中古物件で手探りオーディオルームチューン

Pocket

最近引っ越しました。本当はバーチャル富裕層の記事の続きをアップしたかったのですが煮え切らない状態で詰まっているので、気軽に書けるこちらを先にアップします。

引越し前のオーディオルーム(本来はリビング)

期間限定の賃貸だったのですがそれなりに恵まれた条件だったと思います。27畳LDKで吹き抜けありでした。天井が高いと定在波対策をしなくても結構特性がいいのでこの部屋は何も対策しなくてもいい感じでした。欠点は床が弱いことと期間限定賃貸だからルームチューニングが出来ないことと家賃が高いことですが、室内楽などは相性がよく自然な響きが魅力的でした。無垢木材の反射特性は良かったと思います。もう退去は終わりましたがいくつか記念に写真をアップしておきます。(過去記事にも掲載はあります)

新しいオーディオルーム

トップ画像の部屋です。一部の方からありがたくそれらしく見えると反応いただきましたが、しかし私は富裕層ではありません。(余裕のある人が多そうな)オーディオ勢の中ではおそらく相当な低予算です。書くと長くなるので別途記事でまとめますのでここではとても簡単にかきます。

まずこの物件と部屋は年収400万円あれば現実的に入手可能です。フラット35固定金利なら非正規でOK、私の場合は事業性があるので大きい家ですが常識的サイズにすればリフォーム付住宅ローン2000万円台=月返済一桁万円で十分実現可能です。立地はまず最初に都内直通駅近新築分譲地を100%除外して夢のない郊外ボロ中古物件を地元工務店リフォームすれば余裕です。

前回のバーチャル富裕層の記事でも書きましたが、みんなが買いたい=割高です。需要が限界まで薄い、しかしポテンシャルが高い、ギリギリの立地と条件、そんな幸薄い物件を時間かけて徹底的に狙うのです。バーチャル富裕層は決して富裕層ではないので予算が大きく限られます。低予算ではこれ以外の道はないです。

ということで数年掛けて頑張って希望に合う中古物件が見つかるまでひたすら数百件から選びました。ちなみに以下が希望していた条件です。

  • 最低限の予算で最大の効果を狙う
  • 定位を確保するために左右対称の部屋かつ壁はルームチューニングができること
  • できれば吹き抜け、木造以外(床強度、耐用年数)
  • 防音や強力な定在波対策をする予算はないため、防音を極力しなくていい間取りと立地
  • 床の強度を高める対策ができる物件、または元々床強度が高い物件
  • ある程度以上の空間的広さを確保できること。最低限の空間の余裕は富裕層の条件?
  • 電源周りに現実的な範囲で理想を追求できること

以上です。念願のルームチューニングと床強者が達成できました。そのかわり諦めなくてはならなかったのは天井の高さ=吹き抜けです。吹き抜け物件はあまりに数が少ないので無理でした。そのかわり得られたのは以下の条件です。

  • 1F床に10cmコンクリートが入っている、LDKあわせて35畳
  • リフォーム時に床を剥がしてスピーカとシステムを置く場所から木材を排除出来た(コンクリ10cm+モルタル3cm+大理石2cm)
  • 窓や扉を潰して3面に内壁を追加した
  • 200V直通EUコンセント、専用極太配線、専用分電盤、専用アース
  • オーディオ部屋があるのは道路、駐車場、空き地と隣家がなく騒音問題にまずならない配置、ALCで防音性能もそれなりにある
  • 左右の壁を対称にできたのでVicousticのMultifuserを壁中央に大量配置。これで反射を拡散させ定位向上を狙う
  • リフォーム施工前から定在波対策について考えた
  • バーチャル富裕層的インテリアを低予算で意識してみる

どれも自分ではうまく行っているのかわかりませんが必死で色々検討した結果です。床は強者になりたいとは思っていましたが、予想以上に良い物件が手に入ったので幸運でした。

左右拡散材は本当に効果的なのか

私が左右壁に拡散材を設置する効果について体験したのはオールANKHの部屋です。それまで経験したことのないような正確な定位が印象的でした。ごく一部の例外(富山Iさん)を除いて普通の部屋ではまず実現できない定位でした。その特徴は壁に均等に拡散材が入っていることです。イメージ画像は以下のような感じです。

これが何故定位に効くかといえば、SPから放射される直接音を阻害しないように一次反射面を拡散させるからです。イメージ図は次のようなものです(twitterでは2018当時確証がなかったので仮説レベルで止まってます)。

垂直の平面壁だと鏡像のような反射音でSPからの直接音と干渉しますが、拡散させると鏡像ではなくボケた像になるので、明瞭な直接音:ボケた反射音となって脳内分離が可能だと考えています。分かる人にはわかりやすい例えで言うと、普通の垂直平面壁はディレイで拡散材はリバーブです。写真で言えばピントの合った被写体とボケた背景です。

写真家 並木 隆氏「α史上最高のぼけ描写と圧倒的な解像感が描く世界 ...

ただ最大の問題はANKHを全面に入れることは現実的な予算では不可能なことです。実は日本音響へも問い合わせして部屋に行きましたし見積もりをお願いしたのですが、予算感を伝えて間取り図を送ったらそれ以降返答が来なかったので低予算過ぎて相手にされなかったのかなって思います。一応数百万円の範囲でいくつかパターンほしいって伝えたのですが数千万からだったんでしょうか…。数百万円も個人的には背伸びした予算感で伝えたつもりだったのですけど相手が悪かったみたいです。

ということでバーチャル富裕層では日本音響は門前払いなので諦めましょう。ANKHはちゃんとした富裕層向けです。身の程をわきまえないといけません。

ちなみに現地の写真はこんな感じです。上のイメージ部屋と似ていますね。いずれにしてもとても高そうです。ちなみにこの部屋の音はすごい良かったですが、システム自体の音は高額セットな割に普通でした。部屋ハイエンド、システム普通、です。部屋だけよくても駄目なんだと言うことがよくわかります。

私がANKHの代わりになると思っているのはQRD的なディフューザー=拡散材です。やっていることはほとんど同じだと個人的には考えていて凸凹を利用して反響特性をなだらかにします。そして本家QRDは結構高いので沢山入れることはできませんが、VicousticのMultifuser DC2は安いので左右の壁の一次反射面を余裕を持って埋める事ができます。この手のアクセサリーは単体の仕上げの品質より数だと思うので現実的に必要な数量を優先して選ぶべきでしょう。

ということでバーチャル富裕層ならVicousticのMultifuser DC2しかありません。発泡スチロール製で安っぽいし反射音の質は疑問ですが贅沢は言えないのです。低予算であれもこれも文句は言えません。

ちなみにこの方法で評価されているのは有名なBlack Bird Studioですね。この画像は見たことがある方もいるかも知れません。遥かに本格的ですが、この部屋もやっていることと目的は同じはずです。

この手法の明確な解説は日本語サイトには見つけることは出来ませんでしたがSOSにありました。個人的な経験を裏付ける良い資料です。下記リンク先のAmbechoic Designsにありますが、将来的なリンク切れ対策を見越して重要な一部をDeepL翻訳してこちらのサイトでも引用しておきます。

https://www.soundonsound.com/techniques/sos-guide-control-room-design

非環境室のようにすべての反射を吸収するのではなく、別のアプローチとして、床を除くすべての表面に広帯域拡散板を設置して、すべての反射を拡散させるという方法がある。このような部屋では、インパルス応答は図11のようになります。部屋の大部分では、反射は直接音より少なくとも20dB低いレベルになっています。

表面が平坦な未処理の部屋では、音は表面から反射して特定の時間とレベルに到達します。図2の上の例は、無処理の部屋の側壁、床、天井からの反射です。アンベホリックでは、すべての面がディフューザーで覆われている。図12に示すように、アンベコイック内の特定の場所にいるリスナーから見ると、音はもはや壁の一点からではなく、壁全体のすべての場所から聞こえてきます。これらの多くの反射経路は、鏡面経路(赤で示されている)とは異なる、長い距離のものばかりです。その結果、平坦な壁を持つ強い疎な反射の間に存在していた隙間が、低レベルの初期反射の密なセットで埋められています。これらの初期反射は、ディフューザーが半球上にエネルギーを拡散させるため、強度が低くなります。これが、吸収体の代わりに拡散体を使用することが有益な場合がある理由です。

拡散反射は、ステレオ画像に影響を与えない程度の低振幅です。また、処理されていない部屋で発生する色調も大幅に減少します。これは、拡散による振幅の減少と、拡散器から到達する音に存在する複数の時間遅延によって引き起こされる周波数応答の平滑化の両方に起因しています。反射が拡散しているという事実は、最適なリスニングポジションから離れた場所でのフォーカシング効果の欠如にもつながり、スイートスポットから離れた場所でのリスニング環境のより緩やかな劣化をもたらします。

Blackbird Studio C はこれらの原則に基づいており、図 13 に示されています。この部屋の経験では、壁からの音の反射を意識することができません:ほとんど無響室のように聞こえますが、反響があるのです。この部屋で再生されるステレオやマルチチャンネルの素材は、広いリスニングエリアで安定したイメージを持っています。このタイプの部屋はレコーディングにも適しています。

この技術を最も低予算で実現する方法がVicousticのMultifuser DC2の左右張りというわけです。音楽スタジオでは残響は不要なので吸音材で調整する方法がより安値になりますが、オーディオルーム的には適切な残響があることはとても大事だと考えています。残響はアナログ的に階調をなめらかにしてくれるので擬似的に解像度が上がったようにも聞こえますからデジタルと相性がいいです。理屈はともかく以前の部屋の柔らかい残響が好きだったので新しい家でも同様にしたい、スタジオみたいな無響方向のチューニングにはしたくありませんでした。だからこの方向の選択をしています。

以下が結果です。以前の無対策の部屋では初期反射が-14dBほどありましたが、新しい部屋では初期反射を-24dBに抑えることが出来ています。そして長めの残響。以前のスピーカDuntechをセッティングした時点でも定位はかなり向上してバイノーラルのソースでは帯域は中高域に限られるものの概ね全方位の定位が実現できました。以前の部屋ではどんなにセッティングしても超えられない壁を最初から超えることが出来ました。

今後天井にはFlexi waveを大量設置する予定ですがまだ数が揃っていません。最終的には60個並べます。これは比較的高めの周波数(160Hz以上)の定在波対策と反射拡散材を兼ねています。おそらくこの部分の対策が出来たら初期反射特性はもう少しよくなるでしょう。現状では天井がただの壁になっている場所が一次反射面なので上記特性で残っている-24dBの反射はその影響だと思っています。

https://vicoustic.com/product/flexi-wave-ultra?flexi-wave-ultra=1190&melamine-colors=Brown%20Oak

https://www.mi7.co.jp/products/vicoustic/files/eu-sound-absorption-report-flexi-wave.pdf

定在波の対策

難しいのが100Hz以下の定在波対策です。2.4m天井だとこの辺がかなり凸凹するので対策必須ですがなかなかまとまった資料がありません。怪しいチューニング材含めて諸説ありすぎです。これについては英語圏含めて色々調べました。

すでに出ている情報を整理されているサイトがあまりないので、私が理解した範囲でまとめてみたいと思います。ここ一年位で勉強した内容なので不足はあると思いますが、何かあったらコメント欄で補足していただければと思います。上の写真の部屋だとBass trapやコーナー対策が無いので何もしていないと思われるかもしれないのですがよく考えた上で対策はしました。どう考えてどう対策したのかは後で書きます。

まず部屋の形状と定在波の関係について。よく言われているのは四角の部屋を避けるとか天井を高くしたり斜めにすることですが、実際にはこのような対策をしても影響は多少減らせるとしても定在波自体がなくなるわけではないことに注意が必要です。結局程度問題であって定在波はどんな形の部屋であっても発生します。わかりやすい画像がありましたので引用します。

とても良い資料だと思います。

そもそも定在波は音が外に逃げず室内にとどまることが原因です。屋外の広場なら放射した音波は帰ってきませんので定在波はありません。逆に防音室は音が全く外に逃げないので室内で減衰し切るまで音波はとどまります。これが防音をすると定在波が問題になる理由です。防音室でなくても防音性能と定在波の問題は必ずセットです。私が家探しの条件で防音をしなくていい家を探したのもこの理由からです。この観点からも東京都内や駅近の密集住宅は地獄です。防音のコスト、定在波のコストがダブルで掛かります。

定在波の問題は周波数特性を乱すこともそうですが、特定周波数だけ長く余韻としてとどまります。低域(概ね20-200Hz)のベースの音階ごとに音量が上下してしまう上に余韻が残るので音階がかぶる可能性すらあるわけです。周波数特性はEQで補正ができますが一番の問題は余韻で時間軸でとどまる成分はEQでは消すことが出来ません。例えば周波数の谷に余韻がとどまっているとEQで持ち上げたときにその余韻ごと持ち上がりますから低域の時間軸解像度は低下します。低音の解像度を確保する必要があるなら定在波対策は無視することが出来ません。

とりあえずどのような部屋でも定在波が発生するものは仕方ないとして、どうやって対策をするかというお話になります。現時点での私の理解だと中高域は吸音材で対策可能なので難易度は低いが、低域は部屋に特化した特注Bass trapで個別に潰していくしか無いと思っています。あとは定在波が音声周波数に影響しない位大きな部屋にすること、完全開放面を作ってそこから低周波が逃げるようにすること、このあたりでしょうか。後ろ2つは現実的ではないので実質Bass trapになります。

こうなると部屋の形状や天井高に莫大な予算をかけるよりは普通の部屋を選び、そこで必ず発生する定在波のピーク周波数を個別にBass trapでキャンセルする方に予算を向けるべきでしょう。逆に言えば個別に定在波を潰す方針と予算を決めておけば、どのような寸法比の部屋であってもあまり問題はないとも言えます。もちろんBass trapは周波数によってかなり巨大なサイズになってしまうので、対策のしやすい周波数の定在波が発生する寸法比の部屋を選ぶこと自体は重要かもしれません。中途半端に大きいけれどかなり低い音声周波数に影響が残る部屋が多分一番対策が大変です。

最初はBass trapを検討していたが問題が…

物件を決めて間取りが決まっていたのですが、こちらは部屋のサイズがかなり変わっていて以下のような寸法比と定在波になります。

11mの辺は10Hz台なので完全無視するとして30-90Hzの問題はなかなか対策が難しそうです。特に30Hzを直接対策するようなBass trapはありません。そして最大の問題は広い部屋ほどBass trapの効果は減少するような情報があることです。それが以下です。これは当初買おうと検討していたBass trapです。

https://www.artnovion.com/product-categories/9-bass-trap/products/320-sub-trap-r-h-f-range

性能はなかなかよさそうです。かなり低周波に効果があります。

問題はこちら。この図は部屋のボリュームと必要なBass trapの数量のグラフです。これを見ると広い部屋ほどたくさん入れないと減衰効果が得られないことがわかります。うちのLDKオーディオ部屋は120m3近くあるので最低4ついれないと6dB減衰が得られないということです。これが30m3なら1つか2つで同等以上の効果があるのですから部屋のサイズが大きいと定在波対策は難しいというか相応のコストがかかるということです。

この製品は高額なので4つ入れたらかなりコストが掛かります。しかもそれで効果があるのはたったの6dB。そもそも50Hz前後に効果があるBass trapの既製品は多くありません。なので多分自作が得意な方は自作するのが一番です。残念ながら自分は工作は苦手なので諦めます。

ちなみにBass trapの自作解説はこちらに情報があるので紹介はしておきます。工作が得意な方なら簡単にできると思います。

うちは細長い部屋なので奥の壁を1mくらい潰して全部低音吸音層にすればいいのでしょうが、もっと低コストで解決できそうな対策方法を見つけたので特注プランはなくなりました。

AVAA=アクティブベーストラップに頼り切るプラン

AVAAってこれです。スイスPSIからの対定在波対策最終兵器。最も難しい低域(10-150Hz)のかなり幅広い帯域に対して1セットだけで効果があるというのが最大の特徴です。デメリットは結構お高いことと電気が入る機械なので壊れるかもしれないというところですが業務機メーカーなので当分は大丈夫でしょう。

http://www.dspj.co.jp/products/PSIAudio/avaa-c20.html

AVAA C20 Active Velocity Acoustic Absorbe

AVAAは、リスニングルームに必ず存在する15~150HZの定在波を取り除くアクティブのアブソーバーです。パッシブのアブソーバーに比べると直径比で5~20倍の効果を持っています。 内蔵マイクの正面にある音響的な抵抗の圧力を計測し、トラスデューサーが余剰分を取り除きます。この技術は、複数に渡る国際特許を申請中です。通常のプロセッサーはデジタル技術を使用して音響空間を補正しますが、ソフトウェアの理論により1波長が存在できない低域のプロセッシングは行うことができません。また、プロセッサーの計算速度も、低域の補正を正しく行うことはできませんでした。PSIは、長年のスピーカー設計から得たアナログ技術を用い、超低域に存在する解決できない問題を解決します。

またSOSですがこちらも参考になります。

https://www.soundonsound.com/reviews/psi-audio-avaa-c20

スイスのモニタースピーカーメーカーPSIは、新しいAVAA C20アクティブ・バストラップを開発しました。この製品の奇妙な頭文字は「Active Velocity Acoustic Absorber」の略で、従来の広帯域バストラップパネルのアクティブな代替品として機能するように設計されています。メーカーは、それがどこか5と20倍のサイズの「壁の穴」のように音響的に動作すると主張しています – 環境の音響特性に応じて、どこか1と4平方メートルの間を意味します – これは、高さ509ミリメートルと424ミリメートル幅であり、13キロの重さであるボックスのためにかなり印象的です!AVAAは、約10分の1の大きさです。AVAAは、同程度の性能を持つ従来のブロードバンド・バス・トラップの約10分の1の大きさで、これは驚異的です。

部屋の 3 コーナーエリアは、最も多くのルームモードが集まる場所であるため、AVAA はそのスペースにすっきりと収まるように台形のプロファイルで設計されています。後方の2枚のサイドパネルは、隣接する壁にぴったりと密着するように90度に設定され、内側のコーナーは面取りされ、アンプシャーシの対流冷却のために50mmの深さの「煙突」が残されています(電源スイッチへのアクセスも可能)。同社は、オールアナログシステムであることを謳う以外に、ドライブユニットやパワーアンプ、信号処理の仕様は公表していません。

前面の2つの表面は、外側に向かって緩やかに弓なりになっている丈夫なパンチングメタルメッシュで構成されています。このメッシュの後ろには白い「マイクロパンチングシート」が見えます。これは、密閉された、非常に重く減衰した、反射のないキャビネットの背面に面しています。マイクロパンチングシートのすぐ前には、ユニットの圧力感知マイクが取り付けられています。

この動作原理は、いくつかの特許で保護されていますが、マイクロパンチングシートが作り出す音響抵抗が、内部の駆動ユニットと組み合わさって、膜の後ろの音圧をほぼゼロにするというものです。このようにして、音のエネルギーを反射させることはできません。入射された音波が音響抵抗を通過すると、音圧が低下し、一部の音響エネルギーはすぐに失われ、残りの大部分はドライブユニットの振動板の制御された動きによって吸収されます。ドライブユニットのアナログ制御信号は、抵抗膜の直前の音圧を感知するマイクから得られます。このシステムの目的は、AVAAの周囲に実質的に低減された音圧の領域を作り出すことであり、15Hzから150Hzまでの周波数範囲で動作します。

実際の測定例をみて小型かつ効果が高そうなのでこれは良さそうです。

https://www.gearslutz.com/board/showpost.php?p=12285073&postcount=46

たまたま中古で出物があったのも幸運でした(買いました)。この時点ではまだリフォームは始まっていなかったので、中途半端なBass trapや部屋の角対策はあえて設置するのはやめ、AVAAを設置するためのスペースとして角を残していたというわけです。

設置と測定

色々設置場所を試したのですが、スピーカの横と角の2箇所が効果的でした。横は目立つので結局メーカー推奨の設置場所である角になりました。以下角への設置前後の測定結果です。REWのDecayです。

AVAA使用前

AVAA使用後

あまり変わってない、効果はあまりないでしょうか。画像を別々に並べるとわかりにくいですね。

次のように重ねてみると細かく違っている場所を判別できます。灰色がAVAA off、カラーがAVAA onです。

重ねて見ると結構違います。この結果からAVAAは30-100Hzで効果的だと言えそうです。

10-70Hzは直接音の周波数特性より減衰特性の山によく効いています。70-110Hzあたりは周波数特性の谷によくきいています。画像でみると大差がないように見えるかもしれませんが、低域で数dB以上違うのは大差といえます。実際にEQで低音を3dBいじってみればわかります。ただ100-200Hzはうまく効いていないように見えます。これは何故なのか。実は部屋の定在波が原因ではありませんでした。定在波はAVAAですでに対策が出来ていました。これについては次回書きます。

ひとまず定在波については一定以上の部屋サイズで対策をする場合はAVAAを入れてしまったほうが安くて手軽だと思いました。しかしもっと小さめの部屋の場合はBass trapを入れてしまったほうがコストが安い可能性もあります。さらに小さい部屋でBass trapが置けない場合はこれもまたAVAAが良い解決法になるかもしれません。10-100Hzの定在波にはしっかり効果がありました。

最後にSOSの記事から定在波対策のお話を引用して定在波については締めます。

この問題に対する明白な解決策は、単に壁の境界からの音の反射を防ぐことですが、単純なフォームやミネラルウールの吸収板を使用すれば、中・高周波数では簡単に達成できますが、周波数が低くなるにつれて徐々に難しくなり、現実的ではありません。従来の解決策は、専用の「バストラップ」を設置することです。低周波の音が音源から部屋中に放射されてバストラップに到達すると、その時点ですべてのエネルギーが吸収され、部屋に跳ね返るものは何も残りません。低域の音波が反射しないということは、音源との相加的なピークや破壊的なキャンセルがないということであり、部屋の低域の応答は本質的にフラットでニュートラルになります。

しかし、不満なことに、このコンセプトはシンプルではありますが、実際にはそうではありません。フォームやミネラルウールのような最も単純な吸音材は、運動中の空気粒子の運動エネルギーを熱に変換することで機能します。実際には、動いている空気粒子は、吸収体の多孔質材料の中で戦うことによって、すべてのエネルギーを失ってしまいます。したがって、吸収体は、空気が最も移動している場所に配置すると最も効率的で、音波に沿って空気が最も速度を持つ位置は、その波長の4分の1の位置になります。

ベースギターの底面の「E」の場合、基本周波数は41Hz、波長は8.4mです。したがって、最大の効率を得るためには、41Hzの基本周波数からの境界反射を防ぐために必要な理想的なベース吸収体は、壁面から2.1m以上(6.5フィート以上)離れている必要があります。明らかに、周波数が高くなるにつれて波長は短くなり、164Hzの2オクターブ上の’E’では、波長は2.1メートルしかなく、最適な吸収体の厚さは0.5メートル以上になります。

悲しいことに、ほとんどの人にとっては、壁や天井に半メートルの発泡スチロールやミネラルウールを敷き詰めて、床面積の寸法から1メートルを取ることは、2メートル以上をどこにでも収容することはおろか、あまり実用的な選択肢ではありません(多くのプロのスタジオ・コントロール・ルームでは、このような配置をしているか、少なくともこのような配置にかなり近づけていますが!)。

もちろん、ダンピングされた膜やヘルムホルツ共振器など、様々な代替手段やより洗練されたバストラップがあります。これらのよりコンパクトなソリューションは、物理的なスペースの要件を大幅に削減することができますが、それらの多くは、数メートルの多孔質材料で達成される広帯域吸収と比較して、非常に小さな周波数範囲のみを扱う特殊な「チューニングされた」設計となっています。このため、一般的には個々の部屋の固有の問題に対応して設計・施工されるため、比較的高価で、DIYソリューションとしては魅力的ではありません。

簡単に言えば、AVAAを使えば本格的な対策より簡単で安く解決できる可能性がある、ということです。ルームチューニングは部屋、リソース、要求特性によって解決手段が大きく変わるように見えますが、AVAAはコスト以外の面で多くの人にとって現実的かつ確実な対策手段ではないかというのが個人的な感想です。

長くなったので記事を分けます。一旦ここで区切ります。

予告

  • 分電盤と配線とアースとコンセントについて
  • 床の強化について
  • 富山のIさんに作っていただいたタイムドメイン風SPについて
  • ゲインも周波数特性もバラバラなので送り出しでデジタルEQをかけまくる
  • 低域クロス周波数の見直しとスピーカの定在波
  • バーチャル富裕層的、低価格で実現するインテリアと間接照明

関係するかもしれない記事

富山県Iさんの超絶定位システム

年収400万円台からはじめるバーチャル富裕層

Subscribe
Notify of
guest

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

3 Comments
Inline Feedbacks
View all comments
acetaria
acetaria
1 month ago

こんにちは、いつもクオリティの高い記事を楽しく読ませて頂いてます.
どんなケーブルを使っていらっしゃるのか気になります。
こちらの記事とは直接には関係のないことを伺って申し訳ないのですが、よろしければ教えてください。

acetaria
acetaria
25 days ago

ご返信ありがとうございます。なるほど、まずは基礎的な性能を最大化することが大切ですね。大変参考になりました。