IMG_7038_R

CS3318パラレルバランス型電子ボリューム

Pocket

ずっと詳細について書きませんでしたが、現状のDACではこれを通しても明らかな劣化しか感じなくなってしまい、全く存在価値がなくなったので今更ながらノウハウを公開します。(実はあとから調べてみたら同じようなことをやっているメーカもありましたね)

この方法を使えばMuses72320の単体使用と比べて価格は同じくらいではるかに高音質です。おそらく市販電子ボリュームを使ったものでは最高のクオリティかもしれません。以前のDACの完成度ではこの電子ボリュームでほとんど音質の劣化を感じなかったほどです。同じ条件でMUSES72320単体だと明らかに音質が劣化=小さな細部や音が消えてしまうのでした。

このプリは今は固定ボリュームのアナログ出力しかない機材と自作機を比較する時などに使っています。普段は出番が全くありません。

高音質化のための構成

といっても普通にCS3318を使っても高音質にはなりません。ここで使用する方法はCS3318を1つのICの8chをバランス差動1ch用として贅沢に使った構成になります。CS3318の特徴は8chのアンプ内蔵電子ボリュームという点なので、あえて片チャンネルのモノラルバランス専用として全チャンネルフルに活用する、それが高音質化の秘訣です。

これでなぜ高音質化が見込めるかと言いますと、電子ボリュームの内蔵抵抗が8パラで単純に抵抗ノイズの影響を1/8の抵抗値が発する雑音に見立てることが出来るというアイデアです。20kΩなら合成抵抗2.5kΩの抵抗に見える筈というイメージです。さらに信号をバランス化することによって同相ノイズ&歪み除去+ランダムノイズの抑圧効果も期待できます。この設計ではさらにノイズ抑制効果を最大化をするために信号入力にアンプを挿入してゲインを2倍+アンバランス>バランス変換してから電子ボリュームに入力しています。

これらの対策を総合して実質ノイズの影響を計算すると2chとして普通に使う電子ボリュームと比べてざっくり1/9くらいの計算でした(間違ってるかも…)。これで従来の方法では無視できなかった電子ボリューム自体の残留ノイズの影響をぐっと少なくする効果が期待されるというわけです。

普通に2ch電子ボリュームをそのまま使っても現代では電子ボリューム自体のノイズが多すぎて一線を越えたDACの出力には直接繋げられません。この辺りの理由は以前のMUSES72320の記事にまとめてあります。

要するにデジタルボリュームとアナログボリュームどちらが優位かはDACの残留ノイズによって決まり、残留ノイズの多いDACを使った場合はアナログの電子ボリュームを通したほうが音が良く、残留ノイズが少ないならDACのデジタルボリュームが良く聞こえるというわけです。現代のDACのノイズは電子ボリュームの残留ノイズより少なくなったので、昔のようにアナログボリュームが必ずしも優位ではなくなったという時代の変化です。

だからここでは電子ボリュームのノイズを見た目上でも減らす努力をしているわけです。

cs3318

PCBのパターンはこんな感じです。これで2chステレオです。

パターンを見ると左右の対称性と差動バランス、セパレーションには当時としてはそれなりに気を使っている雰囲気です。

測定結果

CS4398DACの出力をCS3318プリを通過させて測ってみたデータがこちらです。正直測定だとあまり音質差はわかりません。

cs3318_2

DACの出力をCS3318経由せずに計測したのは↓です。

DACTHD

DAC直のほうが信号レベル自体が大きいのでノイズフロアも高いように見えますが、CS3318はこのレベルまで突っ込むと盛大に歪んでしまうため、その手前のレベルで測定している差分です。DACの純粋な出力と比べると歪率も少し悪くなっています。この辺りはもう少し改善の余地があるかもしれません。

現状のAK4495DACもこの当時のCS4398と測定値自体は劇的にかわっていないのですが、CS3318プリを通した時の劣化は以前のCS4398DACより大きく感じるようになりました。これは計測限界以下の領域で何かが起こっているためかと思われます。このあたりはオーディオの謎です。

IMG_7042_R

+-2Vの100kHzの矩形波応答です。特別問題はないかと思います。最初にこれを計測した時はディスクリートオペアンプの定数調整がうまくいってなくて変な応答でした。音は意外とまともでしたが。この画像は修正後のものです。

今後の展望

以前はこれを載せたプリDACを作ろうという企画もあったのですが、プリ部であるCS3318の限界が思ったより低かったので中止しました。この時代の基板は非常に巨大ですが今なら小型化しても音質を確保できるので、もしCS3318電子ボリュームキットがほしいっていう意見があるなら制作は検討します。

2016-03-08

cs3318-kit

基板パターンを作成してみました。特徴は次のとおりです。2016春のM3以降のイベントで配布予定です。もちろんHPでも受付は開始するつもりです。需要があるかはわかりませんが…。

  • 高性能レギュレータ回路をオンボードで搭載、外部レギュレータは不要
  • 面実装パーツは全て実装済(希望)
  • 可変抵抗と整流電源をつなぐだけですぐに使える
  • デジタル電源とアナログ電源は別系統
  • USBからプログラムの書き換えが可能=各自でソフト変更も出来る
  • 一枚で2ch、二枚使うことでデュアルモノバランス対応に
  • 入力バッファアンプ付き
  • バッファ用オペアンプとレギュレータ用のオペアンプは電圧帰還で選択可能
  • 出力ミュートリレー付き、リレーの手前の出力も出来る
  • リモコンへの対応もプログラム書き換えで対応可能

2016/05/25

状況報告が一切ない状態ですみませんでした。

とりあえず現状報告なのですが予期せぬCPU動作のトラブルにより動作が出来ていない状態です。この基板ではLPC11U24を使っていますが、いままでもずっとLPCシリーズを使っていましたので、同じように使えるだろうと思っていたのですがこれはなぜか動きません。

同じLPC11Uシリーズを使っているSRC基板もこの基板も、いまのところライタで書き込みをしても水晶クロックすら起動せず、デバッガも起動直後に暴走してまともにトレースができない状態のままです。メモリにはプログラムが書き込まれているようですが、リセット直後の初期化コードすら通っているのかわからないのでどこでコケているかわかりません。逆アセンブルで起動直後から全部読み直ししないとダメかもしれないのですが、変わったことはやっておらず原因不明で何がマズイのか検討もつかない状態が続いています。(こういう時は大抵くだらないミスが原因だったりしますけど…)

ということでこの仕様にしがみつくよりもすんなりUSB対応を諦めてCPUを以前のもの(LPC824等)に戻して作りなおしたほうが早そうに思っています。まさかこんなところでトラブル発生するとは思ってもいませんでしたが、当面ほかの優先タスクが溜まっている状況ですので、作り直しとリリースは延期となっております。