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音の良いDAC、インターフェース

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yohineです。今でもオーディオインターフェース関係の検索が結構あるので、あれから知り得た音の良いDACとかの情報を上げたいと思います。業務機だけじゃなくてイベントでちゃんと聴き比べることが出来た高級機も含めたいと思います。価格帯が大分上がってきているので購入は厳しいと思いますけれども。実際にはここに紹介した以外でも面白い音のDACは他にもありますが、ここではある程度妥当な順位付けが出来ない機材は出来るだけ省いています。

最近だと安くても測定性能の良いオーディオインターフェースが多いのですが、中身の素子は世代交代で新しいものが安く良くなっているので、安いものでも性能は当然ながら新しいものが良いです。しかし測定だけじゃなくて実際にある程度以上の音質を確保しようと思うと結構出費が必要です。特に耳で聞いた音質は測定だけじゃわかりません。音質の良い物を集めていくと超高額品ばかりになってしまいますが、それはアナログ回路の部分が重要だからでしょう。実際に上位に来ている製品は特殊な設計のものばかりです。IC付けただけのものと比べたらそれは開発や量産にコストがかかります。

この順位は一部の例外をのぞいて基本的に分離の良さが第一で、次に音の癖の出方が基準です。順位にはオーディオ的な高級機も含まれていますが基本的にモニター的な性能で評価はしているつもりです。なお聞き取りの環境の関係でヘッドフォン出力での比較がメインになっていますので実際に比較できているのは機材の性能の一部に過ぎません。AD/DAではAD部に力を入れている製品もあるのでその部分はわかりません。また聞き取りは個人の主観なので評価軸や印象は人によって大きく変わる可能性があります。ですのであくまでも参考程度としてください。

それでは順位で良かったものから紹介したいと思います。

2016年7月8日

情報が古くなってきたので、最近の情報を追加したいと思います。一部過去の経験からの類推もありますため、あまり比較としては現実的な話ではない部分もありますので、一つの参考としてお願いしたく思います。

現時点で世界最高峰はおそらくMSB Select DACです。次はChord DAVEです。Select DACは聞いたことがありませんが一つだけ根拠があります。DAVEは実際に試聴経験があるからです。DAVEはかつて聞いたことがないようなクオリティでした。なので時点では正直下記ランキング内ではこれら最新機種と比較できるレベルに有るものは無いと思っています。(おそらくHugoレベルでも5位以下のDACと比較して同等かそれ以上でしょう)

その一つの根拠となるのはこちらの測定値です。

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Select DACは現在最高峰の測定データを持つDACです。もちろん測定値が全てではないのですが、この領域となると絶対的な設計品質やノイズ対策の徹底された製品クオリティの差が明らかなほど超ハイレベルな世界です。実際に-160dBV以下となるともう空中の外来ノイズのほうがよほど大きくなるので、対象を正しく測定することも難しいような世界です。もちろん測定値は絶対的な指標ではないですが、ここまで圧倒的に良ければ聴感でも結果が良いという確率は上がります。あくまで確率ですが。

次にDAVEの測定値を見てみます。こちらも超優秀です。MSBでいえばDiamond DACと近いレベルです。下記ランキングでのMSB Platinum DACはこの図ではAnalog DACと最も近い領域ですので、もうPlatinum DACよりDAVEがより優れている可能性はかなり高いと考えています。実際に音質で圧倒的インパクトが有ったのはDAVEです。Select DACはさらに上を言っている可能性があると考えています。

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実は先日DAVEを購入したのですが、納期が長いのでまだ届いていません。届いたら自作品のAK4495Sと直接厳密比較してみたいと思います。その時こちらの記事にも追記予定です。

1.Lavry Engineering DA924

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2012年のフジヤエービックのDAC試聴会で聞きました。単体DACの業務機です。Lavry Goldともいわれているみたいです。自分はこのイベントでしか実物を見たことがありません。

これは他とはちょっと異質な音で非常に滑らかな音です。特別な特徴がなく、どうだ癖がないだろう!って言わんばかりの音です。マルチビットのDACらしいのですが、同じような自作のフルディスクリートマルチビットMSBモジュールを使ったDACともまたぜんぜん違う音でした。というかこのDACと似たような音がする機材は聞いたことがありません。すごく余裕が有る、少し軽やかだけどしっかりした音です。

表現が難しいのですがパッと聞いてごく普通の音に聞こえるのですが、この普通の音を出すのがすごく難しいです。どこをとっても上質です。言葉で説明しようとすると特に特徴がない音になってしまうのですが、トータルでは独特の魅力を感じました。分離の良し悪しとか全然気になりません。それくらいバランスが良い音です。これは90年台の機材なのですが古さを全く感じさせません。登場した時代を考えると、時代を超えた名機としか言いようがありません。ということでとくに文句をつけるところもないので一位です。

内部設計についてはこちらに記事がありました。すごいです。

http://audithall.exblog.jp/tags/DAC924/

2.Metric Halo ULN-8

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これだけ視聴環境が他と異なります。これはStudio Arte-Refactで聞きました。

これは良かったです。スタジオ主にきいた話だとPrism SoundのOrpheusもこれと同格くらいで別の良さがあるとのことでした。これは分離が良いし駆動力もある音でした。高い音は結構荒くてガサガサしてるので品位とかは全然ないのですが、そんなことは些細なことと言えるくらいに分離が良くて空間の前後感のある音でした。価格も高いが高いだけじゃなくて音も良いです。いいアンプ回路を積んでいるのでしょうか。AD/DAとしての測定特性は極めて突出しているわけではないのですが出音は特性以上に良かったです。中身の写真を見ても普通すぎなので何で音がいいのかよくわかりません。

ちなみにこの当時の自作品としてはDual1792DACとMSBのディスクリートマルチビットモジュールを使ったDACがあったのですが、実際に聴き比べてみるとULN-8には分離で負けてました。この当時(2013初頭)の自作品はまだまだ課題が多かったとはいえ、正直比較するまでマルチチャンネルのIFに負けてしまうとは思いませんでした。なのでLynx Hilo<2013年版自作DAC<ULN-8という順位になります。

3.Playback Designs MPS-3

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これもDAC試聴会で聞きました。分離だけなら1位かもしれませんが、音の方向性があまりにも好みではなかったので3位です。

見た目だけじゃなくて音もすごい硬質でゴリゴリしています。ハイも結構キツ目の音がしていました。なので分離以外はあまり好ましい音色ではなかったのですが、その描写のクオリティは認めざるを得ません。パワフルで固い音なのにやたら空間が広くて分離が良い音でしょうか。

内部ではFPGAで全てDSDに変換され、DSD以降は既存のICを使わないでそのままアナログに変換しているらしいです。その辺りが音質の良さの秘密だと思います。この技術についての情報はこちらにあります。DACモジュールも頑張れば入手できるのかもしれません。

http://www.akdesigninc.com/products_dacmodule.html

4.MSB Platinum DAC

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これと同等品をイーディオで借りたことがあります。DACは完全ディスクリートのマルチビットです。音は3位のプレイバックデザインとある意味似ています。プレイバックとの優劣は分かりませんが固めの音質で分離が非常によく、レンジも広い音でパワフルです。違うのは高域の綺麗さで綺麗さはこちらが上です。こっちは長く聞いていられる音です。トータルのクオリティは申し分ありません。

正直このへんまでの順位は正確じゃないですね。ここまでの機材はどれも相当のハイレベルで、ここから下とは別格と言っていいと思います。

DACモジュールのデータシートはここにあります。同じモジュールを使った自作DACはULN-8に負けてしまいましたが本家のMSBDACはその当時より新しい自作DACよりさらに良かったので実際には本家MSBDACならばULN-8を上回っている可能性も十分にあります。冷静に考えたらディスクリート構成の高級単体DACがマルチチャンネルAD/DAに負けているというのも変な話ですし。もちろん絶対にありえないことではないと思いますが。機会があればULN-8ともう一度厳密に比較してみたいです。

http://www.msbtech.com/oem/mp-acd512.pdf

5. AIT DAC (Dual ES9018)

(2015/01/08追記)大分前からオーディオのコミュニティで一世を風靡しているAIT labo社のDACです。熱烈なファンがいらっしゃいますから、荒れるかもしれないのでタイミングをずらして投稿しました。聞いたのはDSD対応、Dual ES9018仕様の時期のものを自作品、その他いくつかのものと比較して聞いたことがあります。正直価格性能比はかなり高いと思いますし、一線を越えた製品に仕上がっていると思います。ですが4位以上に抜けるような音ではないと感じました。その理由を説明します。

このDACの最大の特徴は高音の綺麗さにあると感じました。このような音は正直他で聞いたことがありません。この点が非常に優秀で多分この中では比較できるのはLavry Gold = DA924だけでしょう。大抵の業務機では高域の綺麗さは二の次で分離重視が基本ですし、オーディオ向け製品はサラっとした聴き心地の良い音に仕上がっていることが多く、このようなつるつるに磨きあげたような音質の製品は他に知りません。この部分の趣向が合えば最良のDACとなるでしょう。開発者は音質について意識していないようですが、徹底した技術と特性追求の結果として、このような個性的な音質に仕上がっていると思いました。

ですが弱点は最後の分離です。十分ハイレベルですが超ハイエンド級ではありません。多分Lynx Hiloと同じくらいです。HiloはCS4398ですがAIT DACはES9018のDualという基本性能で言えば圧倒的に有利(CS4398とES9018は同じ条件ではES9018のほうが分離がいい音)なはずですが抜けきりません。レギュレータの配置を見た限りでは理想状態なのでもっと音の分離が良くてもいいのですがそうでもないです。この辺りAITは突出させたい音の方向性がそもそも違っている設計なことが原因だと思っています。この音質傾向をたとえるならばアルプスのミニデテントが似ています。なめらかで嫌な音を出さないですが、そのかわり情報量が減ります。これと同じ方向性です。もちろんレベルは全然違いますが。

というわけで私自身の評価軸は分離の良し悪しが重要なのでトータルではこの順位という形です。最終的に自作品を超える分離は持っていないと判断したのでこの位置になります。正直一線を越える分離の良さを聞き取るためには訓練が必要ですしほとんどの方は音楽をそこまで解析的に聞く必要がないと思うのでそのような性能は不要かもしれませんが。

5.THETA DSpre

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ビンテージです。友人の引き受けた修理を手伝った時に借りました。古くて特性も良くないのですが、反面実際の出音はかなり良いです。音色はパワフルで濃厚な音というのでしょうか。少し柔らか目で密度の高い音です。90年初頭頃のハードシンセを知っている人なら何となく想像できると思うのですが、とにかくず太くてしっかりした音がでます。独特の雰囲気がありますね。

こういう音は現代の機材ではなかなか出なくなってしまった音色です。時代を考えると分離も驚異的に良いです。こういう古い機材は測定してみると大抵特性は悪いのですが何故か音は良かったりします。オーディオの不思議です。ちなみに自作品はこれより分離については良いので5位にしてあります。

6.Lynx Hilo

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所持品です。現在でも最高峰の測定特性を誇るAD/DAオーディオインターフェースです。マイクプリはないので録音する場合は別途マイクプリがいりますので既に機材を持っている人向けですね。こいつの主な用途は測定用なのでほとんどこれにつないで聞くことはありません(これも自作機のほうが上なので)。

一番の売りと思われる部分は測定の特性です。Lynx Hilo RMAAで検索すると出てきますが測定値は素晴らしく特に低音のSNが驚異的です。100Hz以下は1/fノイズの影響もあってなかなかSNを稼ぐことが難しいのですがこれは最低域まで全く劣化しません。メーカーの測定例でもここまでのデータはなかなか見ません。これは相当気を使った対策をしていると思われます。ですが最近は測定もあまりやってないのでサークルの歌い手さんにレコ用で貸したりしてます。

ちなみにこれも2012年のDAC試聴会で他の機材と同じ条件で聞いたのですが、現場でLavry Goldと同じように全然癖がない音に聞こえました。搭載しているICの世代も新しくLavry Goldよりも繊細でレンジも広い音ですし細部の表現も綺麗なのですが、こちらは比べてしまうとどこか余裕のない必死な音に聞こえました。電源設計の差ですかね?もちろん十分良いのですが実際の音から受ける印象は全然違う感じです。

ちなみにすぐ隣にAntelopeのEclipse384が置いてあったので何度も比較したのですが、Eclipse384よりこちらのほうが緻密でなめらか、細かい音がよくでていたように思います。

7.dCS Debussy

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DAC試聴会で聞きました。 めちゃ高いDACです。これがこの位置なの?と思うのですが、ラインナップ下位機種のせいかそれほど良いとは思いませんでした。基本サラっとした上品な音なのですが、これは色付けの音だと思います。殆どの人は好む音色だと思いますが化粧で粗を隠している感じがします。オーディオでは良くても業務用ではダメな方向性です。といってもこの位置くらいに来るクオリティはあったので、さすがdCSと言った方がいいのかもしれません。

この日は同じ条件での試聴ですから結構まともな比較が出来たと思うのですが基本性能では正直Lynx Hiloのほうが良いと思いました。まぁこれは上品なカラーが最大の特徴だと思いますしリスニングでそれが合うかどうかという機材だと思います。基本性能を求めるならもっと高価な上位に行かないとダメぽいです。

8.Antelope Eclipse384

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Lynx Hiloの隣においてあったので本体のヘッドフォン端子同士で比較したのですが、この条件ではHiloのほうがレンジ、分離、癖の無さ全てにおいて良かったと思います。これはちょっと荒い音質で若干不利な感じがしました。実物は見た目が大きくて迫力があるのですが実際の音での説得力はもうひとつでした。価格はHiloよりずっと高いですが192kまでなら個人的にはHiloを買ったほうがいいんじゃないか?と思いました。

ただしこれはあくまでヘッドフォンでの出音の比較なので単なるアンプ部の質の問題かもしれません。AD/DAのクオリティはもしかしたら良いのかも?と思うのですが、残念ながらRMAAの結果を探したのですが見つかりませんでした。

AD/DAのサンプリングはまだまだ少数派の384k対応らしいので超ハイレゾでレコーディングしたいとかの特殊用途向けにはありかもしれません。

9.Lavry Engineering DA10

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元所持品です。ここから価格帯が一気に下がります。そして順位も怪しくなってきます。とにかくこいつはこの価格帯では分離だけは一番良かったです。Lavry Blueと設計がほぼ同じらしいので業務機としてモニター用の単体DAとしてみたら優秀な方だと思われます。音色としては荒いし品位もないのですけど、とにかく安くて分離重視ならありですね。内蔵アンプも結構力強い音です。中身を見るとICオペアンプも使われているのですがここ以下の製品と比べて一皮むけた音で、これはディスクリートクオリティです。

本当は以前にレビューを書いたFireFace800辺りと比較したいのですが残念ながらそのような機会もなく、DA10はもう売却してしまいましたので比較不能です。でもApogee MiniDACの位置から判断すると、FF800よりはさすがにこっちのほうがいいんじゃないかと予想します。

10.Apogee miniDAC

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元メンバーのゆうま氏の所持品です。故障した時に自分が修理したのでその時に比較しました。DA10のほうが分離や駆動力などが良いのですが、こちらは元気でメリハリの有る音ですね。以前にApogeeのRosetta200について書いたことがありますがそれを思い出します。Rosetta200はこれよりもう少しいいと思いますが大まかな傾向は同じでしょう。今まで聞いたApogeeは忠実系じゃなくて結構はっきりしたカラーがあるメーカーなので、録音した音が前に出てくるとかそういう方向性を狙ってると思います。業務用として使える基準はクリアしているんじゃないでしょうか。

11.Benchmark DAC1

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昔、話題になったDACです。友人が持っていました。悪くはないのですがDA10と比べると最後の分離で負けています。ぱっと聞いた感じは切れがあって解像度が高いように感じるのですが、奥行とか前後の描写がやや苦手で平面的です。丁度ICオペアンプの限界につまづいている感じの音です。MiniDACとクオリティは近いですが、比べてしまうとこちらは特に音楽性に優れているわけではないのでこの位置になります。測定した特性はDA10よりいいのですが耳で聞いた順位は意外と関係ありません。

12.Fidelix Caprice

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所持品です。重要なのはこれはヘッドフォンでの評価だということです。内蔵DACのクオリティならDA10よりも上の実力はありますがヘッドフォン出力の音の籠もりはどうしようもありません。正直このヘッドフォンアウトでミキシングは不可能です。アルプスのミニデテントボリュームが相当悪さをしています。キツさを消しているのでしょうけど音も消えています。全体的に音色は上品で優しい音がします。リスニングオーディオ用ならいい仕上がりと思います。

その他

DAC試聴会で聞いて覚えているものを書きます。ここで書くものは多分DA10以降のものと同じくらいのクオリティです。DA10は超えている可能性もありますが試聴会当日の印象では明らかにEclipse384、Hilo以下でした。

  • Grace Design m903
  • Mytek Digital 192DSD-DAC

ここから更に落ちるものはこちらです。こちらはほとんど持ってる機材なのでちゃんと聴き比べてしています。大抵のオーディオインターフェースはこの位置です。だいぶ前なのであやふやですがRMEのFireFace800は以前の印象ではここよりは確実に上に行ける(Benchmark DAC1位?)と思います。

  • TC electronic Konnekt24D
  • E-mu 0404Usb
  • Asus essenceSTX
  • RME HDSP9632
  • YAMAHA 01V96

ひどかったもの

  • Roland UA-4FX

一度借りました。歌い手さんがよく使っていますがこれの音質は最悪です。耳で聞いてわかるノイズがありますし、測定データもひどいです。凄い売れてたみたいですが出来る限りこれを使うのを辞めましょう。