※2017/06/05 4項にAK4497を追加
DACの最終的な音質差はどこから来るのか。アナログ回路やDACのICの種類による影響はどれくらいあるのか?等なかなか比較しにくいものです。ですがいままでの実験でわかっている範囲の情報をまとめておきたいと思います。ほぼ同条件でDACのICを交換するなどなかなか実験しにくい音質検証などもおこないましたので、全てを書けるわけじゃありませんが書ける範囲で書きます。
オーディオ設計の音質要因
あらゆる要素が音質に影響するというのが最終結論ではあるのですが、項目ごとに重要度が異なります。やはり項目とそれぞれの対策度によって影響が大きいものと小さいものがあると感じています。ここではなるべく大きい要因から小さいもののなかで現実的な範囲を紹介したいと思います。
原則としてオーディオでの音質対策はなるべく大きいところから対策していかないと小さい変化はなかなか見えないか気づかないということが多いです。もちろん注意深く聞けば小さい違いでも大きい違いに完全にマスクされるわけではないので違いはわかりますが、わかりにくい又は全くわからないということも十分にありえます。
なので改良を重ねていくとそれまで気づかなかった要因や無視していたところに悪化の原因があって新しい対策や気付きが必要になるということはごく一般的なことです。そして小さい変化はとんでもなく微細な領域まで多岐にわたるので、全てを対策することは現実的には不可能だと思われますが、それを実現するのがピュアオーディオの道ではないかと思っています。
前置きはこれくらいにして、実際の重要項目を上げていきたいと思います。想定はDACの設計で、数字は重要度の高い順に書いているつもりです。中には条件次第で逆転しそうなものもありますが、個別の項目の解説はあとで行います。
- アナログ回路レベル
- アナログ設計のうち部品選定レベル
- アナログ設計のうち基板設計レベル
- DACのIC種別
- 基板外のアナログ要因
- クロックジッター、歪率など測定可能な要因
- デジタル信号処理関係
- デジタル転送の外的要因
だいたいこのような感覚です。まぁただの個人の体感による勘なのであまり当てにしないでほしいのですが、1-3までで少なくとも60%以上は決まりそうです。DACのICだけ変えても音質の要因はせいぜい10-20%位かもしれません。確かに音は変わるし10%でも重要なのですが、それだけで勝負が決まることはありません。ES9018ならなんでも音がいいとかは嘘で幻想っていう話なだけです。たとえば3番めの要因である基板設計による配線の仕方や部品の配置の違い程度でもDAC-ICの差は簡単に逆転しました。なので基板設計がICの種類よりも上の順位になっています。のこりの要因は5番目以降で決まりますがこれ以降の要素だけでは決定的な差にはなりません。
もちろん特化型ですさまじい対策を施した場合は逆転などの例外が起きる可能性もありますが、基本的に順位が入れ替わるようなケースは少ないです。個人的にPCオーディオ的な対策にあまり興味が無いのは7番目以降のもっとも重要度の低いカテゴリに入るからです。音は微妙に違いますが正直上位の違いに比べると大差がないです。ここの対策は最後でいいでしょう。まだまだそこまでの領域には達していないと自覚しています。
ではそれぞれの項目についてもう少し掘り下げて記載します。
1.アナログ回路レベルの違い
想定しているのはI/V変換回路、フィルタ回路、差動合成回路、電源ルーティング、レギュレータ回路、方式等による違いのことです。ここにはトランスの個数やGNDの分離方法もここに入ります。
トランスの種類差は電流量が同じなら部品レベルの違いですが、電流量等のスペックが違ってくると回路レベルの違いになると思っています。オペアンプの交換も内部の回路方式の差が含まれるので1のカテゴリに入りそうなので、回路レベルというのはかなり幅広く重要度が高いのは当然かもしれません。
実例をあげますとDACや出力アンプに対するレギュレータの回路はもちろん、個数や接続のまたぎ方などは典型的な回路レベルの差です。このような違いはより劣る構成の回路でいくら部品を高性能品に交換してもそれだけでは逆転できない大きな差が生じやすい一例です。他にはディスクリートオペアンプの実験でも回路が変わると音質は結構差があって、構成している部品だけいくら交換しても回路の違いほどの差にはなりませんでした。他には回路にコンデンサを追加するとかトランスを大きなものに変更ってのも回路が変わるのでハッキリした音質差が出てきます。
DACでは個人的にI/V変換>差動合成回路の構成はリファレンスの回路から大幅には変更したことがないのですが、これも回路方式の差ですから例えばシンプルなディスクリート型に変更したら多分音は大幅に変わると思います。
このような回路レベルで決定的な差が出来てしまっていると部品だけを交換しても回路方式の差を逆転することはあまりなく、やはり回路方式による差が最も圧倒的な音質差を生み出している要因だと思います。正直このカテゴリ内でも項目が多すぎるため更に重要度は細分化すべきなのですが、残念ながら私自身はまだそこまでの境地には至っていないです。個人的には今のところオーディオでは信号回路以上に電源が大事だと考えていますが、EARやPassの設計を見る限りそれ以外の要因での逆転もあると思っています。ここは深すぎる世界です。
2.アナログの部品選定レベル
ここで想定しているのは主に抵抗やコンデンサによる差です。トランスのEIコアとかトロイダルとかの違いもここですが、これはそこまで違わないです。むしろ最も重要なのはカップリングコンデンサ、アナログボリューム、一部の箇所で使用する抵抗で、これらの差はかなり音質に対する影響が大きく、この選別次第で大幅に音が変わってしまいます。同じ構成の回路でも比較すると結構圧倒的な差を感じる部分です。
たとえばボリュームがダメだとDACのICをいくらいいものにしても全てが台無しです。実例としてはカプリースで使われているアルプスのミニデテントが良い例です。ボリュームを通過するプリ出力ではES9018の性能や内部設計の良さが全然でていません。たった一つのボリュームが本来の素性の良さ全てを台無しにする最悪の例だと思っています。これは何度も書いて非常に申し訳ないのですがポテンシャルの高さが部品一つでダメになっているというかなり勿体無い例なので、何度も紹介してしまっています。
ということでボリュームはすごく大事という話ですが、さらにそれ以前に種類による差よりもボリュームの定数を減らすほうが効果的という実験結果はまさに項目2より項目1がより重要なことを示しています。抵抗類は種類にこだわる前に定数を見直すべきというのは個人的な意見です。
3.アナログの基板設計レベル
2までは自作派ならご存知のレベルだと思いますが、ここからややマニアックな比較かもしれません。基板設計による音質差は最近ですとFixerさんが自作基板で検証していましたが、こちらでも書きます。これは本当に違います!こちらはヘッドフォンアンプじゃなくてDACと周辺回路の基板での実験ですが、新しい全く違うレイアウトにしたら基板設計以外の条件が完璧に同じなのに音は全く違うという結果が出ました。これは面白いです。
基板設計、レイアウトでどれくらい音が違うか実際に試した話を書きます。最初はCS4398同士での比較でした。実験はDACの直近以外の回路全てがデジタル段も電源も同じ、ケーブル端子類もケースも全てが完全に同一です。それでも音質はかなり違いました。電源回路を変更した差とまではいかないですが結構近いレベルの違いがあります。
もう一つはAK4490とCS4398での比較の実例です。最初はCS4398がAK4490よりも良い音だったのですがAK4490側もレイアウト補強の対策を行ったところAK4490のほうがCS4398より良くなってしまいました。これはDACのICの差よりも基板の設計やレイアウトの影響が上回ってしまったという例です。これが決めてでアナログの基板設計は3番目という位置にしました。
具体的にどういう設計が良かったのかという話はノウハウということで伏せますが、普通のよくある配線では全くもってベスト音質ではないのはわかりました。オンラインで確認できるメーカー含めた大半のDACの周辺回路の写真を見た限り、こちらで分かったような音質対策ができている基板は海外含めて今のところ存在しませんでした。この実験をしたのは2014年の3月ですので比較的新しい発見になります。ちなみに自分は基本ベタアースを使っているのでベタアースか一点アースかどうかではありません。
とにかく基板設計が音質対策として実はDACの選別以上に重要かもしれません。いろいろな制限のあるユニバーサル基板、レベルの低い設計レイアウトの基板、安物で見られる1層基板等はベスト音質にはまず出来ないでしょう。しかも基板レベルの音質の違いはDACのIC種別よりも大きい違いの可能性が高いという話です。
ここから考えるとDACチップの違いよりも基板の配線パターンを見て音質を判断したほうが良いという話になるわけです。
4.DACのIC種別
ついにDACの種類による差です。ですが最初に断っておきたいのは私自身は各社のハイエンドICしか比較していないということです。古いICやローエンドのICを扱っていないので大差がでていないという可能性があります。なのでローエンドのDAC-ICはすごく音が悪かったとかは無いとは言い切れません。念のためよろしくお願いします。
上にも書いていますがDAC-ICごとの差は確かにあります。ですがやはり決定的な差といえるほどの差は感じていません。近い条件で比較するとこうなるという話でしかありません。これは1-3までの項目で簡単に逆転してしまう程度の差です。なので○○のICを使っているから音がいい、悪い、という判断はあまり正しくありません。オーディオは総合力なのでどれか一つの要素だけ頑張って音質が最高になるというのはほとんどの場合あり得ないと思っています。もし例外があるとしたらその優れている一つの要素が本当に圧倒的に超絶突出していることが条件になると思います。
ではわかっている範囲でDACごとの音質について書きます(2017年時点において。ES9028、ES9038は未評価)。順位は基本性能です。同じ条件なら分離が優れている順番です。
補足です。残念ですがAD1955は制御がSPIなので基板の互換性の問題で直接の比較が出来ていません。なので一位はAD1955ではありません。
- AK4497 条件付きで1位です。ES9028&ES9038がないので現行最高と断言できるわけではないのですが、ちゃんと比較できた中では音質ではトップだと思います。ただしAK4495と比べると基本的に神経質で細身な音なのでES9018に近い雰囲気があります。真価を発揮させるには電流量が大きいDACチップなので電流の流れに配慮した設計が必須です。これができていない状態では本当の音が出ません。この部分が足りない状態だと「個人的には」という注釈が付きますがAK4495以下です。
- AK4495 2015年当時ES9018を超える唯一のDACでした。現代のICではなくなってしまった音の余裕や音の太さを感じます。正直これを聞いた後にES9018を聞くと平面的で神経質すぎる音に聞こえてしまいます。分離や細部の描写もこちらの方がいいです。パッと聞いた時の雰囲気がまるで違います。これと比較するとES9018だけではなく他のどれもが神経質な音に聞こえます。貫禄のある音でしょうか。
- ES9018 さすがの評判で測定特性も最強です。音質も良くて他のICと比べるとクリアで空間が広く癖もなく聞こえます。ですが2位でした。いつまでも不動の一位ではないということでしょうか。いや私が無知だっただけで良いDAC素子は他にもあるかもしれませんが。といってもまだES9018が良いICなのは間違いありません。動作に癖もあって扱いにくい面もありますが、自動でミュートしてくれたりフォーマット判別もしてくれるので、意外と気が利く優等生タイプです。
- PCM1792 古いICですが良いです。もともと高域にキツイところがあるのですが1-3までの条件を揃えていくと急に良くなります。悪い設計だとキツくて聞けたもんじゃないのでちゃんと設計できているかどうかで音質評価がガラッと変わりそうなICです。分離、性能はES9018に次ぐと思っています。素性は良いが気むずかしいツンな感じです。
- AK4490 768kでの再生は出来ていませんが他と同じ条件での比較です。音はすごく素直でPCM1792のようなキツさはありません。最終的にはCS4398と近い音質ですがCS4398より癖がないのでこの順位にしました。デジタルフィルタ変更、DSD256対応と割となんでもできるICですが音質は残念ながら最高ではありません。
- CS4398 高音に特有の癖があります。癖というと悪く聞こえますがちょっとピークというか特徴があります。といってもPCM1792ほどキツくはありません。もともとの素性は良くてちゃんと1-3の要素を満たすとかなり良い音が鳴ります。対策が甘いと良くないICだと誤解されそうな音なのですがちゃんと使えばそんなことはありません。実際に使った感じではDSD128も対応しているしデータシートのスペックよりもずっと良いICだと思います。独自機能のDSDのデジタルボリュームは面白いですが音はそんなに良くないので期待してはいけません。
- PCM1795 1792とぜんぜん違う音質です。比較するとこちらのほうが癖もなく素直で使いやすい音ですがその分限界も低いです。でも物量が投入できない場合は1795のほうが耳障りの良い音です。一応順位は下にしてありますが実際の音質面ではほとんどAK4490やCS4398と大差はないと思っています。この順位は基板レイアウトで簡単に入れ替わる程度でしょう。
- WM8741 この中では最下位です。測定特性も最下位なので思い込みの影響も多少あるかもしれません。1-3の条件をほかのDACと揃えても最後まで分離が悪く一線を越えられない印象でした。ですがこのICにはいいところもあって1-3の音質対策を投入していない場合の音色と耳障りでは最も良いでしょう。ゆったりとした独特の雰囲気があって音楽的に優れた一面を持っています。最後の伸びしろはないですが何もしなくても持ち前の独特の魅力があります。物量投入しない時には音が良いDACです。
5.基板外のアナログ要因
これは要するに電源ケーブル、コネクタ、配線の種類、ネジ止め、ケースの振動対策などのことです。エージングによる音質差もここに入ると思っています。以前抵抗のエージングによる差をブラインドで判別したことがありましたが、抵抗の種類を超えるような差には聞こえませんでした。経験的にもエージングで素子の順位が変わった経験は一度もありません。なのでエージングの位置はここだと判断しています。
これらの項目はさすがにDAC素子ほど支配的ではないですが無視すると痛い目にあう部分です。もちろんこれだけで勝負はできないのですが最後の詰めになってくると、これが意外と大きな音質差につながっていたりするので油断できません。とりあえず言えることは最低限配線の質には気を配りたいのと、振動は音作りにも使えたりすることです。
ジッター対策とどちらの順位を上にするか悩んだのですが、こちらのほうが対策方法や対策箇所自体が沢山あるので順位はこちらを上にしました。このあたりはここに書くよりももっと突っ込んだ対策をしている方のほうが多そうです。
エージングについて補足です。
個人的にはほとんどの部品のエージングではそこまで大差あるように聞こえたことがないのですが、例外でエージングの影響が酷いのは下ろしたてのスピーカやヘッドフォンなどの駆動部品、あとはハンダ付け直後のコンデンサくらいでしょうか。抵抗や半導体のエージングは同じ音ではないですが非常にわずかな差でした。
しかしエージングでものすごく大きく変わったという話をネットでよく見かけるのでこれについて考察してみます。思い当たるのは実は耳エージングならば項目1より体感の差が大きい可能性があります。
耳のエージングとは、いままで聞いたことがない音を聞いた時に脳が認識できるようになるまでの時間です。脳の認識は訓練なので時間がかかりますし個人差も大きいです。音楽の経験がある人ならよく分かる話だと思いますが、音程の判別能力とかもそうですね。鍛えれば向上していきます。オーディオでも同じで、この影響が項目1よりも大きい違いに聞こえる可能性はあります。実際には部品の音が変わったわけじゃなくて脳の認識が変わったという話です。
実はネットで見かけるエージングの報告のうち、この耳エージングの可能性は結構ありそうです。自分ももちろんこれに該当する経験は今でも普通にあります。
6.ジッター、歪率などの測定可能な要因
歪率やS/N比、ジッター特性も確かに音質に影響する要因なのですが6番目の要因です。体感ではせいぜい5%未満くらいの違いしかありません。歪率は悪化していても気づかないこともあるし、実際に歪率の劣る機器でも高音質はあり得るというのが事実です。此処から先はブラインドで判別する自信がなくなってきます。思い込みで簡単に評価や判断は覆ってしまう領域だと思います。
この聴き比べが難しい理由は測定特性が良い=音が良いではないことが理由です。測定による音質差はあるのですが他の違いの影響がより大きいので同時に他の要因も変わると分からないです。
実際に測定は良いけど音が悪いという一番わかりやすい例を紹介するならASUSのEssence XTSでしょうか。メーカーがオーディオプレシジョンの測定結果を付属でつける念の入れようなのですが実際の音は全然ダメでした。いや粗悪ではないのですがすごくいい音じゃないというレベルの話です。廉価なオーディオインターフェースと同じくらいの音質ということです。これは実際に持っていて比較しているので間違いありません。
逆に測定値が悪くて音が良い代表格はこちらでも紹介したTHETAの古いDACです。測定ではSNもジッターも歪率も全てASUSのサウンドカードのほうがいいですが最後の出音はTHETAのほうが圧倒的にいいです。THETAはLynxのHiloと近いレベルの音質です。ここまで違うと音色がどうとか好みが味わいがとかじゃなくて絶対クオリティの優位性です。
もう耳と測定器は全く違う認識なのだと思っています。他にも歪率もジッターも特性を磨いた自作のPCM1792が特性の劣るWM8741のDACに音質で負けたが、電源回路を変えたら逆転した、ということも体験しています。このような例は上げるとキリがないです。
ということで歪率やジッター特性はカタログスペックとか技術力の誇示にもなるし良いに越したことはないのですが、1-5までの項目と引き換えにするほどは重要ではないと思います。同じ条件で比較すると確かに差があるので出来るだけ数字も良くしたほうがいいのですが、逆に測定値だけ良くても音質の向上には限界があります。もちろん音質が良い上に測定「も」良いなら言うまでもありません。
実は測定値が悪いことの最大のデメリットは技術力や測定主義の方から技術力のないメーカーだと評価されてしまう、ネットにそれを悪く書かれること、それによってブランドイメージが低下してしまうことでしょう。
7.デジタル信号処理関係
デジタルフィルター、PCMとDSDの差などです。この項目も測定特性に影響する部分なので6と大差はないので順位は目安です。今流行のハイレゾ音源もここでしょう。ここから先はデジタル領域ですが、差は小さいです。デジタル領域の差は同じ機材で聴き比べないと全然違いがわからないです。機材を変えたら機材ごとの音質差のほうがデジタル領域の差よりもずっと大きいです。
なので正直デジタルフィルターもフォーマットの違いも個人的には同じ設計の機械の上で切り替えた場合に、ちょっとだけ音が変わりますっていうレベルだと認識しています。もしかしたら時間軸に敏感な方だと大きな差に聞こえるのかもしれないのですが、もともと敏感な人じゃないとこの辺りは何が違うのか全然わからない可能性もあるのではないでしょうか。自分は時間軸に敏感じゃないのでフルレンジとかDSDの優位性もあまりピンとこないタイプです。
ということでここの音質対策に時間を投資するのはあまり効率がいいとは思っていません。ですがDSD再生は商品としては必要とされたりするので再生機能は必要です。でも音質面では実は世間で言われているほど重要ではないでしょう。
8. デジタル転送の外的要因
こう書くとすごくわかりにくいですが、PCオーディオでプレイヤーとかドライバで音が変わったとかです。最近だとHDDのデータが同じでも音が違うとか言われてるみたいですがよくわかりません。微妙に音が違うとは思いますが全く同じ配線と機材で再生ソフトだけ変えるとかは非常に音質の影響が小さいです。たしかにAsioとKsで音が違うとか、プレイヤーで違うとか、なんとなるあるような気がしていますが、思い込みのほうが大きいレベルじゃないでしょうか。他にもっと大事な要素が沢山あると思っているので個人的にはあまり開拓していません。この辺りはもっと詳しい方が沢山いますし、音楽制作者としてはそこまでこだわってやってられないというのも事実です。使い勝手や利便性を犠牲にしてまで音質優先にするのかどうかは考えものです。
ほかにも似たような要因でトランスポートの差や同軸、光の音の違いがありますが、実はこちらはアナログの要因も関係しているので完全なデジタル領域だけで割り切れる話ではないです。同軸なら絶縁限界とノイズ、光なら送受信モジュールの電源回路で音は違います。光も受信側の回路設計次第で同軸に近いまたは超える音質になりえます。同じようにUSBケーブルの差とかも電源配線の高周波ノイズの回り方に違いがある可能性もあるので純粋なデジタル領域の差ではないとおもっています。これらはアナログ領域も絡んでいるので8と5の複合です。なので音はよりハッキリと変わります。
1位の???が気になりますね。なんだろ?
AK4490を使ったアイリバーのAK380を試聴しても?の感が拭えませんでした。限界突破していないというか。
値段を考えたら全然頑張ってないと思います。いや、どう考えてもあの値段にならないです。(笑)
気になりますよね。しかしすみませんが暫くの間この1位はふせさせてください。そのうち必ず公開します。
それよりも本当にこの記事で一番訴えたかったことはどのDAC-ICが一番音がいいかじゃなくて、どんなに良いDAC-ICを使っていても設計がダメならいい音が出ないってことです。なので1位も同条件での比較なら確かに違うのですがICだけ変えても…というのが個人的な印象です。確かに他が極まってきたら大事な差になるとは思うのですけど。
まともに聴き比べをしたことがある実例ではWM8741採用機であるLinnのDSとES9018のカプリースの比較で、カプリースはKrimaxどころかAkurate以下でした。しかしほとんどの平凡なDACよりカプリースのほうがいいと思いますので、実際にはそんなものというところです。
いままでにディスクリートDACのDSD原理基板、マルチビットDAC(MSB、Soekris)など色々と聴き比べてきていますが、確かにディスクリートのほうが薄皮一枚有利です。が、やはりそれだけで絶対的な優位とはならない印象です。ディスクリートでも他の部分の設計の重要性は依然として高いです。
アイリバーの製品は聞いたことがありませんが値段を調べたらとんでもないことになっているみたいですね。設計を見る限りではHugoのほうが面白いし凄いんじゃないでしょうか。DAC-ICレス、フィルターレス、という突き抜けた設計のHugoは実際に聞いてみてもパッと聞いてこれは違うなっていう音を出していたように思います。やるなら単なるディスクリートだけにとどまらず、あそこまで突き抜けてやらないとダメなんでしょうね。
オーディオ製品に関してはほぼ素人ですが、分かりやすく面白い記事でした!
製品は総合力、エージングは「脳の認識力の向上」かも、という点、少しながら経験があり大きく頷いてました(笑)
大変興味深く読ませて頂きました。素人質問で申し訳ないのでが、メーカーにて最新DACチップに交換出来ませんかと質問すると、決まって出来ません、対応していませんと言われます。同じメーカチツプなら交換は可能なのでしょうか?旭化成のAK同士なら1つ前、2つ前の世代のモノと交換可能なのでしょうか?
たとえばPCM1795とPCM1792などは電流量の違い程度でピンの互換性があります。
しかし実装済みの面実装品を出荷後に交換するというのは信頼性の問題でまず不可能です。
まわりには温度に弱い電解コンデンサのような部品も実装済みですからメーカでも交換は簡単ではありません。
その後の寿命や機能を保証することは現実的ではないでしょう。
そして現在のDAC-ICはすべて面実装ですので出荷後の交換は不可能というわけです。
当方でDACのICを比較した方法は、はじめから交換前提で周辺回路もICの仕様に合わせて設計し、
ICだけではなく周辺回路ごとソケットでまるごと交換できるようにして検証しました。
入出力のピン配置は完全に互換性があるようにしておきます。
ですが、残念ながらこのような製品は世界中探しても存在しなかったように思います。
[…] http://innocent-key.com/wordpress/?page_id=2563innocent-key.com […]
さて、DACチップの音質比較で、一番最初にヒットしたので、記事を拝見しました。
記事の内容は、なるほどと思えますし、改善順位もその通りだと思います。
しかし、個人的に貴殿の記事は今一欠けているなー。と感じました。
所謂BBのPCM1792Aファミリーを如何にかして、改善しょうか?
と言うよりチップの性能任せと、はず論、であろう論でスレを終わらせて、無責任も甚だしい!と感じた次第です。
私は測定器を持っておらず、耳だけが唯一の頼りですが、PCM-1794AをRだけのI/V変換で次段のLPF兼0dBバッファーアンプに接続しています。
I2SでMCK、BCK、LRCK、DOUTの4本の信号線に触れた記事は一切見たことがありません。
何故触れないのか?触れれば優しい音楽に出会えるのに...
PCM1972Aファミリーは、まず制作記事に良くある干渉防止用と言う数十Ωの抵抗は不要です。増してや電流損失をわざわざ追加するなど以ての外です。
次に高域がキツイと言う点は、DAIのfsに起因していると思われDOUT信号に重畳され、その現象が発生していると思われます。
我流ですがDOUT信号にフェライトビーズ経由ででDINに接続すれば、高域のキツさは即解決します。
同時にMCK、BCKを同じフェライトビーズに通せば信号は同期して高調波の空中伝搬を抑制できます。
DOUTとMCK、BCKをフェライトビーズを通して高調波をクリーニングするだけです。
LRCKは上記より長いスパンの同期なので直接続でかまいません。
要は、DACチップに接続する4本線を如何にクリーニングする事が要であるかの記事は無いし、誰も気づいてないのでは?と経験上疑っています。
思いっきり古さを感じる音が好みで有れば、DOUTからの電線をフェライトビースに2ターンすれば良く、好みの音が再生できます。
ドンシャリのデジデジ音が好みであればフェライトビーズ貫通無しでOKです。
こちらの記事ではDACチップの差は小さいことをお伝えしておりますので、1794&1792でも使い方しだいで良くも悪くもなるかと思います。I2Sデジタル信号配線処理はデジタル領域ではなくアナログ領域なので、音質の影響はDACチップ以上に大きくなる可能性はあります。
ちなみに見たことがないと仰られておりますが、MCLKとBCKについてはこちらの記事+コメントで触れていますので、一度ご覧ください。ご指摘の内容とは異なりますが影響について記載しています。
http://innocent-key.com/wordpress/?page_id=8427
またI2S信号線への抵抗追加による影響は調査済みです。I2Sを出力する前段のICの駆動力が高すぎて、さらにパターン設計がまずい場合には、ひどいオーバーシュートが出てきつい音になることはありえます。そういうときに抵抗またはフェライトビーズを追加することで良くなることはあると思いますが、それだけでまるで別物のように良くなるということはありません。
そのひとつの対策単体では多少の違いでしかない筈です。ここで筈を使う理由は実験の前提条件によるからです。当方の実験は基本的にDACと前段ICが離れた場所にない場合のお話に限ります。
もし別物のように良くなるのだとしたらよほど信号の状態が悪いのだと思います。例えばよくある自作系のDIRとDACが別基板で、I2S信号を無シールド線でGNDとバラバラに空中配線をしているような場合には、とても高速信号を伝送できる状態ではありませんから相当信号が劣化していると思われます。こういうケースでは大きな抵抗値を高周波に追加することは大きな影響があるのではないでしょうか。もちろん、通りすがりさんのテストケースがこういう状態では?という意味ではありませんのでご注意願います。こういう場合には影響が大きくなりうるという一つの例です。
本来は高速配線用のGNDパターン設計を対策に含めたほうが影響は大きいと思います。高周波インピーダンスを使って信号をむやみに鈍らせることより、高速かつ正しいタイミングの信号をオーバーシュートなく、また周囲への漏洩なくDACに伝達することが至上だと考えます。それでデジデジした音がするなら他に悪い場所があるのです。一点だけの対策で完璧になることはありえません。
yohineさん
何れにせよ筈論では、オーディオは語れません。
最終的には聴感です。
例えば、オンキョーのC-7030の安物のCDプレーヤーは、最高品質と絶賛しています。各所に使用されているOPアンプのNJM4580Dのパフォーマンスを最高に引き出しています。
yohineさんが論じられる所のDACチップだけに頼るな!の表れである事でしょう。
yohineさん
干渉防止用のRは不要!と言うコメントは、たまたまFBを貫通したリード配線の方が良い。と思い込み、FBを通せば干渉防止用のRは不要と以前コメントしましたが、謝ります。
個人的な感想ですみませんが、MCKを含む4本の信号線の共通の接続として試行錯誤の結果、DAI_OUT→干渉防止用R→FB貫通→DAC_INと言構成が回路設計にもよりますが、一番良い私好みの音質と成っています。
TVの野球放送で、応援団の隠れたホイッスル音の輪郭が生々しく聴こえるのに成功しました。やはりチップそのもの音質より、既存の回路構成を正すべきで、そちらの方が面白いですし、測定器が無くても空想(発想)論で楽しめます。(測定器に頼り過ぎても、聴感上とは異なるし、心地良い倍音を消しかねない)
※デジタルもアナログもフィルターは平均であることを、お忘れなく!
わざわざご連絡ありがとうございました。良い音が出ているようで何よりです。
お試しの内容は環境や回路構成、基板設計によっても変わると思いますので、万人に向けての内容ではないと考えますが、同じような方向性の音質で困っている方にとって参考になる内容ではないかとおもいます。
AK4497が条件付きで1位になるんですね。
ESOTERIC Grandioso K1やLINN KLIMAX DS/3などの
AK4497を搭載した製品を試聴したことはありますか?
あれば感想をお聞きしたいです。
LINN KLIMAX DS/3は試聴しています。試聴直後の感想はこちらに記載があります。
http://innocent-key.com/wordpress/?p=7036
WM8741採用DSとの直接比較ですが、印象はにていると感じます。
先日オフでDAVE以上のハイエンド機と自作4497の比較機会に恵まれたのですが、
音質や基礎クオリティ面では4497が優位なものの心地よさや音の余裕ではハイエンド優位という結果でした。
平凡な設計の場合はハイエンドとは全てにおいて勝負にならないと思いますが、
突き詰めた最後の印象では4497はどこまでいってもこの個性が残る可能性があります。
ご返答ありがとうございます。
ちなみにその「DAVE以上のハイエンド機」が何か気になるのですが、
教えていただけませんでしょうか?
申し訳ないのですが個人を特定できる情報につながりかねないのでここでは回答できません。
承知しました。
ご返答ありがとうございます。
よくここまで頑張ったですね、相当金と時間をつぎ込んだですよね、音楽、楽しむより、性能重視も大変ですね、ハイエンドか、羨ましい。
音楽もハイエンド志向の探求も非常に楽しいですし、どちらも楽しんでやってきました。音楽は楽しめなくなった時点で辞めましたが、オーディオはここまで継続できているということは向いているのでしょうね。自分自身は音楽づくりよりこっちのほうがずっと才能があったのではないかと思うくらいやる気が続いています。
正直ここまでくるのにお金と時間は相当掛かりましたが、それでも数百万のハイエンド機を揃えるよりずっと安上がり+短期間で済んでいるのも事実です。自分自身を含めて普通のお仕事をやっているだけだとオーディオシステムに1000万円以上掛けられるほど稼げないと思うのですよ。普通の人がまともに働いて市販のハイエンドを揃えようと思ったら何年かかるのでしょうか。きっとその頃にはもう年老いてしまいます。どんどん買い替えて自分の望む音を探そうと思ったらお金も時間もいくらあっても足りません。
もう少し自分の開発レベルが上ったらハイエンドまではいけなくても、ハイエンドの入り口くらいまでなら作れるレベルのノウハウまでは公開したいです。自分のノウハウはコストが掛かっていません。コストも手間も掛かるようなノウハウは選んできていません。ここまでくるのには相当の時間と労力を掛けましたが、ここから先は同レベルの音を出す機材の価格帯が跳ね上がるところなので、むしろこれからどんどん面白くなっていくところだと思っています。
現在のように異常な高額機器を買わなくても音が良くなるなら、きっと今よりオーディオは盛り上がると思っています。
だれも手にすることが出来ないハイエンドなんて存在意義はありません。返答は不要です。
いつも読み応えのある記事をありがとうございます。Twitterでもありがとうございます。
DACチップも大事だけど基板設計が大事というのは、なるほど!と思います。ちょっと個人的に気になったのですが、AD1955やPCM1704とか以前に有名?だったDACって今と比べて音的にはどうんな感じなのでしょう?
また、クロック精度/安定性については、もう少し重要なのかも?という印象です。ありなしだと、音場の立体表現がかなり違ってきてしまいます。記録されているデータを完璧に復元したとしても縦軸のみで、横軸は時間軸なので音楽を再現するという事になると、時間軸の精度が必要なのでは?と個人的には思っています。
今後の開発楽しみです。ぜひクロックもDuCULoN搭載とかのDACご検討下さい。http://www.ndk.com/jp/ad/2013/001/ よろしくお願いします。
コメントありがとうございます。
チップより基板レイアウトの影響のほうが大きいってのはもっと流行って欲しいですね。先日もOppoのSonica DACが海外のレビューであまり高得点ではなかったですが、あれもES9038を使えば高音質とはならない良い事例だと思っています。
そういう前提があるのでチップ自体の印象を書くのは難しいのですが、AD1955とPCM1704搭載機について印象書いてみます。
ひとつ中華のキットでAD1955を試したことがあるのですがこちらの音は全然駄目だったとしか言えないです。粗悪品ですね。もうひとつAD1955を使っていてよく出来ていたのはSAYAの製品でした。お店で試聴したことがあるのですが価格性能比はかなり良かった印象です。奥行きや前後感がしっかりしていて高音も滑らかでした。大手のような美音系ではないですが真面目でしっかりした音です。多分これ以下の製品は沢山有ると思います。同じICですが音は別物です。
PCM1704は縁がないのか自作系では聞いたことが無いのですが、LinnのCD12は聞いたことがあります。CD12はご存知だと思いますが柔らかく心地よい音だと思いました。現代的な音とはまた別なのであれはあれで魅力があると思います。他にマルチビットだとMSBのモジュールを自作基板に乗っけて試したことがありますがこちらはパワーが有って引き締まった傾向でした。PCM1704が繊細な音なのかLinnの実装がそうさせているのかはこれでは区別が出来ないです。
とはいえAD1955の比較でも明らかなように結局はDACチップの使いこなしのほうが重要ですから、設計次第でかなり良いところまで行けると思います。それだけ限界までポテンシャルを引き出した製品って少ないのだと思います。
PCM1704はマルチビットDACですが、最近マルチビットDAC復権の流れが見えますね。確かにデルタシグマDACと傾向がちょっと違う感じはします。
マルチビットの最大の優位性は帯域外ノイズにあると思っています。デルタシグマ系だと帯域外にノイズシェーピングの結果がノイズとして出ますがマルチビットだとそれがありません。
では帯域外ノイズをすべて除去したらデルタシグマでもマルチビットと同じような音になるのか?って話になります。完全に同一にはならないまでもかなり近づくのではと思っています。なかなか同じ条件で比較するのが難しいのでこのあたりの検証はまだできていませんが、いつかやってみたいですね。
ちなみにAD1955はチップ自体の性能で言えば、データシートを見る限りポテンシャル高そうに思っています。電流量が多くとれますし歪率も低いです。ただスペック的にはSNの限界がPCM1792より低く見えるので、これがDACチップの限界だとしたらPCM1792が優位でしょう。(個人的にはSNはTHDより優先するほうが良いと思っています)
DACチップについては以上です。
次にクロックですが、これについてはOCXOレベルまではこちらのページで検証したことがあります。
http://innocent-key.com/wordpress/?page_id=3725
Duculonまでは予算の関係でいけてないですが、OCXOの時点でも使いこなしは難しかったです。この記事を書いた頃はきちんと振動対策をしていなかったのでTCXO>OCXOだったのですが、がっちりネジ止めをして振動対策をしたらTCXOより良くなりましたのでクロックはかなり微細な影響です。
今回の記事にも振動=基板外のアナログ要因はクロックの差より大きいと書きましたが上記は丁度それを示す事例かもしれません。クロック素子の差によって違いはありますが、振動対策の差で逆転があったので振動のほうがクロックより影響が大きいと思います。Duculonもその辺にポンと置いても良い音は出ないのではないでしょうか。もちろんクロックを変えて音自体は変わると思いますが、質が良くなったのかどうかはまた別の話ですのでそこが難しいところです。
ちなみに今後の展望で高精度クロックを一切使わずにクロック要因のノイズを取る方法を思いついたので一度試してみたいと思っています。やりたいことが沢山ですね。
ちょっととりとめのないご返答になってしまいましたが以上です。今後共よろしくお願いいたします!
AD1955搭載のハイエンドDACといえば
Bricasti Design M1SE mk2ですかね。
https://www.bricasti.jp/products/m1-special-edition-mk2/
PCM1704搭載のハイエンドDACといえばCH Precision C1でしょう。
http://zephyrn.com/chprecision/page/C1.html
CH Precision C1は1チャンネル当り4つの PCM1704をパラレル駆動しています。
上記ハイエンド機種について、
別途記事にまとめていますので今しばらくお待ち下さい。
私の感覚とは少し異なります。私の感覚がおかしいのかもしれませんが、DACを作ってきたものとして意見を書きます。
DACで一番音が変わるのはDACのチップだと思います。
今でも最高に思えるのはマルチビットタイプのPCM1704だと思います。
AKM4497の音はかなりPCM1704に近づきましたが、少しベールがかかって聞こえます。
ES9038はアキフェーズのCDPLで聞きました。
かなりいい音だと思いますが、PCM1704が透明な秋の空だとすると春の空の感じでした。
PCM1792,1794,1795,1796はコクのある魅力的な音だと思いますが。透明感は少ないと思います。
この中でPCM1794のみ音が元気に聞こえます。残りは優等生の感じです。
WN8741もいい音に思いました。今は使っていません。
割と透明感があるのは新潟精密のFN1242でした。今も時々使います。
IVはディスクリートやオペアンプを使ったもので視聴しています。
基本的に私は大きな変化は分かりませんでした。
思いつくままに書きました。
イッチーさん
色々DAC制作をされているみたいですね。お気楽さんのところで投稿作品見ました。感想は個々人で色々あるとは思うのですがそれで終わったらあまり建設的ではないのではないかと思いましたので、思ったことを同じく書いてしまいます。最終的にこちらの意見は受け入れられなくても構いません。
DACチップでも音の差はあります。主に描き方の部分はDACチップが支配的かもしれないですね。それは他の部分では換えが聞かないですが、それは音全体の占める割合からみたらやっぱり20%くらいだと思っています。
例えばレイアウトなどは自分で設計しないとなかなか違いが見えてきません。お気楽さんのキットはどれも通常の動作や仕様を満足するように作られている設計なのでどれも音の差は小さいと思います。特別に音質に配慮された設計基板は他の方も含めてキットではあまり見ません。
次にクロックや電源まわりです。これもレイアウトがとても重要です。このあたりもオールインワンで配慮された配置のキットはあまりありません。このあたりも音にとても重要です。これらを外部基板から取り回して長い配線にしたら差はかなり小さくなります。もちろんそれでも差はあります。
アンプでの音の差がわからないと言われていますが、上記のDACの描き方とは別の部分の音が変わっているはずです。でもオペアンプやオペアンプを模したNFBタイプのディスクリートだと慣れないと違いはわかりにくいかもしれません。無帰還とか電流帰還とかにすると違いは分かると思います。
結局何がいいたいかといいますと、DACチップ以外の差を十分に評価できる状況で評価されていない可能性があること、もしその音を聞いたら音の差にとても驚かれるか、全くわからないか、このどちらかだと思っています。
前者の場合は現状の環境で違いが見えにくいだけという可能性、後者の場合はDACチップの描き方以外の音の違いを聞くための訓練不足です。アンプで音が変わらないと言われているので後者の可能性もあります。
でもそれは私も同じです。決して上から目線でと言うつもりはありません。なにしろ先日積分形DACの音を聞いて初めてデジタルフィルターの音の問題を認知したばかりです。それまではデジタルフィルターは駄目、オーバーサンプリングは駄目と言われても何のことかわかりませんでした。ですからまだ知らないこともあると思います。
ということで誰でも認識したことがない違いは評価できないです。だから私も全部わかっているわけではありません。とりあえず記事を書いた時点でわかっていることはすべて書いたつもりです。
また他の部分が極まってくると相対的に残された問題が非常に大きく目立つ形で浮き彫りになります。その時は本来は全体で見て小さい違いでもまるで支配的なような大差に感じられることもあります。だからオーディオは難しいです。一つの要素だけずっと改善し続けても音が変わるのでまるでどこまでも良くなったように錯覚します。でも他の弱点は実はそのままです。
ですがわからない部分はそのまま知らないほうが良いこともあります。あらゆる音の差に悩み追求して終わりのない世界に迷い込むことになるからです。
勝手な意見を書いて申し訳ありませんでした。
AKM4497はエソテリックも使っておりとてもいいDACだと思い、何とかいい音を出そうとメモリーバッファを付けたりジッタークリーナーを付けたりと、やってみたのですが今一歩好みの音が出ませんでした。またESS9018も同様に頑張ったのですが、好みの音にならなかったのです。それでこんな結論になりました。
この3年ほどマルチビットのPCM1704の音が気に入っております。ヒロさんのキットの音もいいですし、デノンDCDS10ⅢLの音もエソテリックのX03の音も気に入っているのでこんな結論になってしまいました。
今後も楽しいお話をたくさん載せてください。
また思っていた音が出ないときに、余計なことを書くかもしれません。ご迷惑なら言ってください。
イッチーさん
いえ、謝らなくても大丈夫です。言いたいことがあったら言ってください。
AK4497とES9018が合わないとなるとよく言われる神経質さ、線の細さ、このあたりかなと思います。あたらしい積分形DACの記事でも書きましたが、現代のDAC素子自体がそういう音になりやすい、そういう素性も持っていると思います。とにかく基板設計が悪いと即デジタルっぽさや神経質さが出やすいチップですね。どことなく余裕がない感じがします。
これらは個人的意見では最低4層基板で強固なGND設計と電源で改善しました。高性能の電源回路と最適レイアウトを駆使すればまともな音がすると思います。自分も最初に4497を評価したときはかなりひどい音だと思ったものです。設計が不完全な場合はWM8741やAK4495が現代チップでは音が良いです。
ちなみに自分はマルチビットとデルタシグマ系は言われているほど大差がないと思っています。しかし普通の設計だとマルチビットというかあの世代のチップのほうがノイズ源が少ないので簡単だし有利でしょう。
たとえばPCM1704はデジタルフィルター外付けです。高クロックのMCLKも不要です。そもそもマルチビットはジッターでSNが低下しませんしノイズシェーピングの帯域外ノイズもありません。こういうところが実は優位性になってます。電源も+-5Vですね。デルタシグマは基本的に設計が難しく普通の設計(お気楽さんもそうです)だとマルチビットのほうが落ち着いたしっとりした音が出ているのではないかと思います。
しかし実はこのあたりは周辺回路の設計自体で大幅に改善可能です。デルタシグマ世代のチップは色々な問題を抱えています。クロックからの影響の大きさ、デジタルフィルターデジタル回路が内蔵で周辺パターンにノイズを出すこと、アナログ電圧が低くSNを稼ぎにくいこと、ノイズシェーピングで帯域外ノイズを出すこと。たくさん問題がありますので個別に対処しなければなりません。でも上記が原因だとわかっていれば対処もできます。
しかし残念ながら既存のキットはもちろん、世界の高額製品であってもでこれらすべての対策を施しているものはほぼありません(ハイエンドDACの記事を参照してください)。でも対策したら精度の低いマルチビットよりずっと良い音になります。これがマルチビットもデルタシグマも試してきた総合的な評価のつもりです。だからチップが悪いから良い音が出ないというのはちょっと違うと思っていて、大抵の場合は他に原因があると思っています。
とはいえPCM1704はもともと高精度なのでそこまで苦労するならPCM1704で良いと思いますね。今からだと高額ですが昔に入手できた方は幸運だと思います。
それではまた何かありましたら書いてください。
非常に面白い記事で共感することも多いですね。中国製のES9018のDACボードを買って投げ捨てたことがあります(笑)。自作にもチャレンジしましたが、高性能な測定器などは持っていないのでデジタル部分が結局ブラックボックスになってしまい、最後には手持ちの比較的音のいい市販のプロ用DACを開けて、アナログ回路を完全にバイパス、トランス出力にするというシンプルな改造が自分には限界でした。アナログ改造で聴感も測定もかなり良くなりました。デジタル部分の電源まわりも改造しましたが、これは何も変わらなかったのは、基盤レベルの限界なのか、それとももともと良かったのかもしれません。