yohineです。せっかくBlogも復活したので空気を読まずに制作関係の情報を書きたいと思います。
ここ数年自分自身の制作環境を全く変更をしていなかった上に調査もしておらず、すっかり時代遅れになっていたのですが、久しぶりに色々と調べていたら確実に今より良い結果が出そうなものをいくつか発見したので、その中から特筆のものをこちらに紹介したいと思います。
1.Fabfilter Pro-Q
ただのEQなのですが全然只者ではないです。これは素晴らしいです!個人的に理想のEQだと思いました。ではこのEQは普通のEQと何が違うのか?次のような特徴があります。
・リニアフェイズが選択できる上に普通のパラメトリックEQと同じように使える
地味にこれが出来ないんです。実はよくあるリニアフェイズEQは使い勝手に制約があるものが多いんです。よくあるのはグラフィックEQのような単一バンドごとに操作するものですが、これだとトラックに指す場合は手数が多くて微調整には使い勝手がすごく悪いです。
WAVESのLinEQはパラメトリック処理が可能なだけでも良く出来ているのですが、代わりに低域の調整に制約があります。なので低域専用のLinEQなんてのもあったりします。それでもこのWAVESのLinEQには音質面で大変お世話になってきたのですが、これを新しく導入することで不要になります!
もちろんこのEQはリニアフェイズ設定以外も可能なのですが音の変化を嫌う場合にリニアフェイズの選択肢が欲しい場合が結構あります。このEQはどちらも選択できるので優秀です。
・M/S処理ができる
M/S処理といえばWAVESやBrainworxのbx digitalなどが有名ですが、Brainworxは手軽な代わりにEQの質がよくありません。自分は音が悪いのでこれは買ってません。Wavesでも手間を掛ければ外部でLinEQも使えるのですが外部ルーティングが必要になるので手軽に使う感じではなくて、使い勝手の問題がありました。
しかしFabfilter Pro-Qならば普通のEQと同じ操作ですぐにMS処理も選べますし音のクオリティが高いです。これで手軽に普段のMixにMS処理を挟むことできるようになります。これは便利です。
・リアルタイムでスペアナを表示できる
いままで各トラックでスペアナを表示したりすることはやらなかったのですが(面倒なので)、このEQを使ってみるとその便利さに気づきます。耳で聞いて大体予測している帯域も経験を積めばそれなりに正確なのですが、当然ながらスペアナなら正確に処理するべき帯域が画面に直接表示されるので、ずっと厳密で細かい処理ができるようになります。
しかもスペアナがEQの画面にそのまま出てきてくれるので、画面で見た帯域をそのまま操作できます。これはすごく直感的で良いです。EQと同一のプラグインでスペアナ表示ができるのでわざわざ別に呼び出す必要もなくて面倒がかからない、これは良いです。スペアナの精度も十分です。これからはスペアナ付きEQは手放せない機能となりそうです。
・まとめ
今までもM/S処理だけ、リニアフェイズだけ、スペアナだけ、というプラグインは手持ちであったのですがこのように一つで全てをまかなえるようなEQは知らなかったです。このような製品があったことは驚きです。正直これがあったら忠実系EQは他に何もいりません。
しかも機能だけではなくて肝心の音質が一級品です(その分重いですが)。よくあるのはデザインだけ良くても音質的に問題があるプラグインは実は少なくないのですが、これはほんとうに良く出来ています。これで出来ないのはアナログ系の色付け処理だけだと思います。
このEQは夏の制作には間に合いませんでしたが、このEQがあるとないとでは制作の仕上がりは大幅に変わりそうです。少し弄ってみた感じでは今までの曲でEQを差し替えるだけでも今までの限界を軽く超えられそうな予感がしています。fabfilterの他のプラグインはともかく、これだけはすごく価値があります。
2.アンプシミュレータを低予算で良くする方法
いままでギターの音作りをする時はGuitarRig等のアンプシミュレータを使ってたのですが、音質には全く満足できていませんでした。なんというかデジタルの歪が盛大に出ていて他の音の邪魔するし、汚い、分離悪い、抜けて来ない、で音が悪かったんです(歪もいいものと悪いものがあるのですが非常に悪い方)。しかしインパルスレスポンス(以下IR)のキャビネットを使うとこの劣化が大幅に改善できました。
この道では有名な超ハイクオリティのAXE FXなんかもIRの畳み込みを使ってるような感じですね。まぁ本当にそうなのかどうかわかりませんがフリーのIRファイルを落とすとAXE用のプリセットがあるんです。なので少なくともIRを使っているか、対応しています。あの高音質の秘密の一つはIRにあるというのはありそうな話です。
では実際にIRのキャビネットを使ってみた音声を貼ってみます。歪の部分はCubaseに付属のアンプシミュです。曲は今回のための習作で音取りした英雄伝説2、PCE版からストッパーの米光亮版(古い)です。この曲については他にも色々あるので次回詳しく書く予定です。Mix素材もアップする予定です。
付属+フリーのIRによるアンプシミュレータでも結構それらしい音が出ました。この状態でも正直GuitarRigより音いいと思います。アンプ部にこだわったらもっといい音出せそうです。
IRによって自然に高域が落ちているんですが、質感とか綺麗さはデジタル演算よりこちらのほうが断然良いですね。MIXの時によく分かるのですが、デジタルのジャリジャリした音が他の音を邪魔するんです。このあたりはCPUの演算量が上がってもアナログと音的には絶望的な格差があって、結局現代のデジタル演算でもまだまだアナログには届かないです。意外とアナログ領域の再現は畳み込みのほうが有利な面もあるようです。IRといえば世間での評価は低いんですが個人的にはLiquidMixはアナログの汚し系では最高だと思っています。
今回使ったIRですが、ここに無料のダウンロードが有ります。
自分はギターは専門じゃない(むしろ打ち込みしか出来ない専門)なので無料でも十分でした。畳み込み演算はSIRというフリーのプラグインがあるのでそれを使います。
http://www.knufinke.de/sir/sir1.php
使い方は説明しにくいので下のスクリーンショットを見てください。トラックにインサートする時アンプシミュのキャビネットをオフにして、直後にIRキャビネットを差します。SIRでIRファイルを読み込みしてDryを0%、Wetを100%にします。これでOKです。