先日逸品館よりWFB1515-4をスピーカ用に購入しました。SP用ボードは色々なものがありますが今回ウェルフロートボードに決定したのは次のような理由からです。
- 部屋が木造の2Fで床強度が弱い
- ツイータ位置が低すぎるので高くしたい
- 振動を活かしたSPではないので共振を殺しても問題ない
特に2番の条件に合うボードは少ないです。分厚にボードが必要ってことですからね。これらの条件を見るとウェルフロートボードはうちのニーズにピッタリ合っていると思います。
先日逸品館よりWFB1515-4をスピーカ用に購入しました。SP用ボードは色々なものがありますが今回ウェルフロートボードに決定したのは次のような理由からです。
特に2番の条件に合うボードは少ないです。分厚にボードが必要ってことですからね。これらの条件を見るとウェルフロートボードはうちのニーズにピッタリ合っていると思います。
海外では大変有名のようですが、国内だと代理店がないのでSchiit Audioはご存知でない方も多いと思います。自分も最近まであまり詳しくは知りませんでした。調べてみるとここのYggdrasilというDACモデルが海外での評価が大変高く、内部設計もとても特徴的なので色々と確認してみたいことがあって勢いで購入してみました。既にDACマニアになりつつありますね。
Yggdrasilは100万円オーバーのDACを打ち倒すという評判ですが全く根拠がない誇張ではない設計上の裏付けがあります。某中華DACみたいに超ハイエンドと掲示板などで投下されていても中身の写真を見ると明らかに広告のための嘘だとわかるものもありますが、これは違います!
まず内部設計ですが以前書いたハイエンドDACの記事から一部抜粋します。
最大の特徴はオーディオ用DACチップを使わずにAD5791というマルチビットDACチップを使っていることです。チップスペック的には20bitDACですが、この製品ではAD5791を片チャンネル2つ組み合わせて21bitとしているようです。
オーディオ的に優位性があるのはマルチビットという漏洩ノイズの少ないアーキテクチャ、LPF回路が不要であること、電源電圧が高いこと、これらの理由により神経質かつ高度な音質対策設計をしなくてもよいことです。
普通のオーディオ用DACでは24bit以上のスペックはありますが、最近のチップではアナログ電源が5Vか3.3Vと低く電源ノイズに対する要求スペックが厳しい割に768kHz以上のレートを受け入れるため高周波ノイズの影響は更に厳しくなっています。さらに後段にIVやLPFなど複雑で部品点数の多いアナログ回路を要求する等、周辺回路設計への要求事項が厳しくなっています。
その点AD5791を使うとLPFもIVも不要、電源電圧も高い。なので聴感SNの悪化要因が普通のオーディオ用DACよりかなり少ないです。リファレンス回路通りに作ったら自動でオペアンプレギュレータになるのも音にいいですね!これらの要因はすべて実SNだけでなく聴感SN的にも有利な設計になります。特別な対策や配慮をしなくても高額なDACに音質面で勝てた要因は上記の部分の優位性によるものだと思われます。
今回はこの推測が本当かどうか実物で検証してみたいと思います。
しかしYggdrasilは手軽に実験用購入とするにはちょっと高額なので一つ下位のGungnir Multibitにしました。といってもこれは内部設計が限りなくYggdrasilに近い内容です。Gungnirで使われているチップはAD5791ではなくAD5781ですがピン構成が完全同一で20bitと18bitという違い以外は同一設計なので、所謂AD5791の選別落ち品がAD5781だと思われます。
Schiitマルチビットはこれ以下のモデルになるとチップの内部設計自体が別物になりますのでYggdrasilに限りなく近い音が出るのはGungnirだけだと予想しています(海外の評判でも実際にそうなっています)。ビット数が少ない分Yggdrasilに比べて荒さはあると思いますがむしろマルチビットの特徴は強く出て傾向はわかりやすいでしょう。
前置きが長くて音質レビューがいつまでも出てこないBlogがよくありますが、個人的にああいうのは好きじゃないのですが、うちも前置きが長くなってしまいました。反省しなければ、ということで音質です。
Gungnirの音質では静寂感が最も特筆すべき部分で、深い闇の中からズバッと音が立ち上がってくる印象があります。静寂感についてはとてもハイレベルです。実際に測定もしてみましたが、この部分の性能は超ハイエンド級で間違いない結果です。10万円台としては驚異的なノイズ性能で静寂感だけならこれ以上のDACなど価格問わずほとんど存在しないのではないかと思うくらいです。測定値から推測してこれを確実に超えているのはMSBのダイヤモンド以上という異常事態です。
しかし音の余韻は急に消失する感じがあります。このあたりはビット精度が18bitしかないことで下位ビットの情報自体が存在しないことが理由だと思います。デバイスの性能限界なので設計上の宿命でしょう。たとえば普通の質の悪いDACだとモヤの中に余韻が埋もれて消えていくイメージですが、Gungnirは余韻が明瞭のまま突然消えるような感じです。よく出来ている24bit以上のDACはこのあたり綺麗に減衰していきます。余韻の空気感はSchiitはあまり得意ではありません。
もうひとつの弱点としては高音の質感に違和感があります。どこまでも滑らかではなく荒削りで毛羽立ちのある高音という印象です。これはSoekrisでもMSBモジュールでも感じたので普通に作られたマルチビットの限界だと思います。ビット精度が高いYggdrasilではこの違和感は軽減されていると思いますが20bitでは24bitのようななめらかな音は出ないと思います。24bit-DACから見たら常にビット欠けしているのと同じ状態ですからね。
良くマルチビットはデルタシグマのような癖が無くストレートな音と言われますが、現実はマルチビットも完璧ではなく静寂感から浮き立つざわざわした質感があります。デルタシグマも帯域外ノイズさえ押さえ込めばよく言われるデルタシグマらしいハイに特徴のある音ではなくなりますから、このへんは正直DACの対策レベル次第で変わると言えるでしょう。どちらも方式上の弱点なので対策が難しいわけですが。
とはいえGungnirの高域は質の悪いデルタシグマみたいなハイがうるさい音でもきつい音でもないので問題ない範囲です。ただし余韻と質感の自然さが重要なオーケストラとかはあまり合わない印象です。これはエージングでも変わりませんでしたので素性による音質です。このあたりは音楽的にどういった部分を重要視するかの問題なので、空気感とか余韻よりも静寂感やそこから立ち上がる歯切れがよくハキハキした音を重視するならこのDACはとても合うと思います。
最後にとても重要な注意点ですが、XLR出力から音声を取らないとまともな音が出ません。RCA出力は測定上も聴感上もかなりノイジーなのでGungnirのRCA出力は絶対に使ってはいけません。暖色系って言ってるレビューはおそらくこのRCA出力を使ったレビューだと思います。RCAから取ると粗悪DACと大して変わらないモコった音になります。これならRCA出力など無い方が良かったのではと思います。
これは普通はADCのノイズに埋もれて録音できないDACのローレベルの挙動をmp3でも比較できるように録音するための方法です。
このようにすることで普通は録音できない部分を見ることが出来ます。ローノイズなアナログアンプで増幅するのがポイントです。また1のデジタルで絞る具体的な数字はDACの出力レベルによって変わります。DAVEのように最大出力が大きいDACはより多く絞ることになります。これによってローノイズプリアンプに入力される信号とADCに入力されるレベルは同一なので平等な条件での比較になります。
録音データを紹介しますのでみなさんも実際に音を聞いて比較してみてください。いままでDACの音質差はまともに録音できないと思っていましたが、これは大分現実に近い音です。今までの録音は音質差の1%以下しか取れていませんでしたがこれは3割位取れてると思います。ハイエンドスピーカだとこれ以上の違いが現場で良くわかります。
当たり前ですがこのテストではDACの出力駆動力、帯域外ノイズの影響は正しく評価されていないのでこれが音質差の全てではないことは注意が必要です。ですが目安としては今までの録音より違いが大分わかりやすくなっていると思います!
Gungnir XLR direct
ビット落ちを覚悟でデジタルで絞ってローノイズプリアンプに直結したものです。18bitDACなので量子化ノイズが明瞭に聞こえますが静寂感が素晴らしいですね。その部分はこの中で一番優秀だと思います。とはいえこの使い方は良い部分と悪い部分が極端すぎてバランス感覚に欠けています。
Gungnir RCA direct
量子化ノイズより残留ノイズが大きくて論外です。GungnirのRCA出力は駄目です。ちなみにノイズの定位が中央定位なので原因は左右で別となる抵抗や半導体起因じゃなくて、左右のチャンネルで共通の要素たとえば電源起因のノイズかもしれません。
Gungnir FullBit + CS3318PreAmp
デジタルではなくアナログで絞った録音です。量子化ノイズは目立たなくなりますがそれでも質感は弦の艶をまだ表現できていないと思います。直結と比較するとやや静寂感は減退しています。静寂感はもっと良いプリアンプを用意すれば改善できると思いますが、そこまで良いプリは希少です。ここではこちらの記事で書いた自作CS3318プリを使っています。普通に性能は良いプリですがGungnirの性能は100%引き出せてないです。90%くらいです。
Chord DAVE
意外とノイズが多いですね。でもノイズに埋もれながらも音の潜在的な描写力はとても高く細部ディテールは鮮明です。実SNではなく聴感SNが優れている為と思います。ノイズが無くなったらもっと良いと思うのですが、ホワイトノイズって設計上の課題だと思われるので改善は難しいと思います。簡単に対策できるならこの状態で製品はリリースしてないでしょう。DAVEはフルレベルで出して良いプリで絞ったほうが良いと言うことになりそうです。
自作AK4497
自分の作品なのでコメントしません。
Fidelix Caprice RCA + 内蔵Vol
参考比較用です。SNは良いですが立ち上がりが緩く、全体的にソフトタッチです。音量は完璧に合わせてありますが何故かちょっと音が小さく聞こえます。このあたりはDACの個性で実際に生で聞いてもまったく同じ印象です。設計者の中川さんの好みだと思います。ポリシーを明確に感じるのは良い機材です。
録音は以上です。本当はもっとローエンドなDACがないと違いがわからないのですが正直ここでアップした音はRCA以外どれもハイレベルです。普及価格帯の国産大手のDACが一台あると比較用として多分面白いですけど音が悪い機材は全部売ってしまったので手元にありません。
今回比較に使用した音源はこちらです。
Skrowaczewski: Concerto Nicolo
この曲は何故かとても落ち着きますね。普通の感性じゃない自覚はありますが、第二の故郷的なものを感じますw
この製品は1250ドルと10万円前後のDACでありながら上記の通り高いポテンシャルを持つ製品ですが、本当に低コストで良い音が出せるのかというと疑問です。この点ではSonica DACのような手軽さには欠けます。
その理由としてはRCA出力の音が悪いこと、内蔵ボリュームがないため事実上外部プリアンプ必須なこと、これらの理由によって組み合わせや使いこなしにコツが必要でぱっと買ってきてすぐにいい音が出るとは限らないのです。
このDACは残留ノイズが非常に少ないですがビット数が18bitなのでデジタルボリュームを使うことは出来ません。基本フルビットで受け取ってそのまま出力し、あとからアナログで絞るようにしないとデジタル領域のビット欠けによって音のディテールが即削がれてしまいます。このあたりは現代の32bitDACとは全く違う部分です。安易にデジタルボリューム化が出来ないことは低ビット数のチップを使った設計上の欠点ですね。
そしてプリアンプではアナログボリューム=抵抗とアンプを使う性質上ノイズを減らすことがとても難しく、Gungnirの持つ残留ノイズの低さを100%引き出せるプリアンプなど、ほとんど存在しないのではないかと思われます。しかもXLRフルバランスを受けられるローノイズプリアンプとなるとあまり低コストでは済まないと思います。
GungnirのXLR出力ノイズ測定値を見たところ普通のよくあるオーディオ用FETオペアンプが持つ残留ノイズと同じくらいです。オペアンプ一個通過しただけで性能がでなくなるって考えてもらえればプリアンプ設計の難易度が分かると思います!
-90dB 1kHz sine XLRout
この-160dBVという値は10nV/rtHzに近いレベル(誤差があるので目安)ですから、抵抗アッテネータでも安易に挟めません。1kΩの抵抗が4nV/rtHzなので数kΩの抵抗でもGungnirの実力は抑えられてしまうということです。Schiitがオペアンプを使わずJFETのディスクリートを使った理由もこの部分にあるかもしれません。市販FETオペアンプをこの部分に挟むとローノイズな出力はなかなか得られません。当方のCS3318プリも-150dB位の実力でCS3318のチップスペック限界ですが、それでもやや性能が足りません。
一応Schiit本家にもプリアンプの取扱はありますが、残留ノイズの情報や詳しい設計上の工夫について記載がありませんので、そこまで高性能なプリアンプを作っているのかは大変疑問です。もし本当に性能上で優位性があるならノイズのスペックも出ていると思います。そもそもGungnirはRCAの出力ノイズがあまりにも酷いので、同社プリアンプも設計に問題がある可能性を考えておいたほうが良いです。同じメーカーだからといって一か八かで購入してハズレを引く可能性を考えるとあまり冒険はオススメできないです。
もし選ぶならローノイズに注力したきちんと設計上の工夫や強みを紹介している製品を購入するのが良いと思います。少ないですが測定値などを公開しているメーカーのものが望ましいです。
正直そこまでやっているメーカーはあまり思い当たりませんが、設計で万全そうなのはSAYA辺りでしょうか…。価格が100万円近いのが難点ですが。AITプリも発想は良いですがDACの残留ノイズを測定した限りは-145dB付近(普通は十分ハイレベルですが)ので設計レベルが怪しいです。
ということで現時点でYggdrasilやGungnirの真の実力を発揮できているユーザーはDACの価格帯を考えると殆どいないのかもしれません。もちろんプリが万全じゃなくてもDACの良さはわかりますが真の実力、潜在力は発揮できてないということです。
まとめますとGungnirの海外での圧倒的な評価の高さはきちんとデータで裏付けが出来る結果のように見えるということです。特にデータ上でDAVEより直結Gungnirのほうがノイズ性能が良いという結果はとても重要な部分です。実際に背景の静寂感はDAVEよりGungnirのほうが良いです。
Gungnirはビット解像度不足による音の粗さという設計上最大の弱点がありますが、万が一ADから24bitのチップが出てきたら総合力でもSchiitのマルチビットはDAVE以上の音質になってしまうと思います。しかしそのようなチップは存在しませんし、出来たとしてもとんでもない価格のICになる筈なので現実的には難しいと思いますが。
最後にGungnirのRCA出力の酷い測定値も置いておきます。上の画像と同じスケールですが別物のDACのようにノイズが多いです。RCA出力は音が出るだけで音質的には使いものにならないと思ったほうがいいです。
あまりDDCには興味が無いのでテストしない予定だったのですが、このモデルについているDDCは最新世代で良いものみたいですね。興味がある方もいると思いますので今回はこれもテストしてみます。
実際にSchiitのUSB gen 5をWin10で試してみましたが、うちの光ブースターのほうが音が自然でした。この時に使ったDDCはSMSLの6000円くらいのXMOS-DDCですが、これの光出力に光ブースターを入れた場合のほうが高域のザラザラしたデジタルぽい感じがなくなって低音のパワーと中域の透明感が増します。Gen 5 DDC直結ではこのあたりがもうひとつ弱いです。
実はうちはDDCを使わず自作の光ブースターを使っているので上流の音質差が殆どありません。今まで試した結果ですが上流の音質差を9割位圧縮する効果があるみたいです。Schiitの最新世代DDCでも例外ではありませんでした。
いままで試したのは安いCDP、高級トランスポート、無対策PC、高額オーディオIF、高級DDC、低価格DDC、これらさまざまな上流を使って比較してきましたがどの出力も光ブースター単体を超えるものはなく更に光ブースターを挟むとどれも音質が同じように底上げされるので、どれを使っても大した違いが無くなります。もちろん違いが完全に無くなるわけじゃないのですが差が底上げされて圧縮されます。
ということで結局Schiitの最新世代DDCよりこちらの光ブースターのほうが良いみたいです。ですがDDC直結で光ブースターにそこそこ肉薄するクオリティではあったので単体DDCとしてはかなり優秀かもしれません。
前回の続きです。今回はこちらの自宅での試聴になります。なんとこの日はオルフィさんだけじゃなくてKTERさんもおいでになりました。お二人ともかなりハイレベルなシステムを構築されておりますので、うちみたいな見た感じ全くハイエンド臭のないオーディオを聞いてもらうのは結構恐縮するところでした。
なお当方のシステムの音質については自分で書いても全く客観性がないのでここでは書きません。こちらのシステムについての印象はオルフィさんのインプレにおまかせする形としたいと思います。記事が上がったらこちらのページで相互リンクにします。
ということでここでは当日に行ったちょっと変わった音質的実験についてまとめます。
実はこの日の朝の音質はあまり良くありませんでした。日によって音が変わることはよくあるのですがこの日は特に良くありませんでした。なんというかちょっと篭ったような音だったのです。そこで除電器の登場です。帯電して音が悪くなっている状態を除電して本来の音質に戻すというものですね。しかしオルフィさんによればこの除電器は物によってかなり性能に差があるそうです。
事前の情報ではこのSN-03には”ORBの呪い”という状態があって、システムのレベルや相性によって呪われてしまう可能性があるというお話でした。しかもこの呪いは一度罹ってしまうと二度ともとに戻らないという恐ろしいもののようです。
そしてその呪いを解除するためには除電グッズのような簡単なものでは駄目で、キーエンス製など産業で実績のある良い除電器が必要ということです。なのでこの日に登場しているキーエンスの除電器SJ-F030は呪いを解呪するためのアクセサリーなのだそうです。
ということで実際に試してみました。まずはORBのSN-03からです。念入りにCDPやDACだけでなくパワーアンプとケーブル周りも除電します。SN-03による除電後の音を聞いた印象としては分離自体は最初の何もしない状態より若干良くなった印象だったのですが、それとともに色彩が暗く重心が下がって低音寄りのバランスになったと思いました。また高域はややモヤがかかったような音になりました。高音が伸びなくなって重心が下がるので、印象としては重苦しく悩ましい音です。これはむしろマーラーなんかには合いそうな音です。
オルフィさんに音を聞いた印象をほぼ上記のまま伝えると、これがまさに呪い状態だそうです。このときはCDPもDACも蓋が開いていたので除電効果が基板に直接かかりましたから相当強くかかった可能性が高いです。良いか悪いかで言えば悪くは無くはないけれども、意図せず音楽性が強く変わってしまう感じがしますね。
では次にキーエンスの除電器で「解呪」してみます。
こちらはORBとは全然音が違っていて色彩も一気に明るくなりました!重たい雲が晴れて光が差し込んだかのようです。高音が伸び切り低音も重さが無くなり歯切れがよくなっています。もちろん色彩が明るいと言ってもノイズで付帯音が付いた高音とは違います。逆に高音の付帯成分のようなものがなくなって伸び切った結果、明るく澄み切った感じがしました。この音を聞いてしまうと呪い状態のときは明らかに高音に変な付帯音がしていたと思います。たとえば先程は金属楽器の音に不自然な響きが乗っていましたがきれいに無くなりました。
面白いのはキーエンスの除電器を通した音はオルフィさんの自宅の音に似ていることです。こういう選定ひとつとってもその人の音の方向性は出て来るものだと思いました。キーエンスの除電器によって、うちの音が普段の音より明るく、力強く、強い光が差し込んで爽やかなサウンドに変化しました。音質的なクオリティはこちらのほうがずっと優れていると思います。
まぁこれは当然の話しでして、キーエンスの製品は産業用の組み込み用途での信頼性と性能を両立しているメーカーです。なので実性能で駄目ということはまずありえません。なにしろキーエンスは短納期で不具合が少ない産業機械を開発する際に便利な付加価値付きの組み込み用機器をつくっている会社です。キーエンスの性能と信頼性は普段行っている会社でも組み込み用のバーコードリーダーなどで良くお世話になっているので知っています。
ということで除電器の性能としてはキーエンス製のものが圧倒的に優れているということになりそうです。ORBのものは除電自体は出来ているのでしょうが完全に取り切れず変な成分か偏りが残ってしまっているように思います。
ORBとキーエンスの除電器の違いを画像で例えるならこんな感じです。
ORBの除電器の音↑
キーエンスの除電器の音↑
次に空気清浄機で音質がどう変わるかの実験です。空気清浄機で音が変わるという事自体がどうなのかって話はあると思いますが、気体の成分や温度、湿度で音速が変わりますので、そういう影響で音が変わってもおかしくはないです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%B3%E9%80%9F
たとえば窒素100%、酸素100%、水素100%の部屋を用意して音を聴き比べたらかなり音質差はあると思います。相当命がけになると思いますが…。
音がスッキリします。ちょうど女性ボーカルの低音を支えている帯域が軽くなる印象があります。まるでEQでそのあたりの帯域を0.5dBくらい狭くカットした印象と近いです。不思議ですね。
そして更に不思議なことは電源を入れると即効果があることです。つけた瞬間に音が変わっています。この結果から想像すると空気が変わっているのではなく空気清浄機が動作することによって空中に電気的な何かが放出されているのだと思います。この時の空気清浄機はAC動作ではなくバッテリー駆動でのテストなのでAC電源にノイズが回り込んだ等ではありません。
実際に試してみましたが、空気清浄機を離して設置すると音の変化が小さくなるので距離による影響はあります。やはり電気的な要因でしょう。空気清浄機の電源の種類や基板に手を入れて音が変わるのもそれで説明がつきそうです。なのでおそらくEMCテスト的なアプローチで空気清浄機から発生するノイズ成分はある程度観測できるのではないかと思いました。
このとき離した空気清浄機の設置位置は8mくらいだったと思います。このくらいの距離でも音は十分変わりましたが実際にEMCの測定テストでも10mの距離で行うものがあります。周波数によっては10m位離してもハッキリとノイズが測定できるので10mなら電気機器からノイズが飛んできてもおかしくありません。10mで測定器でノイズの観測ができるということはオーディオでも違いがでてもおかしくはない距離です。
ただ空気清浄機を入れたときのほうが音がスッキリした印象があるので一概にノイズの影響であるとは断言できないところがあります。まさかノイズのように作用している成分をちょうど打ち消すような成分を放出しているのでしょうか?(プラスイオンとマイナスイオン的な?これは除電器で除去済みですが)
このあたりは一度測定でチェックしてみたいところです。
写真を撮り忘れたので小さいです。こちらはCADOのものとは違った帯域に効果があると思いました。メモをして無くて細かい違いはちょっと忘れてしまったのですが、やはりスッキリするような印象です。基本的な傾向はCADOと似ています。違いは若干ありますが方向性は同じ印象でした。こちらもつけた瞬間に効果が出るのは共通しています。
今のところ空気清浄機による音の差は電気的な漏洩ノイズによる影響ではないかと仮設を立てているところです。今度機会があればGHzまで観測できる測定器で測定をしてみたいと思っています。
設置場所を変えてリモコンを動作させるとオーディオ機器からでる音が変わるというとんでもない話です。例えばしっかりした台の上からリモコンを操作してCDPを再生させると音がしっかりして、柔らかい台の上から操作すると音も柔らかくなるという、思い込みとしか思えないような影響です。
これが何度試しても違うような気がします。とはいえ思い込みを排除できるような大げさな違いだとは思わなかったので、この領域に踏み込むのは危険だと判断しました。信じるか信じないかは読んでいる方におまかせします。相当ハイレベルな環境じゃないと全く違いがわからないと思います。オルフィさんのところでは違いは結構分かる感じでした。うちでも多少はわかりました。
ただ一点これを裏付ける話がありまして、自作機材を貸したときにリモコンから操作したときと本体を操作したときに音が違うと言われたことがあります。理論的にはほぼありえないのですが、その方は音楽のレコーディングにも携わっていてかなり耳が良い方だったので、簡単に思い込みであるとは断言できないところがあります。当時はリモコンの違いなんてあるはずがないと思っていたので「違いが出るような設計にはなっていないです」ととりあえずは伝えたのですが、それを伝えてもその方は違いがあると感じていたそうです。
オルフィさんの自作ケーブルです。これはかなり音が良かったですね。自宅環境は偽Valhallaで統一していますが、さすがに偽物よりはこちらのケーブルが良かったです。具体的に言うとややノイズっぽい成分がクリアになる印象です。
偽Valhallaは非常にパワフルで透明感も高いのですが、その透明感の中に若干像が揺らぐような部分がわずかにあります。透明度は高いものの場所によって若干歪なところがあるレンズを覗いているようなイメージです。そういう問題点もこのケーブルと比較するまでは全く気づいていませんでした。
十分にレンジも広く癖がなくノイズ成分も少ないという、かなり完成度の高いケーブルだと思います。力強さだけなら偽Valhallaのほうが良かったかもしれませんが、それ以外の部分はこの電源ケーブルのほうが良いですね。
こちらのケーブルは露骨に美音系でした。描写力などの基礎クオリティは十分に高いと思いますがそれ以上に個性が目立つケーブルです。レンジが広いというより広いレンジ感があると言ったほうが正しそうです。上記の白いケーブルからこれに交換すると低音もより目立つようになりますし、高音も輝くような美音系の質感がありますので国内では結構好きな人は多い感じかもしれません。
個人的にはこの2本の比較ならば白いケーブルのほうが良いなと思いましたが、偽Valhallaと比較するなら高音の癖の出方がより派手な質感に変わり低音が豊かになる印象で、篭ったりエネルギーが損なわれる印象は全然ありません。なので性能自体は高く基本はストレートで高性能な音だと思いますね。
どちらのレビューも使用条件としてDACへの給電ケーブルのみ交換しています。ただしその手前にASUKAのFIL-MASTERを経由した後段に使った場合のレビューになります。別条件の比較としてFIL-MASTERの前段側のケーブルを交換したときには上記ほどの大差は感じなかったので、ノイズフィルターを通過した後の外来ノイズ耐性の違いが大きな音質上の違いを生み出していた可能性も考えられます。この点のみ補足事項として考慮に入れて判断してください。
次に、デジタルケーブルですが、こちらはちょっと写真がないのですが外観はこれに近いものです。
http://www.mouser.com/ds/2/431/GORE_Phaseflex_10_18_13_app-461044.pdf
両端SMAで超高速タイプ(数十GHz帯域とのこと)なのでスペックもこれに近い印象でした。それまでこちらで使用していたデジタルケーブルがApogeeのWideEyeっていう大分古いタイプなのでこれを変更したところ凄まじい変化でした!もう別物のようにすべてが良くなったので今までが相当よろしくない状態だったということだと思います。デジタルケーブルでここまで激変するのは驚きです。
この日のテストでは除電器の違いも凄まじい変化でしたが、デジタルケーブルも同じくらいのインパクトが有りました。たった50cmくらいの線なんですけど、その程度の距離であっても線材の伝送特性がそれだけ重要という話なのだと思います。ということでこの日の後、すぐに似たようなスペックである40GHz級のSMAケーブルを発注しました。
他のオーディオ用デジタルケーブルと比較すると中低音は細身で弱い感じなのですが、高域のピントはこれが一番良いです。オーディオ用のものは大抵高域が滲むが濁って聞こえます。中低音の力強さと高域の正確さを両立するケーブルがあれば良いのですが…。
キーエンスの除電器も中古の出物があったのですぐに発注しました。これでワンランク上のオーディオライフを満喫できそうです。
オルフィさん(https://twitter.com/orfy_aqua)
お忙しい中時間を取っていただきありがとうございました。真のハイエンドとも言える製品群をじっくり聞かせていただく機会はなかなかありませんので、自分自身にとっても得るものが多くありました。
しかもハイエンド機と自作機の比較だけじゃなくて、自作音源がどう鳴るのかも聞かせてもらってしまいました!おかげで機器ごとの特徴など色々わかりましたので貴重な体験をここにまとめて公開しておきたいと思います。
こういう環境ですと、どうしてもハイエンドコンポーネントに目が行きがちですが、それよりも重要なのはその人がどういう音を出しているかだと思うようになりました。機材の音じゃなくてその人の音、その人の音楽がきちんとなっているシステムは完成度の高いシステムです。
いままでの経験上ハイエンド機材があるから凄いというのは必ずしも当てはまるものではなかったからです。最も良い例はダイナミックオーディオのマラソン試聴会(川又さんと東さん以外)やインターナショナルオーディオショーでのさまざまな高額機器の出音を見れば分かると思います。
ということでシステムの音質は何を使っているかよりも誰が使っているかのほうが重要だという認識になっています。ハイエンド機材だからと言って機材の性能だけが支配的になることは少なく、それよりも誰がどのように使ったかのほうが音の印象には支配的になるようです。
(個人的に)一番わかり易いのはマラソン試聴会の川又さんの音でしょうか。様々なハイエンド機器を毎年構成を変えて使ってますが常に同じ方向性の音がします。これは使いこなしのレベルや完成度が上がるほどこういう傾向は強いようです。逆に言えば機材に振り回されている、機材の音が支配的なうちはまだまだのレベルだということかと思います。
凄く前置きが長くなりましたがシステムの音質です。
印象的だったのは明るく生命力溢れており非常に力強い音です。ソナス+真空管アンプという先入観とは全く無縁の、低域と高域ともにかなり引き締まっており全域に渡ってパワフルな音がします。その上に感じるのは明るさと生命力です。これはネガティブな音楽性を打ち消してしまう程の力強さと前向きさを強く感じました。
これはオルフィさん自身の性格も含めた個性と思います。ちょうど5月くらいの新緑の季節で青空と強い日差し、そして爽やかな風、大地、そんなイメージを思い起こさせる音です。
正直機器の組み合わせで見ると何故このような音に仕上がっているのかはわからないのですが、結局はその人が選んだ機器選定やセッティングによって少しずつ醸成されていく結果なのでしょう。そしてそういった音の追求に余念がないほど、その仕上がりはコンポーネント依存ではなく人物依存の音になっていくと思われます。最終的にはその人の音そのものになっていきます。(もちろん機材の選別自体がその人の個性です)
こういう明確な方向性が伝わるのは音楽性と完成度の高さですね。当然基礎クオリティもかなり高いのですが、その上でどういう音を出したいかが明確なのだと思います。基礎クオリティを上げてストレートかつピュアなだけではなく、ちょっとした高音の色付けがある音をあえて好まれているのも、さりげない優しさや奥ゆかしさの現れなのかなとも思うところです。このあたりもご本人の人物像と適合しています。
当日は余りかからなかった方向性の音楽ですが、躍動感のある前向きな楽曲がよく合いそうな気がしました。もちろん演歌みたいな情緒あふれるバラード系ジャンルも掛かりましたしこのシステムの得意分野だと思うのですが、ぴったりと適合するような曲を多く掛けられなかったのは失敗だったと思いました。機材を交換したり色々なこと(MIDIとか音源とか音楽業界の話しなど…)を喋っている時間が多すぎて音楽をかける時間が少なかったのが原因なのですがちょっと反省ですね。
次の機会があればその時にこのシステムに適合する音源をたくさんかけたいです。
ともかく、オルフィさんのシステムの出音としてはさりげない情緒的な部分があり、分離やSNや立ち上がり立ち下がりの正確さなどの基礎クオリティが非常に高く、個性として生命力と力強さと余裕を両立している、という感じです。これはなかなか難易度の高い組み合わせだと感じました。特に情緒と力強さの両立は余り見かけないセットだと思いました。
ちなみにネガティブが合わないと感じた最大の理由は、この日は最後にマーラーの大地の歌(クレンペラー指揮)を掛けたのですが、この楽曲は絶望を受け入れる姿勢だったり死を予感させる曲なので、このシステムには全く合いませんでした。自宅では良く鳴るので、オーディオ的なクオリティは全く関係なくて、この辺は完全に相性です。音質はいいけど引き込まれる感じではないということですね。
メインシステムはDACがdCS Vivaldi、プリアンプにFM Acoustics FM255、パワーアンプにSilverCore 833、スピーカがSonusFaber Stradivariという正真正銘のハイエンドシステムです。
当日はこちらの制作機材と比較する機会をもらえたのでコンポーネントごとの音質もよく把握することが出来ました。ハイエンドな高額機器に個人制作物を接続させていただけまして、大変ありがたく思います!
それぞれの機器の音について書きます。
dCS Vivaldiからパワーアンプ直結とFM255経由での比較試聴です。(さりげなくスカルラッティの下パネルが開いていて配線が見えています!)
なんとこのプリアンプを通すと音にメリハリが出て前後感がはっきりします。非常に透明かつ音にみなぎるエネルギーがあり、その上で余裕もあります。さすがのハイエンド機器でして音質については素晴らしいものがあります。音が分厚くなったり音像が肥大したりなどは一切感じません。dCS VivaldiというDACの情報量をそのまま受け止めるだけではなく情報を整理して次段につなげる実力があります。
一点副作用として高音に色が付きます。この色は好みの世界です。弦楽器などはやや濁って聞こえてしまう部分もあり、生の音に近いとは全く思いませんでした。この点ではDAC直結のほうがリアルな音です。これは曲によって合う合わないはあると思いました。悪く言えば嘘っぽい脚色された高音です。ただしボーカル曲などには非常に合う方向性でしていわゆる美音系です。上品なシルキーさって言えば良いんですかね。DSD的なさらっとした感じです。日本人はむしろ好き系だと思います。
ということでFMプリは非常に上品かつ透明で力強く、その上ではっきりとした高音の色付けがあるプリアンプでした。高音の色付けだけは意見が別れる所ですが、基本的には積極的に挟みたくなるプリアンプですね。dCS Vivaldiを上流にもってきてもプリによるクオリティの低下は感じません。その上で輪郭がはっきりして前後感も強調され力強くなるという部分は凄みがあります。これにハマったら抜け出せないでしょうね。
DAC単体だけを聞いてもなかなか個性が見えてこないですが、Vivaldiの個性がはっきりわかったのは他のDACとの比較です。やはり単体だとなかなか評価は難しいです。この日に比較できたのは当方作成のAK4497使用のものです。本当はみなさんが見たいのはDAVEとVivaldiの比較かと思いますので、DAVEの音の比較についても普段の傾向から推測して言及します。
このときの比較ソースはすごく音の良い美空ひばりだったのですがイントロのピチカートの余韻の豊穣さや余韻の長さ、細部の緻密な描写など基礎クオリティだけなら正直Vivaldiより当方の4497のほうが良かったかなと感じました。ですがやっぱりハイエンドの風格につながるような余裕がなく神経質できつめな音がすると感じる部分が明確にありました。
Vivaldiはとにかく余裕があり出音が自然で力みがありません。ふわっと空気のように音が出て来る印象です。本当は非常に力強いのでしょうが全く力みがないので力強いという印象よりは空気のような軽やかな出音に感じます。
Vivaldiの高音の脚色や色付けについては巷で言われているほどではありませんでした。むしろVivaldiよりDAVEの高音のほうが滑らかなのですが質感に強い癖があると思いました。FMプリと比べると美音といえるような色付けは少なく、基本に忠実で高性能DACというイメージの音です。よくdCSは空気感や高音の演出について言及されることがありますが、個人的な印象では最大の特徴は音色というより余裕のある出音にあって、その余裕がありすぎる出音がまるで空気のような出音だと感じさせる要因であると感じました。
音の分離云々よりも出音の余裕こそがVivaldiの特徴であり優位性だと思います。
この日は持ち込みしたものの鳴らさなかったDAVEですが、4497とVivaldiの比較の感じからDAVEとVivaldiを比較したどう感じるかも予想してみます。おそらく音の分離だけならVivaldiよりDAVEのほうが良いと思います。しかしDAVEではVivaldiのような雄大さや広大さや余裕を感じることはありません。
DAVEは左右の広がりが狭く高音に強い個性(エネルギーが集まっている感じ)があります。このDAVEの個性は電子音楽などとは非常に相性が良いのですが、反面生楽器のリアルな録音では若干違和感があるように聞こえます。特に弦の高音は生音とは異質に聞こえます。またDAVEは低音の物量、左右の定位の正確さ(クロストーク性能)が明確に不足しています。なのでこれらの要因によってDAVEは高性能で高分解能でありながらも雰囲気に余裕がないと感じる部分がより際立ってしまうでしょう。
最終的にはVivaldiとDAVEの比較では音楽に何を求めるかによってどちらを選択するか分かれそうです。分解能や細部のディテールを重視するならDAVEですが、レンジや空間の広さや出音の余裕を重視するならVivaldiです。
最後にまたAK4497の話に戻りますがAK4497は素子自体に「余裕がなく神経質な音がする」という側面がありますので、Vivaldiレベルとの比較になると素子が持つ個性が支配的となり、最後の超えられない一線としてICの個性が浮き彫りになってしまうと思いました。かなり設計面でカバーしていますがAK4497ではVivaldiのような余裕を出せるとは思えません。この余裕は低域がしっかり出ているとかそういう次元の話ではないからです。当方のDACも帯域バランスは十分に広く感じますし低音もしっかり出ていたので電源の物量が明らかに不足しているという印象とは別物です。
いまのところこういう雰囲気レベルの神経質さはパターンや部品の配置によって、電流をどれだけスムーズに流せるかの違いだと思っています。なので小さいICに大電流を流す構造自体がそもそも不利です。これはAK4497だけじゃなくてES9038も同じ課題を抱えていると思いますね。だからこそそういう部分の問題を根本的な基礎設計面から解決しない限りVivaldiのような雄大で余裕のある音は出ないと予想します。
ドイツの真空管アンプキットのようです。化物じみた巨大真空管を使ったアンプです。
http://silvercore.de/roehrenverstaerker/silvercore-reference/
ここではNcoreを使ったパワーアンプと比較させてもらいました。1200Wの電源を積んだNcoreなので殆どのアンプと比較しても十分パワフルな内容だったのですが、この真空管パワーアンプとの比較ではかなり不利でした。
SilverCore 833は出音が非常に透明で、柔らかいのに力強い音がでていました。これも出音に凄く余裕があります。オルフィさんのシステムにはしっかりとした統一感がありますね。
このNcoreも標準品のNcoreではなくて自前設計のオリジナルバッファ+電源を搭載したものですから、基礎クオリティは高くほとんどのNcoreアンプより綺麗な高域と透明感を持っている筈なのですが、質感がまだどことなくパサパサしており神経質まで行かないですがもうちょっとゆとりがほしいかなって感じる部分がありました。この辺はもう真空管とD級という方式の差によるものなのかもしれません。あとは電圧と電流による物量差の世界とも思うのでなかなかこれ以上は厳しいですね。なんとSilverCore 833は電圧1200Vだそうです!
ということでパワーアンプもDACと同様に出音の余裕において差を感じるところでした。
しかもDACとは違ってパワーアンプのほうはNcoreの音楽的優位性がほとんどなかったかなと思います。といってもNcoreも比較してがっかりするほどの格差はなかったですし、D級でありながら真空管と比べて高音の質感がザラッとしていて悪いとかはなかったので、クオリティは決して絶望的な差じゃないですが、正直言って音だけならNcoreよりSilverCore 833のほうが良いと思いましたね。
ただこの真空管アンプは巨大な筐体で発熱も電気の消費もすごそうですので、Ncoreの優位性は非常に省スペースかつ電力を使わない熱も出ない、その割には十分比較できるレベルで音も良いという、実用面が優位性になりそうです。
使用している真空管 833Cスペック
833C Transmitting tube with graphite anode (socket not included)
Also used High-End Audioamplification: Silvercore 833C and WAVAC 833.
Power up to 1800 Watts with forced air cooling.
Matching sockets: S2-833 + 2x SPC14
Specification:
Anodevoltage: max. 4000V
Anoden dissipation: max. 300W
Output power : >1.0kw
Filament voltage : 10 V
Filament current : 10A
Amplification factor:35
Frequency: 30 MHZ
このページを見ているような方には説明不要かもしれません。
このスピーカについての個人的印象はこちらに印象を記載しているのでこちらを参考にしてください。記事の一番下にこのスピーカで感じている印象がまとまっています。
ただしオルフィ邸の環境で感じた音は上記の印象よりもさらに力強く引き締まっており、一般的なソナスのイメージとはだいぶ違う部分もありました。
統一していると感じたのが「余裕」です。FMもdCSもSilverCoreも例外なくそうです。美音系も特徴ではあるのですが、これはFMプリによる色付け要因が大きいので、それより出音の余裕が全体で共通する方向性だと感じました。
音の仕上がりにはほかにも宇宙的ケーブル、空気清浄機、除電器などによる影響もあるそうで、単純ではない世界が広がっていて恐ろしいです。このあたりは次回に体験したことを詳しくまとめたいと思います。
オルフィさんの家の音について感じたのは以上です。
こんなところにFM155らしきものが無造作に放置されていました!ハイエンドブランドもこんなところに押し込められていては何か別のものに見えてきます。こういうところもオルフィさんの器の大きさを垣間見た気がします。
次回はこちらの自宅に来ていただいたときにいろいろ試した結果をまとめたいとおもいます。