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アイカツとラブライブとプリパラと音楽性

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前回の続きです。今回も一部の曲を海外のMidiサイトにアップしてデータ紹介しつつそれぞれの曲について思ったことなど書きます。アイカツ、ラブライブ、プリパラ、それぞれのコンテンツの音楽的特徴とか強みについて、ちょっと考えてみたいと思います。最初は曲の分析ですが下の方に音楽性について書いています。

fashion check!

歌手:わか・ふうり・すなお・れみ・もえ from STAR☆ANIS、作詞:uRy、作曲:石濱翔

Midiデータ
http://www.hamienet.com/midi39819_fashion-check.html

この曲、なぜか非常に印象に残りました。どこが強い?って言うわけじゃないのですが、しばらく頭のなかグルグル回っていました。なので気になって音取りをしました。結局印象に残った理由は謎のままなのですが、気になったポイントだけ書いておきます。

まずMidiデータの出だしのコード、ちょっと変えたほうが良いのでその場所について。下の青丸のところはちょっと修正です。出だしからトライアド(3音構成の一番フツーの和音)はジャンルから言ったらかなりダサいので修正したいです。原曲ではキーボードのベース部分は相当EQで削っているので少ししか聞こえないのですが原曲もよく聞きなおしてみたらこっちのほうがあってる感じに聞こえました。

正直この曲は最初に聞いた印象よりずっとシンプルでコードもトライアドが多くて、意外でした。もっと複雑で大人っぽい音にすることは出来るのですが、あまりやり過ぎるとわかりやすさから遠のくし、まず女の子のピュアな感じから確実に遠のく(こっちのほうが大事ですね!)ので、あえてそうはしなかったのだと思います。このあたりはファッションといいつつもまだ若くて純粋な世代のイメージを大事にした故のバランス感覚だと解釈します。

fs1

そしてこれイントロの進行なのですが基本的にサビも同じような流れです。このなかであえて何かを書くなら上のコードネームがある場所です。最初はおもいっきりEb調の重力圏内コードなのですがこの調での終止にあたるC7がドミナント7thでメロもルートではないところを通っています。コードの場所的には終止ですが意味合いは終止ではないです。

このあたりはジャンル効果が出るところで、コテコテの終止だとこういうおしゃれ系なイメージになりませんので、あえて完全終止しないで浮遊感を出しているところでしょうか。ラブライブみたいなコテコテ系だとしっかりメロもコードも終止決めていってる曲が多い印象ですが、ああいう脂ぎった感じじゃなくて、この曲はオリーブオイルですね、サラッと。あとはメロもそうですが半音移動を要所で使用するのもこの手のジャンルだと重要な気がします。5度とかで力強く終止するのではなくて、あくまで優しく半音で決めます。

次にもう一度繰り返しの部分ですが二度目はG7-Cと終止します。今度はメロもCで終止するのですが、ここではコードの辿るところが1度目とかわります。G7は普通にEb調の重力圏内の音で、ハーモニックマイナーを使うとこのコードになる筈です。この程度だとそんなにひねっているとはいえないですが同じ音を繰り返すよりはずっと良いですね。そしてここも半音で移動してます。

次に気になったのはここです。

fs2

ここは歌詞で言うと「ピンクは~」のところからです。ポイントになるのは「緑は~」のところです。ここはAM7ですが前後の調はGbで、ここだけAになるのでちょっと距離ありますね。普通にそのままつなげると少しだけ強引になってしまうので、ここでは3つの手法で必然的な流れを作っています。

  1. ベースが完全に半音下降でAの登場が必然的な流れを作っている
  2. シンセの半音下降が入り、着地はコード成分(上矢印の場所の流れ)
  3. メロが同じ形の展開と繰り返しをしている(図の□で囲っている所)

数字は重要度です。1がないとあまりうまくいかないパターンになりやすいかと思います。2と3はダメ押しですね。ここまでやっておけば必然的な流れでの音運びに見えますのでちょっと突飛なコードを使っても何の違和感もなく聞けてしまいます。

こう考えると前回の「いろはにほ」みたいにおっ?て技が次々出てくる曲じゃなくて、全体的には無難でごく普通な曲ですね。多分この曲が印象に残ったのは単なる個人的趣味であって客観性はなさそうです。次のラブライブもそうなのですが別に技巧的に凄いから良い曲かというとそれは別です。シンプル極まりなくても凄い良い曲もある、というかそういうものがほんとうに強い曲だと思います。

そういえばこういうフランスぽい感じ?の曲は個人的に好きだったのですが、アイカツだといくつかありますね。貼ってないですけど右回りWonderlandとか、あとはこちらです。

こっちはラウンジ系って言うんですかね。こっちのほうがファッションチェックより少し大人っぽい感じがしますが音取りはやっていません。あまり音感ないので音取りして音符見ないと細かい所はイメージでしか捉えられませんし、聞いた感じと実際の音符が一致しないんです。単に修行不足だと思いますが…。今度中毒になったら音取りしてみます。

これを音符じゃなくてイメージで聞いた感じだと終止の音が明確に出てこない印象なので、やはり強いイメージはなく浮遊感ある進行とメロディが中心のように聞こえました。この辺が大人っぽく聞こえる理由じゃないかと思います。ゆるふわ系女子がひたすら焦らし続けるような感じ?ですかね。一途じゃなくていつまでもフラフラしてる感じとなるとけしからんですしピュアではないですねー。

アイカツの音楽性

こんな話今更すぎるかもしれないのですが最近調べて詳しく知ったので勘弁して下さい。

上記のようなアイカツの曲を調べているとモダンでポップな楽曲が多く、楽曲から感じるイメージは現在のこの手のアイドルコンテンツの中ではセンスの良さはアイカツが一枚上手な印象でした。

たとえば次のようなDubstep系のエッセンスを入れた曲や切り貼りを使って遊んでいる曲があるのはアイカツの特徴かもしれません。メロとか曲調の根幹になっているのは過去のJ-Popなどでも十分あった感じなのですけど、そこに乗っかっている音色、サウンドは最も今風じゃないかと思います。

ラブライブの音楽性

ラブライブは80~90年台頃の古い名曲をかき集めたような、懐かしい感じのコテコテ濃い目の歌謡曲な方向性を強く感じます。アイカツのようなモダンで今風なんてのは多分最初から眼中にないしコンセプトから外れていると思うのですが、初期からそのへんのコンセプトは一貫しているためそこに特化する企画なんだと思います。アイカツがパスタならラブライブはラーメンでしょうかね。しかも油強めです。

しかしどの曲もメロが強くてハズレが少ない印象的なので、ラブライブは全体的に非常に良く出来ていると思います。

曲のクオリティコントロールは普通に依頼して曲を作ってもこのような粒ぞろいな感じにはまずならないので、内部でコンペ形式で良い曲だけ選別しているか、強い指揮の元で徹底的に良い曲になるまでリテイクやブラッシュアップするような制作体制があるのかもしれません。そして演奏家の実力、仕事っぷりも見事です。曲に合わせて演奏するだけではなく引き上げることのできる演奏家を使っています。彼らがいなかったらラブライブの楽曲はここまで粒ぞろいになっていないと思います。

Mermaid Festa Vol 1

歌手:μ’s 作詞:畑亜貴 作曲:俊龍

Midiデータ
http://www.hamienet.com/midi39820_Mermaid-festa-vol1.html

この曲個人的には好きなんですよね。ですが音符見ても特筆するところがありませんので音符は出す必要がなさそうです。あえて言うにしても「伝えたりしないひみつ」のところのm7-5くらいですかね。他は基本ド安定です。しかしヒット曲は決して技巧的な難しい必要はなくて、むしろそういう部分がほとんどない事自体が強い理由かもしれません。本当はもうちょっと突っ込んで解析したかったのですが、ピアノロール見てて特に引っかかるところがなかったです。こういう曲の分析はもっと実力ある方じゃないと無理なんでしょう。

この曲で特に良いところはベースの人が凄い良い仕事しているなというところです。ベースがもしルート通るだけの打ち込みだったらこの曲は全く輝いていなかったと思います。この曲は二番以降もベースのプレイから耳が離せません。1番と2番でプレイが全然違います。ラブライブは全体的に演奏隊がいい仕事してるように思います。ということで普通はボーカルを聞くのかもしれませんが自分はこの曲はベースを聞くべき曲だと思いました。

(ベースについて補足。音色が明らかにシンセなので生ベースではないのですが、編曲家の人が鍵盤で入力しているかベースで演奏してMidi変換しているかもしれません。内容、レベル的にはこの曲のベースは打ち込みではなくて演奏だと解釈しています。)

この曲調、なんとなく南国の夕方っぽい感じがしますし、上の絵でもそうなってますね。ジャンルで言うと多分ですがギターやクラップが入っていたりとフラメンコのエッセンスを感じるのでフラメンコの一種なのかなと思います。例えばこんな感じです。

もう一つ。全然ポップじゃなくて思いっきり現地っぽいノリの、原点により近い民族系フラメンコはこっちですかね。どことなく中東の匂いを感じます。民族のルーツか音楽のルーツが近いところにあるのでしょうか。10分ありますけど引きこまれて聞いていまいました。6-8分のあたりにむけて熱くなっていきます。

話がそれました。ラブライブのテーマである90年台の日本の曲でこの曲に似ている感じというとなんでしょうか。知っている限りは林原めぐみさんの下記の古いCDに雰囲気が似ている曲があります。このCDの2曲めがなんとなく似てるかなって思います。細かい所はぜんぜん違うのですけど。本当はこれ以外にも似たような曲あった気がするんですけど思い出せなかったです。

1994年7月2日発売 「sphere」

このCDはなんとなくなんですけどラブライブっぽい曲調が多いような感じを受けます。まさにこの時代なんでしょうか。いまだと殆どなくなったような曲調もありますね。試聴もありますのでもしラブライブの濃い目の曲好きなら一度聞いてみてください。ジャケクリックで飛べます。アフィリエイトは入れてません。

といってもこのCDは所詮声優CDなので、本当は別に似たような曲がヒットしていて、ラブライブはそれを元にしている可能性もあります。ラブライブはどこかで聞いたことがあるような曲が多いので、昔のヒットソングを参考にして~の曲風っていう指定があって作ってるのかもしれません。

プリティーリズムとプリパラ

このなかだと一番影が薄い感じだったのですが、最近はまた路線が変わったみたいですね。特にプリティーリズムの時代はなんとなくアイカツとぶつかるようなちょっとセンスの良い路線を目指していたように思うのですが、どこか煮え切らない感じがありました。

プリティーリズムの大半の曲を担当している作曲家の長岡成貢さんは個人的なルーツとも被っていて古くから非常に尊敬している作家なのですが、仕上げとサウンド面でもったいない曲が多い印象でした。ラブライブみたいな演奏家による強力なフォローも全然ないですし、そもそもクライアントの指定と思われる今風っぽいサウンドみたいなのは合ってないかもしれません。まず使っているシンセが古そうなのでサウンド面で古さを感じる点と、リズム隊がベタッとしている印象なのでドラムを生演奏にして演奏のフォローがあったら全然イメージ変わったのではないかと思います。音符面は強いのですが、こういうところ納期短くて予算なかったのかなぁとか思ってしまいます。

後継のプリパラになってからはアイカツと競合する路線から撤退したのかちょっと方向性を変えてきた印象です。それでも初期はそんなに突っ込んでいる曲の印象はなくて、アイドルコンテンツ内の比較では楽曲面では最も影が薄かったです。中には良いなーって曲もあったんですけどこれはアイドルっぽいかというとちょっと疑問な曲ですね。

こちらなんですが、これは凄い良い曲と思いました!

しかし最近は何かに目覚めてしまったのか、電波っぽい曲が出てきましたね。

それにしてもこの曲、このリズムの取り方や展開、めちゃめちゃARMさんぽいですね!理不尽で激しい展開は現代電波の構成ですが、この感じは他の作家では聞いたことがないので、これは本当にARMさんの電波を参考にした曲かもしれません。

たとえばこの辺です。他にも似てる曲あったと思うのですがぱっと出てこないのでとりあえずこれだけ紹介しておきます。

でもARMさんの曲が展開の唐突さよりもサビの強さが最大の特徴なのに対して、あじみちゃんのほうは残念ながらサビが弱くて比べてしまうと劣化版というイメージが拭えません。どうもプリパラはABまでの曲想がよくてもサビで残念って言うパターンを何曲か聞いたので、そのへんをまとめあげる制作体制がないのかもしれません。ですが電波系に思い切って舵を切って他のアイドルコンテンツにはない路線を開拓する手段として凄い良い試みだと思いました。

あとは良かったのはこの辺ですね。これも初期では見られなかった曲調です。長調と短調で二人の対比をしている曲です。これも電波系からの引用ですかね?自分もここまでコンセプト明瞭じゃないですが長調+単調で反復する曲は電波系でやったことがあります。普通のボーカル曲ではなかなかやろうとは思わない試みです。こっちはサビも良くはまっていて好印象です。

むしろこういうファンタジックでアニメ的、キャラソン的な路線こそがプリパラの一番強いところかもしれません。ということでプリパラは今後に期待できそうな流れを感じます!