オルフィさんと相互オーディオオフ~自宅編

前回の続きです。今回はこちらの自宅での試聴になります。なんとこの日はオルフィさんだけじゃなくてKTERさんもおいでになりました。お二人ともかなりハイレベルなシステムを構築されておりますので、うちみたいな見た感じ全くハイエンド臭のないオーディオを聞いてもらうのは結構恐縮するところでした。

なお当方のシステムの音質については自分で書いても全く客観性がないのでここでは書きません。こちらのシステムについての印象はオルフィさんのインプレにおまかせする形としたいと思います。記事が上がったらこちらのページで相互リンクにします。

ということでここでは当日に行ったちょっと変わった音質的実験についてまとめます。

キーエンス製除電器とORB除電器SN-03の比較

実はこの日の朝の音質はあまり良くありませんでした。日によって音が変わることはよくあるのですがこの日は特に良くありませんでした。なんというかちょっと篭ったような音だったのです。そこで除電器の登場です。帯電して音が悪くなっている状態を除電して本来の音質に戻すというものですね。しかしオルフィさんによればこの除電器は物によってかなり性能に差があるそうです。

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事前の情報ではこのSN-03には”ORBの呪い”という状態があって、システムのレベルや相性によって呪われてしまう可能性があるというお話でした。しかもこの呪いは一度罹ってしまうと二度ともとに戻らないという恐ろしいもののようです。

そしてその呪いを解除するためには除電グッズのような簡単なものでは駄目で、キーエンス製など産業で実績のある良い除電器が必要ということです。なのでこの日に登場しているキーエンスの除電器SJ-F030は呪いを解呪するためのアクセサリーなのだそうです。

ということで実際に試してみました。まずはORBのSN-03からです。念入りにCDPやDACだけでなくパワーアンプとケーブル周りも除電します。SN-03による除電後の音を聞いた印象としては分離自体は最初の何もしない状態より若干良くなった印象だったのですが、それとともに色彩が暗く重心が下がって低音寄りのバランスになったと思いました。また高域はややモヤがかかったような音になりました。高音が伸びなくなって重心が下がるので、印象としては重苦しく悩ましい音です。これはむしろマーラーなんかには合いそうな音です。

オルフィさんに音を聞いた印象をほぼ上記のまま伝えると、これがまさに呪い状態だそうです。このときはCDPもDACも蓋が開いていたので除電効果が基板に直接かかりましたから相当強くかかった可能性が高いです。良いか悪いかで言えば悪くは無くはないけれども、意図せず音楽性が強く変わってしまう感じがしますね。

では次にキーエンスの除電器で「解呪」してみます。

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こちらはORBとは全然音が違っていて色彩も一気に明るくなりました!重たい雲が晴れて光が差し込んだかのようです。高音が伸び切り低音も重さが無くなり歯切れがよくなっています。もちろん色彩が明るいと言ってもノイズで付帯音が付いた高音とは違います。逆に高音の付帯成分のようなものがなくなって伸び切った結果、明るく澄み切った感じがしました。この音を聞いてしまうと呪い状態のときは明らかに高音に変な付帯音がしていたと思います。たとえば先程は金属楽器の音に不自然な響きが乗っていましたがきれいに無くなりました。

面白いのはキーエンスの除電器を通した音はオルフィさんの自宅の音に似ていることです。こういう選定ひとつとってもその人の音の方向性は出て来るものだと思いました。キーエンスの除電器によって、うちの音が普段の音より明るく、力強く、強い光が差し込んで爽やかなサウンドに変化しました。音質的なクオリティはこちらのほうがずっと優れていると思います。

まぁこれは当然の話しでして、キーエンスの製品は産業用の組み込み用途での信頼性と性能を両立しているメーカーです。なので実性能で駄目ということはまずありえません。なにしろキーエンスは短納期で不具合が少ない産業機械を開発する際に便利な付加価値付きの組み込み用機器をつくっている会社です。キーエンスの性能と信頼性は普段行っている会社でも組み込み用のバーコードリーダーなどで良くお世話になっているので知っています。

ということで除電器の性能としてはキーエンス製のものが圧倒的に優れているということになりそうです。ORBのものは除電自体は出来ているのでしょうが完全に取り切れず変な成分か偏りが残ってしまっているように思います。

ORBとキーエンスの除電器の違いを画像で例えるならこんな感じです。

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ORBの除電器の音↑

20131011112403キーエンスの除電器の音↑

空気清浄機による音質への影響

次に空気清浄機で音質がどう変わるかの実験です。空気清浄機で音が変わるという事自体がどうなのかって話はあると思いますが、気体の成分や温度、湿度で音速が変わりますので、そういう影響で音が変わってもおかしくはないです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%B3%E9%80%9F

たとえば窒素100%、酸素100%、水素100%の部屋を用意して音を聴き比べたらかなり音質差はあると思います。相当命がけになると思いますが…。

CADO AIR PURIFIER MP-C20U

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音がスッキリします。ちょうど女性ボーカルの低音を支えている帯域が軽くなる印象があります。まるでEQでそのあたりの帯域を0.5dBくらい狭くカットした印象と近いです。不思議ですね。

そして更に不思議なことは電源を入れると即効果があることです。つけた瞬間に音が変わっています。この結果から想像すると空気が変わっているのではなく空気清浄機が動作することによって空中に電気的な何かが放出されているのだと思います。この時の空気清浄機はAC動作ではなくバッテリー駆動でのテストなのでAC電源にノイズが回り込んだ等ではありません。

実際に試してみましたが、空気清浄機を離して設置すると音の変化が小さくなるので距離による影響はあります。やはり電気的な要因でしょう。空気清浄機の電源の種類や基板に手を入れて音が変わるのもそれで説明がつきそうです。なのでおそらくEMCテスト的なアプローチで空気清浄機から発生するノイズ成分はある程度観測できるのではないかと思いました。

このとき離した空気清浄機の設置位置は8mくらいだったと思います。このくらいの距離でも音は十分変わりましたが実際にEMCの測定テストでも10mの距離で行うものがあります。周波数によっては10m位離してもハッキリとノイズが測定できるので10mなら電気機器からノイズが飛んできてもおかしくありません。10mで測定器でノイズの観測ができるということはオーディオでも違いがでてもおかしくはない距離です。

ただ空気清浄機を入れたときのほうが音がスッキリした印象があるので一概にノイズの影響であるとは断言できないところがあります。まさかノイズのように作用している成分をちょうど打ち消すような成分を放出しているのでしょうか?(プラスイオンとマイナスイオン的な?これは除電器で除去済みですが)

このあたりは一度測定でチェックしてみたいところです。

もう一つのもの(型番不明)

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写真を撮り忘れたので小さいです。こちらはCADOのものとは違った帯域に効果があると思いました。メモをして無くて細かい違いはちょっと忘れてしまったのですが、やはりスッキリするような印象です。基本的な傾向はCADOと似ています。違いは若干ありますが方向性は同じ印象でした。こちらもつけた瞬間に効果が出るのは共通しています。

今のところ空気清浄機による音の差は電気的な漏洩ノイズによる影響ではないかと仮設を立てているところです。今度機会があればGHzまで観測できる測定器で測定をしてみたいと思っています。

 リモコンによる音の差

設置場所を変えてリモコンを動作させるとオーディオ機器からでる音が変わるというとんでもない話です。例えばしっかりした台の上からリモコンを操作してCDPを再生させると音がしっかりして、柔らかい台の上から操作すると音も柔らかくなるという、思い込みとしか思えないような影響です。

これが何度試しても違うような気がします。とはいえ思い込みを排除できるような大げさな違いだとは思わなかったので、この領域に踏み込むのは危険だと判断しました。信じるか信じないかは読んでいる方におまかせします。相当ハイレベルな環境じゃないと全く違いがわからないと思います。オルフィさんのところでは違いは結構分かる感じでした。うちでも多少はわかりました。

ただ一点これを裏付ける話がありまして、自作機材を貸したときにリモコンから操作したときと本体を操作したときに音が違うと言われたことがあります。理論的にはほぼありえないのですが、その方は音楽のレコーディングにも携わっていてかなり耳が良い方だったので、簡単に思い込みであるとは断言できないところがあります。当時はリモコンの違いなんてあるはずがないと思っていたので「違いが出るような設計にはなっていないです」ととりあえずは伝えたのですが、それを伝えてもその方は違いがあると感じていたそうです。

デジタルケーブルと電源ケーブル

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オルフィさんの自作ケーブルです。これはかなり音が良かったですね。自宅環境は偽Valhallaで統一していますが、さすがに偽物よりはこちらのケーブルが良かったです。具体的に言うとややノイズっぽい成分がクリアになる印象です。

偽Valhallaは非常にパワフルで透明感も高いのですが、その透明感の中に若干像が揺らぐような部分がわずかにあります。透明度は高いものの場所によって若干歪なところがあるレンズを覗いているようなイメージです。そういう問題点もこのケーブルと比較するまでは全く気づいていませんでした。

十分にレンジも広く癖がなくノイズ成分も少ないという、かなり完成度の高いケーブルだと思います。力強さだけなら偽Valhallaのほうが良かったかもしれませんが、それ以外の部分はこの電源ケーブルのほうが良いですね。

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こちらのケーブルは露骨に美音系でした。描写力などの基礎クオリティは十分に高いと思いますがそれ以上に個性が目立つケーブルです。レンジが広いというより広いレンジ感があると言ったほうが正しそうです。上記の白いケーブルからこれに交換すると低音もより目立つようになりますし、高音も輝くような美音系の質感がありますので国内では結構好きな人は多い感じかもしれません。

個人的にはこの2本の比較ならば白いケーブルのほうが良いなと思いましたが、偽Valhallaと比較するなら高音の癖の出方がより派手な質感に変わり低音が豊かになる印象で、篭ったりエネルギーが損なわれる印象は全然ありません。なので性能自体は高く基本はストレートで高性能な音だと思いますね。

どちらのレビューも使用条件としてDACへの給電ケーブルのみ交換しています。ただしその手前にASUKAのFIL-MASTERを経由した後段に使った場合のレビューになります。別条件の比較としてFIL-MASTERの前段側のケーブルを交換したときには上記ほどの大差は感じなかったので、ノイズフィルターを通過した後の外来ノイズ耐性の違いが大きな音質上の違いを生み出していた可能性も考えられます。この点のみ補足事項として考慮に入れて判断してください。

次に、デジタルケーブルですが、こちらはちょっと写真がないのですが外観はこれに近いものです。

gore

http://www.mouser.com/ds/2/431/GORE_Phaseflex_10_18_13_app-461044.pdf

両端SMAで超高速タイプ(数十GHz帯域とのこと)なのでスペックもこれに近い印象でした。それまでこちらで使用していたデジタルケーブルがApogeeのWideEyeっていう大分古いタイプなのでこれを変更したところ凄まじい変化でした!もう別物のようにすべてが良くなったので今までが相当よろしくない状態だったということだと思います。デジタルケーブルでここまで激変するのは驚きです。

この日のテストでは除電器の違いも凄まじい変化でしたが、デジタルケーブルも同じくらいのインパクトが有りました。たった50cmくらいの線なんですけど、その程度の距離であっても線材の伝送特性がそれだけ重要という話なのだと思います。ということでこの日の後、すぐに似たようなスペックである40GHz級のSMAケーブルを発注しました。

他のオーディオ用デジタルケーブルと比較すると中低音は細身で弱い感じなのですが、高域のピントはこれが一番良いです。オーディオ用のものは大抵高域が滲むが濁って聞こえます。中低音の力強さと高域の正確さを両立するケーブルがあれば良いのですが…。

キーエンスの除電器も中古の出物があったのですぐに発注しました。これでワンランク上のオーディオライフを満喫できそうです。

オルフィさんと相互オーディオオフ~オルフィ邸編

オルフィさん(https://twitter.com/orfy_aqua

お忙しい中時間を取っていただきありがとうございました。真のハイエンドとも言える製品群をじっくり聞かせていただく機会はなかなかありませんので、自分自身にとっても得るものが多くありました。

しかもハイエンド機と自作機の比較だけじゃなくて、自作音源がどう鳴るのかも聞かせてもらってしまいました!おかげで機器ごとの特徴など色々わかりましたので貴重な体験をここにまとめて公開しておきたいと思います。

オーディオシステムの音質要因

こういう環境ですと、どうしてもハイエンドコンポーネントに目が行きがちですが、それよりも重要なのはその人がどういう音を出しているかだと思うようになりました。機材の音じゃなくてその人の音、その人の音楽がきちんとなっているシステムは完成度の高いシステムです。

いままでの経験上ハイエンド機材があるから凄いというのは必ずしも当てはまるものではなかったからです。最も良い例はダイナミックオーディオのマラソン試聴会(川又さんと東さん以外)やインターナショナルオーディオショーでのさまざまな高額機器の出音を見れば分かると思います。

ということでシステムの音質は何を使っているかよりも誰が使っているかのほうが重要だという認識になっています。ハイエンド機材だからと言って機材の性能だけが支配的になることは少なく、それよりも誰がどのように使ったかのほうが音の印象には支配的になるようです。

(個人的に)一番わかり易いのはマラソン試聴会の川又さんの音でしょうか。様々なハイエンド機器を毎年構成を変えて使ってますが常に同じ方向性の音がします。これは使いこなしのレベルや完成度が上がるほどこういう傾向は強いようです。逆に言えば機材に振り回されている、機材の音が支配的なうちはまだまだのレベルだということかと思います。

オルフィさんの音

凄く前置きが長くなりましたがシステムの音質です。

印象的だったのは明るく生命力溢れており非常に力強い音です。ソナス+真空管アンプという先入観とは全く無縁の、低域と高域ともにかなり引き締まっており全域に渡ってパワフルな音がします。その上に感じるのは明るさと生命力です。これはネガティブな音楽性を打ち消してしまう程の力強さと前向きさを強く感じました。

これはオルフィさん自身の性格も含めた個性と思います。ちょうど5月くらいの新緑の季節で青空と強い日差し、そして爽やかな風、大地、そんなイメージを思い起こさせる音です。

正直機器の組み合わせで見ると何故このような音に仕上がっているのかはわからないのですが、結局はその人が選んだ機器選定やセッティングによって少しずつ醸成されていく結果なのでしょう。そしてそういった音の追求に余念がないほど、その仕上がりはコンポーネント依存ではなく人物依存の音になっていくと思われます。最終的にはその人の音そのものになっていきます。(もちろん機材の選別自体がその人の個性です)

こういう明確な方向性が伝わるのは音楽性と完成度の高さですね。当然基礎クオリティもかなり高いのですが、その上でどういう音を出したいかが明確なのだと思います。基礎クオリティを上げてストレートかつピュアなだけではなく、ちょっとした高音の色付けがある音をあえて好まれているのも、さりげない優しさや奥ゆかしさの現れなのかなとも思うところです。このあたりもご本人の人物像と適合しています。

当日は余りかからなかった方向性の音楽ですが、躍動感のある前向きな楽曲がよく合いそうな気がしました。もちろん演歌みたいな情緒あふれるバラード系ジャンルも掛かりましたしこのシステムの得意分野だと思うのですが、ぴったりと適合するような曲を多く掛けられなかったのは失敗だったと思いました。機材を交換したり色々なこと(MIDIとか音源とか音楽業界の話しなど…)を喋っている時間が多すぎて音楽をかける時間が少なかったのが原因なのですがちょっと反省ですね。

次の機会があればその時にこのシステムに適合する音源をたくさんかけたいです。

ともかく、オルフィさんのシステムの出音としてはさりげない情緒的な部分があり、分離やSNや立ち上がり立ち下がりの正確さなどの基礎クオリティが非常に高く、個性として生命力と力強さと余裕を両立している、という感じです。これはなかなか難易度の高い組み合わせだと感じました。特に情緒と力強さの両立は余り見かけないセットだと思いました。

ちなみにネガティブが合わないと感じた最大の理由は、この日は最後にマーラーの大地の歌(クレンペラー指揮)を掛けたのですが、この楽曲は絶望を受け入れる姿勢だったり死を予感させる曲なので、このシステムには全く合いませんでした。自宅では良く鳴るので、オーディオ的なクオリティは全く関係なくて、この辺は完全に相性です。音質はいいけど引き込まれる感じではないということですね。

個別コンポーネントについて

メインシステムはDACがdCS Vivaldi、プリアンプにFM Acoustics FM255、パワーアンプにSilverCore 833、スピーカがSonusFaber Stradivariという正真正銘のハイエンドシステムです。

当日はこちらの制作機材と比較する機会をもらえたのでコンポーネントごとの音質もよく把握することが出来ました。ハイエンドな高額機器に個人制作物を接続させていただけまして、大変ありがたく思います!

それぞれの機器の音について書きます。

FM Acoustics FM255

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dCS Vivaldiからパワーアンプ直結とFM255経由での比較試聴です。(さりげなくスカルラッティの下パネルが開いていて配線が見えています!

なんとこのプリアンプを通すと音にメリハリが出て前後感がはっきりします。非常に透明かつ音にみなぎるエネルギーがあり、その上で余裕もあります。さすがのハイエンド機器でして音質については素晴らしいものがあります。音が分厚くなったり音像が肥大したりなどは一切感じません。dCS VivaldiというDACの情報量をそのまま受け止めるだけではなく情報を整理して次段につなげる実力があります。

一点副作用として高音に色が付きます。この色は好みの世界です。弦楽器などはやや濁って聞こえてしまう部分もあり、生の音に近いとは全く思いませんでした。この点ではDAC直結のほうがリアルな音です。これは曲によって合う合わないはあると思いました。悪く言えば嘘っぽい脚色された高音です。ただしボーカル曲などには非常に合う方向性でしていわゆる美音系です。上品なシルキーさって言えば良いんですかね。DSD的なさらっとした感じです。日本人はむしろ好き系だと思います。

ということでFMプリは非常に上品かつ透明で力強く、その上ではっきりとした高音の色付けがあるプリアンプでした。高音の色付けだけは意見が別れる所ですが、基本的には積極的に挟みたくなるプリアンプですね。dCS Vivaldiを上流にもってきてもプリによるクオリティの低下は感じません。その上で輪郭がはっきりして前後感も強調され力強くなるという部分は凄みがあります。これにハマったら抜け出せないでしょうね。

dCS Vivaldi DAC

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DAC単体だけを聞いてもなかなか個性が見えてこないですが、Vivaldiの個性がはっきりわかったのは他のDACとの比較です。やはり単体だとなかなか評価は難しいです。この日に比較できたのは当方作成のAK4497使用のものです。本当はみなさんが見たいのはDAVEとVivaldiの比較かと思いますので、DAVEの音の比較についても普段の傾向から推測して言及します。

このときの比較ソースはすごく音の良い美空ひばりだったのですがイントロのピチカートの余韻の豊穣さや余韻の長さ、細部の緻密な描写など基礎クオリティだけなら正直Vivaldiより当方の4497のほうが良かったかなと感じました。ですがやっぱりハイエンドの風格につながるような余裕がなく神経質できつめな音がすると感じる部分が明確にありました。

Vivaldiはとにかく余裕があり出音が自然で力みがありません。ふわっと空気のように音が出て来る印象です。本当は非常に力強いのでしょうが全く力みがないので力強いという印象よりは空気のような軽やかな出音に感じます。

Vivaldiの高音の脚色や色付けについては巷で言われているほどではありませんでした。むしろVivaldiよりDAVEの高音のほうが滑らかなのですが質感に強い癖があると思いました。FMプリと比べると美音といえるような色付けは少なく、基本に忠実で高性能DACというイメージの音です。よくdCSは空気感や高音の演出について言及されることがありますが、個人的な印象では最大の特徴は音色というより余裕のある出音にあって、その余裕がありすぎる出音がまるで空気のような出音だと感じさせる要因であると感じました。

音の分離云々よりも出音の余裕こそがVivaldiの特徴であり優位性だと思います。

この日は持ち込みしたものの鳴らさなかったDAVEですが、4497とVivaldiの比較の感じからDAVEとVivaldiを比較したどう感じるかも予想してみます。おそらく音の分離だけならVivaldiよりDAVEのほうが良いと思います。しかしDAVEではVivaldiのような雄大さや広大さや余裕を感じることはありません。

DAVEは左右の広がりが狭く高音に強い個性(エネルギーが集まっている感じ)があります。このDAVEの個性は電子音楽などとは非常に相性が良いのですが、反面生楽器のリアルな録音では若干違和感があるように聞こえます。特に弦の高音は生音とは異質に聞こえます。またDAVEは低音の物量、左右の定位の正確さ(クロストーク性能)が明確に不足しています。なのでこれらの要因によってDAVEは高性能で高分解能でありながらも雰囲気に余裕がないと感じる部分がより際立ってしまうでしょう。

最終的にはVivaldiとDAVEの比較では音楽に何を求めるかによってどちらを選択するか分かれそうです。分解能や細部のディテールを重視するならDAVEですが、レンジや空間の広さや出音の余裕を重視するならVivaldiです。

最後にまたAK4497の話に戻りますがAK4497は素子自体に「余裕がなく神経質な音がする」という側面がありますので、Vivaldiレベルとの比較になると素子が持つ個性が支配的となり、最後の超えられない一線としてICの個性が浮き彫りになってしまうと思いました。かなり設計面でカバーしていますがAK4497ではVivaldiのような余裕を出せるとは思えません。この余裕は低域がしっかり出ているとかそういう次元の話ではないからです。当方のDACも帯域バランスは十分に広く感じますし低音もしっかり出ていたので電源の物量が明らかに不足しているという印象とは別物です。

いまのところこういう雰囲気レベルの神経質さはパターンや部品の配置によって、電流をどれだけスムーズに流せるかの違いだと思っています。なので小さいICに大電流を流す構造自体がそもそも不利です。これはAK4497だけじゃなくてES9038も同じ課題を抱えていると思いますね。だからこそそういう部分の問題を根本的な基礎設計面から解決しない限りVivaldiのような雄大で余裕のある音は出ないと予想します。

SilverCore 833

ドイツの真空管アンプキットのようです。化物じみた巨大真空管を使ったアンプです。

http://silvercore.de/roehrenverstaerker/silvercore-reference/

ここではNcoreを使ったパワーアンプと比較させてもらいました。1200Wの電源を積んだNcoreなので殆どのアンプと比較しても十分パワフルな内容だったのですが、この真空管パワーアンプとの比較ではかなり不利でした。

SilverCore 833は出音が非常に透明で、柔らかいのに力強い音がでていました。これも出音に凄く余裕があります。オルフィさんのシステムにはしっかりとした統一感がありますね。

このNcoreも標準品のNcoreではなくて自前設計のオリジナルバッファ+電源を搭載したものですから、基礎クオリティは高くほとんどのNcoreアンプより綺麗な高域と透明感を持っている筈なのですが、質感がまだどことなくパサパサしており神経質まで行かないですがもうちょっとゆとりがほしいかなって感じる部分がありました。この辺はもう真空管とD級という方式の差によるものなのかもしれません。あとは電圧と電流による物量差の世界とも思うのでなかなかこれ以上は厳しいですね。なんとSilverCore 833は電圧1200Vだそうです!

ということでパワーアンプもDACと同様に出音の余裕において差を感じるところでした。

しかもDACとは違ってパワーアンプのほうはNcoreの音楽的優位性がほとんどなかったかなと思います。といってもNcoreも比較してがっかりするほどの格差はなかったですし、D級でありながら真空管と比べて高音の質感がザラッとしていて悪いとかはなかったので、クオリティは決して絶望的な差じゃないですが、正直言って音だけならNcoreよりSilverCore 833のほうが良いと思いましたね。

ただこの真空管アンプは巨大な筐体で発熱も電気の消費もすごそうですので、Ncoreの優位性は非常に省スペースかつ電力を使わない熱も出ない、その割には十分比較できるレベルで音も良いという、実用面が優位性になりそうです。

使用している真空管 833Cスペック

http://www.tubeampdoctor.com/en/shop_Other_brands_OEM_Tubes_HiFi_Triodes_Transmitting_Tubes/833C_1342

833C Transmitting tube with graphite anode (socket not included)
Also used High-End Audioamplification: Silvercore 833C and WAVAC 833.
Power up to 1800 Watts with forced air cooling.
Matching sockets: S2-833 + 2x SPC14

Specification:
Anodevoltage: max. 4000V
Anoden dissipation: max. 300W
Output power : >1.0kw
Filament voltage : 10 V
Filament current : 10A
Amplification factor:35
Frequency: 30 MHZ

Sonus Faber Stradivari

このページを見ているような方には説明不要かもしれません。

このスピーカについての個人的印象はこちらに印象を記載しているのでこちらを参考にしてください。記事の一番下にこのスピーカで感じている印象がまとまっています。

2016インターナショナルオーディオショー感想+おまけ

ただしオルフィ邸の環境で感じた音は上記の印象よりもさらに力強く引き締まっており、一般的なソナスのイメージとはだいぶ違う部分もありました。

まとめ

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統一していると感じたのが「余裕」です。FMもdCSもSilverCoreも例外なくそうです。美音系も特徴ではあるのですが、これはFMプリによる色付け要因が大きいので、それより出音の余裕が全体で共通する方向性だと感じました。

音の仕上がりにはほかにも宇宙的ケーブル、空気清浄機、除電器などによる影響もあるそうで、単純ではない世界が広がっていて恐ろしいです。このあたりは次回に体験したことを詳しくまとめたいと思います。

オルフィさんの家の音について感じたのは以上です。

おまけ

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こんなところにFM155らしきものが無造作に放置されていました!ハイエンドブランドもこんなところに押し込められていては何か別のものに見えてきます。こういうところもオルフィさんの器の大きさを垣間見た気がします。

次回予告

次回はこちらの自宅に来ていただいたときにいろいろ試した結果をまとめたいとおもいます。

  • キーエンス製除電器とORB除電器SN-03の比較
  • 空気清浄機による音質への影響
  • リモコンによる音の差
  • 宇宙スペックなデジタルケーブルと電源ケーブル