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ウェルフロートボードのレビューと空気録音

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先日逸品館よりWFB1515-4をスピーカ用に購入しました。SP用ボードは色々なものがありますが今回ウェルフロートボードに決定したのは次のような理由からです。

  1. 部屋が木造の2Fで床強度が弱い
  2. ツイータ位置が低すぎるので高くしたい
  3. 振動を活かしたSPではないので共振を殺しても問題ない

特に2番の条件に合うボードは少ないです。分厚にボードが必要ってことですからね。これらの条件を見るとウェルフロートボードはうちのニーズにピッタリ合っていると思います。

参考までにうちのSP(Duntech)は標準状態で底面に木材の板が入っています。開発者のDunlavy的には基本状態でも十分とのことですが床が弱い場合にはSPから床にしっかり振動が伝わっているのが分かります。SPと底板は単純接触ですので振動はほとんどそのまま減衰しません。

Duntechは元々四角い木箱の割に箱がほとんど振動しないSPですが大音量を出すとわずかに箱が鳴ります。そして振動はそのまま床に伝わってしまっています。床がもう少し強ければ大した問題にはならなかったかもしれませんが、うちでは問題になっています。

本当は床が弱い場合には重量物で床を強化するアイデアが王道かもしれませんが、部屋のサイズが20畳以上ありますので相当な物量を投入しなければ床の補強は出来ません。なので床を強化する方向のアイデアは労力の多大さから素直に諦めました。(賃貸なので設置だけではなく撤去のこともあります)

その点ウェルフロートボードはSPの下に敷くだけですから遥かに手軽ですね。オーディオアクセサリーとしてはとても高額でもないです。これで床の振動の悪影響を押さえることが出来たらコンクリート等を床に敷き詰めるより労力は大幅に削減できたということになります。

懸念事項としてはフローティング系は低音が死ぬという意見があることです。確かにウーファーを動かすにはどっしりした土台が必要です。完全に浮いていたら低音が抜けるのは感覚的に理解できます。ですが評判を見るとこのウェルフロートボードなら低音は大丈夫という意見が多いです。レビューによっては低音がむしろ出るようになったという意見まであります。

もちろんそれは実際に試してみないとわからないところですが、少なくとも低音が弱くならない可能性があることは沢山のレビューから判断できますので、思い切って買ってしまいました。万が一音がさほど良くならなかったとしても地震対策にもなるってのは心強いです!

空気録音と設置後の音の印象

設置後の印象です。手で触ってもよくわかりますがウェルフロートボードの上側=SPが直接触れている部分はビリビリ振動しますが床には伝わってません。床の共振は狙い通り激減しました。

まず懸念していた低域ですが概ね問題なしです。うちではかなり低い低音がSPではなく床の共振で出ていた部分があったようですがウェルフロートボードによってそれが消えてなくなった印象です。多分本当は同じような帯域の成分も床の共振と一緒に消えてしまっているかもしれませんが、部屋で制御できないような低域なら出ないほうが音のバランスは良いと思うのでそのような質の悪い低音は消えても問題ないです。

今回ウェルフロートで消えた低音部は共振による音なので収束が遅く全体にまとわりつくような低音でした。これが無くなったことで全体的に音がスッキリしていて良い印象でした。特にベースまわりの早い動きが明らかによく見えるようになったこと、バスドラムの収束が早くなったことは聞いてすぐにわかりました。今までは床の音が継続的に鳴っていてマスクされていたわけです。ベースの音量が安定して速い動きにも追従できるようになったことは明らかな音楽的クオリティの向上です。

次に低域がスッキリとしたことで中高域のエネルギーが素直に放出されるようになった印象を強く受けます。今までより中高域のエネルギー密度が高くクリアになり音が良く飛んできます。中高域が小型SPのように軽々と鳴っている印象もありまして、より太くて存在感のある中高域です。今までは中高域の成分のうち一部が床にエネルギーを持って行かれていたのでしょう。

このあたりはウェルフロートボード設置前後の空気録音を比較してもらうのが一番わかりやすいです。

ウェルフロート設置前サンプル1(TAK氏BRANDNEWTYPE)

ウェルフロート設置後サンプル1

ウェルフロート設置前サンプル2(かめりあ氏#include)

ウェルフロート設置後サンプル2

全くピュアオーディオ的楽曲ではないのですが、こういう曲のほうが今回みたいな判断は個人的にやりやすいです。

しかし中高域に気になる部分が…

とりあえずウェルフロートボード自体は目論見通りの効果があって満足しています。ただし音のバランスが大幅に変わってしまったことで新しく気になる点が出てきました。それは中高域の課題が丸見えになってしまったことです。

まず空気録音ではっきりとわかるのはまだまだ中域の透明感が低いように感じられる点です。これはいままでも同じ音だったはずですが、今までは濁っていた低域とある意味バランスが取れていました。しかし低域が大幅にクリアになったことで相対的に中域が濁って聞こえるようになってしまいました。あとは高域の滲みも気になってきます。この2つは同じ原因かもしれません。

すぐに思い当たる原因は主に2つです。

  1. 6dB/octの緩いクロスオーバーの影響+ウーファー駆動の限界による中高域の濁り
  2. インパルス応答の測定結果で収束の悪い帯域があること

どちらも過去記事で紹介している内容ですが、これらは共通してSPの設計による問題点です。うちの空気録音がどうしてもハイエンドSPみたいな音にならない理由はこのあたりに問題があるからでしょうね。録音のやり方も特殊ですがSP自体から出てくる音も他の方の空気録音と比べると特殊な音だと思います。現状では音楽的という感じでもないし客観に徹することも出来てない中途半端な印象もあります。

ですがおそらくこの2つを改善したらより客観的で完璧に近い素晴らしい音にアップグレードしそうな気がします。

残念ながら今回は1の原因については先日行った対策以上の対処はすぐに行うのは困難ですので今回は2だけ対処します。もちろん1も最終的には対策しますがデジタルFIRクロスオーバーを用意してDACとパワーを二系統用意するという大掛かりなものを構想していますので、本格的な対策には結構な手間と時間がかかる予定です。FIRクロスオーバーの準備は少しずつ進めていきたいと思います。

インパルス応答の改善方法

以前にスピーカ導入と改造の記事で書いた方法がありました。ツイータの音の反射方向を制御するためにガムテープを貼るというものです。このようなガムテープで改善するということはSEASのツイータのホーン形状になっている部分で音が乱反射していること、バッフルの段差でも音が反射していること、この2つの複合要因なのだと思われます。

ですが以前は音がつまらなく聞こえるので対策をあえてやりませんでした。今回はバランスが変わって高域の課題が目立つようになりましたので対策すべきタイミングの到来です。折角やるなら前回よりもより進んだ対策を行いたいところです。

新しい環境と新しいスピーカ(Duntech)

今回の対策ではDuntech純正フェルトがネットワークボックスから出てきましたのでそれを使った対策を行います。前回の対策では純正ではないフェルトを購入して使いましたが思ったような効果が出ませんでした。ですが純正フェルトは音響に適したものを選別されているようで測定特性に明確な効果がありました。やっぱりフェルトもきちんと選ばないと駄目みたいです。

とりあえず純正フェルトで色々と試行錯誤してみた結果だけ書きます。

対策その1

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このような左右非対称セッティング+ついたて構成が今のところ一番cumulative spectral decay(CSD)とインパルス特性が良かったです。まずツイーターの真上を半分覆うようなフェルトは内向き側だけ開け、外側を隠すセッティングが良かったです。この左右のカバー位置を逆にすると中央にボーカルが来なくなって左右から高音が来るので違和感が強く全然駄目でした。このことは中央定位に高域の壁面反射の影響が意外に大きいということを示していそうです。

ツイータ周囲のフェルトによるついたてはツイータとスコーカの干渉を防ぎ周波数特性の波を減らす効果があります。どれもDuntechの標準で対策済みなので、純正フェルトがついていない個体を購入してしまったせいで余計な苦労をしています。

この対策後の特性は次のとおりです。以前よりも特性はかなり素直になりました。ただしCSDの結果では12kHz周辺にまだ問題があるように見えます。周波数特性も完璧ではなく波があります。

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この対策前と対策後の空気録音です。

インパルス応答対策1前

インパルス応答対策1後

対策その2

対策1のあとで行った別の対策です。こちらは周波数特性が良い代わりにCSD特性がやや劣ります。総合的にはこちらの音のほうがバランス的に望ましいと思いましたのでこちらを最終的に採用しました。周波数特性もCSDもどちらも重要ですが現時点ではどちらも両立するベストセッティングまでは持っていけませんでした。ここからCSDを対策1レベルまで向上させることが出来たらかなり良くなりそうです。

対策2では周波数特性が上まで伸びていますが、これは養生テープをツイータの銀のリング両サイドに貼り付けることで、12kHzにあったピークが16kHzくらいまでアップしました。養生テープを使うことが重要で、これがガムテープだと音を吸って周波数は上がりません。なかなかおもしろいです。そのため周波数特性は対策1よりもキレイになっています。ただし養生テープの対策だけだとかなりハイ上がりになってしまうので銀リング上下にフェルトを配置してツイータからの余分な反射エネルギーを吸収しています。そして上下に放出される反射波による干渉を防ぐことでCSD特性もよくなる、ということです。

空気録音だと対策1のほうがよく聞こえる部分もあるのですが、試聴位置では対策2のほうが高音も良く伸びて場所による音質差も少なく扱いやすい音です。どちらも中域の透明感はまだまだ課題なのですが、これは今後ウーファーの残留成分をFIRクロスオーバーでしっかりカットして様子を見てみたいと思います。

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ir_r3

csd_r3

fq_r3

この対策後の空気録音です。

対策2後の空気録音

最後に対策2の状態で取った空気録音を幾つかアップしておきます。以前よりかなり地味な音なので前の音のほうが好きって意見もありそうです。オーディオ的快感から遠い禁欲的な音ですね!時間を経って聴き直すと中域のこもりを誤魔化すためにもう少しハイがでてても良い気がしますが、少し様子見してみたいと思っています。もしハイが足りないと思ったら上下フェルトの位置をずらせば調整は可能です。

Gil Shaham, Jonathan Feldman – Devil’s Dance(ヘッドフォン祭で試聴に使った曲)

forplay – Chant(TIAS 2017記事で空気録音してきた曲)

Burlesque – express(SPネットワーク改造記事で使用した曲)

ハナヤマタOP – 花ハ踊レヤいろはにほ(以前のSPでDACとケーブル比較で使用した曲)

けものフレンズ – ようこそジャパリパークへ

結局さいごは聴感補正

いろいろな曲を聞いていてやっぱり気になったので再調整しました。流石に禁欲的すぎました。だいたい上下に2mmくらいフェルトを広げました。これで大分ハイが明瞭になって少しだけ明るい音になりました。対策2までは音ではなく測定だけで調整したので聞いて不満が出るのはある意味当然かもしれません。SPは元々完璧なものではないので、完璧でない部分をどう魅力的に見せるかが大事です。なので最後は心地よいと思える音を目指して微調整は必要だと思います。測定だけでも聴感だけでも駄目で両者の良いところ取りをすることが大事ってことでしょうね。

その結果の測定値はこちらです。CSD特性はほぼ変わらず、インパルスはちょっと余韻が増加、周波数特性は上だけちょこっと頭を出すような特性です。聴感だけで補正した後に測定したのですが中高域は意外と素直でフラットな特性でした。

csd_r4 fq_r4 ir_r4

この状態での空気録音です。録音してる楽曲に一貫性がなくてすみません。傾向を見るために共通楽曲は少しにして違う楽曲で傾向をチェックしていました。

forplay – Chant

けものフレンズ – ようこそジャパリパークへ

たまゆら – おかえりなさい

ウィッチャー3 OP

対策2よりは高音が明瞭になってますが、中域はやっぱり曇ってます。EQで具体的にどの帯域が篭ってるのかチェックしましたが500Hz中心で250-1kくらいまでです。質の悪い帯域はEQでブーストするとわかります。うちの録音ではこの帯域の音がかなり混濁しており、やはりウーファーとスコーカの過渡応答速度のブレが問題になっているのかなと思いました。少なくとも今までとは違う対策が必要な段階かもしれません。

ウェルフロートボードを入れたらスピーカの問題点が露わになって、悩みが増えましたという結論になりそうです!