細部のこだわりがとても強いです。フルエピローグのグリルは黒から紺に色を変更していますし、部屋の設計のこだわりも凄そうです。自分はこの部分についてはまだまだなので正直よくわかりませんでした。すべてを理解するには自分にはまだ深すぎるというところだと思います。

その後

あっという間の試聴時間の終了でした。16時から19時半の3時間半でしたがシステムがこれだけの数ありますので、じっくりというよりも駆け足での試聴になりました。最後に床下のケーブルを見せてくれました。総延長が400mあるそうです。これだけのシステムをマルチチャンネルで駆動しているのですから凄い量です。それでも床下を通すことでスッキリと仕上がっています。床材はナラ、天井はスプルースとのことで最近ハマっている木材の知識が生きるシーンでもありました。

p1030476

まだまだこの日は本当に色々なお話を聞くことができたのですが、自分自身のスピーカや機材に対する知識不足をとても感じました。あまり反応できない話題も多かったので今日の強力メンバーはいろいろな方面での話題の対応力がありとても良かったと感じます。Taxsisさんの様々なスピーカの知識、まささんのユニットの知識、IMAIさんの人脈やNazo-otokoさんの趣向への理解の深さ、です。

この後はNazo-otokoさんは別の用事があるようなので、残りのメンバーで近所のご飯やさんに移動して、楽しく今日のオーディオの感想と、何故かavcatさんとIMAIさんの昔話などで盛り上がりつつ解散となりました。

非常に充実したオフでした。そしてまた音を聞きたいなぁという思いが残りました。IMAIさん、貴重な出会いを提供いただきありがとうございました。Nazo-otokoさん、お忙しい中お時間をとっていただき、また詳細資料を準備の上、数々のシステムを見せて、聞かせていただきまして、ありがとうございました。