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2017インターナショナルオーディオショー

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今回は丁度TIASとかぶる予定があって時間が取れず、初日にちょっと聞けただけでした。どうしても聞いておきたいSPが幾つかありましたので、それらを中心にぶらっと寄れる限られたスペースを巡ってきました。カメラの質の悪い音なのですが一応録音もしてきましたのでアップしてあります。

イベントに行って改めて思ったのが、製品の格=価格や絶対性能とかブランドより結局はバランスのほうが重要ってことです。高性能になるほど問題点も顕になるのでバランスを整える難易度がさらに上がります。ひたすら高価なシステムを揃えたらいい音が出そうですが実際にはまとまりに欠ける印象が多いです。これはトータルバランスの難しさだと思っています。むしろちょっと性能が低いくらいのほうが粗が見えなくなって、まとまって説得力があるように聞こえるのはオーディオの難しさを痛感させられるポイントかもしれません。

もちろん高性能なものは使いこなせば本当は素晴らしい音を出せる可能性があるのですが、それを現場で見せられないイベントの価値とは…などと考えてしまいますが、むしろ聞けないよりは良いわけですし、イベントの出音から機材のポテンシャルを探れますから、そのために聞きに行く!って考え方で良いと思っています。このあたりはショーの音が悪いと文句を言うばかりじゃなくて自分自身の趣向と機材の可能性をチェックするための場所だと前向きに考えたいですね。

とはいえ個人的な印象で現場の良いと感じた部分も良くないと感じた部分も書いていきたいと思います。

Magico M6

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Mシリーズは初めての試聴です。Qシリーズより中高域が引き締まった音になりました。ですが低音の収束は相変わらず遅めのままです。これによって帯域バランスは以前のQシリーズのほうが良かったように感じました。

以前のMagicoなのですがQシリーズの時点でも高性能ユニットによって全帯域で音の立ち上がりは非常に良かったですが、そのかわりに収束が早いとは言えない部分があって、出た帯域の音を微細粒子状にしてゆっくり減衰していくイメージがありました。ちょうどこれが全帯域でふわっとした独特の余韻がある暖色系のサウンドでした。

それがM6では中高域の音の収束が大幅に引き締まったことにより粒子感も温度感も減り、ちょうど他の現代的ハイエンドスピーカに近いあっさりとした後味の音になりました。そのため以前のような独特の個性や世界観は減っていると思います。相変わらず低音だけ以前と似たようなふわっとした収束感があるものの中高域は異質でありこれが中途半端な進化に感じる要因だと感じます。

もともとMagicoは個人的にはあまり好みの方向性ではなかったのでやや辛口かもしれませんが、それを含めてもQシリーズのほうが独自の個性が際立っており、他に似たような音のSPもなく好みが合えば積極的に選ばれやすいSPだったように思います。Mシリーズは売れているなら個人的な意見に過ぎないのですがもし売上が落ちているならこれが原因だと思うところです。

結論としては、M6は普通のハイエンド系の方向にぐっと近づいた普通の高性能SPです。同じ路線にあるYGのSonja XVと比較したときに価格帯が近いので色々と物足りないかもしれません。

Estelon YB Loudspeaker

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個人的に輸入開始以前からチェックしていたメーカーです。以前のモデルでは海外のオーディオショーでたくさんのブースで採用されていたので目立っていたのもありますが、デザインや形状が印象的で一度聞いてみたいと思っていました。

以前のモデルはAccutonのセラミックユニットでしたが今回展示されていたのはScanSpeakのユニットになっていました。ユニットが変更になった理由は不明ですがユニットが別物になっていますから音は以前のモデルとは大幅に違うと思います。

今回のイベントの音ですが細身でキレイ系の音でした。ある意味見た目通りスマートで雑味の少ない音です。この音は個人的に結構好きな方向なのですがどうも明確な弱点がありそうな印象も受けまして、多分ですが大音量耐性と低音部が弱そうに感じました。何処までもで音に余裕がある感じじゃなくて、箱がビビりそうとか音量を上げたときに濁りそうとかそういう予感を感じさせる音です。なんとなく大音量を出すと破綻しそうな繊細さを感じます。予想ではありますが広すぎない部屋で中音量までで運用する前提が無難そうです。

丁度以前所持していたMordaunt-Short Performance 6も似たような印象でした。もちろんYBのほうが更に情報量が多く緻密な印象ですが、似ているのは音が小さいときは丹精で緻密な音が出るのですが音が大きくなったときに破綻しやすいのです。

とはいえ今回だけでSPの詳細なところまではわかりません。とりあえず今回は音量も過大ではなくバランス良く鳴っていたように感じています。今回感じた製品の個性としては細身でさっぱりとした上品さを感じさせる方向性のように思いました。

個人的な好みもあって価格がペア200万なら結構良いのでは?という感触ですね。今回のイベントレビューを調査すると他にも低価格帯で魅力的なモデルもあったみたいなのでこれが一番ですとはとても言えませんが、最近は海外のインフレと国内のデフレの影響もあってSP価格が高騰しているように感じられますので、価格の割にハイクオリティなモデルというのは価値があります。

最後縦向きにしようとしたのは気まぐれです。

YG Acoustics Sonja XV

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既にこのSPの話題はたくさん出ていますがこちらでも書きたいと思います。実は今回のTIASの前に都内のSISでも聞いたのですが、部屋の強度か広さの関係か部屋が完全にSPに負けておりきちんと評価できるような設置状況ではなかったのでTIASで改めてチェックしたいと思っていました。

皆さんの意見を見ていると見る日によって印象が違っていたようですが、個人的には初日でも印象は全然悪くありませんでした。新作のXVはYGが以前から目標としていた延長にあるような典型的ハイエンドの王道の高性能路線です。それは低域、高域を限界まで伸ばしつつ全帯域の立ち上がりと立ち下がりを最速化、この達成を目指す方向性です。

XVではそれがかつて無い高い次元で達成されていると感じます。今までの最大の弱点だったツイータの自然な伸びと大きな部屋での低域の余裕、この2つの課題をやや強引な力技ではありますが同時に解消してきました。単純な性能では現在最も究極に近いSPだと思います。Magico M6のような帯域のアンバランスさもなく聞いた限りはとても弱点の少ない音です。

ですがここまで高性能になるとSPの性能に部屋が追いついていないことがとても気になります。TIASの部屋はかなり広く余裕がありますのでSISで聞いたときよりは大分良かったですが、それでももっと良い部屋を!とSPが要求していたように感じます。

おそらくですが専用設計で30畳以上の強固かつ音響特性に最大限配慮された部屋が必要になるかと思います。そうでないならSonja 1.3以下のモデルでツイータアップデートを施したほうが使いこなしやすく、音も十分ではないでしょうか。

このXVを鳴らし切るためには部屋も究極である必要があります。そのためには相当に予算の余裕が無い限り目指すことすら出来ない世界でしょう。

Sonus faber Guarneri Tradition

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自分も例に漏れずフランコセルブリンの旧ソナスのほうが完成度が高いと感じています。ですが最新モデルの音も一度聞いてみたいと思いチェックしました。

結論から言えば近距離で直接音を聞くとハイがきついですが部屋の反対側(SPから一番遠い場所)の方ではいい感じです。もし近くで聞くなら一枚壁を間に隔てて聞くとか、ツイータの正面を外して聞くほうが良い音だと思います。

新しいモデルは上位のAIDA含めてハイが強すぎるバランスに感じるのでこのあたりは旧ソナスと全然違う音です。ホールで言えばS席よりさらに前のめりでオケを聴いているような印象を受けます。新しい音作りをしている方が無遠慮で押しが強い方なのかもしれませんね。

このあたりは旧ソナスが好きな人ほど敬遠される音に仕上がっている気がしてなりません。前のめりのオケが好きなら悪い音だとは思いませんでしたが旧シリーズをイメージしてはいけないと思います。

Kii Audio Kii THREE

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これが目当てではなかったのですがたまたま音を聞いたので書きます。

肝心の音なのですがまとまりがあってバランスは良かったですね。ただしこれといった特徴がなく中庸な音でした。音の立ち上がりも良く収束もそこそこ早い、低域と高域のレンジもほどほど、これといって突出している部分があまり見当たらず悪く言えば全然印象に残らない音です。バランスはとても良かったと思うのですが、魅力的な音とも思いませんでした。

気になったのは高音の質感が結構荒れておりこれで180万円はちょっと厳しいかなと思います。全部一体型ですから気になった部分があっても根本解決が難しく最初の出音で完璧だと思えるくらいの完成度じゃないとあとから不満が出た時に大変です。そしてその可能性は結構高いと思いました。

もしオーディオではなくモニタースピーカ用途としてならこれ一台でパワード+DAC内蔵、ルーム補正もできますのであれこれと悩まされず一台完結でとても良いと思いますが、業務用としても値段が高すぎるかもしれません。

オーディオユーザーはあれこれ試したい人が多いと思うのでこういう一台完結はよほどの完成度じゃないと導入は難しいでしょう。これ一台でアンプもDACも一体ですから、もし音が気に入らなかったときに改善する方法がありません。色々楽しむにはちょっとリスクがありますね。

TAD reference one

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今年のTADはとてもジェントルでした。いつもはもうちょっと高域に大雑把なところがあって、なんとなく精密動作できないパワータイプのイメージが合ったのですが、ことしは大分冷静で落ち着いた音がしていました。元々の強みである低域の安定感は健在だったので普通に良かったです。

SPとは関係ないのですがオーディオショップのサウンドラインモノリスさんがけものフレンズのようこそジャパリパークをリクエストしてくれたみたいで、TIASではとても珍しい曲がかかったようです。残念ながら現場には居合わせてなかったのですが空気録音があるので紹介しておきたいと思います。

https://twitter.com/SoundLineM/status/914174477541486592

Wilson Audio ALEXX

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スピーカですがこれは去年も聞いてますね。Wilson Audioの音はツイータがシルクドームになってからとても好みで毎年聞いてますが今年もなかなか良いと思いました。ですが低域はやっぱり欲張り過ぎなのか締まりが若干弱い印象です。低音が過多で特定の帯域で膨らんで量感がある低域に感じてしまいます(通常よりかなり帯域は低い位置ですが)。これならもう少し控えめな低音のほうがつまらなくはなりますがバランスが良いかもと思います。普段聞き慣れないだけかもしれませんが。

こういう巨大スピーカの若干緩い低音って凄さは感じますが、長く使っていろいろな曲を聞いてると曲によって合う合わないが出てきて個人的には不満になる音です。このあたりはパワーアンプの能力もあるのかもしれませんが、去年より大きなダゴスティーノのパワーで聞いたときも低音は完璧じゃなかったのでなかなか難しいところです。

中高域については緻密で透明感のあるとても良い音に感じます。Wilson Audioは低域さえもっと良くなったら理想のSPに最も近いです。中高音の出し方は最も好みでした。

あとは本当はMSBのリファレンスDACについても書きたいのですがDAC単体での比較が出来ないので出音からでは判断が出来ません。まだまだ凄いDACだと思うので一度音を知っているDACとの直接比較がしてみたいです。価格もSelect DACほど異常じゃないので色々なものを犠牲にして本気で頑張ったら買えないこともないって値段になりましたね。

あとはこちらに素晴らしい空気録音のリンクがあるので是非聞いてください。

https://ameblo.jp/507576/

他のスペース

こちらにイベント開場の空気録音がまとまっています。他にも沢山あるのですが一部を紹介します。どれも素晴らしい録音です!

https://twitter.com/Alex_Audio7/status/914805652404494337