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AK4495とAK4490の音質差、Hugoとの比較

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2016/07/04 DACチップの音質差を録音しました

以前DACの音質差とその要因についてこちらに記事を書きました。ここに書いた内容ではDACの素子そのものによる音質差は決して大きくはなく、その他のアナログ要因による音質差の影響のほうが遥かに大きいという話です。しかし素子自体にも違いがあることは現実ですし、その他の設計が全くの同一ならば素子の音質差が最後の優劣を決する要因となります。

http://innocent-key.com/wordpress/?page_id=2563

ES9018を超える唯一?のIC

ということで今回の記事では最新の旭化成DACであるAK4495とAK4490の比較です。普段であれば特別な記事を書くほどの内容ではないのですがここであえて記事にする理由があります。それはAK4495がES9018を超える数少ないDAC素子だからです。少なくとも当方で行った音質比較で唯一のES9018を超えるICです。ほかにもFN1242なども同じような名声があるようですがもう入手不可能なのでこちらでは検証していません。

ここで上記記事から音質比較を抜粋したいと思います。

  1. AK4495 ES9018を超える唯一のDACでした。現代のICではなくなってしまった音の余裕や音の太さを感じます。正直これを聞いた後にES9018を聞くと平面的で神経質すぎる音に聞こえてしまいます。分離や細部の描写もこちらの方がいいです。パッと聞いた時の雰囲気がまるで違います。これと比較するとES9018だけではなく他のどれもが神経質な音に聞こえます。
  2. ES9018 さすがの評判で測定特性も最強です。音質も良くて他のICと比べるとクリアで空間が広く癖もなく聞こえます。ですが2位でした。いつまでも不動の一位ではないということでしょうか。いや私が無知だっただけで良いDAC素子は他にもあるかもしれませんが。といってもまだES9018が良いICなのは間違いありません。
  3. PCM1792 省略
  4. AK4490 音はすごく素直でPCM1792のようなキツさはありません。最終的にはCS4398と近い音質ですがCS4398より癖がないのでこの順位にしました。デジタルフィルタ変更、DSD256対応と割となんでもできるICですが音質は残念ながら最高ではありません。

ということで上記記事のDAC比較一位はAK4495でした。長らくES9018が優秀という評価だったと思いますがここに来てその状況は大きく変化するかもしれません。新日本無線のMUSESシリーズのようなコンセプトで半導体の限界や素材に注目して音質面に特別な配慮をしたDAC、それは現時点でAK4495だけでしょう。

最近のこのような国産製品の新しい動向が、結果として海外半導体メーカーの特性主義=ES9018にたいして最終的に優れる音質を出しているのは非常に歓迎したい流れです。もちろん測定がどうでもいいということでは決してなく、測定による音質差は存在しますので、基本的な測定特性+その他の要因にもさらに配慮していくことが今後重要ではないかと考えます。

現在AK4495はその最初の壁を突破したモデルであり、次期のAK4497では特性面もさらに補完してくるように思います。まだ試していないのですが個人的な経験から推測すると低電圧、多機能、特性重視なES9018K2Mより、高電圧、シンプル機能、素材&音質重視のAK4495のほうがオーディオという特定ジャンルのポテンシャルはずっと高いのではないかと予想しています。それは現在でも特性で劣るマルチビットDAC素子や古いDAC素子が音質面で高い評価をされる理由と同じです。そこには特性以外の要因があるからです。

この辺りの話はオペアンプの話と多分全く同じで、DACの世界でも必要な測定特性を実現した以降は特性以外の要因にも注視していく時代の到来の予感がします。

しかしES9018を超えるためには条件が

ちょっとここからはまた特性の話に戻ります。こちらでの調査結果ではAK4495が無条件でES9018を超えるというわけではなさそうです。その理由は特性上の理由です。実際に世間のAK4495を使ったオーディオキットでの比較評価でほとんど同じ設計のAK4495よりAK4490のほうが良いという評価をいくつか見かけています。しかしそれとこちらの比較評価は全く異なっていて、こちらではAK4490は全体的に弱々しく感じておりAK4495と比較して音質面で優れている点はほとんど感じられませんでした。

こちらではAK4495はAK4490よりもワイドレンジでパワフル、空間の前後感、滑らかさ、透明感、存在感全てで上回っています。基本的な余裕度が全然違っており低音もAK4495のほうが伸びます。昔ならマルチビットの音と言われるようなどっしりとした安定感のある音で、まるで古い時代のDACに近い太くて存在感のある音質です。私はSoekris R2R DACやMSB-DACなど真のディスクリートマルチビットDACと直接比較してきていますが、AK4495の音の存在感はそれらに決して負けてはいないと思います。

このような結果になったのはなぜでしょうか。いくつか調べてみたところによるとAK4495でES9018を超える音質を発揮するにはどうやら条件があるようです。すべて必須の条件かどうかは不明ですが、どうも歪率=測定値と関係がありそうというところです。

12/13追記 追加で組み立てたところ、AK4495でも特性のあまり出ない個体がありました。全く同じ基板+同じパーツなので要因はパーツの個体差しか原因はありません。といってもAK4490と同等レベル(THD0.0002-3%)です。ここに書いたような特性を確実に出すためには個体差の調整も必要なようです。しかし音質はしっかりとAK4495らしい音だったので音質面で特性による要因じゃなくてAK4490とは内部設計の違いでの音質差は明確にあると思います。明らかに悪い測定値でなければそこまで神経質になる必要はない模様です。とにかくこのあたりの領域になると完全な比較試験が難しいのでこの辺りの話は参考程度でお願いします。

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テストの様子 XLR出力でLynx Hiloと接続

・Vrefに一切コンデンサを接続しない状態でも低周波の歪率が悪化しない

データシートや評価基板ではAKMのDACはVrefのコンデンサ容量に依存して低周波の歪率が悪化することになっています。しかしこちらの測定ではコンデンサを一切接続しなくても歪率の劣化はほとんどありません。20Hzで0.0002%前後です。これは設計に依存する部分がありそうですがどのような理由でこのようになるのかはまだハッキリと分かっていません。

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・歪率がAK4490を超えられているかどうか

自前設計基板では全く同じ条件でAK4490よりもAK4495のほうが低歪率です。もともとAK4495はフルスケール時に特性が大きく悪化する性質があるためフルスケール時のみはAK4495の特性は若干悪化しますが、フルスケール近辺での最良値ではTHD 0.00008%くらいでこれはES9018に肉薄する歪率です(ES9018はTHDで0.00005%)。AK4490では同じような出力レベルでも最高のTHDが0.0002-3%くらいで頭打ちでした。

これは旭化成の測定データとだいぶ異なる結果なのですが、当方では同条件でAK4495のほうが潜在的に測定が優秀なのではないかという結果が出ています。もともとのデータシートではAK4495はTHD 0.001%前後の値ですしフルスケール以外でもAK4490よりSNに劣る結果が公開されていますがこちらでは異なる結果が出ています。

なのでこのような特性面で問題のある実装のままではAK4495だからといってES9018よりも全てにおいて高音質とはならない可能性が高いです。もちろん特性が悪化した状態でもES9018より良い部分はありますが一長一短という印象でした。特性が最良でない状態ではAK4495はポテンシャルの高さを見せながらも描写にはES9018と比べて大雑把な部分があり、高域の綺麗さでは特に劣っていました。

やはりES9018の測定特性は圧倒的ですからAK4495でもある程度以上のレベルの測定値(SN+THD)を出さないと音質面でも不利な部分が目立ってきてしまうと考えられます。特にAK4490よりAK4495が劣ると状態ですとAK4490と比較しても音質面で不利な部分が残ってしまうかもしれません。もともとDAC素子の音質差はそれほど大きくないですが、同じように大きい要因ではない歪率などのスペック差が、DAC同士の比較では相対的に大きな影響を与えているということだと思われます。

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ちなみにこの歪率は決して偶然ではなく異なる設計バージョンの基板(以前のDAC基板差し替え仕様のものと今回のもの)で実際に異なる部品を実装しても実験してみましたが、どちらも安定して同様の測定値を示しました。なので必要な条件を揃えて設計をすることでほぼ確実にこのような特性を出すことが出来るということのようです。もちろんあくまでこちらの測定環境での話ではありますが。

とはいえ異なる設計や仕様を変更するとちょっとした要因で特性が悪化したりノイズが入ったりすることがあるので、ここまで綺麗な特性を出すのはそれ相応の試行錯誤が必要です。動けば良いとして測定をせずに作る方法と比較するとこの部分を磨き上げるための積み重ねはかなり時間も労力も違いますが、その分は特性からくる音質差ということで最終的なクオリティの差にはなっていると思います。

とりあえずこちらで公開できる具体的な歪率改善の方法のほとんどはDAC制作の過去記事に記載しています。ここでやっていることもごく一部の工夫を除けば基本的なことだけです。以上の理由によりAK4495では条件を揃えればAK4490を音質面で完全に超えES9018をも総合的に超ええうということです。ここでの結果ではAK4490の利点はDSD256への対応とコストが安いことくらいになってしまいそうです。音質を優先するならAK4490を使うよりAK4495で特性を追求するほうが良い結果になる可能性が高いということになりそうです。

Chord Hugoとの音質比較

最新のAK4495DACとChord Hugoの直接対決です。こちらは個人のサイトなんでこのような比較の結果も書いてみたいと思います。というのも自作派でありがちな話として自分の世界に入ったままでの比較が中心で、市販のハイレベル機器と比較してどうなのかをきちんと書いている方はかなり少ないように思います。自分の世界だけではもしかしたら同じような所でぐるぐる回っていてたいして前進しているわけじゃなかった、ということがあるかもしれませんね。

そのような実際に自分が井の中の蛙ではないことを知る、そして証明するためには世界の高級機や評判の高い機器に耳を傾けそれがどんなものなのか、その音と方向性を理解することは大切だと思います。ということで上記の最新AK4495DACの音質について、最近話題のChord Hugoを友人が購入していたのできちんとした環境(500万円クラスのスピーカ&専用ルーム)で直接比較してみました。

まずHugoについてなのでですがもともとChord自体がハイエンドメーカーで、FPGAを使用した全て独自実装のDACという面白い設計です。特筆すべきは超大規模デジタルフィルタとそれによるアナログ回路の簡素化という話です。出力回路にほとんど素子が存在せずデジタル上で殆どの処理を行うことで音質劣化を防いでいるということのようです。ですが内部の詳細はここでは全部は書ききれませんし、それはこのあたりはもっと詳しいサイトがあるのでこちらを参考にしてもらったほうが良いでしょう。

11/29追記

ここまではDAC素子の比較なのですがここからは完成品同士の比較で、AK4495をつかえば簡単にHugoを超えられるわけでは決してない、ということでよろしくお願いします。Hugoを上回る音質を出すためには相当の高いレベルの総合力が求められるように思います。

・比較前に考えたこと

それまでは正直内心不安でHugoに自作品が完膚なきまでに叩きのめされてしまったらDAC制作を全てやめてしまおうとも考えていました。Hugoに劣るということは後継のMojoにも劣る可能性が高いということです。

そこまで脅威に思うのには理由があります。Hugoの音質を初めて聞いたのは数年前のインターナショナルオーディオショーですが、自前ではないヘッドホン+聞いたことのない音源でしたが、それでも聞いてすぐにハッキリと分かるポテンシャルの高さ、聞いたことがないような違和感さえ感じる緻密で明瞭な描写のサウンド。「これはかなり出来るDACだな」というのは一瞬でわかりました。しかしあまりに環境が違うので実際にはHugoがどれほどの高みにあるのか、直接厳密比較してみないとわかりませんでした。

そしてついに直接比較できる日が来たというわけです。現状では更にハイコストパフォーマンスのMojoも出てきていて価格を超えるパフォーマンスの名をほしいままにしている現状があります。自作の目的は最高のものを現実的な価格で作ることですから更に優れるものがハイエンド価格じゃなくて現実的な価格で入手できるならば、もはや作るよりも買ったほうが良いとなってしまいます。

・比較結果

結果からいえば自作品がHugoに負けることはありませんでした。あくまでこちらで判断できる内容で言えばほとんどの面で自作DACのほうが有利でした。スピーカとヘッドフォンでは音の傾向が違っていたので印象については分けて書きます。色々なソースでの厳密な比較ではないので参考程度ですが、正直音楽性とか方向性はほとんど同じ雰囲気のように思いました。むしろChordのDACが自分自身の価値判断や評価基準と非常に近いということに感じます。音の方向性や求める要素は結構似ています。

またHugoではありませんが、Mojoの測定データが公開されています。何とこちらで使用している測定器と同じLynx Hiloなので負荷は違いますがADCは同条件での比較です。比較すると歪率やSNは上に掲載したAK4495のほうがさらに優秀のようですが、CS4398等より良い歪率のようなのでHugoのDACは従来のハイエンドICを超える超ハイエンドな測定値だと言えそうです。

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・スピーカでの比較

スピーカの比較といってもHugoをアンプにしたわけではなくライン接続同士の比較でパワーアンプは共通のものです。

まずは低音ですがこちらのDACのほうが低音の量感と伸びは明らかに良かったです。Hugoは低音の解像度も伸びも弱く少し団子になって分離が悪く聞こえます。低音の量と質は一番聴き比べがしやすい音の違いがあり、ぱっと聞いただけですぐに分かります。これは絶対的な物量差からくる違いが原因で間違いないでしょう。 Hugoの低音は比較してしまうと全然良くなくてこの部分はかなりの格差を感じました。さすがにサイズからくる物量差ですがポータブルと据置の比較としてはありえないほどハイレベルだと思います。

次にホールの響きや余韻の長さと中域の質感ですが、これもこちらのDACのほうが少しだけ良かったです。しかしおそらくこれはある程度システムが良くないと全然わからない程度の極僅かな差と思います。そこはハイエンドスピーカなので判別可能でしたが正直どちらもかなりの情報量があり大差は感じません。定位についてもそれほど大差が無いです。ぱっと聞いたらかなり似た音の傾向ですが、こちらのDACのほうが弱音の余韻の最後の描写の伸びで優る感じでした。ホール感というのか余韻が長くて響きに包まれる感じは自作品のほうが優位です。実はこのような弱音の繊細な描写部分は古い録音の再現でも大事な部分で、こういう部分は電源の物量ではなくてDACの仕上がりと品位、真のクオリティが試される部分です。

高音はHugoのほうが引き締まっているというかタイミングが良くあっているような印象があります。流石に26000タップのフィルタのタイミングは正確なのでしょう。HugoからこちらのDACに戻すと 高域のピントが少しだけ甘い、描写が曖昧な点があるように思いました。ただしHugoは低音が弱いのでハイがその分きつめに聞こえる点が気になり ました。Hugoは細部の粗も強く見える音なのですがあまり聞き慣れない音のため、それがソースの粗なのかDACの癖なのかもっとよく聴き比べないとわかりません。このような感じ方は慣れない音を聞いた時の違和感なので長い時間聞いて耳をエージングしないと正しい評価はできそうにありません。ですが高音のタイミングは開発者のコメントからもHugoが一般のDACより優れている可能性は高いです。

とにかくHugoはポータブルとしては驚異的な音質でぱっと聞いた感じだとこちらの最高峰DACと大差がないような印象でした。コストと物量は圧倒的にHugoのほうが少量なのでそのあたりを改善したハイエンドのDAVEはきっと凄いことになっていることでしょう。ただノーマルHugoとの比較で大半の分野でこちらのDACが優位ですので開発終了などは全然心配無用という結果でした。しかし残念ながらここまで近い音質だと古い自作品よりはHugoのほうが優れている可能性は高いです。もしMojoがHugoと同等の近いレベルの音質だとするとDACの価格破壊モデルで間違いないです。

以前のDAC音質比較記事の順位で言うと、MSB-DACやプレイバックデザインのDACとHugoは直接比較できるレベルだと予想します。こちらのサイトでもこのように書かれていますから、そんなに大きな間違いはないかと思います。

>これほどの音質がこの大きさで、しかも20万円台で手に入るとは夢のようである。ここ10年間で発売されたポータブルのデジタル機材で最も音が良い。80万円くらいまでの据え置きのDACで、このレベルの音を出せるものさえ、ごく限られているだろう。Hugoの20万円台の価格というのはあまりにもバーゲンプライスである。このDACの能力からして50万円でも決して高いとは思えない。

・ヘッドフォンでの比較

この日はHD800で比較しています。ヘッドフォンのほうはさらに大差がなくてかなり厳密に比較しないと全然違いがわかりませんでした。何度も同じ所を再生して細部の違いに耳を傾けます。それでも厳密な違いはなかなかハッキリと見えてきませんでした。

低音の量だけはぱっと聞いてわかる 違い があるのですが低音といってもスピーカでの比較と違い低音が団子になっているような様子はありません。Hugoはある帯域からスパっと下が綺麗に切れているような音なので、全く嫌な癖がありません。このせいでぱっと聴きではHugoの ほうがむしろ解像度が高く聞こえます。よく聞くと帯域バランスが両者で違うだけなのですが、瞬間切り替えで比較しているとこちらのDACは切り替えた直後こもって聞こえます。 しか ししっかりと聴き比べるとそれは帯域バランスによる違いで描写には大差がないとわかります。

正直いって定位、各帯域の反応の速さ、質感などはほとんど同等です。低音の量以外で明確な違いがあったのはスピーカでの比較と全く同じ部分で、余韻の最後の描写の伸びと高音の質感です。余韻の描写はこちらのDACが良くて、高音のダイレクトな感じはHugoが良いというところで、これらの傾向は上に書いたスピーカと同じです。

ヘッドフォンではHugoの欠点の物量差がスピーカほど明確に見えませんでしたし、ヘッドフォンアンプについてはこちらの評価基準では低音以外ほとんど同じ音なんじゃないかと思いまし た。この辺りの次元を超えていく圧倒的な音質というのは現時点では想像も不能、未知の領域、未体験の世界です。さすがに直接比較する機会はないと思いますが、こうなるとChordハイエンドDAVEの音質もぜひ聞いてみたいところです。

2016/01/10追記 Hugoの実物を借りて厳密に比較しました。おかげでHugoの高音の違和感は少し明確になりました。

まず両者を比較するとこちらのAK4495DACのほうがぱっと聴きおとなしい高音に感じますが、実はピントと描写が曖昧な部分があり荒れた描写に聞こえる部分があります。Hugoは全くこれと逆で、注意深く厳密に聞くとピントのよく合った超精細な高音なのですが、ぱっと聞いた時にはそこに余計な付帯音がまとわりついて聞こえます。これがChordらしい癖に感じます。

この発生原因は不明ですが、FPGA自体のデジタルノイズがアナログ回路に混入しているか、そもそもアナログ回路の部品点数を最小化するコンセプトなので実は外来ノイズには弱そうですしそういった影響かもしれません。もうひとつはFFTの測定結果をみると低周波ジッターが多めなのでこの影響の可能性もあります。

ともあれ比較した感じだとHugo特有の癖の原因はクロックとかノイズとかアナログ周りっぽい雰囲気です。もちろん断言はできないところですが。

最後に

今回はDAC素子の比較からHugoの比較の話しでしたが、ここで重要な事はChordのHugoのような超高度な専用設計を使わなくとも、普通に入手できるICでそれを上回る音質は実現できるということです。MSB-DACユニットとの比較でも感じましたがDACの方式そのものによる音質差はアナログ全てを覆すほど大きいものではなく、既存の素子を使ったとしても=ダメではないということです。

DAC-ICの開発も各社先細りになっていく中でこれから彼らの技術がさらに進歩していった将来はどうなるかわかりませんが、現時点では普通に入手できるICを使ったとしても使いこなし次第では十分勝負できるポテンシャルを持っているということです。

ただこちらのAK4495DACは相当の物量と設計の工夫を重ねてようやく実現している音質ですので、現状でHugoよりも総合的に優位だとしても、こちらの現在の技術でポータブルでHugoのような音質を出せと言われたらまず不可能だと応えるしかありません。あの小型化であのような性能と音質を出せるという意味では彼らの設計は非常に優秀です。

現在Mojoが売切れするほど売れている(カカクコムで一位!)ようですが、これについてここからは非常に個人的な感想で失礼します。

これは従来の製品にありがちな「音作り」でそれらしい高解像度やハイファイな音を演出してごまかす方向性じゃなくて、真の高音質な製品が一般の顧客に評価され始めていること、いままで大手メーカがそこそこの製品を情報やマーケティングでシェアを確保してきた流れ(目先の商売)を覆して、本当に優れたものが従来の常識を覆していく流れでしょうか? そういえばそのような流れは今までになんどか見たことがありますね。極端なたとえで業界の規模も性質も違いますが。

そのような発信源は残念ながらいつも海外メーカーですが、たとえばPC-98をDos/Vが、ガラケーをAppleが覆したように、国産大手はよくこういう展開を繰り返しているような気がします。同じ日本企業でもAKMや新日本無線が海外の測定主義に対してオーディオで新しいアプローチをしているのとは対照的です。もしこれから先の流れも今までと同じような展開ならば、Mojoが売れ続けた場合、きっと国産でChordのコンセプトやデザインを丸パクリしたような製品が大手から出てくるのかもしれませんね。

しかしそこはオーディオなのでそのようなパクリで本当に同じような音に仕上げるのは非常に困難だと思います。ですがもし出てきたら是非音を聞いてみたいところです。まぁオーディオは一点勝ちは無いジャンルだと思うのでそこまでの展開になるかはわかりませんが、FPGAでDACという製品は後追いで出てくるかもしれません。

ということでこれは余談でした。