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高級スピーカユニットに囲まれて…takeさん宅訪問

先月になりますがまささんの紹介で表題のtakeさん宅に訪問しました。膨大なユニットがあることからわかるようにかなり自作SPの経験豊富な方です。すべてのお話を伺ったわけではありませんが、お話をした限り有名なハイエンド系ユニットの大半を実際に試してこられているように見受けられました。

その中でも特筆はなんといってもメインシステムで使われているのがAccuton最高峰のダイヤモンドユニット、これで中高音を統一していることでしょう。このダイヤモンドツイータだけでも数十万ですが、その中でも5cmの下記ユニットは300万円だそうです。ユニットだけでこの価格となると搭載SPが市販されたらいったいいくらになるのかあまり考えたくないですね。takeさん自身は円高のときに買われたそうですがそれでもかなり高かったのでしょう。

https://accuton.com/en-home/produkte/lautsprecher/diamant/Diamant-Technologie

と、価格についてまず書きましたが、じゃあダイヤモンドの何がそんなに良いの?というお話になるかと思いますが、ダイヤモンドの優位性は軽さと強度、そして素直な固有の音にあるのではないかと思います。スピーカユニットの材質は薄く軽くしたほうが動作は有利です。ですが強度がないと変形したり(これが音質劣化の元)壊れたりしてしまいますのでそこは材質の特性に強く依存します。ダイヤモンドは非常に硬く軽いのでそれがスピーカに求められる特性にあっているということになりそうです。

従来からAccutonはセラミックのユニットで有名ですが、このセラミックも軽くて硬い材質なので基本的な発想は同じで、それを更に推し進めたのがダイヤモンドということになります。

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実際にダイヤモンドの特性を見てみるとブレークアップ周波数のピークは相当上の帯域に来ています。一般にハードドームツイータでは強い共振特性をどこかに持つことが普通ですが、ダイヤモンドはその中でも非常に高い周波数にまでピークの帯域を追いやることが出来ています。70kはダイヤモンドでないとなかなか実現できない領域でしょう。セラミックやベリリウムでも30-50k位までのものが多いです。

いずれにせよ音声帯域外になりますが、アンプで実験してもわかりますが意外と100k以内のピークは音声帯域内の過渡応答にも若干影響を与えているように思います。人間の耳はサイン波に分解して聞いているわけじゃないのでFFTの理論がそのまま当てはまるわけではないようで、過渡応答の違いを意外と敏感に察知していると思います。要するにこの帯域のピークは音の違いとして聞こえる可能性があるということです。

まとめますとセラミックでも20kHzより余裕のある帯域にピーク周波数がありますが、ダイヤモンドはさらに音声帯域から遠い=音声帯域内の音がより素直になるという解釈をしています(音を聞く限りでもそうです)。

もう一つ上の図からわかるのは歪率がとても低いことも特徴ですが、これはAccutonではセラミックでも優秀な特性だったのでダイヤモンドだけの特性ではありません。

極めてなめらかな高域、伸びる低域

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前置きが長くなりましたが、実際の音について書きたいと思います。4wayのメインシステムです。上の帯域の2wayがダイヤモンド、mid-Lowは平面型ユニット(詳細忘れてしまいました)、LowはAudioTechnologyの大口径ユニットです。チャンデバはAD/DA一体型の業務機でFIRではなくIIRで組んでいるというお話だったように思います(違っていたら訂正します)。

この日はクラシックがメインだったのですが、私のテストソースといってもいろいろな曲で構成されたものを一通り掛けさせてもらいました。

ここのシステムで特筆すべきは中高域の質感ですね。磨き上げたような美しい高域です。決して美音系の作られた美しさではありません。つるつるに磨いた鏡面をイメージさせるようなかさつきやざらつきとは無縁の透明感あふれる中高域です。これはかつて聞いたことがない領域の音です!非常に早く自然でなめらかな音質で自分の趣向にもとてもあっています。個人的には作られた美音よりは中高音の質感にはこういう方向性を求めたいところです。

それ以外の音の特徴としては、部屋が左右に広く天井が高いので非常に空間に余裕のある音が出ています。左右と奥行きがとても広い音場空間であると言えるでしょう。定位もなかなか良かったのですがそれよりも絶対的な音空間の広さのほうが印象的でした。また低域にAudioTechnologyの大口径ユニットを使っているので低音の伸びも十分です。ホールの雰囲気をしっかり描ける帯域の余裕があります。とはいえ流石に中高音の速度には追従出来ず低音はむしろゆったりした感じです。

オーケストラを中心にチューニングをされているので相性の良いジャンルは本当に最高です。ホールのような音空間の広さ、中高域の圧倒的な質感と情報量の両立、周波数レンジがもたらすスケール感、これは凄い完成度だと思いました。

ただ万能システムではなく、これはあとから恐る恐るお尋ねしたのですが低音が遅いのは意図的ということでした。オーケストラの再現を目指されているというお話で、低音は早いより遅めなほうが生のソレらしさ(低音の質感など)が出るということで、あえてそのように設定しているというお話でした。

なのでここでリズム主体のEDMみたいな曲をかけるとバスドラがワンテンポ遅れて聞こえますが、明らかにそういう高速なリズム主体の曲をかけることは目的としていないシステムです。

takeさんは主にクラシックを愛好されているようで、当日も室内に入りますとバロックの曲がかかっていました。この日は同じくクラシック好きのまささんも同行ですのでほとんどクラシックばかり掛けていました。過去の貴重な録画映像を見ながら名演を聞かせていただいたりと、私自身もクラシック愛好家とは呼べないまでもクラシック楽曲はそれなりに好んで聞いていますので、非常にクオリティの高い音と楽曲に囲まれて、とても楽しい時間を過ごすことが出来ました。

超ハイコストパフォーマンスな小型スピーカ

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次に聞かせていただいたのはこれです。見た目は自作感のあるSPで高価なものには見えないというか、実際にユニットはかなり低価格(数千円、ネットワーク、エンクロージャ込みでも10万円以内)だそうですが、これは音を聞いてびっくりしました。

目をつぶったらこのSPから出てるとはとても信じられないような広大な空間描写力と描写力。音の立ち上がりの速度が早く粒が揃っています。バランスがとても良くどんな音楽でも良くなりそうです。

とはいえ低音の伸びは流石にこのサイズなので物理的な限界がありますが、低音の伸び以外はかなりの高性能、見た目を良くしたら結構いい値段で売れてしまう(数十万円は余裕?)レベルと思います。木製の箱型ですが木箱っぽい音はしませんでした。ネットワーク周りも見せてもらったのですがとても謎のテクノロジーです。

このSPは聞いた方が欲しがるそうですが手間がかかるし商売するつもりはないのでそういう対応はしていないそうです。上のユニットはVifaと聞きましたが下のユニットはちょっと忘れてしまいました。

豊富な自作経験から無駄のない取捨選択をすると、お金や物量を掛けなくてもこういうものが出来上がるという良い事例かもしれません。

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この日に印象的だったこと、その他

部屋の温度

冬場にもかかわらず、かなり暖かい部屋でした。暖房はしていないと聞いて驚きました。かなりしっかりした断熱材が入っているそうで、冬も夏も温度変化の少ない快適な部屋のようです。

クラシック音楽

あまり指揮者まで掘り下げて聞く方ではないのですが、この日良いなと思ったのはベルリン・フィルの指揮者、確かクラウディオ・アバドだったと思います。この演奏です。非常に静と動のコントラストのはっきりした、キレと表現力のある演奏が印象的でした。詳細聞いたのですが名前を覚えるのが苦手で忘れてしまったのが残念です。また今度確認してみます。

ケーブルの音質対策

オーディオ的にはこれが一番インパクトがあると思うのですが、個人的なノウハウということなので詳しくは書けません。

大雑把に書きますとケーブルに直接行う音質対策です。この部屋のすべての機器、すべての電源と信号線に対策を施しているとのことで、実際に付けたり外したりすると音の質感が大きく変わります。高域が落ち着いたしっとりした質感に変化します。しかもレンジ感はあまり犠牲になっていないので副作用が少ないようです。

確かにこれがあると無いとではかなり音の差があります。しかも機器に繋がっているすべての配線に対策をすると相当違うそうで、たしかに目的や理屈とかを聞くと、おそらくそのとおりだと思いますし、とても理にかなった対策です。

この対策による音質差、品位差がかなりあるため、実際に「この部屋にハイエンドケーブルなどを持ち込んでも大した音の差が出ない」という、とんでもないお話もありました。私は実際に聴き比べをしたわけではないのですが実際に試した方がいるそうです。持ち込んだ本人も思ったほど違いが出ないことに驚いていたとか。すごいですね。

しかもここで使っているケーブルはどれも元々使っている線自体は高額なものはなく、独自の対策によって高級ケーブルを無用なものにしているということでした。

その他の写真

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書いていると終わりがなくなってしまいそうなので、大事な点のみまとめました。この度は貴重な機会をいただきまして、ありがとうございました!

中国、上海のオーディオクラブ訪問と思ったこと

12月上旬に中国の上海に行ってきました。今回は付き合いの長いオーディオ関係の友人と会うのが目的です。現地のオーディオ関係の方が集う場所にも行けましたのでこちらにまとめておきたいと思います。

道中で思ったこと

まず行きの飛行機で思ったことなのですが、中国人と思われる方がたくさんいたのですが、皆さんよく喋るし自由です。

離陸のときに色々注意事項の説明がありますが、周りがうるさくて全く聞こえなかったです。あと反対側の席の人が3シート一人だったのですけどずっと横になって寝てました。そしてその方は着陸のときにシートベルトつけるように注意されてましたが一度起きてつけたのは一瞬で、すぐ横になって寝てました。添乗員も一度しか注意せずあとは放置です。降りてベルト外すサインが出たときもベルト外す音がしなかったのでみんな付けてないようです。

適当でゆるい空気はすでに飛行機内にもありました。良くも悪くも他人に興味がないというか自由です。ちなみに自分はこういうのをけしからんという姿勢では見ておらず、そういう感じなのだと思うだけです。自分自身も元々自由なタイプなので窮屈なルールや厳密な空気よりこういうゆるい感じのほうが気分的には楽です。

なんとなくなんですが平地の続く大陸なので日本みたいに細かいことに神経質なタイプは殺し合って滅びたのかなとか思いました。わかりませんが。それくらいみんな適当でゆるいです。見方を変えれば日本が異常に見えてくる位です。このあたりは土地柄でしょうね。日本だと逆に細かいことしっかりしないと駄目だったのかなというところです。

また現地は英語がほとんど通じないので合流するまではちょっと苦労しました。いや英語もヤバイのですけど中国語より絶望感ないですね。当日は空港から町中までは自力でたどり着かなければなりませんでした。目的地を印刷した紙をタクシー運転手に見せれば大丈夫と言われていましたので、何もわからない現地でタクシー乗って紙を見せます。

ちなみにタクシー内は禁煙マークが付いてるのですがすごいタバコ臭い!窓開けても空気が悪いレベルです。そして運転手は運転中スマホで奥さんとビデオチャットしてたりラジオを聞いてます。さすが中国自由です。運転は凄い荒くて渋滞に入るとイライラしてて無理な割り込みとか追い越し(日本ではありえないレベル)もするし、このあたりは中国に来てる感ありました。

ちなみにラジオでは現地の歌が流れてましたが泣くように歌う曲があって面白かったです。歌というより途中からはほとんど泣いてて歌としては崩壊してるのですが溢れる情感は伝わってくる感じの曲でした。日本ではあまり聞かないタイプの歌いかたですね。

その後タクシー内でWeChatを運転手に渡して会話してもらったりしてなんとか友人と合流できましたが、無事に合流するまではちょっとドキドキする時間でした。

上海オーディオクラブ

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紹介で現地のオーディオクラブに行くことが出来ました。ここでも空気は非常にゆるいです。オーディオがかかってるのですがみんなお茶を飲んで自由に談笑しています。子供連れ、奥さん連れ、色々です。各々寛いでゆったりした時間を過ごしています。

システムは見ての通り最新のものではありません。入った瞬間に感じた音質は時代を感じさせるものなのですが、しばらく音を聞いていると段々なれてきます。そうすると非常に雄大で力強く、ゆとりや余裕があり、温度感と柔らかさと厚みと存在感を重視した音楽性なことがわかります。これは良い音です、そしてしっかりとした明確な方向性を突き詰めた音です!音楽的に明確なポリシーを感じます。

システムを見ると古いわからない機材が多いのですが、こだわっていることは伝わってきます。例えばこのレコードプレイヤーはお気に入りらしく予備で3台所持しているとのこと。いろいろ買い替えてきてここに行き着いたそうです。またHifi堂の常連さんで年間ランクトップ取ったと言っていました。ここのオーナーさんとは別の方もHifi堂を使っているそうで中国ではHifi堂が人気があるようです。相当な勢いで音源や機材を買っているようです。

決して現代的な分解能とか細かい情報とか性能を重視した音ではありません。神経質さは最大限に排除した余裕とゆとりのある音です。包み込まれるような音です。まったりこってり系ですね。ここのオーナーさんも非常に柔らかく包み込むような優しさを感じる方です。出ている音を聞いてオーナーさんを見るととても納得が出来ます。

この出音はまるで富裕層の生活そのものではないでしょうか?この部屋も上海の中心地にありながら町中の喧騒とは別世界のような隔離された場所です。広い庭園があり日本の盆栽が並んでいて、室内の随所にインテリアのこだわりも見せています。そしてオーディオがあり、休日にオーディオ仲間が集って自由かつゆったりした時間を共有する。そしてここに集まる皆さんも同様にあたりが柔らかく他人への配慮がある、良い人たちだなと思いました。聞いた話ですが中国では他人へ配慮できる人はすごく少ないそうです。そういう意味でもレベル、階層の高い方々なのだと思います。中国語が全然わからないのが残念でした。

ちなみにここでかけてもらったのはマーラーの2番、指揮は小澤征爾。小澤征爾というセレクションがこのシステムによく合っています。個人的な印象では小澤征爾は雄大さとややテンポが後ろノリというのか貯めが長めでスケールの大きさを感じる演奏をする方です。このシステムで彼の演奏を聞くとなるほどと思う瞬間が多くて納得でした。

とても心地よくリラックスできる感じで、そこそこ時間いたのですが、体感的にはそんなに長く感じませんでした。

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某有名ブランド製品の偽物

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どこの何とは書きませんが、これも音を聞かせてもらいました。中国製です。これは上記オーディオクラブにあったものではありません。勘違いのないようにお願いします。彼らの名誉のためにそれは否定します。彼らなら本物を買うでしょう。

こういものは一律でけしからんと思う方が多いと思うので深くは触れませんが、こういうものが実際に存在するのは事実です。そして中身と音質もチェックさせてもらってきました。音は本物と同じではありません。中身は改造が施されておりオリジナルとは意図的に違う部分があります。とりあえず本家のほうが「味が濃い」とだけ言っておきます。

重要なのは彼らは手段を選ばず解析によって技術を身に着けているということです。一部の中国ブランドでかつてコピーをやっていたメーカーがあります。有名ブランドのノウハウを彼らは貪欲に学んでいるということです。技術的な解析と探求とマナーの重要性をどう考えるかというところです。個人的にはこういうものを金儲けで売ることはどうかと思いますが、解析し身につけることは重要だというスタンスです。もちろん異論はあると思いますがあくまで私の意見です。

他人を納得させるようなセンスは簡単には身につきませんが、最低限の技術がなければビジョンは実現できません。どちらも大事ですが技術は疎かにしないほうが最終的に良い表現ができる確率は上がるでしょう。

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中国インターネットと巨大企業による効率化

現地で感心したのは効率化と分業化です。どのようなお店でも一つにアプリで出前ができるし、タクシーも同じように都心ならいつでもどこでも呼べるしキャンセルも自由です。出前をしているのはお店の人じゃなくて請負人だそうです。

このあたりは自分が書くより、詳しいBlogがあるのでこちらを参考にしてください。

http://takiyori-china.hatenadiary.com/entry/2018/01/31/193449

そして支払いはすべてスマホのみ。顔認証がついているのでセキュリティはそれなりに硬そうです。食べ物屋もスマホ決済のみでした。現金がないのでひったくりや空き巣、盗難も減ったそうです。今だと随所にある監視カメラの影響も大きそうです。

重要なのがこの効率化を単一の巨大企業が請け負っているというところ。日本だと出前というと各社自前で賄っています。人員もシステムも。だから統一された一つのシステムですべてを賄う中国とは全然違います。

電子決済もpaypayとか出てきましたがこれから各社の囲い込み競争になりそうです。既存のnanacoとかsuicaとかバラバラですよね。これが中国だとほぼ独占企業(テンセント、アリババ)が賄っているイメージです。このあたりは共産主義の良いところなのかもしれません。決して日本もこうなるべきという意味ではありませんが使う方は便利ですね。

あと滞在はホテルじゃなくて友人宅だったのですが、ハウスキーピングは物件のサービスだそうです。掃除とか洗濯とかベットメイクは全部家賃に入っているそうです。ゴミの分別もないで勝手にやってくれるそう。

日本では自分のことは何でもできるのが一人前という認識がありますが中国ではこういうところは分業化なんですね。

よく考えれば時給1万円の人がいたとしてその人が何時間もかけて家事をする位なら、もっと安く外注したほうが良いとなりますね。その分の時間は仕事や休息などもっと有意義な時間に使うほうが効率的という考え方はあると思います。

人生には時間に限りがありますし、すべてのスキルをマスターできるわけでもありません。苦手なことは素直に頼んで向いていることに集中する。合理的ではあります。

中国料理の写真

現地で撮影したものです。

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日本のかつての強みと衰退した理由?

これは帰りの飛行機でふと思ったことです。そしてここからは半分ファンタジーというか自分の狭い知識からのお話なので話半分で読んでください

専門じゃないしこれについて掘り下げることに時間を使う気がないので、これについて長文でコメントとかは勘弁してください。大事な話じゃないので料理の写真の下に配置しました。料理の写真のほうが大事ということです。あくまでちょっとした合間に考えたお話です。普段こういうことあまり書きませんがたまにはこういうことも書いてみたいと思います。

日本の強みは何かと考えたときに頼まれたら一人でなんでもやる、組織の一員として理不尽だったり無理な要求でも頑張ってなんとかする、みたいな部分があると思うのですが、そういうやり方はインターネット前の日本が強かった理由と関係しているのかなと思いました。

例えば分業化って人と人をつないだり連携するためにコストと手間と時間がかかります。だから日本みたいな白紙の新入社員を入れて年功序列で縛り会社に絶対忠誠として会社の都合で一人を使い倒すシステムは、人員を分業化でその都度専門家を集める手法よりネット以前は効率が良かったのかもしれません。個人の努力が分業化を結びつける様々なコストを上回っていたということです。

しかしインターネットを境にこれが変わった、人と人をつなぎ、仕事をシステムで瞬間的に効率的に管理できる手法が広がっていきました。特に中国の現状なんかはまさにこれが極端に進んだ姿に見えました。スマホでリアルタイムで人と人を繋いでそれが仕事になっています。支払いも瞬時で確実です。各人の都合で仕事ができる。ネットやスマホがなければ実現出来なかったことです。

そういうインターネットによる適正と仕事をつなぐ効率化が一人でなんでも頑張る効率を超えたこと、これは一つの要因じゃないかと思いました。個人がいくら身をすり減らして頑張っても、特化した適正を持つ専門家の分業効率に負け始めたのではないかということです。

もちろんこれはただの一面的な部分だけだと思うのでこれが全部なんて言うつもりは全くありません。日本の大きな成長には人口ボーナス期とかインフレ後の円安など世界的なサイクル要因があると思うので、この限りではないはずなんですが、上記のような視点の意見はあまり見たことがなかったので(的はずれなだけかもしれませんが)書いてみました。

上記を踏まえて日本はどうするべきか

これも個人的な意見でしかないし専門家でもありませんから適当に読んでください。

日本が中国みたいに分業化で効率化するのが良いとは思いません。やっぱり民族の基質ってあると思うので、日本の価値観や考え方に沿ったやり方で進めていくのが良いと思っています。中国や欧米にならって同じやり方では勝てないと思うからです。

自分の意見ではこれからはいろいろな意味での規制緩和と棲み分けのバランスが大事な気がしています。

たとえば国内でよくあるのがローカルルール。エスカレータで右空けるなんかもそうですよね。これは極端な例なのですが、国内だとマナーとかルールは誰かが文句を言い出すといつの間にか出来上がっていて、いつの間にかそれを守れないと駄目という空気が醸成されていく。最近日本がとても息が詰まる感じの一つはこれかなって思います。良くも悪くもそういうルールは建前だとしても表向きしっかり守るべきっていう真面目さは美徳ですがそろそろ限度問題かもしれません。

またルールを守ること自体が問題ではなくて、上記の基質がネットと相性悪いと思ってます。ネットでそういうルールが次々と全国的に共有されていくことでルールやマナーみたいなのがどんどん増えていって、あらゆることが段々と面倒になっているような気がします。ネットで全国的に色々な規制が「誰かわからないがこれがけしからんらしい」ということでどんどん共有されていくイメージです。

それは本来限られた範囲(村社会?昭和の会社?)でうまくいく考え方だと思うのですが、ネットによって全国的にあらゆるジャンルで規制が発生し増殖していくと最後は何をやるにも窮屈になりそうです。そもそも規制って生産的じゃないです。もちろんなんでもアリにしろって話じゃないです。

上手く言えないのですが、細かいルールみたいなものは局地的にうまくゾーニングして棲み分け、それぞれが前に進んで行けたら良いのかなと思いました。価値観の違う考え方はうまく距離をとって尊重しあい、無理強いせずそれぞれが個別で前に進む。各分野の特区をつくって相互に異なるルールを細分化して適用するようなイメージです。狭い範囲でルールを守って協調していくのは日本人は得意だと思います。でもやりすぎると横のつながりが薄くなりそうですけど、それこそはネットでつなぐ分業化でカバーなのでしょうか。村社会に戻るだけってのはただの退化です。テクノロジーと日本的価値観でうまく付き合っていくこれが大事なのではということです。あくまで私の意見です。

とにかく長い時間によって培われた基質は変えられないので、基質にあった形で、というのが大事なのだろうと思います。少なくとも今は何かうまく行っていない感覚はあります。まぁふわっとした意見ですし、あくまで個人の妄想ですからここは適当に解釈お願いします。

MYTEK Manhattan 2 レビュー

大変ありがたくお借りしましたので感想をまとめます。内容は購入検討されている方が比較参考になるように意識して書きました。強い部分、弱い部分、音楽的な特徴、性能的な特徴、そして設計面での特徴にも触れます。

音楽的、性能的特徴

男性的で力強い音、左右定位と上下帯域のワイドレンジさ、前に出てくる音、そしてスピードとパワーを重視する描写が特徴です。スピードとパワーに振った分丁寧さにかける部分もありますが、その分勢いを感じさせる出音となっています。繊細な描写を要求するクラシック系は荒くて相性が悪いですけど、低音重視の曲やリズムの強い曲では優位性を感じました。

低域に個性のある帯域があります。ベースのちょっと上くらいの帯域です。このあたりに倍音の厚みのある帯域があって、そこから下は細くなっていきます。絶対的な伸びるローというより少し上が張り出してその下からはパッと聞いた印象ほどは出ていません。

これが個性的な低音感を生み出しています。多分ですけどレギュレータ出力以降に大きめの電解コンデンサを並べているのでその特性の帯域にちょうど上記のような個性が出ているものと思います。美味しい帯域ではありますから意図的だと思います。

駆動力についてはICを使ったDACの中では実力が高いです。大半の現代的なICを使ったDACよりは駆動力があると思います。同じような現代的なICを使っている自分のAK4497とはかなりの駆動力差があった(Manhattan2がより良い)ので驚きました。

でもdCSみたいなディスクリートDAC、古い積分形DACのような余裕を感じさせる程の駆動力はありません。これらが余裕で低音から高音までビシバシ正確に描写する感じだとしたらManhattan2は必死で描写している印象があります。やはりES9038であっても小さいIC一つなので限界があるのだと思いました。

楽器演奏で例えるならスピードの早いたくさんの音符をしっかり演奏できずにややルーズな演奏になってしまっている印象と似ています。早く正確に弾くという意味ではdCSや積分形DACが最も高性能で、Manhattan2はパワーとスピードでやや力押しが目立つ表現です。

例えばですが、爪弾きのような非常に細かい表現の機微を正確に描写することは苦手です。演奏の抑揚や現場の空気感は埋もれがちで明瞭に聞き取りがしにくいです。そのため抑揚がない一辺倒な演奏に聞こえたり、録音現場の雰囲気やまとわりつく余韻などが埋もれがちです。この点でもManhattan2は細かいことは良いんだよ的な勢いと力強さでパワフルに押す音という印象を受けます。

駆動力、特定帯域の厚み、この2つはどちらも低音にとって重要パラメータです。Manhattan2は独特の厚み(ベースの上、ギターの胴なりのあたり)があり、勢いを感じさせる個性があるのでこれらが気に入ったら強いです。

最後に高域ですが、色付けは現代的な標準で薄めであり付帯音も少なめ、Manhattan1と比べるとだいぶ個性は薄くなりました。Manhattan1のほうが筐体デザインと音とのマッチングはしっくりきます。でも2のほうがクオリティは明らかに上です。

高域のトータルバランス=仕上がりは若干色がある程よいバランスだと思います。dCSほど個性的ではありませんが粒子感もあるので空気感にも程よく貢献しています。この粒子感によって余韻が前に出てきますし、色彩感もあります。そのかわり本当に細かい部分は均質になります。またDAVEほど高域の付帯音が強くないので最初の印象ではむしろおとなしい高音とすら感じました。

高域のピントの正確さとか緻密でなめらかな描写を追い求めるならDAVEなど他の製品が良いでしょう。高域の正確な描写力はDAVEや積分形DACにはかないません。滲んだ音で一般的な現代DACと同じです。(高域の付帯音と解像度は別の要素です)

そのほか、Manhattan2は上記の通り音の前後感が若干希薄になりますので、この点はDAVEのほうが前後感と現場の雰囲気が感じられます。

DAVE比では高域付帯音の少なさ、定位の広さ、音の安定感、に注目するならManhattan2が上になります。DAVEが優位なのは高域情報量と奥行きですが、奥行き描写もDAVEより少し劣るレベルでそこを重視しない方なら問題ないレベルで描写出来ているのでなかなかハイレベルかと思います。

どちらにせよ試聴して比較したら、聞きたい音が定まっている方なら迷うことはない位に個性が異なります。

設計上の特徴

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設計上の音質の肝は次のとおりかと思います。

・トランスと電解コンデンサと整流ダイオードの物量が凄い
・電流の余裕を重視した設計でパワフルな出音が期待できる
・ESSの専用電源ICを使っている=DACの電源がローノイズ
・クロックが低位相雑音品(ただしBrooklynも同等)
・IVオペアンプが8パラレルになっている=アンプ起因のノイズが抑圧

デジタル段はFPGAで処理してそうなので不明です。

アナログの電源ICはLM2990とLM2940でかなり平凡なスペックです。なのでアナログ回路は実はローノイズ重視ではありません。オペアンプが8パラなのでアンプ回路側に起因するノイズの影響を防げていると思うのですが、実は電源起因のノイズは共通なのでパラレル化では打ち消されません。

アナログ電源はハイスピードなレギュレートではなく電流の余裕を重視した設計のため絶対的なフラット感やスピードよりも電流持続力と余裕に舵を振った設計になっています。

アンプ直近に大きな電解コンデンサがついているので負荷への電流供給を狙った設計だと思います。そのかわり電解コンデンサは周波数特性、特に低域方面への特性の伸びが限定されますので周波数応答にはどうしても個性が出ます。これは独特の低域が強調された音作りと繋がっているものと考えます。

大型トランス、大型整流ダイオード、DACとしては巨大な整流用電解コンデンサ(22000uF等)、太い配線、MELF抵抗、フィルムコン、負荷直近の大型電解コンデンサ、ES9038Pro+ESSの専用電源IC、IVオペアンプ8パラ+平凡なアナログ電源レギュレータ、これらが設計上の特徴となりそうです。自作の場合でも上記設計に似せたコンセプトで設計すれば基本的な出音の雰囲気は似てくる可能性が高いと思います。

もしここから最も手軽に音質的なアップグレードをするならLM2990とLM2940をローノイズなレギュレータに変更することが一番でしょう。しかしそうするとManhattan2の独特の音楽性でもある勢いがなくなって、おとなしい地味な出音になって物足りないということがあるかもしれません。

Manhattan2はデジタルフィルターを色々変更できますのでそういった音質要因もありますが、実装されている各種フィルターはどれもChordほど音質に支配的なフィルターではない普通のフィルターなので微調整レベルで音に支配的ではありません。

測定値(個人測定なので参考程度にお願いします)

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アナログボリュームフル設定、1kHz THD、+24dBV trim

1000hz_thd_trim24_dgvol

デジタルボリュームフル設定、1kHz THD、+24dBV trim 同じ出力ですがアナログボリューム経由よりTHDは良好です。

j-test_trim24

J-test、+24dBV trim

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クロストーク -120dB前後

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5Mhz帯域のノイズフロア分布。帯域外ノイズは少なくよく抑圧出来ています。これが付帯音の少なさに関係します。なお60kHzの膨らみは外来ノイズの影響でDACによるものではありません。

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100kHz帯域+20kHzLPF時の微小領域の残留ノイズ。この結果は現代DACとしてはやや高めです。

超低音とスピード感の高度な両立、avcatさん宅システム

2018/11/03にお邪魔しました。現代最高峰と思われるYG acoustics Sonja XV jrを使用されています。いつもどおり詳しい機器の情報などは書きません。写真にシステムを写しましたので写真から判断してください。音質についてを中心に書きます。

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驚愕の低音とそれ以上に凄い中低域の描写スピード

他の方のavcatさん宅レビューでもXVに変更してからのシステムについては非常に低音の評価が高かったのですが、個人的には超低音そのものよりも低音+速度の両立のほうが驚愕でした。

まずは低音の伸びがどれくらいなのかを書きます。最初にRodrigo y Gabrielaのギタープレイを聞いたのですが、この曲は実は凄い下の帯域で暗騒音と思われる超低音が録音されているのですが、それが非常に明瞭に聞こえました。これは自宅システムでは全く出ていない帯域です。一応自宅システムも30Hz台までフラットに出てますのでもっと下です。この帯域を綺麗に再生できるシステムは少ないでしょう。

次に凄いと思った低音のスピード感です。これは中低音について特に強く感じた特徴です。今まで聞いたYG AcousticのSonja 2.2、Haileyとは明らかに異質な部分です。非常に下の帯域まで出ているのに低音の立ち上がりが圧倒的に早く、それにより中低域の透明感と描写力がかつて聞いたことがないようなレベルにあるということです。この音源のこの部分はこんな音だったのかということが色々な曲を聞いていて何度かありました。

avcatさんのお話ではXVではないSonjaまでは単一のユニットで低音をミッドとウーファーで分担して受け持っていますが、これがXV jrになるともっとたくさんのユニットで低音を受け持つようになりました。なので一つ一つのユニットのストロークがかなり小さくても同じ音量が出せるようになり、その結果立ち上がりまでのスピードが上がっているとのことです。これがフルXVになると更にユニットが増えるのでもっと立ち上がりが早くなるとのことです。全く出音が予想できません。恐ろしいです。

確かにこのXV jrの出音を知っているとノーマルSonjaまでは低音がやや遅く中高音との接続が不完全だったことがわかってしまいます。唯一このネガをカバーできていたのはlookkgさんの低音ネットワークバイパス+バイアンプ状態の音でしょうか。おそらく普通にネットワークを経由したSonjaではこの音は出ないのではないかと思います。

ということで個人的には超低音再生能力も凄いですが、それ以上にこの低音とスピード感を両立していること、それによって初めて浮かび上がる中低音の詳細なディテール、この部分が非常に印象的でした。

スーパーハイエンドの条件、高音の”色”

もう一つ書かなければならないことがあります。それは高域の質感です。私が持ち込みをした試聴CDの前半では高音に明らかに色が乗っていると思ったのです。最初は高音が滲んでいると思ったのですが、後半のソースで高音の質感と帯域バランスをチェックするための曲をかけたときにすばやく立ち上がっており、決して出音が滲んでいるわけじゃないことがわかりました。

ちょうどボーカルのサ行より少し下の帯域に継続的に響く付帯音があります。やや大きめの粒子感のある音がその帯域にずっと漂っています。実際の高音描写は非常にピントが合っていてシャープかつ高速な描写なのですが、基本的な描写とは別に上記のような付帯音が常に鳴っているのです。

私自身はこのたぐいの音はとても好物ではないほうなのですが、それについてavcatさんに聞いてみると、この音が鳴っていないと逆に駄目というご意見でした。理由についてお伺いすると世界のスーパーハイエンド、今で言う100万クラスから上の数百万円クラスの機材の持つ共通した特徴とのことです。

元々はオーディオイベントで高額な世界のハイエンドが出していた音のようです。憧れとしてこの音があり、そのためにオーディオで聞く意義があるというほど重要なエッセンスのようです。ちょうど銀線とか美音とかそういう方向性ですね。

トランスポートの支配力、Vivaldiの魅力

この日は最近出来上がったデジタルコンバータを持っていったのでPCから接続させてもらってVivaldiトランスポート+クロックとの比較をさせていただきました。ノートPC+デジタルコンバータからVivaldi DAC、それ以降は既存のシステムと全く同じなのですが出音は全く違いました。

驚いたのはシステム全体の音色のうち40%くらいが変わったように聞こえました。極端かもしれませんがトランスポートが実は音を支配しているというお話です。体感的にはトランスポートを自分の設計品に変更したら半分くらいシステムが自分の音になってしまったようなイメージです。

avcatさんにトランスポートの重要度のお話を聞くと、やはりVivaldiはトランスポートが大事というようなことを言っていました。どうしてもDACに注目が集まりがちですが実は音色面ではトランスポートの支配力はかなりあるとのことです。Vivaldiの音色はDACだけでなくトランスポートも含めて完成するようです。

トランスポートも含めたVivaldiはやっぱり美音系と力強さに独自の魅力があると思います。上記にも書いたハイエンドらしいオーディオらしい高音です。それに力感と量感があって図太さを感じる描写になります。

例えるならVivaldiが鈍器で殴られる感じだとしたら、こちらのトランスポートは槍で刺されるとか刃物で切られるような感じです。このあたりははっきりと好みの分かれる方向性の明確な違いがあると思いました。

支配力というのは、フルVivaldiとDACだけVivaldiという構成に予想以上の大きな差があったということです。そしてVivaldiの音色が好きならばトランスポートまで揃えないと真の個性は発揮されていないのだと思いました。

その他、印象的な部分

良くオーディオに大金をかけるならコンサートやライブに行ったほうがいい的な意見がありますが、以下のavcatさんの考え方はそもそも生音を基準にしていない、生音を理想としていない点で個人的には面白い考え方だと思いました。

  • オーディオでしか実現できない音世界を理想とする
  • 生音ではなくオーディオの音が聞きたいという境地

ここからわかるようにavcatさんは音楽より純粋にオーディオを愛する方だと思いました。日本国内は勿論、世界中のオーディオイベントに出かけていって写真を取りそれを記録していく、それを安定して長期間にわたって継続していく…、それは熱心なオーディオファンであっても簡単に誰でもできることではないと思うのです。むしろ専業の仕事であってもここまで熱心にできるのかと思うようなことを長期で継続しています。とても凄いことだと思います。

私としては今回がほとんど初対面で、あまり長い時間お話できたわけでもないので、普段の発言から推測や引用した部分もありますが、大まかな印象的な部分をまとめますと以上です。

この度は貴重なお時間をいただき、素晴らしい体験をさせていただきまして、ありがとうございました。

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Nazo-otokoさんのオーディオ多次元空間

2018年9月上旬、念願のNazo-otoko邸に訪問いたしました。オーディオ界隈では間違いなく国内有数のシステムをもつ方です。御本人のBlogとダブルウーファーズのHPを紹介しておきます。Nazo-otokoさんはダブルウーファーズ会長とも呼ばれていますね。

https://blogs.yahoo.co.jp/nazo_otoko

http://www.double-woofers.com/

去年ふとしたことで実はかなりの近所にお住まいなことを知りました。なにしろ普段買い物に行くスーパーのちょっと裏にあるようなイメージです。普通に歩いていけるくらいの場所なのです。しかし相手が相手ですのでなかなか声はかけられずでした。以前にうちオフでIMAIさんがこちらに来られたときに「近所にすごい人がいるんです」って言ったら何とNazo-otokoさんとは何度か会ったことがあるとのこと!いつか行きたいですと伝えておいたのですが、その念願がかなったのが今回の訪問というわけです。

そしてIMAIさんの提案で若手をTwitter上で募ってメンバーを増やして同行となり、当日はIMAIさんTaxsisさんまささんの3人と向かうことになりました。いつもなら音質のことをすぐ書くのですが今回は色々なことがありましたので音質だけではなく前置きも含めて色々書きたいと思います。

自宅の入り口

流石にプライベートに近い写真はアップできませんが自宅の前の写真は御本人のBlogにも掲載がありますので、同等レベルなら問題ないと判断して入口写真のアップです。

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写真で見るとなにかの施設のように見えますがこれが家です。凄いですね。富豪お宅訪問が好きな自分でもここまでになると盛り上がるというより気持ちが引き締まります!

IMAIさんがピンポンして巨大な玄関ドアが開き恐る恐る中に入りますと、とても広い玄関が広がっていました。奥の大きなガラスごしに中庭が見えます。広さとしては靴が20人くらいは余裕で並べられそうな玄関です。大きい旅館じゃなくて落ち着いた平屋タイプの高級旅館入り口の雰囲気といったら伝わりますでしょうか。

最初にオーディオルームへ

入ってからすぐにオーディオルームへ案内されたのですが実はここからすぐに音出しではありませんでした。音が出たのはここから1時間後です。

まず全員で中央の椅子に座りました。そこで現在のシステムの詳細な資料とNazo-otokoさん宅のインタビューが乗っている雑誌のコピーを頂きました。コピーと言ってもかなり分厚い資料です。

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そして次に一人ずつ自己紹介です。ここで結構細かいところまで聞かれたりします。自分は別に隠すことはないのであれこれ今までの経緯とか色々お話しました。最初の印象はとてもお話し好きな方という印象でした。

今日のメンバーの中でもTaxsisさんは色々突っ込みが入っていて面白かったです。まぁ持っているスピーカの数もラインナップも普通じゃないですからね。現役学生でどうやって揃えたの?的な鋭いツッコミが入りつつ、和気あいあいとお話を挟んだことで最初はとても固かった空気がだいぶ和らぎました。これももしかしたらNazo-otokoさんの配慮だったのかもしれませんね。

お話の中でApogeeのスピーカの話が盛り上がったところで別室に移動になりました。

このお宅には実はメインのオーディオルーム以外にも複数の部屋にオーディオシステムが設置されています。メインの部屋だけでも凄まじいですが現実は更に上を行くオーディオコレクションでした。それを一通り端から案内していただきました。今日のメンバーはみんなスピーカに詳しいので反応がとても良くNazo-otokoさんも見せる甲斐があると判断したのかもしれません。これはとても幸運でした。もちろん初対面の方にはみんな見せているのかもしれませんけどね。ちなみに自分はあまり古い製品は正直わからないものが多かったです。今日のメンバーはみんな詳しすぎです。でもその分色々なお話が聞けてよかったです。

ほかには作業用のスペース、ユニットが大量に置かれている部屋も有ります。中にはサイン入りのユニットや往年の高性能ドライバもありました。こちらの部屋そのものは本家のBlogでも公開されているので問題なさそうな写真だけ紹介しておきます。(OKの確認済み)

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下のアポジーの部屋にはスピーカと貴重なクレルのビンテージ製品が良い状態で設置しており、製品個別についても詳しく説明していただきました。クレルはシリアルナンバーの若い初期のモデルだそうです。アポジースピーカの導入にも色々なストーリーがあったそうで、ここで長々とは書きませんが本当にそれぞれの機器にエピソードがあるものです。

そういう細かいエピソードについて、今でも細かく覚えておりしかも並行してシステムとして維持されているというところに、Nazo-otokoさんの人生におけるオーディオの比重の高さが伺えるような気がしました。

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試聴と音質

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実際の試聴順とは違いますが、写真順にシステムの音質的感想を書きます。また実際には各機器には背景となるエピソードがあり、試聴前にそのお話を聞いてから音を聞くという流れでした。それぞれに本当に分厚いバックグラウンドがあるのです!

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ダブルウーファーズのルーツと言われるJBL4350Aのシステムです。この時代のこの構成のスピーカをちゃんとしたシステムで聞くのは初めてです!曲はもちろんジャズですが、厚みと存在感が非常に強い音です。低音は38cmのダブルなのでグッと空気の圧力が面で迫ってくるような低音です。一言で言えば脂ぎった熱い音と言われる方向性になると思います。ただしそれは中低音についてはです。

しかしこの手の典型的な音質と異なる部分があります。非常に面白いのが高音で、高音はかなり明瞭かつなめらかで引き締まった音になっていると感じました。これがマルチの威力でしょうか?中低音とは明らかにキャラが違う高音なのです。しかしそれが音楽として見事にマッチングしています。この高性能寄りの高音が適度に現代的な風味を醸し出しており、描写力が高く緻密さや丁寧さを感じさせる要素となっています。現代ハイエンドしか聞かない人でも、ジャズを聞かない人でも、この音なら楽しめるのでは?と思うような雰囲気です。

こういう音が好きな人によくあるような典型的な一点型ではない、ただ単に厚み、存在感、熱気、こういう方向性だけを追求するのではなく、緻密で丁寧な高域がスパイス的に加えられてまとまっている。非常にセンスの良い仕上がりに感じました。

このシステムで印象的だった音色はバストラムの腹に来る音圧とウッドベースの存在感と実在感です。バスドラムは非常に生っぽいです。生といってもスタジオの端正な音じゃなくてジャズバーとかのやや飽和感のある音という趣です。ウッドベースは生よりも存在感ありそうです。

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次はオリジナルノーチラスです。オリジナルノーチラスはダイナ7Fで昔に聞いて以来です。当時は経験値も少なかったのでこのSPの真価は理解できませんでしたが、今は大分経験を積みましたので実力がよくわかりました。これはSPの設計としては大分古いのですが現代でも通用するクオリティがあります!本当に優れているものは古くならない、オリジナルノーチラスは紛れもない名機でしょう。

Vivid Audioと同じ設計者ですがある意味Vivid Audioの設計はこのオリジナルノーチラスを「現実的な使い勝手に落とし込んだモデル」と言われても納得してしまいそうです。マルチ専用でウーファーが物理的にセパレートになっている設計は正義です。ウーファーユニットが一つで中高域と物理的に分割されていますので箱の共振から分離されています(Giyaではウーファーの管の中に中高域ユニットが取り付けられているようなデザイン)。このおかげか混濁感がとても少ないクリアな音と感じました。ここの出音は相当にハイレベルです。

この日聞いたシステムの中では最もバランスが良くオールラウンダーだと思います。非常にまとまりがあって弱点の少ない音という印象です。低音はもちろんYG acousticsの最新SPと比べればわずかにエンクロージャーの音は感じますが、十分現代ハイエンドクオリティです。

このあと写真に写っている「Nazo-otokoさん自作のアンクもどき」をつけ外しして聴き比べです。つけているときのほうがふわっと広がる空気感があって優しい音ですね。取ると引き締まって優しさとか空気感からは遠くなります。中高音が乱反射するので像が散るのだと思います。かける音楽で相性が変わってくる部分だと思います。私はどちらもありですね。

このシステムで印象的だったのは、空間の広さと音像の緻密さ、この2つです。低音重視のソース以外なら何でもバランスよく鳴らしそうです。聞くところによるとExaktが予想よりも良くて結局導入することになってしまったそうです。

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本当はこの日の最後に鳴らしたシステムなのですが先に書いていしまいます。

フルエピローグは王道ハイエンドをそのままにスケールアップしたような音、と思いました。王道故に説明が難しいのですが、駆動力と余裕と聞きやすさの両立でしょうか。もしかしたら現代では王道とされる方向性はゴールドムンドが切り開いたのでは?と思わせます。

一言で言えば非常にスケールが大きく余裕のある揺るぎない音です。低音の躍動感や動的なうねりのようなものはダブルウーファーのシステムのほうがあるのですが、こちらはより静的な低音と感じました。ある意味ノーチラスの音を「大胆に」レンジアップスケールアップしたような感じです。

ですが緻密さや丁寧さならまだノーチラスのほうがまとまっていると思います。より具体的に言えば高音のピントの合い具合には結構な差があると感じました。サイズや描写される音楽が大きくなった分、高域の描写は大胆な性格に変化していると思います。だから受ける印象も余裕と大胆さとスケール感という感想になります。

このシステムで一番印象的だったのはパイプオルガンのスケール感と余裕です。

この日はゴールドムンドというメーカーの設計についてはNazo-otokoさんは結構辛辣なことを言っていましたが、現実には沢山のゴールドムンド製品を使われているので、その音質と相反する設計の部分に納得出来ない部分がありながらも、やはり惹かれるところがあるという複雑な部分なのかもしれません。性格の悪い美人で苦労させられるけど別れられない的な関係でしょうか。よくわかりませんが。

ちなみにNazo-otokoさん曰くこのシステムはまだまだ調整中とのことなのでこれからさらに説得力を増した凄い音が出てくるのでしょう。

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この日聞いたダブルウーファー製品では最もおとなしい音でした。このSPはダイナのマラソン試聴会できいたことがあります。その時はDD67000とDD65000の比較でした。DD67000のほうが現代的、DD65000は濃い音だと思っていたのですが、ここのシステムですと他のシステムの濃さが浮き彫りになってしまう、現代寄りの仕上がりの音だと感じました。

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これはワケありのスピーカらしいです。知人伝での入手とのことでその経緯などを聞いてからの試聴となりました。このSPはウーファーの設計が特殊のようで、内部に駆動ユニットが入っており外側の表裏4つのウーファーは見えない内部のユニットによって駆動されるとのことです。そのためウーファーの駆動にはかなりパワーのあるアンプが必要というお話です。実際に音が出ると鳴らしにくいという印象はあまり感じないくらいしっかり鳴ってました。

このシステムの音はこの日聞いた中では真面目ではあるのですが、ただ真面目なだけじゃなくて枠を少しはみ出す奔放さも感じる仕上がりと思いました。お話を聞いていると元々は暗めの音でもっと真面目なSPなようですが、ここでの出音は端正なだけでなくあえて枠を飛び出すような部分を作ることで、楽しく聞けるようなチューニングになっているようです。(元々の音を知らないので深くは語れませんが)

比較すると、ノーチラスほどのまとまりと締りはなく、かといってJBLシステムほどの躍動感や存在感もない、ちょうど両者の中間的な位置づけの印象を受けました。入手金額は使われているシステムの中では格安(訳あり)だと思いますので、値段を考えると正直とんでもない実力の出音だと思います。

一度上記のDD65000と同じ曲で比較ができましたが、ダイナミックなDD65000、真面目なSB-M10000という印象です。

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ここのシステムの中ではノーチラスに次ぐ「普通の」ハイエンドスピーカです。超高額のダイヤモンドツイータが乗っているモデルだと思われます。セラミックのモデルは聞いたことがありますがダイヤモンドのモデルは初です。

音質的には非常に透明感と滑らかさのある中高域が特徴です。この日のシステムの中ではこの部分は突出しています。また箱の設計によると思われる嫌味のない自然な長めの余韻もこのスピーカのもう一つの特徴です。これはセラミック型のモデルでも共通していました。まさに上品で繊細、貴婦人のようなスピーカじゃないでしょうか。特に弦楽、クラシックに合うというのはよく言われていますが、そのとおりだと思います。

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個人的にこの日で最も印象的だったのがこのシステムです。150kgのステンレス削りだしホーンは見た目にもすごいインパクトでしたが音はそれ以上のものでした。

ここでかかった木琴と鉄琴のオーケストラ編成の曲は生音でなければ出ないようなアタックと余韻の力強さを感じることができました。例えばですが最近木材にハマっていて色々な木材を叩いていますが、木材を強く叩いたときに出てくる高音のエネルギーは自宅のスピーカーからは全く出ません。自宅のスピーカーから出る高音は非常に弱々しいものです。

しかしこのステンレスホーンから出てくる高音はすごい浸透力のある沁み入るような高音です。ただ単に透明感があるとか引き締まっているのとは次元が違う、生のあのエネルギーが飛んで出てくるような感覚があります。

それに合わされる低音はエクスクルーシブのダブルウーファーです。4350よりレスポンスが良くステンレスホーンのエネルギー感と比較してもなんとバランスが取れている低音です。並外れた高域に並外れた低域を組み合わせた現代の典型的ハイエンドとは全く違う方向性で突き抜けた凄みのある音でした。このシステムの音はもう一度聞いてみたいです!

試聴後の印象

多様なシステムがそれぞれ異なる表情と音楽を見せていました。まさに多次元空間のシステムです。当然のようにシステムによってかける音楽も変わってきます。この日にかけられた曲はシステムに合わせて選定されたものだったと思います。だからこそ方向性と音楽性が一致して濃い体験につながったと感じました。それを複数持っているということは懐の広さと深さも伺えるわけです。

しかしIMAIさんによると過去の音はここまで多様性のある方向性ではなかったとのことです。もしかしたら少しずつ、またはある時期を境に今のような多様性をもつようになったということになります。そこで一体何があったのかはわかりませんが、きっと大事があったのだろうなと思います。視野が広がるきっかけのような出来事のはずです。それはもしかしたら雑誌掲載記事にあるような病気や手術がきっかけだったかもしれませんし、そうではない自然な気づきと流れだったのかもしれません。そのあたりは自分が知る由もないことですが。しかしそんなことを考えてしまうような体験でした。

この部屋に共通している要素は、熱さ、奔放さ、ダイナミックさを軸とした方向性でしょうか。もちろんノーチラスやルーメンはこれらの条件の例外となりますが、それ以外のシステムではそういう音楽性が常に見えますので、おそらくこのような要素がNazo-otokoさんのルーツなのかなと推測しています。そして上にも書きましたがオーディオへのとても強い思い入れも共通でしょうね。だからこそ一つ一つのシステムにバックストーリーがあるのだと思います。

あとインテリアや細部のこだわりがとても強いです。フルエピローグのグリルは黒から紺に色を変更していますし、部屋の設計のこだわりも凄そうです。自分はこの部分についてはまだまだなので正直よくわかりませんでした。すべてを理解するには自分にはまだ深すぎるというところだと思います。

その後

あっという間の試聴時間の終了でした。16時から19時半の3時間半でしたがシステムがこれだけの数ありますので、じっくりというよりも駆け足での試聴になりました。最後に床下のケーブルを見せてくれました。総延長が400mあるそうです。これだけのシステムをマルチチャンネルで駆動しているのですから凄い量です。それでも床下を通すことでスッキリと仕上がっています。床材はナラ、天井はスプルースとのことで最近ハマっている木材の知識が生きるシーンでもありました。

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まだまだこの日は本当に色々なお話を聞くことができたのですが、自分自身のスピーカや機材に対する知識不足をとても感じました。あまり反応できない話題も多かったので今日の強力メンバーはいろいろな方面での話題の対応力がありとても良かったと感じます。Taxsisさんの様々なスピーカの知識、まささんのユニットの知識、IMAIさんの人脈やNazo-otokoさんの趣向への理解の深さ、です。

この後はNazo-otokoさんは別の用事があるようなので、残りのメンバーで近所のご飯やさんに移動して、楽しく今日のオーディオの感想と、何故かavcatさんとIMAIさんの昔話などで盛り上がりつつ解散となりました。

非常に充実したオフでした。そしてまた音を聞きたいなぁという思いが残りました。IMAIさん、貴重な出会いを提供いただきありがとうございました。Nazo-otokoさん、お忙しい中お時間をとっていただき、また詳細資料を準備の上、数々のシステムを見せて、聞かせていただきまして、ありがとうございました。

lookkg486さんの余力溢れる超ハイエンドシステム

2018年8月下旬にお邪魔いたしました。今回のメンバーはいつものnemo3と、以前にうちにもオフで来られたことのあるLoui(るい)さんの二人、どちらもアニソン大好き勢です。

家は河口湖にある本物の別荘です。個人的に富豪お宅訪問みたいなのが好きなので高まります。そしてここは河口湖の中でも中心地から離れたやや郊外にあるのでオーディオをするための周辺環境としてはとても良い場所です。空気の静寂感があって電気と空気のSNが良さそうです。家そのものの写真はもちろんアップできませんが周辺はこんな感じです。雰囲気だけでも感じ取ってもらえたらと思います。

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システムの構成について

スピーカはYG acoustics Sonja 2.2、ツイーターを最新のものにアップグレード済み、そしてなんとウーファーはネットワークをバイパスしています!ネットワークはマイクで音を取ってから位相とEQを補正できるトリノフというハードウェアを使ってデジタル領域で実現しています。このようなハイエンドシステムでSP内部のネットワークをバイパスするなんてかなり豪胆ですね。プリは1台なので上下どういう接続になっているのか聞き忘れてしまったのですがパワーアンプは2セットあるので上下別のパワーで鳴らしているのは間違いないです。

ということでYG acoustics Sonja 2.2でありながら等位相かつフラットEQで聞ける環境が出来上がっています。ケーブル類はもう意味がわからないくらいの高額ケーブルの山なのでここは完全に未知のゾーンです。一つ一つは音に強力に貢献しているはずですが個別の音については全くわからないです。その未知のゾーンの写真はこれです。

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音質

このようなシステムなので一体どのようなすごい音がするのかと思って音を聴くと別の意味で驚きます。それは全く力みのないリラックスした音だからです。決してぬるい音という意味ではありません。音そのものはレンジが広くかなりの低音から高音まで高速で立ち上がりきれいに消えていきます。すべての音が明瞭に見えるような、音数が多かったり速度の異なる音が折り重なるような難しいソースを持ってきても余裕を持って鳴らします。レンジが広いのに力みがないということです。そして空間と音のSNも高い。凄みを全然感じさせない、実はこれは凄いことです。

もともとYG自体が現代SPの中でも高い安定感、揺るがない力強さを感じさせるSPではありますが、その方向性をさらに推し進めた出音というとイメージがしやすいかもしれません。

自分はいつも色々な要素が分かるまるでベンチマークのような曲を持っていくのですが、それでわかったのは定位感、SN、描写力、駆動力、これらのトータルバランスで弱点が最も少ないシステムと思いました。この音のレンジと質感の均質さでありながら先日の記事にあった富山県のIさんのような定位特化システムと比べて定位の再現も80-90%まで出ています。恐ろしいです。これは確実に等位相補正の効果だと思いますが普通のマルチウェイシステムでは出ません。自宅環境も等位相ですが70%くらいの再現度です。

弱点があるとしたら一つだけ、数kHzの帯域に折り重なったような付帯音があります。シンプルなシンセサイザー波形を使った曲を聞くと等位相ではない環境ではやや潰れたような音がするのですが、ここの環境では基本はきれいに鳴っているのですが一部の帯域でだけ潰れたような印象がありました。それについてlookkgさんに恐る恐る伝えますと2kと10kにちょっと癖があるそうです。恐らくそこの影響だろうと言うことです。しかし一部の特殊な音楽以外を聞いているときには気にならないので些細な問題です。

まとめますと、トータルバランスに優れ、力強さと音の余裕の両立、SN、定位に優れた音源を選ばないシステムです。そして一番の特徴は余裕だと思います。lookkgさん自体が人間的にもとても余裕があって行動力やパワーを感じる方だったので出音にはとても納得できる感ありました。

学ぶこと、感じたこと

ここの床は70cmのコンクリート、その上に板を敷いているだけらしいので超強固です。最近はっきりと気づきましたが床はとても大事です。実はオーディオは床の音を聞いているといっても良いです。

自分はハイエンドの必要条件として絶対的な駆動力が必要だというのは最近になって強く気づきました。駆動力そのものを軽視していたわけではありません。しかし描写力や透明感や解像度によりすぎていたと思います。描写力を担保するのは駆動力ですから、駆動力は絶対的に必要です。そしてコンポーネントの駆動力を担保するのは床です。だから絶対的な音の余裕も単にコンポーネントのグレードだけではなくて床の強固さによる影響がとても大きいと感じました。

自宅に戻って音を聞くと絶望するほどに安定感にかける、弱々しい音しか出ません。なぜなら木造二階で床が弱いからです。歩いていてすぐに分かる柔らかい床です。なので今回は自宅の足回りを強化したいと強く思いました。

実は今回の件のもう少し前にも同じような気づきのきっかけがありました。そちらは非公開案件なので記事にはまとめていませんが同じように駆動力の重要性を痛感する出会いと体験があったのです。そして今回の件もポイントは違うのですが要点は同じでした。それは世界のハイエンドは常に駆動力を再重視していること、今の自分にはまだまだその視点と追求が不足しているということです。この2つの出会いによって強くそれを感じました。

このような貴重な気づき、体験、に感謝したいと思います。対策関係は別途記事にまとめていきます。

おまけ

当日は木材の聴き比べや食事など、楽しく過ごしました。色々お世話になりまして、ありがとうございました。満足なお礼は出来ませんでしたがまたよろしくお願いいたします。あとはツイッターの発言や写真を貼っておきます。

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音楽制作的観点によるヘッドフォン比較

先日こちらの作品でミックス2曲とマスタリングで参加したのですが、いままでのAudeze LCD-2にFocal UtopiaとFinal D8000を加えた作業は始めてでした。

「Twin Crew Star」の画像検索結果

http://lovelicot.com/twin_crew_star/

特にマスタリング時はより絶対的な基準が重要視されますので、公正なバランスの視聴環境は必須だと思っています。なぜなら絶対基準がもしずれていたら、最終的にリスナーにお届けするデータは「あるべきバランス」からズレたものになってしまうからです。相対的なバランスが良ければ(マスタリングで補正できるので)問題にならないミックスとはここが違います。マスタリングは最終工程なので、音源として良いバランスになっていなければならないです。

今回はマスタリングを通して各ヘッドフォンの良いところと悪いところがオーディオとは別の視点でわかりましたのでここにまとめておきたいと思います。

Final D8000

「Final D8000」の画像検索結果

http://snext-final.com/products/detail/D8000

低周波領域にピークまたは共振帯域が複数分布しています。なのでマスタリング作業でピーク除去のEQ作業=細かく被っている帯域除去をする作業にはあまり適さないヘッドフォンです。この特性はアンプを良くしても改善しませんでした。

具体的には200-400Hz帯域に2つくらい共振?があって、その上にそれらの高調波と思われるいくつかの癖のある帯域があります。

このヘッドフォンで作業していると上記帯域をどうしても削りたくなりますが、気になるところをすべて削った音源をモニターSP、スペクトルアナライザーでチェックすると中低域が痩せ過ぎた結果となります。なのでこのヘッドフォンでこの帯域は触れません。作業をしていて別の曲を触っても同じような帯域ばかり気になるときはシステムに問題がある可能性が高いです。今回もそういう感じでした。

逆にD8000が良いのは超低域の量感バランスのチェック、ダイナミクスのチェックです。このヘッドフォンは低域がちゃんと出ています。普通のヘッドフォンのような響くだけの低音じゃなく低周波をユニットが駆動しているからです。なのでヘッドフォンにありがちな低音バランスを取りにくいという問題は緩和されています。小型モニターではなかなか見にくいところまで手が届く感じです。低音が強い割に高音のうるささもちゃんとうるさく聞き取れるヘッドフォンなので全体のバランス調整ならEQ作業もOKだと思います。

またアンプ次第なのですがアンプさえ良ければコンプレッサーによる音の速度変化は見えやすいのでEQよりコンプの調整に向くヘッドフォンだと思いました。余韻や中高域のディテールの描写力はFocalのUtopiaには負けます。

Focal Utopia

Utopia high-fidelity headphones

https://www.focal.com/jp/headphones/utopia/utopia

UtopiaもD8000と別の帯域ですがやはり共振帯域がありますのでEQでの被り帯域の除去には向かないヘッドフォンです。

Utopiaの場合は1k-6kくらいの広い帯域に細かく癖のある帯域が分散しているような印象です。具体的にどの帯域とは言いにくいのですが聴き比べると中高域に明らかなピーク感があってそこの帯域はあまり触れない印象です。これもアンプを良くしても改善しません。そのためこのヘッドフォンでもEQで細かく被っている帯域除去をする作業は向かないと感じました。

ダイナミクス系の処理はやりやすいです。D8000に対して特に優位性があるのが減衰の描写力が非常に高いことです。なのでダイナミクス系のなかでも微細領域の変化、スレッショルドの深いところでの変化がD8000よりチェックしやすいです。この特性は例えばミックスでリバーブのかかり具合、減衰の重なり具合等を調整するときに向く性能です。

高域のディテール描写力もD8000より高いので、例えばプラグインの種類ごとによる質、触ったときの質感の変化、音色の微調整、これらの作業にも向くヘッドフォンと思います。低音はD8000のほうが輪郭がはっきり明瞭な音です。

Audeze LCD-2

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https://www.audeze.com/products/lcd-collection/lcd2

古いモデルでこの中では最も価格は低いですが、意外と健闘していたのがこれです。実はEQでの細かい作業はこれが一番です。特に共振帯域がこの中では最も目立たないので帯域除去作業はこのヘッドフォンが一番良いです。どの帯域も癖が少なく音源の課題が見えやすいですし、除去したときの変化も見えやすいです。

EQ処理でひとつだけ問題があるのが2k以上の中高音が「うるさく聞こえないこと」です。これの何が問題になるかというと、モニターSPや他のヘッドホンで聞いたときに高域の上げすぎ、うるさいと感じられるバランスにまで突入しがちなことです。なので高域のバランスが出すぎていないか他のヘッドフォン、モニターSPでのチェック必須です。

もう一つ問題はダイナミクス性能に限界があることです。低域のスピードがとても遅いので中域くらいまでの微細な描写がユニットの駆動にマスクされやすいです。アンプでかなりの改善が可能ですが、基本性能の問題ですので上記二機種のようなハイエンドヘッドフォンに比べるとそのような微細領域の減衰ディテール、一定以上の速度のダイナミクス変化を見るのは苦手です。

うちのモニターSPもこの変化に若干弱いところがあるので、LCD-2と合わせて長いことダイナミクス調整を苦手としていましたが、このようなリスニング環境の制約が弱点を作っていた側面は否めません。

結論

ということで各種特徴があって複数使い分けることが効果的というとてもお金のかかる結論です。ハイエンドクラスのヘッドフォンを一つ持っていてもそれで完全になるわけではなく、弱点を補い合うような組み合わせにしなければならないということです。ハイエンドクラスでも思っていたよりも性能に限界があるというのが事実でした。

また注意したのはヘッドフォンだと木を見て森を見ない調整になりやすいということです。これはマスタリングよりミックスでより深刻だと思っています。特定の音を聴くくせがついてしまうと作業中でも客観的なバランスで音楽を見にくくなります。個人的にはこれは作業時間が長くなるほど顕著だと思っています。そうなると変なバランスになっていても気づかないです。こうなるとある部分が良くてもある部分がアンバランスということになりやすく、最終的に俯瞰的なバランスをモニターSPでチェックすることはとても大事だと思っています。

しかし上記のような3機種を使いわけるとモニターSPの出番はかなり減らすことが出来ると感じました。今まではヘッドフォン作業はLCD2だったので、ヘッドフォンで聞いてモニターで聞いて、またヘッドホンで聞いて、というやり直しがとても多かったのですが、今回は3機種で音を詰めてからモニターSPで聞いても違和感が殆どなかったからです。

一般的にはヘッドフォンでのミックス、マスタリングは駄目だとよく言われますが、このような高性能な機種を複数使い分けて最適化することで高性能モニターを用意しなくてもある程度のバランスに持っていけそうな手応えは感じました。とはいえ上記機種を揃えると相当高額なモニターSPが買えますので音出しできる環境があるなら実はあまり参考になる内容ではないと思います…。

まぁモニターSPはモニターSPで完璧な音を出すのは簡単ではないので、モニターSPメインの人でもある程度以上のヘッドフォン環境を補助用に持っていても良いのかなと思ったりもしています。

富山県Iさんの超絶定位システム

6月になりますが、自作関係の話題でだいぶ以前から交流のあった方でお誘いがありましたので、別の用事の道中ちょっと遠回りして富山まで行ってきました。一応御本人によるシステム解説です。ここのUCDパワーアンプは私が作成したもので古いものをお譲りしたものです。

  • ラズベリーパイ+アイベリーDAC(タカジン製 改造)
  • コンパクトUCDアンプ(このアンプは小さいが大変音が優しく音離れや音場感が良い)
  • SPはスコーカーSasha Series-2 ユニット+ツィターFOSTEX TA-500A
  • ウファーはサーロジックのサブウファーSPD-SW2000Dと同じ型のユニットを前後に繋いだ水平対向としタイムドメインと同じように箱からユニット浮かせて取り付けてあります。(デジチャンによる60hz -48dB oct)をデジタルハイパワーアンプ駆動
  • 部屋の後ろの黒い柱のようなものは、以前使用していました、長岡鉄男考案の自作DRW(サブウファー)ですが、音が丸いので現在使用してません

とのことです。特徴的なのはEclipseのタイムドメインスピーカーに似た設計の自作スピーカです。Iさんによると実家にタイムドメインのGS-1を所持しているものの、音像の大きさに納得ができず、納得ができるものを設計して作ったのが現在のシステムとのことです。しかしGS-1も製作者自身によって魔境と言われるような世界が構築できるらしく、定位と空間描写のポテンシャルはかなり高いはずです。

参考までにここにGS-1のレビューがかなり詳細にありました。
http://www.audio-masterfiles.com/masterfiles/file021/file21-3.html

製作者による魔境の話はここです。
http://tackbon.ldblog.jp/archives/51382740.html?.link_prev=1

ですがIさんによるとGS-1はボーカルの口がとても大きく、フルオーケストラなどの再生でのスケール感は良いものの本来小さくあるべきものまで大きく描写してしまうのが欠点と言われていました。GS-1は聞いたことがないのですが自宅環境のDuntechも定位自体はなかなか良く出ていますがバッフル面の大きさに相応した定位の曖昧さは感じています。

そういえばNautilusシリーズなどは独特の形状がもたらす非常にシャープな音像感がありますね。なので箱の形状による限界があるのだと感じました。バッフル面のサイズ=音像サイズというのは経験的に色々なSPの音を思い出してみるとかなり正しいかもしれません。

とにかくIさんはこの定位感を長らく追求されておりその道で数十年とのことでした。最後は理想を満たすものが世の中にないため自作で今に至るわけです。

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音質の特徴:驚愕の定位

音を聞かせてもらいましたが、かつて聞いたことがない定位感としか言いようがありません。音場の再現能力は360度あって部屋のはるか向こうから背後まで広がる空間があります。そして音の一つ一つが非常に正確に定位しています。ここまで緻密かつ広大な定位を両立したシステムは一度も聞いたことがありません。凄いです。

先日ヘッドフォンのレビューで最新型のSPを超える部分を作り出しつつあるという話を書きましたが、こういう定位はまだまだヘッドフォンでは不可能ですね。ヘッドフォンは前後感や立体感は全然表現できません。真の3D的な描写はこういう定位の優れたスピーカでなければ楽しむことが出来ないということを強く感じたシステムでした。

ちなみに当日掛けていただいたなかでとても良かった録音は下記画像のアルバムです。色々な音が異なる空間定位で入っていますし音楽的にも深みがあります。これ以外にもチェスキーレコードの作品をいくつか聞かせていただきました。同社のオーディオテストCDの定位のテストも掛けていただきましたが、左、右、中央、そしてその間の定位もピンポイントで完璧でした。うちではこんな定位は絶対に出ないですね!自宅はここと比較すると60%くらいの再現度だと思います。それらしいところには定位しますけどピンポイントとは言えない曖昧な感じです。

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ネットでコメントを見るとこのレーベルは面白いこだわりを持っているようです。それは次のようなものです。だから非常に豊かな定位感があるのですね。

Chesky Recordsは、追う音質を売りにするオーディオファイル・レーベルとして有名だ。音の良いスタジオでの生演奏を、ワンポイント・マイクを使ってダイレクト・トゥ・2トラック方式で録音し、オーバーダブ、コンプレッション、イコライゼーションは一切使用しないというポリシーを貫いている。

同じようなポリシーでやっているのはリファレンスレコーディングスのキースジョンソン氏でしょう。氏のことはQLSO=愛用しているオーケストラ音源で知りましたが、リリース元であるSoundsOnlineの掲示板で当時本人による面白いやり取りを見たことがあります。

マルチマイクやDAWで作られた定位と実際のホールでの録音による定位は全く違うというお話です。ホールでの録音は壁の反射による音の到達タイミング差の情報が記録されており、あとからそれを再現することは出来ないというお話です。だからQLSOのレコーディングは音楽制作用の音源なので単音ごとに収録されますが固定マイクセッティングであり、さらにオーケストラを実際の配置において各パートごとに録音しています。だからDAWで定位を一切編集する必要がなく、むしろホール録音の音響をそのまま使ったほうが豊かな定位が得られるというお話です。

実際のこのQLSOを使った自分の制作楽曲も掛けさせてもらいました。この環境で聞くとQLSOの定位感はしっかりした立体感があることがよくわかります。DAWで編集しただけの音はやはり平面的です。当時は上のような録音技術の話を読んでもよくわかりませんでしたが、今思い出すとキースジョンソン氏はとても大事なことを言っていたのだと思わされます。あのときあのタイミングで掲示板を読んでいて良かったです。今では過去ログとしても残っていないと思います。このQLSOをわざわざクローズマイクを使ってリバーブ掛けてる人を見たことがありますけど完全に使い方を間違っているということですね。

参考までにQLSOのデモをおいておきます。今となっては古い音源なので楽器表現は固く不自然なところもありますが空間感はとても良いと思います。自分の音源は大したレベルじゃないので貼りません。

公式:http://www.soundsonline.com/symphonic-orchestra

非公式:https://storyinvention.com/qlso-music-matome/

オーディオの話しに戻りますが、この環境は定位の表現力は極めて高いのですが、そのかわり音源への依存性がとても強いです。普通の定位の曲では平面的な空間しか出来ません。高度なマイキングや空間処理を施した音源かそうでない音源の違いは浮き彫りになります。特にここで聞かせていただいたバイノーラル録音による森の音響は本当に立体音響で完全なサラウンド状態で感動的なレベルでしたが、ほとんどの曲は(たとえ優秀録音盤であっても)ただ平面の上に音が並んでいるだけということがありました。

定位の代償として失ったもの

このシステムは素晴らしい定位ですが、そのための制約として見られるのはやはり低音です。現代に残されたタイムドメインはフルレンジ設計が基本になっていますがフルレンジでは高音が厳しいです。定位感には高音の情報は重要と思います。

その点ここのシステムはFostexのツイーターがかなり高性能で高音には不満が全然ありませんが、この中高音の完成度に低音を合わせることはかなり難しいと思いました。もちろんすべてを満たすことが出来れば言うことはありませんがなかなかそうはいきません。

現状ではサブウーファーの仕上がりがまだ不満足というのはIさんも感じているようで未完成であるとは言われていました。中高域の完成度は極めて高いのできっと低音もそれに釣り合うところまで仕上げてくると思います。

最後に

この度は新しい経験をさせていただきまして、ありがとうございました。

おまけ

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途中で立ち寄った旅館のエントランスにこんなオーディオがおいてありました。下に見えるとても貧弱なコンポで鳴らされていたのでちょっと残念さのある音でしたが、普通の天井埋め込みSPよりは当然ながらだいぶ良かったです。アンプを良くしたらだいぶ違うだろうなと思いながら音を聞いていました。選曲はボッサでした。

ご飯を食べるところの天井にもありました。こちらの選曲はなぜかアメリカ音楽。自信に満ちてスケールが大きくお金の匂いがちょっとするあの感じです。

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オーディオ目玉親父(messa)さんのところへお邪魔しました

先日nemo3さんとお伺いしました。なんとお二人ともYG acoustics スピーカのユーザです。nemo3さんはHailey所持してる古い友人です。Haileyはいつも聞かせていただいています。

それがこの日はイベントで数回しか聞いたことがないSonja1.2を聞かせていただきました!まず気になるシステムについてですが、正直ここで書くよりこちらに情報がまとまっているのでこちらを参照してください。はやてさんのレビューもあります。

http://messa.air-nifty.com/blog/2017/10/post-8d0f.html

http://comiccune.jugem.jp/?eid=39

書くことは沢山ありますので、さっそく音質について書きます。

システム音質について

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音質は超ストイックでかなり基礎クオリティ重視だと思いました。超高級ケーブルによる美音とか作られた音っていう印象は全然感じませんでした。これは意外でしたがそれこそがmessaさんがオーディオに求められている音質なのだと思います。すべてを捧げて頂点に向かう姿勢を表しているようです。淀みないストレートさで正直どの曲を聞いても非常に高いクオリティかつニュートラルな方向性です。色々なジャンルの曲を掛けさせていただきましたが女性ボーカル特化という印象などは全然感じなかったです。

そもそもYG自体がそういう基礎クオリティ重視でバランスの良い方向性ですけど、そのYGの方向性をそのままに突き詰めていったような音です。システムトータルの色付けは相当排除されていると思いました。

もちろん自宅環境とは比べるべくもないのですが、私自身もそういうストイックかつ基礎クオリティ重視なシステムを志していますのであえて自宅と比較するならば、messaさんのお宅では低域がさらに下までしっかり伸びていながらスピードも早いままで高域もより伸びがあります。それでいて定位も同じくらい優秀ですから、本当にほぼ全てにおいてクオリティが高いと思います。たとえば自宅だと意図的に排除している帯域もでてます。特に上の方が顕著に出ているので音源によっては出さないほうが良いと思うような音も出ていましたが、元々の音源に入っているものはすべて出すスタンスなら特に言うことはないと思います。こういう点はスタジオのモニターとして音源のアラ探しをする用途としても優秀です。

同じような表現ばかりになってしまいますがバランスがいい音のレビューは「これという強み」について説明することが出来ないので難しいです。たぶん同じような優秀なシステムと比較しない限り出音の弱点は見えにくいです。セッティングが決まったYGはこんな音なのかという印象がありました。もう少し定位が曖昧なイメージがあったのですがそんなことはありませんでした。

それというのもセッティングはかなりよく決まっていると思っていて、中央ではない隣の席に座っていても定位が明瞭でした。GRFさんのBlogにもありますが真にセッティングが決まっているとリスニングポイント以外でも立体感があるそうです。さすがにどの場所でも完全に立体的な音とまではいかなかったのですが、リスニングポイント以外にも立体的に聞こえる場所がいくつもありました。もちろん横に座った場合などは左右均等の空間ではないのですが立体感はしっかりあります。

あくまで個人的にはですが、いままで聞いたシステムのなかでは最も基礎クオリティ重視な出音と思います。とはいえオフの経験などはあまりないので「ごく限られた範囲の中」のお話です。特に基礎クオリティのみに注力して高められている方自体が稀という理由もあると思います。

基礎クオリティのみを高める道はオーディオでは少数派ではないでしょうか。あらゆる制約はそれこそ「何処にでも」あります。そもそも個人の趣向や選別というものがバランスの良い保証はないのです。だから個人の好みが強く出ることは普通だと思いますし、そもそもSPや機器自体がそういうある種の方向性を強く持つことのほうが多いからです。個人的な好みが主導する特化型システム、そういう誘惑を逆に排除しつつ価格度外視でトータルバランスと基礎クオリティの向上に突き進むことは精神的、経済的、場所的な制約が全て絡むので誰もが簡単に出来ることではありません。

その選定一つを妥協しただけでも現在の音にはならないのではないかと思います。そのような精神的綻びは色々な部分で音として現れてしまうでしょう。例えばこれくらいで良い、これでもう良い、そういうところで一切とどまらなかったからこそ存在しているのが現在の完成されたシステムのはずです。そしてこれからもその道を進むことでしょう。

ちなみにですが御本人がシステムやオーディオの音楽性についてちょっと心配されていたのですが、正直どの音源もかなり高いレベルでなっていたと思います。私が持ち込みした寄せ集めCD-Rもかなりシステムいじめな感じの曲なんですが、つい音楽を楽しんでつい聴き込んでしまったのでただの試聴なら掛けないくらい長く聞いてしまったくらいです。なので私の個人的な印象でしかありませんが、音楽性がどうこうというお話は心配される必要はまったくないと思いました!

これは基礎クオリティが高くなれば自然と説得力や訴求力が上がるからで、極めて高いレベルの技術を持つ方の作品が異なる価値観の方を取り込むのと同じです。オーディオでの最近の事例でいえばSonja XVの評判もそうですね。XVは全く異なる趣向を持つと思われる方にも支持されているように見えます。それこそ基礎クオリティの高さゆえの訴求力の高さにみえました。これはオーディオ以外でも同じです。

オーディオと音楽性の関係

自分自身の考える音楽性についてはこちらの記事でまとめましたが、問題点を見えなくするために性能を落としたり、ある種の方向性の先鋭化だったり、意図的な取捨選別だったり、これらは全て現実的な選択肢ですが純粋な高性能化とは相反する部分があります。

これらは色々な不完全さを補うためにこそ必要になる処置だと思っています。しかしmessaさんのアプローチはこれらとは逆で基本性能を隙無く高めることによって最終的に音楽性を確保していくスタンスだと強く感じました。

たとえばですが音源の問題点も顕にする部分については自分はそのような音源の不完全性も含めてチェックしたい派なので全く問題ないです。この能力は音楽制作でのエンジニアリングでは必要になる要素です。

そしてこの考え方は私の考え方とかなり近いです。でも自分自身の到達点はまだまだだなぁと強く感じました…。自分は限りない予算はないですがそのかわりに自分自身の知恵と能力を使って上がっていきたいと思います。

HaileyとSonjaの差?

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基本的にはどちらもバランスが良くオールラウンダーな音です。どちらも箱鳴りを徹底的に排除した切れの良い音です。いわゆるYGの音というものになるのでしょうか。贅肉を全て削ぎ落とし極限まで研ぎ澄まされたアスリート的筋肉質なイメージを強く受けます。無駄な力みがなくて余裕で音がでてくる感じです。

普段nemo3邸で聞いているHaileyとの差は低域の余裕がかなりありました。こちらでは低音のエネルギーが前に出てきて存在感がしっかりあります。厚みがあるとか遅い低音ではありません。早くて伸びていて存在感がハッキリしている低音です。この低音の余裕がだいぶ格差があると感じました。

ただmessaさん曰く電源の工事を行った後に低音が強くなったとのことなので、電源の対策レベルの違いのほうが大きいのかもしれません。またSPと電源以外にもケーブルも含めるとかなりの格差がありますので、そういった細かい部分での追求レベルの差が低音の違いになっている可能性はあります。なのでSPの格差だけではない可能性は高いと思いました。

ちなみに1.2ならばHaileyと中高音の違いは低音ほど顕著ではないです。音の差はありますがケーブルや機材の差がありますのでここではSPの違いとまで語れる差は無いと判断します。どちらも現在でも十分ハイレベルな音ですがこれが2.2になったらおそらくHaileyとはかなりの違いが生じるのではないかと思います。

Black Cat CableとNordost Odin2との比較

先日購入したケーブルですが、なんと最新最強のOdin2と比較させてくれました。早速音質傾向です。

Nordost Odin2

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これはちょっと反則レベルですね。

非常なワイドレンジかつ静寂感と透明感の高さが特徴です。それでいて描写は精密なのですから弱点が全くわかりません。特に静寂感は独自の特徴であって他のケーブルでは実現されていません(こちらの手持ちでは唯一TempFlexが近い)。それでいて低音の密度や深さ、高音の突き抜けたスピード、そして耳に痛くない自然さを両立しています。当然のように滲みやきらめきのような成分は抑えられており、基本的実力の高さゆえの「音楽の浸透力」を強く感じます。音の濃さです。

以上のように極めて基礎クオリティの高いケーブルと思いました。今まで聞いた中では完全無比で究極のケーブルとしか言えないのですが、同じ価格帯のケーブルはきっと比較が成立するような領域にいるのでしょう。初めて聞いたスーパーハイエンドのケーブルは相応の実力を感じさせるものでした。システムトータルが数千万円ならケーブルに数百万円くらい投資してもいいと思わせる凄さはあります。

他のケーブルに変更した後に思ったことは正直ケーブルの実力のみでここまで良い方向に変わるのは驚きです。機器が揃ってシステムが極まってきたらやはりケーブルにも投資しないとここまでの音は出ないのだ、そう感じさせる違いがありました。これがシステム内のXLRケーブル一本の差なので…。全体のケーブルによるトータルの影響力を考えると恐ろしくなります。機器一台を変えるより影響は大きい可能性も感じました。

Black Cat Cable Matrix II XLR

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絶対的な音質をOdin2と比較してしまうと当然ながら全体的にクオリティは下がります。自宅ではこれでも相当良い音でなっていたのですがOdin2と比較してしまうとレンジはかなり狭く、高音の滲みも若干感じるところがあります。少し全体的に曇っている感じでしょうか。Odin2のレンジの広さと透明感の両立は極めて優秀ということでしょう。

とはいえトータルバランスは良好でとても大人しい落ち着いた音でありながら聴きやすく嫌な音は出しません。全体に描写が小ぢんまりする印象はありますが細部の描写は非常に緻密で丁寧な印象があります。全体の雰囲気として落ち着いた大人の上質、どことなく気品を感じる音質です。わかりやすい派手さは全然ありません。まるで表舞台を引退して静かな余生を過ごす開発者クリス・ソモビーゴ氏のスローライフを象徴するような落ち着き具合です。といっても決して眠いとか遠い音ではありません。

さすがにOdin2と比較すると残念な部分はあるのですがこの価格差は10倍以上です!BlackCatは一般的な5-10万円のケーブルよりもずっと基礎力と音のバランスは優れていると思います。同じような価格帯のケーブルはいくつか所持していますが同価格帯では音はかなり良い方ではないでしょうか。と言っても音の変化は地味すぎて本当の音の良さを追求するような方でないと分かりにくいでしょう。とにかく派手だったりわかりやすい音の差ではありません。わかりやすい音作りなどは全く感じないからです。

残念ながら国内で調べてもあまりレビュー自体が存在しないので、ここでは非常にコストパフォーマンスが優れたケーブルとして紹介しておきたいところです。10万円前後で基礎クオリティ重視、癖が少なく質の良いケーブルを探すならとても良い選択肢だと思います。ここから上を目指すなら数十万円の出費は覚悟が必要と思います。

REDLEVEL: MATRIX XLR

StereoVox Bal-600 XLR

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Black Catケーブルと同じクリス・ソモビーゴ氏の作品です。こちらはmessaさんの所持品です。

こちらはクオリティがBlack Catより高いです。レンジが広がって大分Odin2に近づいた感覚があります。緻密で丁寧な音という印象は共通していますが、こちらのほうがワイドレンジで力強い感じがします。こちらのほうがパワーというか勢いがあります。若さですかね。BlackCatと比べると明瞭さが若干アップしてコントラストが上がる感じです。

そのかわり高音の質感が気になってきます。レンジが広がった分、質感についてはややきつさがあるというのか、レンジを広げたほころびを若干感じます。ピーク感はないので全然きついまでは行かないのですけどOdin2と比べると質感は気になる部分です。高域の聞きやすさはBlackCatのほうが落ち着いていて好みです。

messaさん曰くこのケーブルはValhallaと同じくらいの音だそうです。そしてValhallaとOdin2はすごい差があるとも言われていました。もしこのケーブルがValhallaレベルと考えるとそのとおりかもしれません。Odin2と比較してしまうと大きな差があり、とにかく透明感と奥行きの深さがOdin2は何か越えられない壁の向こう側にある印象を受けます。レンジや明瞭さについては大分近づいているのですが、高域の滲みのなさと透明感の両立についてはBlack Catと比較しても依然問題点が共通しています。

このケーブルのもともとの価格は数十万円だそうですが、BlackCat以上、Odin2以下。価格相応という結果です。

ケーブルへの愛を感じました

写真を取り忘れてしまったのですが、所持されているケーブル類で未使用品はコネクタにラップ等も巻いてありますし、高級そうなビロード調の布袋に個別収納されていました。ケーブルを出すときや机の上に置く時もとても優しく取り扱われておりケーブルへの愛を強く感じました。優しく包み込むような扱いです。扱いは全て手袋必須というものです。それがとても印象的でした。

最後に

ということで有料サービスでも良いような貴重な体験をさせていただくことができました。ありがとうございました。特に手持ちケーブルとOdin2の比較などショップでは絶対にさせてくれないですからね。そしてシステムの仕上がり音質はかなり衝撃的でした。ほぼ同じ価値観の大分クラスが上の音を聞くことが出来てよかったです。今後につながる良い体験になりました!

とりあえずこちらのTempFlexケーブルについてはまだまだ課題が山積みなのでちゃんとしたOdin2との比較はBlackCatレベルを達成してからになりそうです。良い素材を組み合わせてただ作っただけでは良い音にはならないというのはちょっと考えれば当たり前の話だったのですけど参考になりました。やはり最後の耳での調整が必要です。

実はこれと同じようなことはDACやパワーアンプの開発で分かっているはずですが(良いDACチップを使ってもハイエンドの音になるわけではない)、残念ながらケーブルはそこまでの意識はなかったということです。まだまだ見識も技術も足りないですね。

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2018春ヘッドフォン祭り

MEZE Audio EMPYREAN

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上品で自然な音です。中高域は非常に素直な描写でなめらかな音。特定帯域に癖のようなものはありません。全帯域で綺麗な出音です(革パッド時)。これが布パッドになると中高音が奥に引っ込んでより大人なしい音に、そして高音は若干荒くなります。布が音を吸収してそのような音になっている印象です。

弱点としては中低域の課題があり、常にベールの掛かったような見通しの悪さがありました。しかもベールは比較的ワイドレンジで奥行きが見えない感じです。奥行きを気にしない人は気にならないかもしれません。これはE3の電圧モードでは特に顕著です。電流モードでは軽減しますが完全に払拭はされません。

ということでEMPYREANは一見とてもキレイで粗が見えない素晴らしい音を出す製品かもしれませんが、Utopiaのようにどこまでもハイエンドの世界を見せてくれるような懐の深い製品ではないかもしれません。懐の深さが制限される理由は外部機材ではなくヘッドフォン自体の性能によって奥行きの描写力そのものが制限されてしまうことです。

E1+E3というセットは十分ハイエンドクラスと言えますので、それをもってしてもこの音だとすると機材をアップグレードしても伸びしろに悩むヘッドフォンかもしれません

デザインと仕上げと装着感はとても素晴らしいし、宣伝広告写真もとても美しくて見てて楽しいです。要するにとても物欲をそそるのですけど、予想価格の4000ドルを考えるとFinal D8000やFocal Utopiaに比べてどこまでも音が良くなりそうなワクワクは今ひとつです。

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マス工房

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噂通りお話し好きの方が開発&対応しています。話すととても長いです。CDPがアンプに比べて実力不足とお客さんに言われているとか、試聴のためHugoに接続するためにRCAケーブルを現場で加工した話とか、HIFIMAN SUSVARAの個体が大きく以前比較した時に展示している品が一番良かった話など、多分スペースに行った方はどれか聞いてるかもしれません。

あと内部設計の話も少しだけ聞きました。ヘッドフォンアンプのmodel406が16パラレルプッシュプル(2chステレオで64個!)の出力部になっているというお話を聞きました。しかも大量に購入して選別作業を5%精度でやっているとのことです。これはとんでもなく大変な作業です!値段が高くなる理由も納得です。

肝心の音です。ここでは友人のUtopiaをお借りして普段聞いている音源でチェックしました。

自然できつさを感じないながらも中高域の立ち上がりスピードは極めて早く、一番下の帯域までしっかり伸び切ります。正直言うと高音は荒いと思いましたがCDPの問題でしょうね。とりあえずCDPが問題と思われる要素は除外すると、第一印象として全体的な音調はOji Specialとどことなく似ていますが、最大の違いは最低帯域まで伸び切る点でしょうか。Oji Specialも高性能、高品質の系統の音でしたが低音の伸びの部分ではmodel 406のほうが優位と思います。

ただし低音は意図的にリリースを遅くしているのか、若干柔らかさのある低音です。立ち上がりのゆるさより収束のゆるさのようなものを感じます。おそらくですが、この音は意図してそのように設計しているではと思います。なぜなら普通に高性能を目指して作るとこのような緩い低音にはならないからです。とはいえ当方の知らないような設計手法で高性能を目指した結果このようになっている可能性もありますけれども。

これは価格は高いですが現時点では最高性能に近いヘッドフォンアンプではないかと思います。比較対象になりそうなのはゴールドムンドのヘッドフォンアンプですね。あちらもかなりパワフルでした。絶対的なパワーはゴールドムンドが上かもしれないですが、キレや描写力の高さではmodel 406のほうが良いかもしれません。E1もありますけどE1は全く音が違うので選ぶ際に迷うことはないと思います。

それにしてもゴールドムンドはスピーカを鳴らす回路と同じものをヘッドフォンアンプに持ってきていますし、マス工房の設計は多パラ設計です。このあたりのお話を聞いて思ったのは電源の性能が必要十分となった以降の最終性能を決めるのは、フィードバックによる見せかけの測定抵抗ではなく真の電流供給能力を決めるトランジスタの抵抗、そしてエミッタ抵抗、このあたりをいかに詰めていくかが出音の限界を決めるのでしょうか。

HIFIMAN SUSVARA

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マス工房さんで最後にSUSVARAを聞かせていただきました。

このヘッドフォンはUtopiaと比較すると脚色された上品さを感じます。基本性能は高いですがそれだけではなく、中高音に何かが響いているような音がします。最初ヘッドフォンの箱鳴りかと思ったのですが、手でヘッドフォンを抑えても印象が変わりません。

それはどういう音かというと、耳が敏感な数kHzあたりにかけて収束が遅く余韻が長い帯域があります。それが音を若干丸めており、ちょうど嫌味がない程度に聞きやすくデフォルメしている印象がありました。響きは音をマスクする代わりに程よい響きは音楽的に良い効果をもたらすことがあります。

そのお話を伝えた所、マス工房さんの見解ではこれはユニットの分割振動だそうです。このSUSVARAの個性についてはしっかり認識されているようです。

またHifimanは個体差があり、いくつかの個体では低音が出なかったり高音が出なかったりということもあるそうです。決して安くはない高額品で個体差が大きいとなると購入するのは躊躇する理由になりそうです。

Final D8000

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本日最後となるFinalです。実はこの日は体調が悪く前日まで頭痛が酷かったので会場に到着したのが既に夕方だったのでここで終わりです。

D8000については以前から大変高い評価のレビューをたくさん見かけていたので興味がありました。ショールームもオープンしているらしいのですが月2回でしかも予定は公開されていない関係もあり今まで一度も試聴をしたことがありません。今回が初となります。

接続機器はQueStyleのヘッドフォンアンプでした。こちらもいつもの音源で音をチェックしますが、とてもクリアで高速応答なのが印象的です。ちょっと高音が荒れているように聞こえましたがこれはアンプまたはDACの性能限界によるものだと思います。もっと良い機材ならもっと綺麗な高音が出そうなポテンシャルは感じます。そして最大の特徴は低音ですね。

この低音は今まで一度も聞いたことがない領域の応答速度です。Utopiaを聞いたときはSPオーディオの延長にある自然で伸びのある低音だったのですが、D8000の低音は現代のどのハイエンドSPでも実現できないような超高速の低音じゃないでしょうか!それこそYG Acousitcs Sonja XVの内蔵ネットワークをバイパスしてゴールドムンドのハイエンドアンプでウーファーを駆動したらようやくこのような音になるのか?と想像してしまうような音でした。ショーやショップで聞いたXVではこんな音は出ていません。大げさかもしれませんがこれは間違いなく未体験の音です。

「YG Acoustics Sonja XV」の画像検索結果

少し実例を上げて書きますと「バスドラの音の違い」でわかります。普通のシステムだとボゥーンって感じです。これはフロアスピーカを使ったオーディオだとよくありますね。ハイエンドじゃないシステムだと小型SPじゃない限り大抵こんな感じです。立ち上がりが遅くて収束もゆっくりな感じです。箱も響いてたりしますので余計収束が遅いです。これがとても駆動力が高いアンプと現代的ハイエンドスピーカシステムだとボン!とかボッ!って感じになります。先ほどのUtopia+model406もボン!くらいですね。ボッ!ってほど早くはないです。これがD8000ではバツ!って感じに聞こえました。D8000の場合は低音のはずが高音混じりに聞こえます。それこそ常軌を逸した早い音です。

これを聞いて「どのようなシステムでもそんな音は出ないので誰も気づいていないだけで波形本来はこういう音なのか??」と思ってしまいました。丁度DAVEを初めて聞いた時を思い出します。これは未知の音を聞いて違和感を感じている瞬間です。D8000を購入することによって今まで見えなかった世界が見えるかもしれない…とても興味を惹かれました。

そう言えば、みなさんのレビューでD8000はヘッドフォンらしい近い音、Utopiaはスピーカらしい距離感のある音とありましたが、それはこの部分の違いがその理由かもしれません。D8000はヘッドフォンでしか出せないようなスピーカを逸脱した世界に突入しています。反面Utopiaはスピーカから出る音を逸脱しない範囲で最高の音(もちろん超高性能)だと思います。

もちろん今回の試聴だけだとどちらが優れているのかはわかりません。D8000は今回の印象で素晴らしいポテンシャルを感じたので購入に向けて検討したいですね。可能であればショールームにUtopia、DAC、アンプを持っていってD8000の真価を確かめたいです。もちろん購入前提です。それでこの日体験した通りの実力があるなら購入確定です。祭り当日の荒れた音では高音の評価が出来ないのでそれも本試聴に預けたいと思います。

体調が悪い中、無理してでも来てとてもよかったです。ようやくヘッドフォンがスピーカとは別の道を行くための入り口が見えたのでしょうか?D8000が指し示す道はもうスピーカと比較するような世界ではない、ヘッドフォンだけの高みではないか。そんなことを考えました。

おまけ Final E5000

「Final E5000」の画像検索結果

写真をとり忘れたので公式画像です。

D8000を他の方が視聴中だったのでその間にこれをぜひ聞いてくださいって渡されて聞きました。正直イヤホンは全く期待してなかったのです。ちょっと前までのイヤホンって値段だけ異常に高い割に音は価格と比例していませんでした。変な音作りのイヤホンばかりでまともなメーカーはほとんどありません。大手ですら高級機は派手すぎる音作りだったりして未成熟な業界だなって正直思っていました。

だって昔のヘッドフォンと全く同じだからです。ヘッドフォンもそういう時代がありました。価格と音質が比例せず癖のある高級機も多かったです。自分も昔はゼンハイザーと出会うまではそんな高級機の一部を使ってました。でも今のヘッドフォンはとても洗練されました。高いモデルは相応に高性能になっています。

その点でイヤホンはまだまだ高いからと言って高性能とは言えない昔のヘッドフォンやヘッドフォンアンプが流行した頃と同じような世界が広がっていました。これはeイヤホンで百種類に迫りそうな大量に並んでいるイヤホンを片っ端から聴き比べた結果の印象です。10年後にはいまショップに並んでいる半分以上のブランドが無くなっていると思います。多分いままでは多種多様な可能性が生まれてほとんどが消えていくカンブリア時代のような時代だったのです。

E5000、これは良いです!今まで聞いてきたイヤホンの派手さとクオリティの低さの両立ではなく、これはちゃんとまともな音がします!低音はボンボンしますが中高音はよく出来たスピーカオーディオを思い起こさせるような自然さと空気感があります。イヤホンでこんな音が聞けるとは思いませんでした。

ただ低音は遅いし量感過多ですね。不自然なくらい持ち上がっていてスピードもかなりゆっくり、先程あげたバスドラの例で言えばぼよよ~んって位遅いです。スピーカでもここまでゆったりな感じのシステムはなかなかないです。もしかしたらこの音は耳の中の水分の影響なのかなって思いました。密閉だと低音が逃げないので耳の中でエネルギーが減衰せずに共振してるとしたらイヤホンもある程度低音だけ逃がす構造が必要になっていくかもしれないと思いました。(現場の方にも仮説程度にお話しました)