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抵抗、コンデンサの音質比較

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実験

前回の記事のヘッドフォン兼プリアンプで殆どの部品は試しています。下の写真です。一部は違う基板で実験したものもありますが、できるだけ他の部品と相対的に判断しているので概ね相対順位の位置づけ判断はできていると思います。ただし個人の主観による聴き比べが中心になっていますのである程度の限界はあります。人によって聞こえ方や印象が異なる可能性も十分に考えられます。そのため参考程度としてもらえるようお願いします。

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抵抗の比較

一応出来る範囲で世間で音質が良いとされているものを集めました。残念ながら写真はやや見にくくなってしまいました。主観じゃない測定による情報ならばこちら↓の抵抗ノイズ測定データを参考にしてもらえると良いと思います。

https://dcc.ligo.org/public/0002/T0900200/001/current_noise.pdf

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1位 Vishay VAR

圧倒的な透明度と自然さです。透明感は高級な抵抗でないと絶対に出ないので他の音質的要素よりも抵抗の評価では優先されるべき点だとおもうのですが、このVARは透明感以外の部分でも全てが最も優秀に聞こえます。レンジが広く、ナチュラルで柔らかい音なのです。これと比べるとVSRも大分癖があります。試した限りこれ以上の抵抗はありませんでした。

2位 Vishay VSR

透明度はVARと比べても相変わらず高いですが音質の自然さではVARに劣っています。ただし力みのある固い音なのでうまく音楽にハマればVSRがより良い場合もあります。

3位 アルファ抵抗

ここまで1-3位は全部金属箔抵抗です。これも悪くはないのですがVSRのほうが全体的に良いですね。他の抵抗よりはいいのですが実際にVSR等と比較してしまうと、あえてこちらを選ぶ理由はなさそうです。安ければありかもしれません。

4位 Mills  Resistor

ここから巻線抵抗になります。この抵抗は透明度では巻線で一番でした。VSRには及びませんがなかなか頑張っています。NS-2Bと比べると大げさな音じゃなくておとなしい感じなのですが、それが逆に癖がなく扱いやすい音にも思います。とはいえ金属箔抵抗と比べてしまうとインダクタンスのせいか高い音が少し濁っているように聞こえるのが難点です。巻線なので使い方によっては発振リスクも有ります。

5位 Dale NS-2B

低域が張り出したような量感のある音です。巻線らしい透明感も持ち合わせているのでこれはほとんどの方に好まれる音質だと思います。無誘導巻きですがNFB抵抗では発振する場合もありますので使い方に注意がいります。

6位 Dale RS-2B

音質を優先するなら5位までの抵抗を選びたいです。これより下位はコストの為に何か妥協するときにしか選ぶ理由はありません。 巻線の透明感はあるのですが無誘導巻きではないので高域に結構癖があるのと、NFB抵抗に使うと簡単に発振してしまうため使える場所が限られます。この抵抗を選ぶ最大の理由はコストが安いのに巻線の透明感があるからです。これ以下の価格でこの透明感を出すことは知る限り不可能なので価値があります。当時海外では1本80円くらいで買えたので5位までの抵抗と比べると圧倒的に安い割にいい部分も残っているというわけです。高域の癖も音作りと割り切れるかどうかでしょう。

7位 マルツ LMFQ

自作オーディオのnabeさんがオススメしていた抵抗です。金属皮膜はいろいろ試したのですが、透明感があるとは決していえなくなるのはここからです。金属皮膜は上位の抵抗と比べるとどうしても音が固い、高域が刺激的で痛い、分離が悪い等の特徴があります。しかしこのLMFQは20円と安い割にかなり良い音出してます。金属皮膜で選ぶなら今のところこれが一番良さそうです。

8位 Vishay TNPW、SUSUMU RG等

薄膜チップ抵抗です。ソケットでの比較だとチップ抵抗は振動が乗りやすいのでフェアではないのですが、それでも分離の良さは感じます。面実装出来る場合には本当の良さが出ます。大抵の金属皮膜よりも透明感があって大量に買うと安いのでコストパフォーマンスが非常に高いです。たくさん使うならベストではないでしょうか。音はサイズを反映してかやや細身で神経質です。ソケットにつけたりして固定が甘いと高域がかなり荒くなってしまいます。面実装チップ抵抗の最大の利点は内部インダクタンスの低さです。リードタイプの金属皮膜抵抗では発振してしまう回路でもこの抵抗なら安定する組み合わせが存在します。

9位 その他巻線 OHMITE、Sfernice、Dale CWシリーズ等

OHMITEは無誘導巻きですが巻線の良さがありません。金属皮膜に近いレベルで透明感が低い。Sferniceは音質を覚えてないので中途半端かあまり良くなかったのだと思います。CWはDale製でNSやRSとは別のシリーズの巻線抵抗ですが安いだけで全然良くなかったです。これならRSを使ったほうがずっとましです。というわけでこの項目はコスト、音質的に買う価値がないと思った抵抗をまとめました。OHMITEは高評価も見かけるので買った型番が違うものかもしれません。

10位 その他金属皮膜 PRP抵抗、Dale CMF60

金属皮膜は借りて比較した抵抗もあるので詳細はわすれましたが比較した当時はどれもLMFQのほうが良かったです。CMF60は低音だけは多いですが音は濁りすぎです。PRPはこれといって特徴がない音でした。悪くはないのですがLMFQのほうが上です。そして普通のカーボン抵抗はこれより下です。アムトランスのアッテネータもカーボンなのでいいものもあるのかもしれませんが、この時点で比較したものはこの位置以下でした。カーボンが最高に良いと言っている人もいますが、私とは評価軸が根本的に違うだけだと思います。そういうところは主観評価の難しさでしょう。

カップリングコンデンサの比較

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色々買いましたが超高級品は試していません。有名なコンデンサの比較はこちらを参考にお願いします。

http://www.humblehomemadehifi.com/Cap.html

個人的な印象ではカップリングコンデンサの音質差は材質と形による音質変化が中心だと感じました。特徴や印象があった部品だけ書きます。

1位 ポリプロピレンフィルムコンデンサ

安い価格帯のコンデンサだと素材による音質差が重要のようです。ポリプロピレンは比較した中では音質が一番良く高域が荒れないのが良いです。カップリングコンデンサによる音質劣化はまず高域が荒れてガサガサする、繊細な部分が潰れて消えてしまう、そして情報量が減るなどの特徴があります。ですがポリプロピレンは割りとどっしりとした音で荒れにくいですね。それでも直繋ぎと比べてしまうと大分違いますのでカップリングコンデンサは使わないように極力設計上の工夫をして減らしたいものです。

ポリプロピレンが高音質の理由は実は形が大きいことが最大の理由のような気がします。どうも実験を終えたあとの印象としてはカップリングコンデンサは見た目の形状や大きさからくる振動の影響がそのまま音質につながっているような気がしてなりません。固定方法を変えたら音も変わりそうですね。よくメーカーでコンデンサが基板に接着剤で付けてありますがあれも音質対策の可能性が高いです。

1位(2014/12/27追加) PMLCAP

最近ようやくテストしました。テスト環境は違うのですが、面実装セラミックと比較してこの順位です。

頂上決戦はポリプロピレンと対決が難しいのでどちらも1位に設定していますのでPMLCAP>ポリプロピレンってわけじゃないです。しかし確実にこれは面実装セラミックより上ですね。PMLCAPはフィルムコンとほぼ同じ特性でありながら面実装なので振動にも強く、その結果すごく引き締まっていて癖のない透明感のある音がします。特に素晴らしいのが10uFなどのカップリングコンデンサ用の定数がありながら、超小型でセラミックコンデンサのような基板へのガッチリ固定が出来る点です。従来のフィルムコンの形状制約とかサイズの弱点がないです。

というわけでこれは絶対にいいだろうっていう先入観もあったのは認めますが、実際に比較した感じでも良さそうです。今はセラミックコンと言っても特性でそれほど問題なく音質もいいものもあるのは確かですが、ものによってはノイズを出したり歪率に影響しやすいのも確かなので、ここはコストを掛けてPMLCAPを選んだほうが安全ですね。実測特性も直結と比較して劣化なし(測定限界以下)でした。これは良いです。

2位 面実装タイプセラミックコンデンサ

試したのはTDKのX7Rタイプの10uF、1210サイズです。信じられないかもしれませんがカップリングコンデンサに使った場合にはポリエステルフィルムコンデンサより良いです。引き締まっていて音質の荒れが少なく、ポリプロピレンまでは行きませんが近い音質です。世間で言われているセラミックコンデンサの音質と全然違います!

良い理由は面実装タイプはガッチリ付くので振動特性が良いからだと思います。他の例としてはカップリングコンデンサじゃないのですがディスク型のセラミックを位相補償コンデンサに使った時は音質が最悪だったので、昔から言われているセラミックコンデンサの評価ってリード部品の時代の話じゃないでしょうか。面実装だと音は全く違うと思います。

このタイプは価格も安く、スペース効率もいいので、実は実用面では最も優れているのではないかと思います。C0Gっていう電圧による容量変化が無いタイプもありますので特性面でもちゃんと選べば実は問題ないです。実際にDAC出力にセラミックコンデンサをカップリングコンデンサに使用して歪率を測定しても大幅な悪化はなく、1kでTHD+N0.0009%、THDなら0.0004%程度で観測できました。

3位 ラジアル型ポリエステルフィルム

わかりにくい書き方ですが、上の画像で言うと濃赤のツルッとした外見のΠ形のものです。このタイプはどのメーカーも型式も同じような音がしました。この形のものはポリエステルフィルムでは一番しっかりした音がします。でもこのあたりから音は大分荒れてくるので常用したくないレベルになってしまいます。値段もそんなに安くないので余り選びたくはありません。

4位 ラジアル型ポリエステルフィルム

3位と同じじゃないか!と思われるかもしれませんが、こちらは箱型のものです。箱形は見た目は好きなんですけど音質ではやや劣ります。このなかではWIMAがワイドレンジというかメリハリを効かせたような音がしていて、オーディオでよく使われる理由に納得しました。ロックとかと相性が良さそうです。やや大げさなサウンドです。

5位 アキシャル型ポリエステルフィルム

この形は一番音質は良くないですね。かなり音が荒れます。ですがここまでくるとかなり派手になってくるので音作りにはむしろちょうどいいんじゃないかと思います。実際上の画像の黄色と緑のMKT1813は良く見かける気がします。GOLDMUNDのCDプレイヤーでもSPDIFラインに1813が入っていたような気がします。多分音作りのためですね。1813はこの中ではWIMA以上に大げさで派手な音がしますので音を変えることを目的に割りきってしまえばありです。でもクオリティが高いわけじゃなくて派手に荒れているだけなのは注意が必要です。センスに自信のある方は適材適所で活かすと面白い音が作れると思います。このタイプ以外は個性もなく荒れるだけという中途半端な音質でした。

可変抵抗ボリュームの比較

画像を引用して紹介します。可変抵抗は結構早い段階で見限っていたため、あまり高い部品は試していません。なので最高音質の追求の参考にはならないかもしれませんが安くて割にいいものは紹介できます。定数はどれも10kだったと思うので比較条件は同じはずです。

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アルプス ミニデテント RK27

これは結構有名でカプリースのプリ出力もこれだと思うのですがよく使われている割に音は全然良くありません!なんでこのような部品が評価されているのか全然わかりませんでした。曇るし濁るし音が消えます。確かに嫌な音は出さないのですが大事な音も出ていません。あえていいところを評価するなら高域が優しく、低音はしっかり出ているので特定の音楽ジャンルや古い録音には合うかもしれないです。解像度とか分離重視なら選んではいけません。カプリースの劣化の最大の要因はこれでしょう。でも良かった部分は一つだけあって、つまみを付けた時の感触はこの中では重みがあって一番良かったです。使いませんけど。

Linkman R1610G

LMFQを紹介していたnabeさんのところにあったものです。安いので買ってみました。個人的にはこれは欠点がハッキリしていてあまり好ましくありませんでした。ちょっと音が荒すぎました。解像度も高域がうるさいから高いように感じるだけで、本当の繊細な部分は消えてしまっているように感じます。とにかく派手目でハイがキツ目という意味ではミニデテントよりわかりやすい音だとは思いましたが、この音質は合う合わないが決定的にあります。繊細なジャンルの音楽はまるで駄目でしょう。ただし値段は圧倒的に安いのでコストパフォーマンスは割と良いです。

東京光音 CP600

コンダクティブプラスチックを使ったボリュームで、上の2つとは格が違う音質です。大分クリアです。解像度が高く細かい音が失われにくいのが特徴だと思います。パッと聞いても余りわかりにくい部分なのですけど。とはいえやはり直繋ぎと比べるとかなり厳しい音質です。マシってだけで確実に劣化はあります。あと問題は価格で2500円もします。正直この価格は高い。この価格だと国産の農産物を応援するために買うような気分になります。そうじゃなくて安くても音質を求めたいなら下のVishayの同等品を買ったほうが良いでしょう。さらに言えば値段が高いのにギャングエラーが気になるレベルで残っていた外れを引いたのが残念です。もうちょっと品質を頑張って欲しいところ。

Vishay Sfernice P9シリーズ

CP600が良かったのでやすい同じ素材の物を探してみました。こちらもCP600と同じくコンダクティブプラスチック製で価格は当時800円くらいでした。音質はCP600とくらべて余り変わらないので最後はやっぱり材質がものをいう世界なのだと感じます。問題は回すときの手触りが軽くて安っぽいのと、サイズが小さすぎてなんとなく不安になるところでしょうか。でも音質がいいので許せます。たまたまかもしれませんがギャングエラーがそれほど気になりませんでした。これは結構安いのでオススメできます。RSで買えます。国産を応援しない方はこちらでしょう。

(友人の使っている)アッテネータ

アムトランスのカーボン抵抗を使った本格アッテネータです。これも似たような設計回路で音質を比較しましたがコンダクティブプラスチックの可変抵抗よりもっといいです。うーん、これを聞いてしまうとやっぱりアッテネータがいいなと思うのですが、切り替えがガチャガチャして滑らかじゃない点と、コストが高過ぎるのが難点です。これだけで万単位を覚悟しなければならないので・・・。でも音は抵抗をアップデートすることでもっと拘れるので音質最優先ならやっぱりこれだなと思います。超低抵抗でアッテネータというのがオーディオでは最終回答じゃないでしょうか。そういえばAITもプリは300Ωのリレー切り替え式ですし、SAYAも300Ωのリードリレー式だったような気がします。どこかのハイエンド機も特注の600Ω電子ボリューム(これ欲しい!)を使っていたような・・・。これは偶然じゃなくて大いに正しいアプローチ方法だと思います。自分もやりたいです。

ということで

まとめると個人的には次のような感じです。電子ボリュームの試験もやっているので合わせて書きます。同じ10kΩでの比較です。抵抗値が変わると正しく評価できないので注意してください。

アッテネータ > コンダクティブプラスチック可変抵抗 > MUSES72320 > PGA2320 > R1610G > RK27

という感じです。

 

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