高級スピーカユニットに囲まれて…takeさん宅訪問

Pocket

先月になりますがまささんの紹介で表題のtakeさん宅に訪問しました。膨大なユニットがあることからわかるようにかなり自作SPの経験豊富な方です。すべてのお話を伺ったわけではありませんが、お話をした限り有名なハイエンド系ユニットの大半を実際に試してこられているように見受けられました。

その中でも特筆はなんといってもメインシステムで使われているのがAccuton最高峰のダイヤモンドユニット、これで中高音を統一していることでしょう。このダイヤモンドツイータだけでも数十万ですが、その中でも5cmの下記ユニットは300万円だそうです。ユニットだけでこの価格となると搭載SPが市販されたらいったいいくらになるのかあまり考えたくないですね。takeさん自身は円高のときに買われたそうですがそれでもかなり高かったのでしょう。

https://accuton.com/en-home/produkte/lautsprecher/diamant/Diamant-Technologie

と、価格についてまず書きましたが、じゃあダイヤモンドの何がそんなに良いの?というお話になるかと思いますが、ダイヤモンドの優位性は軽さと強度、そして素直な固有の音にあるのではないかと思います。スピーカユニットの材質は薄く軽くしたほうが動作は有利です。ですが強度がないと変形したり(これが音質劣化の元)壊れたりしてしまいますのでそこは材質の特性に強く依存します。ダイヤモンドは非常に硬く軽いのでそれがスピーカに求められる特性にあっているということになりそうです。

従来からAccutonはセラミックのユニットで有名ですが、このセラミックも軽くて硬い材質なので基本的な発想は同じで、それを更に推し進めたのがダイヤモンドということになります。

diamond_measurement_prog.jpg

実際にダイヤモンドの特性を見てみるとブレークアップ周波数のピークは相当上の帯域に来ています。一般にハードドームツイータでは強い共振特性をどこかに持つことが普通ですが、ダイヤモンドはその中でも非常に高い周波数にまでピークの帯域を追いやることが出来ています。70kはダイヤモンドでないとなかなか実現できない領域でしょう。セラミックやベリリウムでも30-50k位までのものが多いです。

いずれにせよ音声帯域外になりますが、アンプで実験してもわかりますが意外と100k以内のピークは音声帯域内の過渡応答にも若干影響を与えているように思います。人間の耳はサイン波に分解して聞いているわけじゃないのでFFTの理論がそのまま当てはまるわけではないようで、過渡応答の違いを意外と敏感に察知していると思います。要するにこの帯域のピークは音の違いとして聞こえる可能性があるということです。

まとめますとセラミックでも20kHzより余裕のある帯域にピーク周波数がありますが、ダイヤモンドはさらに音声帯域から遠い=音声帯域内の音がより素直になるという解釈をしています(音を聞く限りでもそうです)。

もう一つ上の図からわかるのは歪率がとても低いことも特徴ですが、これはAccutonではセラミックでも優秀な特性だったのでダイヤモンドだけの特性ではありません。

極めてなめらかな高域、伸びる低域

p1040319

前置きが長くなりましたが、実際の音について書きたいと思います。4wayのメインシステムです。上の帯域の2wayがダイヤモンド、mid-Lowは平面型ユニット(詳細忘れてしまいました)、LowはAudioTechnologyの大口径ユニットです。チャンデバはAD/DA一体型の業務機でFIRではなくIIRで組んでいるというお話だったように思います(違っていたら訂正します)。

この日はクラシックがメインだったのですが、私のテストソースといってもいろいろな曲で構成されたものを一通り掛けさせてもらいました。

ここのシステムで特筆すべきは中高域の質感ですね。磨き上げたような美しい高域です。決して美音系の作られた美しさではありません。つるつるに磨いた鏡面をイメージさせるようなかさつきやざらつきとは無縁の透明感あふれる中高域です。これはかつて聞いたことがない領域の音です!非常に早く自然でなめらかな音質で自分の趣向にもとてもあっています。個人的には作られた美音よりは中高音の質感にはこういう方向性を求めたいところです。

それ以外の音の特徴としては、部屋が左右に広く天井が高いので非常に空間に余裕のある音が出ています。左右と奥行きがとても広い音場空間であると言えるでしょう。定位もなかなか良かったのですがそれよりも絶対的な音空間の広さのほうが印象的でした。また低域にAudioTechnologyの大口径ユニットを使っているので低音の伸びも十分です。ホールの雰囲気をしっかり描ける帯域の余裕があります。とはいえ流石に中高音の速度には追従出来ず低音はむしろゆったりした感じです。

オーケストラを中心にチューニングをされているので相性の良いジャンルは本当に最高です。ホールのような音空間の広さ、中高域の圧倒的な質感と情報量の両立、周波数レンジがもたらすスケール感、これは凄い完成度だと思いました。

ただ万能システムではなく、これはあとから恐る恐るお尋ねしたのですが低音が遅いのは意図的ということでした。オーケストラの再現を目指されているというお話で、低音は早いより遅めなほうが生のソレらしさ(低音の質感など)が出るということで、あえてそのように設定しているというお話でした。

なのでここでリズム主体のEDMみたいな曲をかけるとバスドラがワンテンポ遅れて聞こえますが、明らかにそういう高速なリズム主体の曲をかけることは目的としていないシステムです。

takeさんは主にクラシックを愛好されているようで、当日も室内に入りますとバロックの曲がかかっていました。この日は同じくクラシック好きのまささんも同行ですのでほとんどクラシックばかり掛けていました。過去の貴重な録画映像を見ながら名演を聞かせていただいたりと、私自身もクラシック愛好家とは呼べないまでもクラシック楽曲はそれなりに好んで聞いていますので、非常にクオリティの高い音と楽曲に囲まれて、とても楽しい時間を過ごすことが出来ました。

超ハイコストパフォーマンスな小型スピーカ

p1040322

次に聞かせていただいたのはこれです。見た目は自作感のあるSPで高価なものには見えないというか、実際にユニットはかなり低価格(数千円、ネットワーク、エンクロージャ込みでも10万円以内)だそうですが、これは音を聞いてびっくりしました。

目をつぶったらこのSPから出てるとはとても信じられないような広大な空間描写力と描写力。音の立ち上がりの速度が早く粒が揃っています。バランスがとても良くどんな音楽でも良くなりそうです。

とはいえ低音の伸びは流石にこのサイズなので物理的な限界がありますが、低音の伸び以外はかなりの高性能、見た目を良くしたら結構いい値段で売れてしまう(数十万円は余裕?)レベルと思います。木製の箱型ですが木箱っぽい音はしませんでした。ネットワーク周りも見せてもらったのですがとても謎のテクノロジーです。

このSPは聞いた方が欲しがるそうですが手間がかかるし商売するつもりはないのでそういう対応はしていないそうです。上のユニットはVifaと聞きましたが下のユニットはちょっと忘れてしまいました。

豊富な自作経験から無駄のない取捨選択をすると、お金や物量を掛けなくてもこういうものが出来上がるという良い事例かもしれません。

p1040324

この日に印象的だったこと、その他

部屋の温度

冬場にもかかわらず、かなり暖かい部屋でした。暖房はしていないと聞いて驚きました。かなりしっかりした断熱材が入っているそうで、冬も夏も温度変化の少ない快適な部屋のようです。

クラシック音楽

あまり指揮者まで掘り下げて聞く方ではないのですが、この日良いなと思ったのはベルリン・フィルの指揮者、確かクラウディオ・アバドだったと思います。この演奏です。非常に静と動のコントラストのはっきりした、キレと表現力のある演奏が印象的でした。詳細聞いたのですが名前を覚えるのが苦手で忘れてしまったのが残念です。また今度確認してみます。

ケーブルの音質対策

オーディオ的にはこれが一番インパクトがあると思うのですが、個人的なノウハウということなので詳しくは書けません。

大雑把に書きますとケーブルに直接行う音質対策です。この部屋のすべての機器、すべての電源と信号線に対策を施しているとのことで、実際に付けたり外したりすると音の質感が大きく変わります。高域が落ち着いたしっとりした質感に変化します。しかもレンジ感はあまり犠牲になっていないので副作用が少ないようです。

確かにこれがあると無いとではかなり音の差があります。しかも機器に繋がっているすべての配線に対策をすると相当違うそうで、たしかに目的や理屈とかを聞くと、おそらくそのとおりだと思いますし、とても理にかなった対策です。

この対策による音質差、品位差がかなりあるため、実際に「この部屋にハイエンドケーブルなどを持ち込んでも大した音の差が出ない」という、とんでもないお話もありました。私は実際に聴き比べをしたわけではないのですが実際に試した方がいるそうです。持ち込んだ本人も思ったほど違いが出ないことに驚いていたとか。すごいですね。

しかもここで使っているケーブルはどれも元々使っている線自体は高額なものはなく、独自の対策によって高級ケーブルを無用なものにしているということでした。

その他の写真

p1040327

p1040336

p1040333

p1040338

書いていると終わりがなくなってしまいそうなので、大事な点のみまとめました。この度は貴重な機会をいただきまして、ありがとうございました!