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イノウエスピーカの世界と原音再生


※6/5 色々追加しました

Twitterで物議を醸したイノウエスピーカと原音再生について、個人的なまとめをこちらに作成しておきたいと思います。

はじめに断っておきたいことは、私自身はきちんと根拠があって否定すべき部分は否定し、肯定すべき部分は肯定するというスタンスでありたいと思っておりますし、偏見や思い込みによるカテゴライズはあまり望むところではありません。特に一部では派閥や宗教的では?と揶揄されることもあるイノウエですので、そういう偏見から議論をスタートするようなことがないように、このあたりは気をつけて書きたいと思います。

※下記内容についてご指摘いただきましたので追記いたします

こちらに実物がなく、こちらの環境では測定不能であり、真の客観的評価は不可能であること、その理由により最終的には個人的主観でしか無いというご指摘いただきました。これについてはそのとおりなのでそれを認めた上で下記は個人的印象、個人的評価を多分に含む記事ということでよろしくお願いいします。なお当サイトは主観を完全に排除した記事のみを掲載することを目的にはしておりませんので、そこは今まで通りとさせていただきたいと思います。

議論を呼ぶ代表的なTwitterまとめ

いくつかまとめました。これだけみても何かすごそうですね!そしてかなり特殊な世界であることが伝わってきます。

イノウエスピーカの特許

https://blogs.yahoo.co.jp/xsmhp160/36743845.html
構造を理解せずに語るなかれとありましたので、構造の特許情報を紹介しておきます。自分自身がこれを読んでみて感じた、このスピーカの特徴は次の通りです。

  • フルレンジ構成でネットワークを排除
  • 構造と材質によるペーパーの分割振動対策
  • 分割振動による付帯成分とエネルギーロスを排除
  • 強固なユニットにより高域までの応答性を確保

なかなか割り切った構成です。これをみると、とにかくエネルギーを余すところなく空気に伝達しようとする設計意図を感じます。ネットワークを排除しているのもアンプからのエネルギーをロスなくユニットに伝える目的でしょう。

通常はフルレンジの最大の目的は位相=定位の改善にありますが、定位は不要であるというイノウエ派の発言があるので、イノウエの設計においては定位はどうでもよく、あくまでエネルギーの伝達効率のためにフルレンジであると考えるのが妥当でしょう。

https://blogs.yahoo.co.jp/xsmhp160/36703473.html

ユニットの設計もエネルギーロスを減らす意図が感じられるので、その点では統一感があります。というわけで、イノウエの目的はロスなく電気信号をコイルから磁石に、そして磁石の動きもロスなく空中へ放出するという部分であり、そこに一貫した哲学と設計思想があるようです。この部分は肯定的に評価されても良い部分かと思います。

実物を聞いた人の参考意見

聞いたことが無い人にもなんとなくわかる感想があったのでこちらに置いておきます。

イノウエの強みと弱み

追記 色々見ると低音が最大の特徴みたいなので自分の意見は的外れみたいです。やっぱり実物聞いてないとちゃんとした判断ができないなと思います。なので下の内容は話し半分以下でよろしくお願いします。

希少なSPのようですから、なかなか直接聞く機会はありません。実際に聞かずに評価することは望ましくはありませんが、実物を聞くことはその希少性ゆえにあまり現実的ではない為、とりあえず沢山ある空気録音とSP設計の観点から考えてみたいとおもいます。

ぱっと聞いてわかるのがエネルギーに溢れる中高音です。これは上記の設計からもわかるとおり無駄を排除した強みの部分です。フルレンジでネットワークを排除していること、等位相なので中高音に滲みが無いこと、あとはユニットの強固さによるロスの少なさでしょうか。これらの要因により中高音はなかなか良い音が出ているように聞こえます。多分本当の高音は余り出ていないですが、そこはフルレンジと考えれば問題ない程度には出ています。彼らの主張する存在感というのは空気録音でも感じますね。

弱点は低音でしょうか。発音は早いのかもしれないですが収束はあまり早くない印象です。比較的自然で存在感のある中高音とは違い、どこか見通しの悪い低音のようにも感じます。良く言えば図太くて存在感がある、悪く言えば繊細さに欠ける大雑把な低音です。スピードの早いベース演奏や楽器数の多い低音を描き分けるのは苦手のように感じました。上の録音はさほどでもないですが録音によってはベースの音程が上下していて音楽のバランスとして疑問なものもあります。とはいえ空気録音だけの評価では本当の評価は出来ませんので、あくまで参考程度の感想としてください。

それでも共通課題として低音の収束の遅さはイノウエ空気録音で共通と思いましたのでこれについてだけ書きたいとおもいます。

なぜ低音が弱いのかといえば設計上の問題にあると思われます。まずフルレンジによる低音の制約です。それは公開されているイノウエユニットの周波数特性を見てもわかります。この図では100-150Hzくらいから特性が落ち始めていますのでもともと低音はさほど伸びていません。低周波が落ち始める帯域が同等サイズのユニットよりも若干上の帯域にあるように感じますが、これは適正サイズよりやや大きな箱を使って低音を無理やり下まで伸ばした結果かもしれません。高音はユニット辺縁の形状による干渉の影響のせいか特性自体はかなり乱れていますがフルレンジでここまで高周波まで伸びているだけでも立派です。

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ユニットが小さいと空気を動かせるエネルギーはどうしても制約があります。いくらユニットの性能を高めそれが強固で無駄なく伝達されているとしても、結局は振動体の面積が小さいという物理的限界を超えることは不可能です。

そして次に問題になるのがユニットと比較して強度が弱く四角い形状の木箱です。ユニットはガラス繊維などを使って強化していますが、箱内部は木炭(吸音材)を貼り付けた木箱です。いくら木炭を貼り付けたりユニットの裏に衝立を設けても、スピーカから放出されるエネルギーが大きいほど振動を完全に防ぐことは無理でしょう。そもそも木炭は叩いたら音がする素材ですので、吸音材としての性能より楽器的な共振による音作りの意味合いも強いようにも思います。(注意:木炭が吸音材として体をなしていないということではなく、発音体としても機能するということです)

https://blogs.yahoo.co.jp/xsmhp160/35590875.html

エネルギー効率を重視するイノウエユニットに対して、それを支える箱の設計は不十分のように感じられます。なにしろイノウエはエネルギーの放出効率を高めることが理念ですから、その莫大なエネルギーと箱の性能不足が原因で低音の質感に影響しているものと思われます。ユニット設計にこだわる反面、箱に共振エネルギーが伝達することはこれでもう十分と考えたのかわかりませんが、色々と限界があった部分かと思われます。

内部を合板の円形積層構造にするなどの工夫は見られますが、それでも現代ハイエンドSPの箱設計と比較するとどうしても限界を感じる部分です。現代ハイエンドがいまだに各社試行錯誤している部分ですね。ただ開発された時代(昭和50年台)を考えれば十分良い設計だとは思います。

ここで一つの事例を紹介します。設計面でイノウエとの良い比較事例はYG Acousticだと思いました。ネットワークを使ったマルチウェイという点は大きな違いですが、ここでの本題はそこではないですのでご注意ください。YGの場合はエネルギー伝達効率を最大化することが理念ではないので、そこは大出力アンプを要求する前提です。そういうアプローチで彼らなりの理想を実現しようとしているので、方法論が違うから駄目だと決めつけるのは早計です。

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YGはアルミ削り出しで非常に強度の高いユニットを使っています。ユニットの強度を高める試み自体はイノウエと似ています。以前のハイエンドモデルSonja 1.2はこのユニットの強度の貢献もあったのか、非常に低域(10Hz台)まで伸びた特性を比較的小さなユニットで実現していました。これより大きなユニットを使ったスピーカでも10Hz台は達成困難なのでこれはすごいことです!ユニットの強度を強化しサイズよりも高性能な音が出るという点では似ているのではないでしょうか。

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ですがYGは最近になって大量のウーハーを搭載した新モデルをリリースしました(Sonja XV)。以前のモデルでもあの小さいユニットだけで10Hz台までの周波数特性を誇っていましたが、スペックではなく実際に広い空間で十分な低音を鳴らそうと思ったらやはりユニットの表面積、箱容積を増やす必要性があると判断したということかと思われます。

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そして最大の違いは箱の設計です。YGの箱はオール削りだしの巨大なアルミの塊、共振を防ぐための二重構造とカーブを使った曲面構成です。アンプから送り込まれる巨大なエネルギーを空中に放散するときに、箱に共振が発生しないようパワーを押さえつけるためにはそれだけの物量が必要ということでしょう。実際にYGの音は空気録音でも相当強固な低音の質感を感じられます。この点はイノウエとは徹底ぶりがだいぶ違います。

ここまでやってようやく到達できる世界がオーディオにはあります。箱の共振は現代ハイエンドでも完全に克服しきれない難しい世界です。低音を伸ばせば伸ばすほど必要とされる物量は上がりますから、価格が上昇する最大の要因でもあります。

ここでSonja XVの空気録音を紹介します。

8:00~です。高音の伸び、力まない低音の余裕、描写の緻密さ、全てがハイレベルです。以前の1.2では高音に抜け切らない印象があったのですがXVではその高音の課題も解決したようでWilsonの最新モデルのようなより自然な高音になったように感じます。これによって低音と高音の課題を一気に解決した印象があり、個人的には位相の問題を除けば究極に最も近いスピーカだと感じました。

以上のように低音の課題はそう簡単に克服できるものではありません。この点においてイノウエはまだ究極のスピーカであるとは考えにくいでしょう。

イノウエをもっと究極に近づける方法?

では現状の良さや理念を継承し、より優れたスピーカーにするにはどうしたらよいか考えてみます。イノウエ派の方から非難轟々でしょうがあえてこの部分に突っ込んでみたいと思います。

まずエネルギー伝達効率でいうなら磁石の強化でしょうか。昔には存在しなかったと思われる強力磁石(1984年開発のネオジム等)を使うこと、これは理念と全く反しないので純粋な進化をもたらすと思います。

次に低音ですね。弱点の要因はフルレンジですが、理念であるエネルギー伝達効率追求という至上命題がありますから安易にネットワークを追加することは出来ません。むしろもともと低音が出にくい特性を活かし中高音専用としてイノウエを使うアイデアが良さそうです。これなら低音を押さえつけるための巨大で大掛かりな箱も不要です。イノウエは150Hz以上を鳴らすための小型かつ十分強固な箱に入れます。この箱は低音を欲張らなくて良いので、もともとの中高音の良さとエネルギー伝達効率だけが維持されます。低音の帯域を犠牲にすることで更に自然な音になると思います。

では低音はどうするかと言えば専用の別箱に入れてイノウエとは別で駆動します。小さいイノウエ箱は低音が出ませんのでその特性をカバーできるようなウーハーBoxを作ります。2つの箱は共振しないように重ねます。

アンプはエネルギー伝達効率を考えればD級アンプ+スイッチング電源が望ましいでしょう。さらにケーブルロスもありますからアクティブ駆動としてユニット直近にアンプを置く方が良いです。ケーブルも接点ロスがあるのでスピーカケーブルは全てはんだ付けしてしまいましょう。ケーブルはなんでも良いということはなく、エネルギーの伝達効率を最重視するなら抵抗値の最も低い金属である極太純銀単線を最短距離で接続したいです。D級アンプ+スイッチング電源なら小型で発熱も少ないので普通のネットワーク以下のサイズで実現できますからスピーカ内蔵が良いです。

さらにそこまでやるならDDFAなどのフルデジタルアンプにしてデジタルチャンデバで等位相を狙う方法が良いでしょう。チャンデバはアンプとは別の場所に設置し、スピーカに内蔵されたアンプへはデジタルケーブルのみで伝送します。幸い下記タイムドメインとは違いデジタルフィルタの使用は禁止されていないのでデジタルチャンデバは問題ないはずです。そしてデジタルチャンデバならアナログにおけるエネルギーロスはゼロなのでイノウエ的にも理想です。

定位を重視しないなら完全な等位相は不要ですし、ここまでやるならツイータの追加はどうなのか?と考えたくなりますが、設計で等位相でも物理的な配置による位相ズレが怖いですし、形状とユニット距離による音波回析による干渉の問題もあります。中高音の位相ずれはエネルギーが拡散しているように感じる要因になるので、中高音はあえてオリジナルのまま手を入れないほうが無難です。位相ズレを嫌う理由はイノウエでは定位ではなくてエネルギーの拡散が問題視されているのだと思います。

ウーハーが別箱になってしまうので低音は設置上の位相ズレの問題があります。ですがこの問題はほぼ無視できるのではないかと予想しています。なぜなら150Hz以下の低音については人間自体が位相に鈍感ですし、部屋の定在波の影響のほうが大きくなってくる帯域です。オーディオでは室内の壁による反射波の位相干渉が絶対に逃げられません。なので低域に限ってはユニット配置による位相干渉の問題は部屋の問題と共通であると割り切れば許容できるはずだと判断します。

これならエネルギー伝達効率を最優先とした理念を維持したまま、低域以外は完全等位相のまま低音の課題を払拭できそうです。

タイムドメインとイノウエ

この2つにはいくつか共通している点があります。最終到達地点は違いますが、どちらも王道からの異端であり性格に排他的な一面があって、どこまでも一般的なハイエンド路線と異なる方向性を追求している点で似ています。ですがこの2つはそういうところ自体は似ていながらも中身には方向性の違いが結構あります。結局どちらも異端であり孤立しており相互が交わることはないのでしょう。

タイムドメインの考え方はこちらにまとまっています。ここに書かれているすべてを見ないとタイムドメインの全貌が見えてこないので興味がある方は全部読まれると良いと思います。

http://tackbon.ldblog.jp/archives/cat_50041250.html

タイムドメインはとにかくインパルス応答の正確さ(立ち上がり、立ち下がり)を重視しています。

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これは定位を重視している為です。上の開発者の語録にありますが魔境と言われる領域は超正確な定位の作り出す仮想現実のようにも読めますので、タイムドメインは定位を大事にするオーディオです。ここはイノウエと大分違います。タイムドメインではあくまでインパルス応答を追求することが目的ですので、等位相の構成さえ維持出来るならネットワークの使用は禁止していません。GS-1はマルチウェイです。タイムドメインではエネルギーの放出効率は最重要課題ではないのでこの点でイノウエとは異なります。

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またインパルスの管理はスピーカのみならず、DACのデジタルフィルタやケーブル、コンデンサや抵抗、オーディオ機器の振動特性、部屋の残響特性まで推奨事項があるという徹底ぶりです。アンプも適合する専用品があります(これはイノウエも同じです)。

イノウエはアンプ以外については情報が少ないのでわかりませんが、DACはTeac CD-P650が推奨品のようですがこれはPCM1791でオーバーサンプリングDACですから実は立ち上がり速度重視と言ってもデジタルフィルタで鈍らせることは構わないようです。あとはトロイダルトランスは駄目でEIコアは良い、電流帰還アンプは良い、専用真空管アンプが必須、などのようです。

またイノウエはタイムドメインとは違い低音の収束時間は遅くても問題がないようです(タイムドメインでは収束時間もインパルスで制限)。また定位についても拘る必要が無い、ケーブルでは音の差はない、というようにタイムドメインと比較するとあまり細かいところを気にしていないように見られるところがあります。

例えばタイムドメインで細いケーブルと物理的に小さいパーツを推奨する理由は、振動による音像のブレ=定位の滲みを最小限にするためです。部屋の残響を大理石などの硬質なものにする理由も同様です。DACのデジタルフィルタを嫌う理由も同じ。このようにとにかく音像と定位の正確さをどこまでも追い求め、像の滲みを徹底的に排除することにこだわっていることがよくわかります。

しかしイノウエの上記の選定は根拠となる選定基準が不明です。イノウエスピーカの設計はエネルギーを最大化することだと分かりましたが、上記で紹介した選定基準はエネルギーを最大化する方法論とは関係がないように見えます。基本的に効率の悪い真空管アンプを推奨し、トロイダルトランスは駄目でEIコアは良い等、エネルギー効率の観点から見て大して根拠のない選定が目立ちます。もしここでスイッチング電源+D級アンプを推奨していたなら、エネルギー効率が最も高いので統一した理念になります。フルデジタルアンプはDACも不要にするのでなお良いのではと思います。

このようにイノウエは極端な設計で神経質な指定もあるのですが、それは一部の領域のみであって、それ以外の部分は割りと一貫性が無いように見えるというか、取捨選択が大雑把に見える点はタイムドメインよりもイノウエの到達点が低いと考えられる根拠になります。理念の一貫性という部分ではどうしてもタイムドメインのほうが隙が少なく到達点が高いように見えるのです。

原音再生について

イノウエと原音再生の関係性は正直不明です。もともとそれを目指して設計されたのかどうかも不明です。ということでソースが無いのでここではルーツについては触れませんが、何かとイノウエと原音再生はまとめて語られることが多いので、ここでは原音再生についても触れておきたいと思います。

一般的に原音再生というと、CD等に含まれている完成品の音源のことではなく、録音前の現場の生音を再現するという意味になるそうです。音楽制作者の立場からするとそんなことは絶対に不可能だし、むしろ実際の原音が限りなく魅力的で完璧な音ばかりではないことは体験したことのある話なのですが、オーディオファンの中にはこの原音再生を目指すという方向性もあるそうです。

普通の音源に収録されている音は当然ながら生音そのままではなく、何らかの加工や情報の選別がなされています。それはマイキングや接続する機材から始まる選別です。マイクひとつとっても一本で全てをこなせるわけではないし個性があります。さらに一つの楽器を一つのマイクで取るわけでもないのです。複数の異なるマイクで一つの楽器の音を多角的に録音し、それぞれの良いところどりをします。録音でいいとこ取りをするのがレコーディングエンジニア、後処理と加工で悪いところを隠しいいところを強調して全体のバランスを取るのがミキシングエンジニアの仕事です。これは音楽的な加工と選別作業です。

ですからそもそも加工選別済みの音源からは原音を推測できるような情報は失われており、存在するのは彼らエンジニアの意図によって加工選別された結果です。それは演奏者と楽曲の意図を理解し加工選別によって増幅されたものです。アーティストとエンジニアが同じ方向を目指し形作られた芸術作品が最終的に収録された完成品です。

ですから完成品の音楽性をさらに引き出す&増幅することを目的にするオーディオは理解できますが、原音を目指すことは決して良い音を目指すオーディオなどではなくて、録音現場の演奏にある粗っぽい部分、不完全な質感、ノイズ、そのような現場にある問題点も全てさらけ出すのが原音再生なのかな?と思ってしまいます。自分の考える原音は全く夢がなくてすみませんが、それは自分自身が本当に素晴らしいスタジオ録音を経験していないからかもしれません。でもほとんどの録音素材はそのままでは音楽的でもないし感動を呼ぶ音じゃないのが現実で、「化粧を落としたらすっぴんが残念だった」みたいな事が多いと思います。

おそらくですがオーディオしか知らない方の原音というのは、本当のスタジオの現場の原音なんかではなく、幻想的なものを目指していると思います。ちょうどライブ演奏のような現場の感動や熱気を味わえる音とかではないかと思うのです。上記のような見せるべきではない要素が含まれるすっぴん素材を目指したいのではないでしょうし、原音とは全く別の感動ライブ体験のようなものを表現したいのだと理解するべきかもしれません。

イノウエの選民意識と排他性について

ツイッターの引用をしますが、もともとはイノウエ派の排他的発言が問題視されていたのが発端のようです。協調性が薄くさらに他の路線を否定し続けることで多くの反感を買っているように見えました。孤高で反骨精神のイノウエは現代においても孤立する性格なのかもしれません。

ここではかなり長文のやり取りがなされていますので、興味がある方のみ下記のツイッターリンクから実際のやり取りを見てください。

これに限った話ではないのですが、一部のイノウエ派に見られる特徴として自分たちが特別で他は平凡という意識が見られることです。それは既存のオーディオの限界と不満からイノウエが開発された背景について、イノウエの音を聞いているうちに開発者と同じ空気を共有しているということなのでしょうか?少なくともイノウエに心酔している一部ユーザーの過去の発言からは、イノウエだけが特別で至高であって他は全て格下であると認識していそうに見えました。

イノウエが特徴的で異なる方向性を突き詰めているのは事実ですが、上記に紹介したようにタイムドメインも似たような異端かつ相当の高みに到達した世界を構築しています。でもイノウエはそれを知らないか認めることも無いのでしょうか。このあたりはとても不思議なところです。

既存ハイエンドオーディオを連なる巨大な山脈とたとえるなら、イノウエはそこから遠く離れた細い塔のようです。塔からは山脈が遠くに見えています。遠いので山脈が小さく(低く)見えています。そしてその隣にはタイムドメインというもっと高い塔が立っています。ですがイノウエの塔にはタイムドメインの方向に窓が付いていないのでタイムドメインの塔を見ることは出来ません。タイムドメインもイノウエの方向には窓がありません。多分こういうことでしょうか?

もしイノウエの音に心酔したら精神性が開発者イノウエそのものになってしまい、イノウエのもつ選民感情と排他性を知らず知らず身につけてしまうのでしょうか。それとも逆にそういう素養のある方だけがイノウエに心酔できるのでしょうか?そこはわかりません。ですがイノウエには何か選民であるとユーザーに強く認識させる洗脳のような力があるのかもしれないです。

通常音楽性は精神性とリンクしています。イノウエの音楽性はそういった選民感情をユーザーに与え、それと同時に排他的な精神性もユーザーに与えるものかもしれません。そして価値観の部分にまで影響力を持つ洗脳的な音楽体験なのかもしれません。危険ですが非常に興味深い事例です。

絶対評価の手段と方法について

自分自身の発言です。上記の議論の中で測定をやってみたいと発言をしました。実際に一度測定&差分を取って見たのですが、普通に取るだけでは評価は難しかったです。一応等位相スピーカを使っているつもりなのですが、今のところ差分をキレイに取れるポイントが無かったです。試行時はステレオだったのが駄目な原因だと思います。少なくともスピーカ+マイクを1:1のモノラル録音にしない限りまともな差分を取れそうにないので、今度もう少し測定条件を詰めて見たいと思っております。こちらについてはある程度評価できる方法が確立出来たら独立した記事としてまとめたいと思います。

原音再生おまけ

録音される前の原音再生はどれほど現実的なのでしょうか?私のイメージだと最近流行のメイク画像を元に戻す「MakeApp」が原音再生の発想に近いと感じます。加工された画像を元に戻す。加工された音源を元に戻す。発想は同じようなものです。

これは半分冗談ですが現実味のなさは共通です。

【画像あり】 プリクラの効果を消すアプリを限界まで使ってみた!

https://ima.goo.ne.jp/column/article/402.html

↑これは加工済み画像。オーディオで言えばCDやレコードなどの加工済み音源です

↑復元アプリを2回適用後 これは原音?

↑復元アプリを何回も何回も適用後 これも原音ですか?

ヤフオクにイノウエ出品中です

トップページはこちらより画像を引用いたしました。(ツッコミいただいたあとですが)快く許可いただきましてありがとうございます!

https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/n195879963

よろしくお願いいします。

Kenzo様からのコメント