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オルフィさんと相互オーディオオフ~オルフィ邸編

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オルフィさん(https://twitter.com/orfy_aqua

お忙しい中時間を取っていただきありがとうございました。真のハイエンドとも言える製品群をじっくり聞かせていただく機会はなかなかありませんので、自分自身にとっても得るものが多くありました。

しかもハイエンド機と自作機の比較だけじゃなくて、自作音源がどう鳴るのかも聞かせてもらってしまいました!おかげで機器ごとの特徴など色々わかりましたので貴重な体験をここにまとめて公開しておきたいと思います。

オーディオシステムの音質要因

こういう環境ですと、どうしてもハイエンドコンポーネントに目が行きがちですが、それよりも重要なのはその人がどういう音を出しているかだと思うようになりました。機材の音じゃなくてその人の音、その人の音楽がきちんとなっているシステムは完成度の高いシステムです。

いままでの経験上ハイエンド機材があるから凄いというのは必ずしも当てはまるものではなかったからです。最も良い例はダイナミックオーディオのマラソン試聴会(川又さんと東さん以外)やインターナショナルオーディオショーでのさまざまな高額機器の出音を見れば分かると思います。

ということでシステムの音質は何を使っているかよりも誰が使っているかのほうが重要だという認識になっています。ハイエンド機材だからと言って機材の性能だけが支配的になることは少なく、それよりも誰がどのように使ったかのほうが音の印象には支配的になるようです。

(個人的に)一番わかり易いのはマラソン試聴会の川又さんの音でしょうか。様々なハイエンド機器を毎年構成を変えて使ってますが常に同じ方向性の音がします。これは使いこなしのレベルや完成度が上がるほどこういう傾向は強いようです。逆に言えば機材に振り回されている、機材の音が支配的なうちはまだまだのレベルだということかと思います。

オルフィさんの音

凄く前置きが長くなりましたがシステムの音質です。

印象的だったのは明るく生命力溢れており非常に力強い音です。ソナス+真空管アンプという先入観とは全く無縁の、低域と高域ともにかなり引き締まっており全域に渡ってパワフルな音がします。その上に感じるのは明るさと生命力です。これはネガティブな音楽性を打ち消してしまう程の力強さと前向きさを強く感じました。

これはオルフィさん自身の性格も含めた個性と思います。ちょうど5月くらいの新緑の季節で青空と強い日差し、そして爽やかな風、大地、そんなイメージを思い起こさせる音です。

正直機器の組み合わせで見ると何故このような音に仕上がっているのかはわからないのですが、結局はその人が選んだ機器選定やセッティングによって少しずつ醸成されていく結果なのでしょう。そしてそういった音の追求に余念がないほど、その仕上がりはコンポーネント依存ではなく人物依存の音になっていくと思われます。最終的にはその人の音そのものになっていきます。(もちろん機材の選別自体がその人の個性です)

こういう明確な方向性が伝わるのは音楽性と完成度の高さですね。当然基礎クオリティもかなり高いのですが、その上でどういう音を出したいかが明確なのだと思います。基礎クオリティを上げてストレートかつピュアなだけではなく、ちょっとした高音の色付けがある音をあえて好まれているのも、さりげない優しさや奥ゆかしさの現れなのかなとも思うところです。このあたりもご本人の人物像と適合しています。

当日は余りかからなかった方向性の音楽ですが、躍動感のある前向きな楽曲がよく合いそうな気がしました。もちろん演歌みたいな情緒あふれるバラード系ジャンルも掛かりましたしこのシステムの得意分野だと思うのですが、ぴったりと適合するような曲を多く掛けられなかったのは失敗だったと思いました。機材を交換したり色々なこと(MIDIとか音源とか音楽業界の話しなど…)を喋っている時間が多すぎて音楽をかける時間が少なかったのが原因なのですがちょっと反省ですね。

次の機会があればその時にこのシステムに適合する音源をたくさんかけたいです。

ともかく、オルフィさんのシステムの出音としてはさりげない情緒的な部分があり、分離やSNや立ち上がり立ち下がりの正確さなどの基礎クオリティが非常に高く、個性として生命力と力強さと余裕を両立している、という感じです。これはなかなか難易度の高い組み合わせだと感じました。特に情緒と力強さの両立は余り見かけないセットだと思いました。

ちなみにネガティブが合わないと感じた最大の理由は、この日は最後にマーラーの大地の歌(クレンペラー指揮)を掛けたのですが、この楽曲は絶望を受け入れる姿勢だったり死を予感させる曲なので、このシステムには全く合いませんでした。自宅では良く鳴るので、オーディオ的なクオリティは全く関係なくて、この辺は完全に相性です。音質はいいけど引き込まれる感じではないということですね。

個別コンポーネントについて

メインシステムはDACがdCS Vivaldi、プリアンプにFM Acoustics FM255、パワーアンプにSilverCore 833、スピーカがSonusFaber Stradivariという正真正銘のハイエンドシステムです。

当日はこちらの制作機材と比較する機会をもらえたのでコンポーネントごとの音質もよく把握することが出来ました。ハイエンドな高額機器に個人制作物を接続させていただけまして、大変ありがたく思います!

それぞれの機器の音について書きます。

FM Acoustics FM255

FM-ACOUSTICS-FM255

dCS Vivaldiからパワーアンプ直結とFM255経由での比較試聴です。

なんとこのプリアンプを通すと音にメリハリが出て前後感がはっきりします。非常に透明かつ音にみなぎるエネルギーがあり、その上で余裕もあります。さすがのハイエンド機器でして音質については素晴らしいものがあります。音が分厚くなったり音像が肥大したりなどは一切感じません。dCS VivaldiというDACの情報量をそのまま受け止めるだけではなく情報を整理して次段につなげる実力があります。

一点副作用として高音に色が付きます。この色は好みの世界です。弦楽器などはやや濁って聞こえてしまう部分もあり、生の音に近いとは全く思いませんでした。この点ではDAC直結のほうがリアルな音です。これは曲によって合う合わないはあると思いました。悪く言えば嘘っぽい脚色された高音です。ただしボーカル曲などには非常に合う方向性でしていわゆる美音系です。上品なシルキーさって言えば良いんですかね。DSD的なさらっとした感じです。日本人はむしろ好き系だと思います。

ということでFMプリは非常に上品かつ透明で力強く、その上ではっきりとした高音の色付けがあるプリアンプでした。高音の色付けだけは意見が別れる所ですが、基本的には積極的に挟みたくなるプリアンプですね。dCS Vivaldiを上流にもってきてもプリによるクオリティの低下は感じません。その上で輪郭がはっきりして前後感も強調され力強くなるという部分は凄みがあります。これにハマったら抜け出せないでしょうね。

dCS Vivaldi DAC

DAC単体だけを聞いてもなかなか個性が見えてこないですが、Vivaldiの個性がはっきりわかったのは他のDACとの比較です。やはり単体だとなかなか評価は難しいです。この日に比較できたのは当方作成のAK4497使用のものです。本当はみなさんが見たいのはDAVEとVivaldiの比較かと思いますので、DAVEの音の比較についても普段の傾向から推測して言及します。

このときの比較ソースはすごく音の良い美空ひばりだったのですがイントロのピチカートの余韻の豊穣さや余韻の長さ、細部の緻密な描写など基礎クオリティだけなら正直Vivaldiより当方の4497のほうが良かったかなと感じました。ですがやっぱりハイエンドの風格につながるような余裕がなく神経質できつめな音がすると感じる部分が明確にありました。

Vivaldiはとにかく余裕があり出音が自然で力みがありません。ふわっと空気のように音が出て来る印象です。本当は非常に力強いのでしょうが全く力みがないので力強いという印象よりは空気のような軽やかな出音に感じます。

Vivaldiの高音の脚色や色付けについては巷で言われているほどではありませんでした。むしろVivaldiよりDAVEの高音のほうが滑らかなのですが質感に強い癖があると思いました。FMプリと比べると美音といえるような色付けは少なく、基本に忠実で高性能DACというイメージの音です。よくdCSは空気感や高音の演出について言及されることがありますが、個人的な印象では最大の特徴は音色というより余裕のある出音にあって、その余裕がありすぎる出音がまるで空気のような出音だと感じさせる要因であると感じました。

音の分離云々よりも出音の余裕こそがVivaldiの特徴であり優位性だと思います。

この日は持ち込みしたものの鳴らさなかったDAVEですが、4497とVivaldiの比較の感じからDAVEとVivaldiを比較したどう感じるかも予想してみます。おそらく音の分離だけならVivaldiよりDAVEのほうが良いと思います。しかしDAVEではVivaldiのような雄大さや広大さや余裕を感じることはありません。

DAVEは左右の広がりが狭く高音に強い個性(エネルギーが集まっている感じ)があります。このDAVEの個性は電子音楽などとは非常に相性が良いのですが、反面生楽器のリアルな録音では若干違和感があるように聞こえます。特に弦の高音は生音とは異質に聞こえます。またDAVEは低音の物量、左右の定位の正確さ(クロストーク性能)が明確に不足しています。なのでこれらの要因によってDAVEは高性能で高分解能でありながらも雰囲気に余裕がないと感じる部分がより際立ってしまうでしょう。

最終的にはVivaldiとDAVEの比較では音楽に何を求めるかによってどちらを選択するか分かれそうです。分解能や細部のディテールを重視するならDAVEですが、レンジや空間の広さや出音の余裕を重視するならVivaldiです。

最後にまたAK4497の話に戻りますがAK4497は素子自体に「余裕がなく神経質な音がする」という側面がありますので、Vivaldiレベルとの比較になると素子が持つ個性が支配的となり、最後の超えられない一線としてICの個性が浮き彫りになってしまうと思いました。かなり設計面でカバーしていますがAK4497ではVivaldiのような余裕を出せるとは思えません。この余裕は低域がしっかり出ているとかそういう次元の話ではないからです。当方のDACも帯域バランスは十分に広く感じますし低音もしっかり出ていたので電源の物量が明らかに不足しているという印象とは別物です。

いまのところこういう雰囲気レベルの神経質さはパターンや部品の配置によって、電流をどれだけスムーズに流せるかの違いだと思っています。なので小さいICに大電流を流す構造自体がそもそも不利です。これはAK4497だけじゃなくてES9038も同じ課題を抱えていると思いますね。だからこそそういう部分の問題を根本的な基礎設計面から解決しない限りVivaldiのような雄大で余裕のある音は出ないと予想します。

SilverCore 833

ドイツの真空管アンプキットのようです。化物じみた巨大真空管を使ったアンプです。

http://silvercore.de/roehrenverstaerker/silvercore-reference/

ここではNcoreを使ったパワーアンプと比較させてもらいました。1200Wの電源を積んだNcoreなので殆どのアンプと比較しても十分パワフルな内容だったのですが、この真空管パワーアンプとの比較ではかなり不利でした。

SilverCore 833は出音が非常に透明で、柔らかいのに力強い音がでていました。これも出音に凄く余裕があります。オルフィさんのシステムにはしっかりとした統一感がありますね。

このNcoreも標準品のNcoreではなくて自前設計のオリジナルバッファ+電源を搭載したものですから、基礎クオリティは高くほとんどのNcoreアンプより綺麗な高域と透明感を持っている筈なのですが、質感がまだどことなくパサパサしており神経質まで行かないですがもうちょっとゆとりがほしいかなって感じる部分がありました。この辺はもう真空管とD級という方式の差によるものなのかもしれません。あとは電圧と電流による物量差の世界とも思うのでなかなかこれ以上は厳しいですね。なんとSilverCore 833は電圧1200Vだそうです!

ということでパワーアンプもDACと同様に出音の余裕において差を感じるところでした。

しかもDACとは違ってパワーアンプのほうはNcoreの音楽的優位性がほとんどなかったかなと思います。といってもNcoreも比較してがっかりするほどの格差はなかったですし、D級でありながら真空管と比べて高音の質感がザラッとしていて悪いとかはなかったので、クオリティは決して絶望的な差じゃないですが、正直言って音だけならNcoreよりSilverCore 833のほうが良いと思いましたね。

ただこの真空管アンプは巨大な筐体で発熱も電気の消費もすごそうですので、Ncoreの優位性は非常に省スペースかつ電力を使わない熱も出ない、その割には十分比較できるレベルで音も良いという、実用面が優位性になりそうです。

使用している真空管 833Cスペック

http://www.tubeampdoctor.com/en/shop_Other_brands_OEM_Tubes_HiFi_Triodes_Transmitting_Tubes/833C_1342

833C Transmitting tube with graphite anode (socket not included)
Also used High-End Audioamplification: Silvercore 833C and WAVAC 833.
Power up to 1800 Watts with forced air cooling.
Matching sockets: S2-833 + 2x SPC14

Specification:
Anodevoltage: max. 4000V
Anoden dissipation: max. 300W
Output power : >1.0kw
Filament voltage : 10 V
Filament current : 10A
Amplification factor:35
Frequency: 30 MHZ

Sonus Faber Stradivari

このページを見ているような方には説明不要かもしれません。

このスピーカについての個人的印象はこちらに印象を記載しているのでこちらを参考にしてください。記事の一番下にこのスピーカで感じている印象がまとまっています。

2016インターナショナルオーディオショー感想+おまけ

ただしオルフィ邸の環境で感じた音は上記の印象よりもさらに力強く引き締まっており、一般的なソナスのイメージとはだいぶ違う部分もありました。

まとめ

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統一していると感じたのが「余裕」です。FMもdCSもSilverCoreも例外なくそうです。美音系も特徴ではあるのですが、これはFMプリによる色付け要因が大きいので、それより出音の余裕が全体で共通する方向性だと感じました。

音の仕上がりにはほかにも宇宙的ケーブル、空気清浄機、除電器などによる影響もあるそうで、単純ではない世界が広がっていて恐ろしいです。このあたりは次回に体験したことを詳しくまとめたいと思います。

オルフィさんの家の音について感じたのは以上です。

おまけ

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こんなところにFM155らしきものが無造作に放置されていました!ハイエンドブランドもこんなところに押し込められていては何か別のものに見えてきます。こういうところもオルフィさんの器の大きさを垣間見た気がします。

次回予告

次回はこちらの自宅に来ていただいたときにいろいろ試した結果をまとめたいとおもいます。

  • キーエンス製除電器とORB除電器SN-03の比較
  • 空気清浄機による音質への影響
  • リモコンによる音の差
  • 宇宙スペックなデジタルケーブルと電源ケーブル