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Chord DAVE来ました!(とても高額なDAC)

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自作ノウハウとは直接関係ない記事なのでオーディオ部ページじゃなくてBlogにかきます。

オーディオインターフェースの比較ページで実は購入してしまったと書いたのですが、ついにDAVE来ました!これは貸出機じゃなくて、購入です。かなり高額品ですので飛び降りる覚悟が必要でした…。なので、これから開封したり改造しても怒られないぞ、と思いながらも超高額品なので当分そんなことは出来そうにありません。

今回はDAVEの再生音をレコーディングした音のアップ、簡易測定値、音質の特徴について前回よりもっと詳しくレビュー、あとはこちらのAK4495Sと比較について触れてみたいと思います。DAVEの音質のレビューは以前にも書いておりますが、前回は店頭で聞き慣れない曲でしたので正確ではない部分がありました。しかし今度はじっくり長時間かけて耳を鳴らした結果について書きたいと思います。

DAVEの音質について

音質に耳がなれるのに3日ほどかかりました。到着した日は良さはわかるのですが全く文章化出来るような感じじゃなくて、漠然とした捉え方でしかなく、しかも音質評価についても何度か評価が変わったのですが、ここにきてようやく印象が落ち着いてきたのでそれについてまとめてみたいと思います。

まずは前回違和感があると書いたDAVEの音質についてですが、この正体は前回書いたようなスイッチング電源による荒れた音質などではなく、全く違うもののようです。自宅で普段聞き慣れた曲を聞くとよくわかるのですが音の荒れ等は全く感じられず、実際にはかなりなめらかな音質であることがわかります。しかし普段とは異なる聞いたことのない「何か」があるという印象だけは残りました。

長時間聴き比べをした結果、わかったのは音に満ち溢れるエネルギーにあるようです。このような音質はDAVEで初めて聞きました。Hugoでは高域で僅かに感じた特徴ですがDAVEは全帯域でエネルギーが溢れます。とにかくDAVEが圧倒している最大の特徴は分離の良さなどよりも、音に宿るエネルギーの強さにあると言えそうです。

音のエネルギーというのは表現が難しいのですが、どのようなタイミングでも乱れずにすべてが正確に立ち上がって消えていく感じです。ハイスピードでありながらトルクが非常に大きいイメージで、音の粒ひとつひとつに押し出すパワーが有り、決して揺らがない、芯がかなり強くしっかりしている印象です。単純な分離の良さだけではなく、一音一音にエネルギーが伴っているので、これは極めてハイクオリティと言わざるを得ません。

通常エネルギー感の向上する典型的な事例はパワーアンプなどで一番わかりやすい電源強化です。しかし電源強化の場合でも音のエネルギーが上がりますが、まず低音が充実する方向からはじまり、次に中高域の透明感が出てくる、という流れになるので今回のケースとはちょっと違います。DAVEの場合は低音が伸びる方向じゃなくて、むしろ中高域に強いエネルギーが集まっている感じで、これはあまり聞いたことがない方向性です。DAVEの場合は低音は量感をあまり感じさせないスマートな描写で、どこまでも伸びている低音というより必要十分の量で収めている感じがしますので電源強化とはちょっと違う気配です。

とにかく、このあふれるエネルギーこそが、どのような曲の中でも異様な分離の良さを維持している一つの理由になっていると思っています。これは単純なS/Nの良さとも違う方向性のように感じています。そしてこのエネルギー感が良く言われる「Chord特有の癖」と言われるものだと思います。しかし癖と言ってしまうと悪いものも含めた広範囲な意味を持ってしまうので、これは設計に何か問題やボトルネックが有るときに現れるような悪い癖とは一線を画する別のものだと認識しておいたほうが良さそうで、突き詰めた結果にじみ出る個性であると言ったほうが良さそうです。

WTAフィルタによる効果か?

確定かどうかはわかりませんが時系列の正確さについての話を思い出します。当方の実験でもTCXO等の高精度クロック(ロージッターではなくて)を使った時の独特の安定感やアタックの力強さはDAVEの方向性と近いものがあるかもしれないと思い当たりました。実際にChord社の指摘する超ロングタップWTAフィルタの優位性の一つにタイミング精度の改善があり、それによって従来のオーディオで必要とされていた高精度クロックを不要化する、という話がありましたので、このエネルギー感はその追求結果なのかもしれません。

WTAフィルタと優位性の話は別のサイトに詳しい説明がありますので、そちらを参考にしてもらったほうが良いと思います。

このフィルタ長による音質の違いについてですが、音楽制作者の方にしかわからない例えですが、フィルタ長による音質の違いを確認する方法は、音楽制作用プラグインでFabFilterなどのFIRを使ったEQの設定タップ数を増やしていくと音がどんどんなめらかで張り詰めたような感じになります。あれをさらに突き詰めていくとDAVEのような独特のエネルギー感がある音になるのかもしれません。あくまで一説でしかありませんが、DAVEはフィルタタップ長については圧倒的ですから相応の突出した特徴ある音質に仕上がっていてもおかしくはないです。

これはNOS(ノンオーバーサンプリング)とはまさに真逆の方向性のはずですが、DAVEの音はオーバーサンプリングの方向性を突き詰めたゆえの説得力がある音です。これはNOS派も一度聞いて見る価値はあるように思います。

フィルタの種類とタップ長の音質差

WTAフィルタではないのですが、イコライザーで使用するフィルタの種類とタップ長による聴き比べのための音源を追加しました。曲は下で紹介しているすりーぷ!のものと同じです。

まずこちらがオリジナルの音源で、何もいじっていない「原音」です。これにFabFilterのEQを使って再マスタリングを施します。個人的にオリジナルはピチカートとアコギの低音が物足りないのでボーカルのウィスパーさを残しつつそれらの帯域の厚みを補強するような調整をしてみました。ついでにウィスパーな感じ+ボーカルの中央帯域もオリジナルより強調してみます。

フィルタの種類とタップ長の音質差は派手にEQで調整したほうがわかりやすいのであえて大げさに変化をつけます。画面上ではこんな感じです。そのままEQでブーストすると音割れになってしまうので、Cubase上で-3dBしてからEQ、リミッターという処理です。EQカーブはすべて共通ですがフィルタのパラメータのみ変更して違いを聴き比べてみます。

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Zero latency 位相ズレを伴うタイプですがプリエコーの影響がありません。DACではAyre等がこれを推奨しています。普通のアナログEQはすべてこのタイプになります。

FIR Max latency プリエコーがありますが等位相です。最大レイテンシ(最もロングタップ)の設定です。DAVEに最も近いのがこの設定と思われます。

FIR Low latency レイテンシの低いFIRフィルタです。一般的なDACはこれに近い方式です。

AK4495Sと音質の比較

あとはうちのDACとの比較になってしまうのですが、最新のローノイズ電源に変更したAK4495S-DACはDAVEと比べると線が細く繊細で丁寧な描写が印象的です。特に左右の広がりの絶対的な幅、定位の緻密さ、一つ一つの音像の細かさ、これらについてはDAVEと比較して明らかに優位性のある部分でしょうか。左右方向の解像度はこちらのDACが明らかに良かったです(DAVEのクロストークは平凡なので最も超えやすいスペックでしょう)。また音のスピード感も基本的にはですがこちらのもののほうが早く聞こえます。しかしパワーが劣るので音数が増えてくるとスピードの速さを活かせておらず、大雑把な描写に聞こえる部分、混濁する部分が出てきてしまいます。

基礎的な音像自体はDAVEのほうが若干大きいですが、安定感と力量があるため音の多い少ないにかかわらず常に安定した分離、分解能を誇ります。こちらのDACでは音数に依存して音像の大きさがブレる印象です。音数の少ない時はこちらのDACのほうが分離がよく緻密な描写が光りますが、音数が多い&スピードの異なる楽器が入り乱れるときには音像が滲んでやや見通しの悪い部分が出てくるようです。特に音が混濁しやすい中域でわかりやすい差が出やすいようです。DAVEはどのような難易度の音源を持ってきても中域は常にクリアな印象です。

高音の違いは、綺麗さなめらかさエネルギー感の強さ等はDAVEの特徴で、こちらのDACの高音は伸びはあるが色も有るように聞こえました。こちらのものはデジタルフィルタがデフォルトでIIRフィルタを使用しているので高音の原音忠実性は不利ですが、そのかわり中途半端なFIR使用DACにある不鮮明な立ち上がりの副作用も少ないので、若干ですがNOSに近い明瞭な音の立ち上がりと粒立ちになっているはずです。

低音については解像度自体の格差は現状ではさほど感じませんでした。DAVEの低域はHugoと違って痩せた物足りない感じでは全くなく必要十分な低域であると感じさせます。そして十分な重さをまとっていながら非常に軽やかな動きです。反面こちらのDACでは伸びがありますがより重い感じ、というかこれが普通だと思うのでDAVEの低音が軽やかすぎると思いました。こちらのDACもよくある設計のDACと比べると立ち上がり自体のスピードは十分速いように聞こえるのですが、収束速度がブレているのか上記に書いたタイミングの正確さでややズレが有るような重い感じがあります。これは何が理由なのかわかりません。これもタイミング精度が理由でしょうか。

以上です。色々と描写の方向性が異なるので単一システムだけでの聴き比べではわからない部分もたくさんありますので、これから色々なシステムに繋いでみてどのように聞こえるのか比較してみたいです。

測定データ

Lynx HiloにXLR接続でDAVEの出力を接続して取ったものです。測定は音質を示すごく一部でしかないので参考程度です。

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Chord DAVE XLR output 1kHz THD

素晴らしいのはTHDで、この画像では0.00006%ですが、こちらで測ってもっとも低い状態のときはなんと0.00003%でした。いままで観測史上最高がES9018の0.00005%、AK4495の0.00009%ですので、更に上回るスペックです。AK4495などは最大音量時には悪化してしまいますが、DAVEは常に安定してTHDが低い状態にありますので余裕があります。

しかし気になったのはノイズフロアの高さです。この図で見ると低周波領域では-140dB程度までノイズフロアが上昇しています。内蔵ボリュームの値にかかわらずこのノイズフロアは一定です。そして電源を切るとノイズフロアも下がるのでこのノイズは確かにDAC駆動中のみ出力されていることがわかります。

しかしChord社の公開しているデータ↑ではノイズフロアは-180dBくらいの位置にあったので、これはちょっとおかしいと思います。この違いは何が理由なのでしょうか。

このFFTをよく見ると500Hzから下の低周波のほうで1/fノイズが-150dBくらいまで上がっていますので、こちらのものと比較して測定レンジが10dB程度ずれているとみたら低周波ノイズについては案外妥当なのでしょうが、それでも500Hzくらいから上のノイズフロアはこちらの測定でも-170dBくらいまで下がるはずですから測定限界でも良いはずです。しかしDAVEの1kHz以上のFFTには細かい起伏のようなノイズが乗っていてノイズフロアは下がりきっていません。もうあとは帯域外ノイズの影響の違いが原因くらいしか思いつきませんでした。

今回測定したDAVEのノイズフロアだと、こちらのDACのほうがノイズフロアは低いです。

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自作AK4495 XLR output 1kHz THD

そもそも測定条件が異なるのか、わかりませんが何か要因が有ると思います…。まだ原因特定は出来ていませんので、なにかわかりましたらこちらに書きます。LynxのADCによる測定結果は個人的にかなり信頼をおいているので、測定結果自体が間違っているということはほとんどないと思っています。

測定データを追加しました。

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DAVE 5Mhzレンジのノイズ分布

RCAout_ak4495s_1Mhz

AK4495S  5Mhzレンジのノイズ分布

DAVEの5Mレンジのノイズは17次ノイズシェーピングの影響か、高周波域でかなり高い値を示しています。20kHzいないの値も測定用ローノイズプリアンプ経由で観測してみましたが20kHz以内はHiloの計測結果と大差無しです。DAVEもAK4495SもどちらもノイズフロアはHiloとPicoScopeで同じように観測がされましたので、当方の測定データは妥当だと思われます。

ということで、DAVEの公式測定データはこちらとは前提が全く異なる特殊条件下での測定なのかもしれません。

録音データ

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今回は自作ローノイズマイクプリが完成したので録音環境を一新しました。ハイエンドのDACの音質差を比較するならやはり録音環境もハイエンドレベルでなければなりません。ということで今回の録音構成は次のとおりです。前回の録音よりも録音環境のみならず電源環境やケーブル類を見なおししていますので再生力自体も以前より向上していると思います。とはいえ音質差の一部を切り取って録音しているだけなので現場ほどの音の違いはありません。

  • オーディオIF : Lynx Hilo
  • マイクプリ:自作品 THAT1580+THAT1571
  • マイク : DBX RTA-M * 2
  • パワーアンプ : WF-P400(Ncore
  • スピーカ : 特注アルミエンクロージャ大型フロアスピーカ
  • ケーブル類 : Speaker&Power=似非Valhalla
  • クリーン電源 : PS Audio Power Plant P5

使用音源はこちらです。CDの詳細は画像に元サイトのリンクを貼ってあります。曲が気になったら是非チェックしてみてください。

03.Honey♥Trap
作曲&編曲&作詞:かめりあ
ボーカル:ななひら

このページでは評価と参考用としてショート版です。今回はハイエンドDACの比較なので格調高く2Lのハイレゾ音源の聴き比べを当初考えたのですが、取ってみて意外と違いがわかりにくかったので今回はこちらの音源を使います。ハイレゾでなくとも44.1kで十分違いはわかるようです。しかも今回はmp3でアップしています。

こんなので違いがわかるのか?と思うかもしれませんが、24bitで収録してからそのまま16bitへ変換するのではなくて、Fabfilterのリミッターで16bit用にレンジ圧縮処理をしています。このような処理をしておくことで悪い環境でも違いは聞き取りやすくなっているはずです。ハイレゾ音源の真価を発揮させるためにはちゃんとした再生環境が必要ですが、こうしてダイナミックレンジを圧縮しておくことで微小音が持ち上がり再生環境のレンジが狭くても元録音の情報の再現性を確保できるからです。

これはちょうどCDのマスタリングで行われているテクニックと同様です。特にリミッターの掛かる瞬間などで個別の音の違いが出やすいのでこのあたり注意して聞いてもらうとより良いのではと思います。リミッターはかけ過ぎはもちろんダメですが、程よく使うことで聴感上の情報量を増やすことが出来ます。特に再生環境が貧弱なほど有利です。今回はややかけすぎに調整していますが、そのほうが違いが分かりやすかったのでちょっと潰し気味です。

オーディオ再生のターゲットとしてはかなり高難易度の曲(レンジが広くスピードの早い音が多い)ですが、なかなか良い再生音が取れていると思います。今度マイクをもっとローノイズのものに変更しますので現状より更に録音が良くなることを期待したいです。今回は今までよりも細かい違いが取れていますが、まだまだ現場での音の違いのうち、違いの気配が取れている程度のレベルなので、もっと深いディテールを録音したいです。

1.Chord DAVE

2.最新電源(TCXOクロック)AK4495S-DAC

3.Soekris DAM1021 0.02% ディスクリートR2R-DAC

この3番のSoekris DAM 1021は真のマルチビットディスクリートDACです。CS8422からSRCを経由せずに直接デコードされたI2Sを入力しています。個人的にこのDAC基板は購入してみたものの音について全く良いとは思えなかったため未改造デフォルトのままです。一部ではマルチビットDACは非常に定評があるようですが、個人的には合いませんでした。

再生&録音ゲインはできるだけ共通にしてあります。最終的には0.2dB程度の誤差に収まっているはずです。またすべてDAC以外に電子ボリュームなど経由せず直接デジタルボリュームで音量調整し出力しています。本当はカプリース等も加えて比較したかったのですがどこかへ仕舞って見つからなかったので今回は録音することができませんでした。

正直これだけではなかなか相対的な位置づけがわかりにくいですので、参考用に今度安いローエンドクラスのDACの録音データも追加して、DACの音質差はどれくらいなのか参考になるような音源も追加してみたいと思います。

データを追加した時はこのページではなく、オーディオの録音まとめページへ追加としたいと思います。

海外のDAVEレビュー

他社ハイエンドとの詳細な比較があります。英語ですがすごい充実しています。

Chord DAVE Review – Project EvaD (Evaluation DAVE)