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オーディオ小ネタあれこれ

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2017/04/17 更新(追記)

個別記事にするほどでもない内容を色々まとめたページです。音質向上以外の話題もありますが突き詰めればどれも音質向上と音質対策に直結する内容だと考えています。こんご内容は少しずつ追記して、ある程度まとまったところで新しいページを作る予定で考えています。

音質と過渡応答と残留ノイズの関係

ざっくりとした経験則なのですが、100kHz程度までの信号過渡応答を保つこと、音声帯域を超える領域を含めた全帯域でのランダムノイズを極限まで減らすこと、この2つが特に音質の確保のために重要のようです。

一般論として人間の聴覚は上限20kHzと言われています。サイン波での測定では確かにその通りです。それ以上の高周波は普通に音として聞くことが出来ないということになっていますし、自分自身もサイン波は16kHzくらいまでしか聞こえません。

しかし可聴帯域外に含まれている高調波成分の違いが不思議な事に人間は感じ取ることが出来ており、実は聴覚の限界よりずっと高い周波数を何らかの方法(耳以外の感覚器官の影響も?)で捉えることが出来るように思えます。

たとえばDACの矩形波応答をアナログフィルタで調整すると音は変わって聞こえます。ここで変化が起きている帯域は明らかに20kHz以上の領域なのですが音は変わります。音声信号以外の残留ノイズも同様で100kHz以上の残留ノイズをカットすることでも質感が変化したりします。

オーディオでは実は20-20kHzの挙動だけではなく、もっとずっと高周波まで含めた成分を考慮することも重要だと考えます。一般論とは異なり人間は1MHz以内くらいまでの挙動は音の差として判別できる可能性があるようです。

帯域外ノイズの影響

では上記のように遥かに高い周波数領域の違いを人間がそのまま感じ取ることが出来ているのでしょうか?体感上はそのような帯域でも音質に影響を与えている可能性について書きましたが、それを裏付けるような資料もあります。

ここで指摘されているのはRF(ラジオ周波数)領域の半導体の挙動尾についての話です。この資料によると帯域外ノイズであっても低周波への影響は観測上無関係ではない可能性があることを示しています。

高周波雑音によるアナログICの誤動作に関する研究
http://repo.lib.nitech.ac.jp/bitstream/123456789/433/1/ot0167.pdf

この資料が指摘するように高周波がDCになってしまう現象が起きるとしたら、DCだけではなく低周波のノイズへと変換されることもありえると思います。なぜならRFノイズの変動によって変換されたDCレベル自体も変動すれば、それは低周波の変動となり、揺らぎ方次第では可聴帯域内周波数へのノイズへ変化するかもしれません。

もともとは超高周波のノイズだったものが音声帯域のノイズへと実は変換されて現れる=高周波領域の挙動を聞き取ることが出来る、という可能性もあるわけです。

実際に実験した体感上でも可聴帯域のはるか外であっても現実的には音質へ大きな影響を与えていると感じています。ですがこの資料を見るとその原因は上記のような半導体の性質にありそうです。

「人間がMhz以上の超高周波を聞きとれている」というちょっと怪しい話ではなく、半導体によって高周波ノイズが低周波へ変換されてしまっているとしたら、高周波領域のノイズ差も直接音質に影響を与えることは実は一般的な現象だと言えそうです。

これがどうオーディオに影響するか?といえばたとえばDACの残留ノイズの問題や、ディスクリートとオペアンプの違いに影響があるように思えます。

はっきりとした根拠があるわけではないのですがICオペアンプの音が悪い理由とも何か関係があるような気がします。素子の数が多いほど高周波ノイズを低周波ノイズに変換している等。また超シンプルなディスクリート回路が特性が最悪でも意外と音が良い理由等。

DACの残留ノイズは特にデルタシグマDACは良くないって通説にも繋がりそうな話です。ノイズシェーピングは後段にノイズの影響を与えないならば最良ですが、今回の話を参考にするなら現実的にはそううまい話ではないという話になります。DACにトランスをつけると音が良いという話がありますがトランスは半導体ではないのでノイズが変換されない&帯域が制限される=音質が良いということにもなりそうです。マルチビットDACとデルタシグマDACにトランスを付けてトランスの有無の音質差が気になります。

バランス入出力のピン1問題

意外と見過ごしているかもしれないポイントです。要するにバランス端子のホット、コールド(ピン2-3)以外の部分。シールドとシグナルGND(ピン1)の処理についての考え方です。

こちらはよくあるピン1を信号のGNDとして扱う図ですがこの図は良くないということのようです。

AESではこちらの接続を推奨しているようです。違いがわかりますか?基板上のシグナルGNDをピン1に接続するかどうかが最大の違いです。ピン1を基板のGNDに接続するかわりにケースをピン1に接続、そしてケーブルシールドもピン1と接続します。

考え方としては、バランス信号はホットとコールドで完結しており、それ以外はシールドとして接続するということになります。ケースもシールドですからピン1はケースとケーブルシールドと同等とみなせます。

このピン1を基板上のGNDに接続するとハムの原因になったりシールド経由の外来ノイズが基板に流入したり、各種ノイズ問題の原因になることがあるそうです。

詳しくはリンク先を見てください。

http://www.rane.com/note110.html

Bruno Putzeys氏による文献

だいぶ前から紹介しようと思っていた文献です。正直英語がよくわかる方は下のPDFを直接見てもらうと良いと思います。結構重要な内容だと思います!わかりにくいところは補足もいれています。もちろん自分の解釈も完全じゃないかもしれません。ですが何らかの参考になればと思います。

https://www.hypex.nl/img/upload/doc/an_wp/WP_The_G_word.pdf

実は上記バランス端子のピン1処理の方法についてもこの文章内に記載がありますが、ここで紹介するのはそれではなくバランス回路とGNDの考え方についてです。結構重要な考え方ですし、面白い回路も記載されています。興味があれば原文を見ることをおすすめします。

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この写真には本当に間違ったことがあります。見えますか?あなたがそれを見つけられるかどうか見てみましょう。ここには何がありますか?この図の出力信号は何ですか?私たちは魔法のユニリード電圧計をもう一度出ますか?私たちはこれについて真剣に考えなければなりません。すべての信号は2本のワイヤです。二つを描きなさい。

よくあるオペアンプの回路ですが、これだと「差動信号」の考え方としては不十分ということでしょう。

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それははるかに良いです。我々はスイングに入っている。この回路が行うことは、入力電圧をRf / Riで増幅し、オペアンプの出力ノードとRflが接続されている基準電位との間の電圧を発生させることです。
これはどのように動作するのですか:

Fig9と同じ回路ですが、この書き方のほうがより「差動」を意識した考え方です。

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これは、差動増幅器を見る別の方法を提供する。 これは参照トランスレータです。 これは浮遊電圧源のようなもので、好きな場所で参照することができます。 しかし、ここではショックを受けています。逆変換バージョンを構築できる限り、任意の回路に参照変換機能を追加することができます。

うーん、翻訳ではよく意味がわからないですね。分かる人にはわかるかもしれませんがかなりわかりにくい感じです。なので個人的解釈による補足を追記します。

まず入力と出力の電圧信号リファレンスがそれぞれどこになるかを示した図で、入力信号はGNDを基準とした信号としてアンプに入力されますが、Out-で図のように1Vが接続されるとオペアンプの動作によってOut+も1Vになります。

しかし普通のアナログオーディオの回路図ではどちらもGNDで設計することが多いと思います。しかも1V側の端子はFig9のように入力側に近いGNDとして描かれることが多く、Out-出力であると考えることは少ないかと思います。

実際の基板ではどちらもGND点に接続しますが、実は現実の配線では離れた場所にある点が基準となる可能性が高いわけです。現実のOut-側GNDは理想的なGNDではなく抵抗を持つ配線であり、入力GNDと個別に変動しているとみなせます。そうすると図のようにOut+に入力信号と無関係なGND変動が乗ってしまうということです。

ベタアースでも理想GNDではないので場所が離れていれば変動する可能性はありえます。

そしてここではOut-を入力側GNDではなくて差動出力として考えていることが重要です。差動なら後段回路で変動をキャンセルできる可能性があります。逆に差動信号という考え方が不十分だった場合は、Out+に乗った変動は永遠に除去できないノイズ信号です。

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Fig11で色々書きましたが、動作をよく理解している方からしたら次の説明のほうがより正確で分かりやすいかと思います。

もともと、 “グランド”と呼ばれるあいまいなノードに結ばれていたノードは、オペアンプの入力をコモンモード信号で過負荷から保護する必要がなければ、どこにでも接続する必要はありません。その場合、実際の場所はオペアンプのデカップリング・キャップの近くのグランド・プレーン上にあります。これは暗黙的にオペアンプのHFリファレンスであるためです。理想的には、この点から差動出力電圧へのフィードスルーはゼロです。そのために自由度があります。

これで適切な差動ペアができました。 1本のワイヤはオペアンプによってアクティブに駆動され、2本目は低インピーダンスのタイによってグランド・プレーンに受動的に駆動され、ほとんどどこでも作成できます。重要なことは、トレース全体がこのような接続を1つしか持たないため、このように変換された次の段階では、フィードバックネットワークと同じノードペアの間で入力が行われることです。磁気ピックアップを最小限に抑え、容量ピックアップのバランスを取るために、常に信号を2本のワイヤーとして配線します。第2のワイヤが別のネットとして扱われることをPCBレイアウトソフトウェアが理解できるようにするには、ゼロオーム抵抗を介してパッシブドライブ接続を行う必要があります。それでもある時点でGNDと呼ばれるものに電気的に1点で接続されています。

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このプリアンプを構築する場合は、2つを作成してください。 そのようにして、ボリュームコントロールのA / Bスイッチとして2番目のプリアンプを使用して比較することができます。 高価なハイエンドプリアンプ(ユニティゲインに設定)、この小さなプリアンプ(これもユニティゲイン)、それとソースへの直接接続。 2つのプリアンプの出力のどれが入力信号に最も似ているかを聞きます。 あなたははっきりした経験をするかもしれません。

これは上記の話を応用したプリアンプの例です。非常に面白い回路だと思います。多分MolaMolaのプリアンプはこの回路を使っているのでしょう。時間があったらこの回路にもチャレンジしてみたいです。おそらくですがほとんどの電子ボリュームを使ったプリアンプよりも優秀じゃないかと思います。

でもこれだけで完璧でしょうか?そうは思いません。

今回の話はアンプの動作や部品が理想的で完璧な場合にのみ成立する話だと思われるので、一部には机上の理論でしかない側面も持ち合わせていると思われます。それはまさにこのページの一番上で紹介した帯域外ノイズやアンプのRF動作の問題も含まれるでしょう。

なので現実には理想から遠い部分をどうやって実装上でカバー出来るかが重要となると思います。このまま適当に作ってもよくある電子ボリュームキットよりは良いでしょうが、それだけでは真のハイエンドクオリティにはならないと予想します。

MolaMolaの製品はそういう対策を含めた付加価値を載せていて、その部分で絶対の自信があるからこそ、このような基礎技術を公開しているものと思うべきでしょう。誰にでも真似ができるならmakuaのような高額製品には価格に見合う価値はないと思います。

しかし回路だけ真似しても音質は同じにならない。だからむしろプリアンプの回路を公開してしまう。これはBrunoからの挑戦状のようなものかもしれません。

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